新型リアディレイラー(シャドー)のシングルテンション、ダブルテンションって何ぞや?

シャドーリアディレイラー、シャドーディレイラー、シャドータイプ、、、色々な言い方はありますが、RD-R9100いわゆる新型のリアディレイラーからロード用もシャドーRDが採用されるようになりました。

MTBでは以前から採用されていたテクノロジーですのでMTB乗りの方は馴染みが深いとは思いますが、ではロード用ではどうなの?シャドーってなんぞや?と言うと想像がつきやすいのはロープロファイルだと思います。出っ張りが少ないってことです。
この辺は多く紹介されていてるのでサラッとだけご説明いたします。

今回のメインはテンションについてです。
シングルテンション、ダブルテンション、言葉は聞いたことがあるけどなんぞや?メリット・デメリットは?そんなお話にしてみようと思います。

※今回もどっちがいいとかの結論を出すわけではありません。あくまでも中立の立場でのお話です。



▶ロープロファイルデザイン

シャドーディレイラーの大きな特徴の一つですが、今回はサラッとだけ。

取付時に車体の外側へのはせり出し量が少ないというのはご存じの方も多いと思います。
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これにより接触を防ぐことができたり、転倒時にRDへのダメージを低減させる目的があると言います。(エアロ効果も!?)
よく見る画像かと思います。
要は出っ張りが少ないってことですネ。

こんなところは今回のメインではありません(笑
次項から本題です。



▶シングルテンション、ダブルテンション

なんとなくシングルテンション、ダブルテンション何かっていう言葉を聞いたことはあるかもしれませんが、じゃあソレってなに?って聞かれても、???ということなのでこの辺の解説をメインにしてみようと思います。

メインの話に入る前にかるくだけ リアディレイラーの働きについてです。
リアディレイラーは大きく分けて2つの働きがあります。
①変速
②チェーンテンションの調整

これらです。
変速するだけではギア歯の大きさが違いますので例えば”大きいギア+大きいギア”でチェーンの長さがぴったりだったら小さい歯に移動したときに当然チェーンが弛んでしまいます。
このギア歯の大きさの差の分たるみを防ぐ構造(チェーンテンションの調整)がリアディレイラーの変速に伴う大切なお仕事です。
チェーンテンションを保つための構造としてあるので、リアディレイラーの下部プーリーはテンションプ-リーといいますネ。
(上部プーリーは変速の際にガイドの役割をするためガイドプーリーであると勝手に思い込んでおります。)

結論から言うと、、、
シングルテンションはチェーンテンション調整のためのバネが一個、まさにシングル!
ダブルテンションはチェーンテンションのためのバネが2個、でダブルです。

展開図から見てみます。
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下がシングルテンションのB軸にスプリングがありません。

画像を見るとわかりやすいかと思います。


①シングルテンション

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取り付けた状態ではB軸にスプリングがはいっていないためプラップラです。

この状態だとB軸を中心に回ります。
いくらでも回るわけではありませんが、ある程度の角度動きます。

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この状態でテンションプーリー部を押し下げていく(チェーンを張った状態の再現)と一定のところでディレイラーの傾きはとまり以降はガイドプレート部のみの動きとなります。

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つまりB軸にスプリングはいっていない以上チェーンテンションを保つための働きとしてプーリー部のガイドプレートの動きのみでテンションを保つことになります。

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チェーンテンションの保持に伴うリアディレイラーの動きはプレート部のみです。

変速はスラント各方向に動いていきますが今回はわかりづらくなってしまうのでさらっとだけ。
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緑:ケーブルの動き 赤:RDの動き

シングルテンションの動きはわかりやすいですネ。
RDからのケーブル出口がものすごい角度にならないのも利点です。


②ダブルテンション

B軸にもスプリングが入ります。

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この状態からテンションプーリー部を押し下げていきます。

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最初はガイドプレートが前方へ移動しますが、その後にB軸も角度が変わります。
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テンションスプリングがB軸にもはいっているため2個のテンション調整、これでダブルテンション、B軸のテンションスプリングが入らない構造がシングルテンションという事になります。

