新品のようなブレーキの効きを取り戻す!3つのステップとその他確認ポイントのご紹介

※本記事は過去記事を度重なる再編集を重ねパワーアップさせていただいた記事となります。

というのも最近じわじわと増えだしているディスクブレーキのバラ完依頼。誠にありがとうございます。油圧の調整とリムブレーキと繰り返しているのですが、やはり油圧のタッチって独特で気持ちいいんです。(整備上のお話です。)

パスカルの原理を用いた油圧ブレーキシステムは握り込むことで流動体であるブレーキフルードの圧力でピストンを押し出す。押し出されたピストンはパッドを押しローターを強力な力で挟み込みます。挟み込まれる力もある一点を超えると今度はブレーキラインを押し広げます。
ラインの柔軟性と剛性の絶妙なバランスを保つことによって、あの官能的なブレーキタッチを生み出してしているんですネ。

・・・というのは整備上でのお話ですが(笑)

ともあれディスクのタッチは最高峰かと思いますが、それでもリムブレーキです。
リムブレーキでもまだまだできることはあるのかもしれません。

というのもロードバイクの新品のブレーキの効き、、、覚えていますでしょうか?
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新品のブレーキ、ものすごく気持ちがいいものです!

当然ブレーキの本来の性能を引き出すということはブレーキ本体のお話だけではありません。
ホイール、タイヤ、フレーム等も大きく関わってくるものです。
ということは当然ブレーキ本体だけが原因ではありません。使っているうちにいつのまにかちょっとずつちょっとずつ効きが悪くなっていくものです。
なんだか最近ちょっとブレーキシャキッと感、ダイレクト感・タッチがイマイチなんだよなぁ、、、
これが曲者で少しずつ少しずつ悪くなってくるので実は結構効きが悪かったり、非常に鈍くなっていても気が付きにくいのが問題です。

”なんか前のほうが効いていた気が・・・最近効きが悪いなぁ、、、”と気がつく頃には相当な状態になっている場合も。

こんな場合のメンテナンス・調整をご紹介しようと思います。

これをきちんとやると結構フィーリングも効きも良くなる場合があります。

ということで今回は新品のようなブレーキの効きを取り戻す!3つのステップとその他確認ポイントのご紹介を更に更に更新して見ようと思います。

※ブレーキのメンテナンスは場合によっては命に関わることがございます。
 自信のない方はプロショップへ、ご自身でやられる場合はあくまでも自己責任の範疇でお願い致します。



1.ブレーキのセンターの確認


ブレーキシューは使い込まれていくうちにだんだんと身をすり減らして削れていきます。
それが左右全くもって均等に削れてくれればいいのですが、左右ちょっとちょっと削れ方に差が出てくることがあります。(シューのセッテイングにもよります。)

またダイレクトマウントのブレーキではない通常の本体固定が1ボルトタイプのキャリパーブレーキは、ホイールの付け外しや、輪行、車載時などに本体を「コンッ」とぶつけるだけでキャリパー自体がちょっと左右に動いて(回って)しまうことがあります。
そうするとブレーキをかけた際にセンターでリムを捉えることができなくなり、フィーリングが変わってきます。

プロのレースなんか見ていても落車なんかで絡んだ後、グニグニブレーキ本体をいじってから再スタートそんなシーンを見かけることがあります。1本締めのブレーキは規定のトルクで締めていても何かの拍子にずれてしまうことはあります。

センターのずれたブレーキは握り込み、効き始めがグニュグニュしてものすごく気持ちが悪いです。センターのずれたブレーキは偏ったシューの動きで効き始めにホイールが歪むからです。
タッチが悪いだけではなく効きにむらが出てしまうこともありますのでセンター調整はやはり大切です。

ということで定期的に左右の幅を確認します。
本当はホイールつけ外しの度が理想です。
ブレーキを握りこんでいき、リムに左右のシューが当たるタイミングは全く同じにします。
0.1mmもずらさないように微妙な調整です。
ドンピシャで調整します。

