リアディレイラーの【しっかり変速調整】

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リアディレイラーの構造と働きのまとめということで、
フロント変速調整の記事で人気のある【簡易変速調整】に習って
リアは【しっかり変速調整】でいってみましょう!
 
これを読めば【ディレイラーの交換ができる!】かも知れません。


基本的な変速の構造はいたってシンプルです。

コントロールレバー
【ひっぱる】(シフトダウン)
【緩める】(シフトアップ)

ディレイラーは決められた動線を【行ったり来たり】するだけです。
【まっすぐ動くだけです。】

これはチェーンを外して動かしてみると理解がしやすいです。

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※親指の方向にしか動かないです。

決められた【道筋】をケーブルで引っ張ることで進ませる(シフトダウン)
ケーブルを一定量解除することでケーブルが緩むと、バネの力で戻(シフトアップ)
これがディレイラーの動きです。

ディレイラー側で制御してるものは【リミット】と【ケーブルの張り】だけです。
コントロールレバーはと言うと【1クリック】でこんだけ【引っ張りなさい(戻しなさい)】
というのが完璧に決まっていて調整の余地はありません。


ですのでまず【リミット】を調整してしまいます。

ここで言う【リミット調整】とは(色々な言い方で表します)
【チェーンがリア側で落ちなくする】ということです。
【リアカセットスプロケットからチェーンが外れなくする】です。

では更に詳しく言うと、
■一番重いギア(トップ)でチェーンが脱落しないようにする。
 (チェーンがスプロケとフレームの間に落っこちないようにする)
■一番軽いギア(ロー)でチェーンが落っこちないようにする。
 (チェーンがスプロケとホイールの間に落っこちないようにする)

★チェーンがカセットスプロケットを飛び越えないようにする。

これが文字通り限界値の調整【リミット制御】です。
で難しく言うと【トップ、ローアジャストボルト調整】です。


ここでの調整のコツは
【何があってもスプロケットの幅以上に動かないようにする】
ということです。

この調整ができていれば通常の動きではチェーンがスプロケから
ハズレることはありません。


リアディレイラーは簡単に言うと
チェーンをずらすことで、スプロケから外す
この原理で変速をしています。
本当はスプロケの歯の変速ポイントがとかありますが、省略します。

ということは当然この【リミット調整】うまくいっていないとスプロケの幅
以上にディレイラーで押してしまうことでチェーンの脱落がおきます。



▶理解を深めるために
Q.リミット制御がうまく行っていないと絶対にチェーンは落ちるのか?







A.絶対に落ちるとは限りません。

何故かと言うと【ケーブルでしっかり調整ができていれば】落ちるとは限りません


Q.ケーブル調整がしっかり出きれいればリミット制御はなくてもいいのか?







A.よくはないでしょう。

不意なことでケーブルだけでは制御しきれないことがあります。

Ex,ケーブルのトラブル(切れ、伸び、外れ、その他)

もしくはローの状態で、レバーを操作すると【ちょっとだけ】更に動きます。
それによってホイール側へ落ちることがあります。


ということで正確な【リミット調整】は自転車を壊さないためにも絶対に必要です。

ロー側に落ちればホイールにダメージが行くことがありますし、
逆にトップ側に落ちればフレームを傷つけることもあります。


ロードバイクは本当に無駄が一切ない乗り物です。


ではこれの調整は過去の記事にもありますのでサラッといきます。
詳細はこちらで↓↓↓


▶トップ側
ケーブルを外します。(緩めるだけでは限界がある場合もあります)

ディレイラーを手で操作しながら
【どんなことをしても絶対にトップ側に落っこちないように】調整します。

クランクを回しながらディレイラーを指で押してあげて【カタカタ】とスムーズに
トップ側まで落ちるようにし、更にチェーン落ちを絶対に起こさない位置で調整します。


▶ロー側
ケーブルはどっちでもいですが、なれない方はケーブルをある程度張ってあった
ほうがいい
です。
※ケーブルを張らない場合は指で押してロー側までディレイラーを持って行きます。
 その際フロントがインナーに落ちていると指でおせません。