こちらはダブルテンション構造なので少々動きが複雑です。
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動きはさておき、、、m(_ _;)m

ケーブルの引きでポジションによってはRD出口からの角度がものすごくなってしまう場合があります。(主にトップ側)


▶動きの実際


もうこれは動画でみるのがわかりやすいです。
こちらMTBモデルでの動画です。



少々画像が荒いのが残念ですが、わかりやすいです。

シングルテンションのRDはB軸が動きませんのでガイドプレート部のみでチェーンの暴れを抑えています。
ダブルテンションはB軸まで動いてしまうのでディレイラー自体が大きく揺さぶられています。

これが構造的な大きな違いです。



▶シングルテンションのメリット・デメリット

ロードバイクでここまであれた道は、、、パリルーベと千葉の工業地帯ぐらいかもしれませんが(笑
ディレイラー本体にチェーン暴れの影響が伝わりずらいということはこういった荒れた路面なんかでも安定した変速性能を発揮できると言われている所もシングルテンションのシャドーディレイラーの利点だと思います。

またダイレクトマウント・リアディレイラーはフレームとリアディレイラーのクリアランスを広げることができますので、ホイールの脱着の容易化、太軸のスルーアクスルにおいても同様の作業性が向上するとあります。
フレームの自由化に伴い多気多様化するフレームに対応しているということもメリットになるでしょう。

駄菓子菓子ダガシカシです。。。

実際に歴史の長いMTB用においてはシングルテンションとダブルテンションの差として
”シングルテンションのほうが変速が悪い”
という意見があるということです。

しかしワタクシ自身双方のタイプを使ってみましたが、ロード用のリアディレイラーの変速性能において新型のシャドータイプのリアディレイラーの変速性能が悪いと思ったことはありません。

というのもあくまでも推測の域でしかありませんが、ロード用のシャドータイプで大きく変わったところが他にもあります。

そうです。”ガイドプーリー”です。

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左:新型ガイドプーリー 右:旧ガイドプーリー
歯の高さが全然違います。

リア変速はフロント変速と違いガイドプーリーの歯で横向きにチェーンを押すことでチェーンをずらしギア歯から脱落させる。これがリアの変速です。
実際にシングルテンションの変速性能が鈍いのかはわかりませんが、このガイドプーリーの歯の高さでしっかりとチェーンを掴むことで変速のレスポンスの向上を狙っているのでは?ということです。

というのも第1世代の11速が出始めたころ細かい音鳴り、細かい異音、チェーンの音等の問題が多く出てきたことを覚えております。
おそらくシマノにも結構多くの意見が寄せられたものだと思います。
そういった事がある中、ガイドプーリーの歯を長くして更に自由度が減れば、更に細かいセッティングをしないと細かい音鳴りが付いてきてしまいます。
それでもガイドプーリーの歯を長く変更してきたということは何か原因があるのでは???(やっぱりダブルテンション方が変速性能が高いとか???(笑)と推測してしまうのは悪い癖です(笑

まぁこんなことはあくまでも推測でしかありませんが。
実際にRD-R8000の変速性能が悪いとは全然思いませんでしたから。


どちらがいいとかいうのは今回のお話ではありませんが、第1世代の11速は旧コンポーネント長い歴史の集大成、完成形のような11速だったのではないかと思います。
第2世代の11速はまだまだ出始めたばかりで色々な情報が出きってはおりませんのでまだまだ未知数なことが多いです。
MTBの方ではすでにシャドープラス何かというものも出ておりますので、シャドータイプが継続していくのであればこういった技術も投入してくるかもしれません。
・・・次期DURAがシャドーからもとに戻ったら、、、どうしようもありませんネ(;´∀`)

まだまだ触って乗って、色々と試してみることは大切なことです。

ということで今回はシングルテンション、ダブルテンション、シャドーディレイラーについて考えてみる、そんなお話でした。






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