①本体を動かす
ブレーキキャリパー本体を止めるボルトを緩めれば簡単に動きます。
(緩んでいなくともカーボンフォークの場合はずれやすい傾向にあります。)

しかしココを止めるボルトのやはりネジなので閉め込んでいく過程で最後でずれてしまう場合があります。
ブレーキをギュッと握りながら締め込むとか、前もってちょっとずらしておくとか、
自分なりに0.1mm足りともずらさずに完璧に固定できる方法を見つけるといいと思います。

②センタリングボルトで調整
微妙な位置はセンタリングボルトで調整することも可能ですが、大きく動かすことはおすすめしません。あくまでも微調整のためです。

ブレーキのセンター出しのコツは握りこんでいき接触する寸前位置まで持って行き紙等を挟んで左右のクリアランスの確認です。

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ブレーキが開いたままだと結構アバウトになりがちです。


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※ダイレクトマウントは本体の固定が2本締めとなりますのでセンタリングボルトのみで調整となります。

最後に何度かブレーキを握って確認です。

慣れてくるとタッチや音でもセンターが出ているかでてないかがわかるようになります。というかすぐに分かります。センターのズレはものすごく気持ち悪いので、、、
ビシッとセンターの出たブレーキは気持ちがいいです。。。というかセンターの出ていないブレーキは気持ち悪くて最低です。ここは雲泥の差です。



2.リム&シューの掃除

ブレーキシューの粕がこびり付いたり、場合によっては小石や砂塵がシューに挟まってしまうこともあります。特に雨天、悪路走行後なんかはものすごく気持ちが悪いなんともシューに何かが挟まっているような感覚、音、タッチになりがちです。
ホイールを外した際には必ずシューの状態を確認し掃除後は指でブレーキシューを優しくなでます。
人間の指の感覚は目でみてもわからないほどの小さな小石も何かの破片も容易に見つけることができます。気になるものがあれば先の細い工具でひっかけて外してあげます。

またリムの掃除はヤスリ系のものをシューに挟んででガンガン削ってしまうような裏技的なこともありますが、あまりおすすめは出来ないです。
たしかにキレイになりますが、リムはガンガン削れていきます。(リムは消耗品です)

そこまでひどい汚れでなければ洗剤やブレーキクリーナー等で濡らした柔らかい布で拭き上げてあげればキレイになります。(リアのドライブ側は意外とチェーンオイル等が飛散している場合もあります。)
洗浄剤の中にはゴムを侵すものもあるのでタイヤ等にはくれぐれも直接かけないほうがいいです。

どうしても取れない場合はゴムヤスリ・砂消し等別の方法で除去します。(アルミのみです)

砂消し等を使用する場合はあくまでもリムも削っているということ、やりすぎないようにご注意下さい。

それとともにシューの状態の確認です。
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非常に微妙なところではありますが、向かって左側が後ろに向かって若干斜めに摩耗してします。

摩耗状態によっては、面取りをしてあげるのも効果的です。
しかしあまりにも変に摩耗しているとか、異物が大きい場合は交換してしまったほうがいいでしょう。

シュー単体なら最高峰グレードでも1000円未満です。シマノさん安いっす!
※+αを求めるならSwiss Stopは鉄板です。

このまま摩耗が進んでいくともっと偏減りが進んでしまうので場合によってはトーイン調整などのシューの角度を調整してあげたほうがいい場合もあります。

ちょっと寄り道
~トーインのお話~

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トーインをどのぐらいつけたほうがいいとか、付けないほうがいいとかいろいろな意見がありますが相結局のところどうなのかと言うと。。。

あくまでも総合的に見てということですが、どう考えてもやはりシマノのマニュアル通りのセッティングが一番いいです。自転車業界世界最大の企業の技術力は偉大です。
マニュアルはメーカーが度重なるテストで導き出した結果です。
基本的にマニュアル通りに確実にセットをするのがいいです。