インナーローの状態からディレイラーを更に押し込んでも
絶対にホイール側にチェーンが落ちない位置に調整します。


マニュアルで行くと最大、最小スプロケの真下にガイドプーリーが来るようにします

刃先をみて真っ直ぐにします。

マニュアル通りであればまっすぐ、しかしトップ側の調整では特になんですが、
【絶対に落ちない限界値】で調整したほうがケーブルの張りの調整幅が増えます。

マニュアル外の整備は完全に自己責任となってしまいますので、
あくまでも1歩上に踏み込みたい場合に実践ください。


簡単な動画です。


リミット制御ができたら次の段階です。

▶ケーブルの張りの調整


ケーブルを固定します。

▶POINT
アジャストボルトはあくまでも微調整のためについています。

ケーブルを固定した段階でグリングリン回さな変えればいけないのであれば
固定するとき、【張り過ぎ】or 【ゆるすぎ】のどちらかです。


ですので固定の段階である程度きちんと張って固定をすることで
アジャストボルトを回しすぎて壊してしまったり、限界まで回しても
調整が完了しない、ということを回避できます。



【リミット調整】がしっかりとできていればケーブルの張りはどんな状態でも
チェーンが落ちることはありません。

トップ側から1クリック操作でギアが落ちなければ【ケーブルを張る】
逆にロー側から1クリックでギアが上がらなければ【ケーブルを緩める】

これで綺麗に変速するポイントを探します。

▶ほんの一例
①ケーブルを張る
②トップから一段分シフトダウン操作(レバーをカチッと)
 (クランクは回しません。)

③クランクを回します。
a.シフトダウンした→いいんでない?
b.シフトダウンしない→クランクを回しながら実際に変速するまでケーブルを張る

確認ポイント
a.の場合、、、
逆にシフトアップがトップ側まで綺麗に行くか?
→行かなければケーブルの張りすぎの場合が多いです。
b.の場合、、、
アジャストボルトをグリングリン回しても変速しない
→もともとのケーブル固定時の張りが弱すぎる可能性。
→もっとひっぱって固定、もしくは秘伝の技を、、、
こちらの過去記事を見てみてください。下の方にあります。
この方法は顔を真赤にしながらペンチやプライヤーでケーブルを引っ張らなくても
しっかりと固定できてしまう素敵な方法です。

これである程度調整したら下の手順へ。


シマノのマニュアルで行くと、
【トップ側から2枚目に入れた状態で、レバーを遊び分だけ操作した時に
3枚目にあたり、音がする程度】
とあります。

これの表現が難しいですね。
わかりやすく言うと、

変速するかしないかギリギリのところのレバー操作で、
クランクを回した時に、ディレイラーがチェーンをずらして、隣の歯にあたり
異音が、【カチャカチャカチャ】とするようにケーブルを調整する。

カチッとシフトアップの操作までいかないうちに隣の歯へギアが変わって
しまう場合はケーブルの張りすぎ。

シフトダウン限界までレバーをゆっくり操作しても隣のギアへ当たらない、
(異音がしない場合は)ケーブルがゆるすぎです。


で、どの程度の調整かというと、この当たる当たらないはアジャスターを
1/4回転ずつ微妙に、微妙に回していきます。

この辺の調整が11速のほうが10速よりも細かくシビアです。


慣れればどの程度回せばいいのかとかすぐに分かりますし、
ケーブル交換の時もどの程度の張りで固定をすればほとんどいじらなくていいか
がわかるようになると思います。

この張り調整は経験が重要です。


おそらく飛ばしてしまいましたが、このシマノマニュアルの通り2速にでの遊び分
のレバー操作で隣のギアに歯を当てる、という調整ができいれば11段でも10段でも
最初から最後までの変速は不可もなく動いている
と思います。


であとはお好みの問題です。
張りを弱くすると、、、
張りを強くすると、、、
この微妙な調整でシフトレスポンスがどうなるかとか、
変速時の振動を減らして【ヌルっと】変速のような状態に持っていくか、
それともしっかり【カンカンッ】としっかり手応えを出すように調整するか、です。

ここの調整は腕がなるところです。
自分ごのみのセッティングを見つけるといいと思います。


▶トラブル編

変速トラブルは変速数が多ければ多いほど多く発生する気がします。

それは変速数が増えればそれだけクリアランスがどんどん減ってきて、
微妙な調整が必要になるから
です。

またお店等でバッチリ調整をしてもらったとしても、ケーブルの伸び(削れ、締り等)や
はたまた乗り方によっても調整がずれたり、決まらなくなることがあります。


●ケーブルの初期伸びによる変速不良
触るのはケーブルアジャストボルトのみです。
これでケーブルを張れば解決です。

ここで下手にトップローアジャストボルトをいじったり
したら手に負えなくなります。


あくまでも触るのはケーブルアジャストボルトでケーブルを張ってあげればOKです。

アジャストボルトの回転方向を間違えないようにしてください。

逆に回せばどんどん症状はひどくなります。


●ディレイラーハンガー不良

リアディレイラーはディレイラーハンガーという部品に取り付けられています。
転倒などでリアディレイラーに衝撃が加わった際にフレームに直接取り付けて
いるとフレーム自体の破損してしまいます。それを防止するためにフレームよりも
柔らかかったり、折れやすい材質のものでできることによりフレームへのダメージを
減らすというものです。