カーボンや特殊加工リムでのブレーキの鳴きの問題もトーインで調整する場合もありますが、一概にド派手につければ消えるというものでもありませんのであくまでも適量、それでも止まらない場合は別の原因を考えるといいと思います。

リムもシューもきれいな状態だとものすごく気持ちがよくブレーキが効きます。
新品のホイールのブレーキの効きが良く感じるのはリムもシューもキレイだから、そんなこともあります。



3.リムの振れ取り

ホイールの振れの度合いにもよりますが、どうしても高速域でのブレーキで気持ちが悪い現象がおきます。

当て効きの様な状態になると「シュッシュッシュッ、、、」となります。
普通のブレーキングでは吸収されてしまうような微細な振れもスピードコントロールに使うような触れるようなブレーキのときに「なんかキモチワルイ、、、」そんなことを感じる時があります。

振れ取り台がなくても自転車をひっくり返してブレーキシューとのクリアランスを見てやればある程度の振れは取れますが、やはりホイールが原因の場合はテンション調整等も込でプロにおまかせするといいと思います。
フレだけではなくてテンションのぬるさ、バラツキもブレーキに影響を与えることもあります。

ということでブレーキをかける側というかかけられる側の調整です。



と、この3点です。


-その他-
これ以上を求めればそれなりに手間とコストが掛かります。
しかしBB下のダイレクトマウント、フルアウターのリアブレーキ等の場合はちょっとちょっとの積み重ねが大切だと思います。
注)以下クッソマニアックなお話が一部ございます。

①ポリマーコーティングブレーキケーブル
ちょっとお金を出して(笑)
シフトの方では少々デメリットもありますが、ブレーキのタッチはやはり最高レベルにできます。
※使用できないブレーキ本体がございますので互換性にはご注意下さい。

①日泉ケーブル
日泉ケーブルのSP31ブレーキインナーです。もうこれはまさにこれです。
これを選んでおけば間違いありません。

②アウターの処理・種類
こちらは2種類です。
・切断面をきちんと処理すること。
・リア・フロントアウターの長さの設定
アウターの切断面は斜めではいけません。ビシッと直角にして、面取りも機械で切断したようにします。もちろんアウターのなんていうんだっけ、、、え~と、忘れました。皮膜?一番外側のアレもきれいに仕上げます。
レバーのアウター受け、フレームのアウター受け、ブレーキのアウター受け、アウターとのすべての接点は皮膜や内部のライナーではなくて、確実に内部のコイル金属が直接当たるようにします。それも点ではなくて面取りをした面での接するようにします。

またアウターの素材剛性はタッチに差が出ます。
タッチを良くしたいのであればアウター剛性の高いものをするといいです。

それとアウターの固定です。
アウターはできるだけガッチリ固定します。固定力が高ければ高いほどタッチが良くなります。
ハンドルへの固定はガッチリと、もちろんフレーム内部を通るのであればそこで極力動かないようにしてあげます。これでも全然変わります。

違いは歴然です。

③スモールパーツの使い方の確認
スモールパーツの使い方が間違っていると、、、びっくりするぐらい残念になります。
どこにどんなものを使う、これはマニュアル通りにきっちりと行います。

④グリス・オイル
この辺はショップによっても最高のフィーリングを出すための秘伝の技的なものを持っているところもあると思います。ブレーキの調整は本当に微妙なところでフィーリングが変わってくるので興味深い部分です。

以上がものすごくマニアックなところです。
文章で書くのは簡単ですが、実際にやるとなると手間もコストも掛かります。

ともあれまずは上記3点やるだけで結構フィーリング良くなる場合が多いです。
【こんな簡単な事で、、、】当たり前といえば当たり前のことですが、、、
いやいや実はどれも追い込めば追い込むほど難しいです。
”簡単な”なんて言ってはいけません。。。
ワタクシ自身もブレーキの調整には時間をかけます。
というのも調整次第でものすごくフィーリングが変わるからです。

ちょっとブレーキの効きがいまいちと感じてきたらまずは上記3点、これを確認してみるといいと思います。
というちょっと知ってそうで意外と忘れている事が多いブレーキのフィーリングを新品に近づける方法、のご紹介でした。

最初にも書きましたが具合が悪くなる時は落車等の決定的なきっかけがなければ通常徐々に徐々に悪くなっていくものです。
”なんか変だ!”と気がついたときには結構具合がわるい場合もあります。

ケーブルの定期的な交換は基本中の基本ですが、その他しっかりと調整して組み直すだけでもかなり改善されることもあります。

また最近の上位モデルのブレーキはコントロールレバーとの相性もありますが本当によく効きます。
【ドンッ】と効かせる(一気に前転してしまうほど)こともできますし、コントロールもし易いです。
9000・6800世代のブレーキと9100・8000世代のブレーキの違いはというと、引きの軽さはありますが、高速域からのブレーキング時のコントロール性に違いが出てきます。
普段乗りでは違いはわかりずらいです。。。

それとブレーキインナーケーブルは切れる前に定期的に交換をお勧めいたします。
切れるまで使うのはとても危険です。
寿命を迎える際はどうなるかというと、、、
んっ?なんか引きが軽くなったぞ、、、フフン♪
・・・スカッ!スカッ、、、( ゚д゚)ハッ!ヤベーヨ… と、こうなります。
かなり怖いですヨ。。。

本当は前後共になんですが、どうしてもオサイフが寂しくて仕方がない場合はせめてフロントだけでもガッチリメンテしてあげた方がイイです。・・・あくまでも緊急措置的なものですが。

これで全く変わらないのであれば日頃のメンテナンスがバッチリ、組み付け時の調整がバッチリということもあります。
またはブレーキ本体がのオーバーホールが必要なぐらい悪いかどちらかでしょう。
 
どちらにせよ速く走るためにもブレーキは必要です。
ブレーキは止まるため、スピードを落とすためだけのものではないということです。

ということで新品のようなブレーキの効きを取り戻せるかも、3つのステップとちょっとした確認ポイントのご紹介でした。

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もちろんご自身にて自身のない場合はお気軽にご相談ください。
ブレーキは触ればすぐに状態がわかります。
増し締めなど確認的な調整もお受けさせていただきます。
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今回の記事で関係のメンテナンス道具はこちら。

ブレーキチューナー

簡単にトーインやリムとの平行を出すのに役立つツール。
整備初心者にはこういったアイテムがあると便利ですよ。


振れ取り台

頑丈な机さえあればおもいっきり回しても大丈夫な値段にしては強度も問題ありません。
目で見えない音で聞くぐらいまで追い込めます。
リム針が樹脂製なのもGoodです。
なにせ安いですし。

ラバー砥石
リムのひどいこびりつき汚れ落としに使います。

HOZANラバー砥石 #60K-140
価格:688円(税込、送料別)


砥石と名がつくだけあってある程度はリムを削って綺麗にします。
リムを削るというと、、、あんまりいいイメージはありませんが、激しく汚れたリムはブレーキの効きを悪くする要因です。そこまでひどくなければパークリ、洗剤なんかでも落とせますが、どうしても落ちない場合はこういったもので研磨して上げる必要が出てくることも。
本当は汚れを貯めこまないほうがいいですね。



少々お話しがそれますが、ティアグラ以下のシューに船と呼ばれる台座がついていないタイプは
船付きに変えるだけでフィーリングがよくなる傾向にあります。

上記は105グレードと思います、、、実は105グレードが一番お買い得なんです。
アルテグレードもありますが、そこまで差はないです。
ちなみに105グレードでも現行品の場合はパッケージに【DURA-ACE】文字が、、、

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