緊急時にフレームへの衝撃を減らすためのダンパーのようなものです。


しかしこれが変速不良の原因になることが多々あります。

通常ディレイラーハンガーは【ホイールと平行】(←※これ重要です。)が基本です。

しかし平行でなくなってしまうことがあります。
▶外部要因(転倒、衝撃などでハンガーが曲がる)
▶フレーム要因(フレームの精度が悪く、もともと曲がってついてしまう)
▶その他

ですので現在のディレイラーハンガーの平行を確認するということは綺麗な
変速調整のために必要です。
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※ディレイラーを外してハンガーの並行を見るためのツール。

ハンガー修正は力技です。
失敗するとハンガーは折れます。
上記の理由により、折れやすくできています。

心配な場合はプロに頼みましょう。
プロでもひどいものの修正はあまり好まれません。折れるかもしれないからです。


●ケーブルの潤滑不良
このお話を最初から読んでいれば原因はわかると思います。
変速の動きはすべてコントロールレバーで制御されていて、
コントロールレバーの動きをケーブルを使ってディレイラーに司令を出しています。

ということはいくらコントロールレバー側で正確な指示を出そうともケーブルが
うまく動いていないと司令が伝わりません。

シフトダウンの時はケーブルを巻き上げる動きなので、多少潤滑が悪くても
なんとか動いてしまいますが、シフトアップの時にはケーブルの固定を解除する
という動作
です。

バネの力でディレイラーは動くのでバネの力以上の抵抗がケーブルにあれば
当然ディレイラーはスパっと動いてくれません。


これはディレイラー本体の潤滑不良でも同様の事が起きます。


バッチリ調整したつもりでもシフトアップがもたつく場合はケーブルを新品に変える
また、ケーブルの通り道を再度見なおしてみる必要が出てきます。

ハンドルを這わせるタイプに変わってしまったので、
アールがきつくなりがちなんです。

それが抵抗につながり、ディレイラーの動きを妨げていることもあります。

小さめのフレーム、小さめのハンドル、はケーブルのアール(カーブ)がきつくなり
がちなので組み付けるときに細心の注意が必要です。



今までは綺麗に変速していたのに徐々に悪くなった、というのもケーブルの寿命や
潤滑不良が考えられることもあります。

また11速は特にレバーのケーブル出口が90°曲がっていますので、ここにも
大きく負担がかかります。

200kmライドとかの最中にケーブル切れてトップだけで帰ってくるのは
ちょっと大変だと思います。
※ケーブルが切れるとトップからは動かせませんね。
定期的な点検をおすすめします。


●なんだかよくわからないけどスプロケから異音がする

11速は特に多いです。
走行距離にもよりますが、上記3点で解決しない場合はチェーンの場合もあります。
チェーンは伸びれば変速不良にもつながりますし、もちろん異音も出やすくなります。

前後スプロケの歯を確認して変に欠け、摩耗がない、更に走行距離が3000kmも
走っていればチェーンの交換をおすすめします。

チェーンはものすごく変速に与える影響が大きいです。

チェーンがそこまで走行がなくても負荷をかける乗り方だと寿命は短くなりますし、
負荷だけではなく汚れもチェーンの寿命を短くすることもあるでしょう。


チェーンはタイヤ同様消耗品です。

▶その他のトラブル
ここではほんの一例だけですので、その他多くトラブルが有ります。


ということで壮大なお話になってしまいましたが、
リアディレイラーのしっかり変速調整のお話でした。

似たようなことは過去の記事にもありますが、
言い方一つで理解が深まったり、理解できなかったりとあります。

ですのでてんちょーはボキャブラリーが乏しいのでできるだけ色々な言い方で
お伝えできるように重複もありますが、総まとめとして今回記事を作りました。

ちょっとだけ動画も載せてあります。

整備は愛情、くれぐれも気をつけて行ってください。

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