ディレイラートラブルを基本的な構造から考える ~第1世代11速

今回は文字攻めです。
最近とても良く聞く、ディレイラートラブルを理解するためには構造を理解することがなにより大切です。ということでとことん文字攻めで記事にしてみようと思います。

※今回はいわゆる(勝手にいっているだけですが→)第1世代の11速、5800、6800、9000等、それらを含む以前の世代までのお話です。以降のR8000、R9100は構造がガラッと変わりますので当てはまらないこともありますのでご注意下さい。


▶ディレイラーとコントロールレバー

ディレイラーは変速機と呼ばれておりますが、まさにその通りです。
では変速とは何かというと、チェーンを強制的にギアから外し隣の歯へ移すことです。

動いているチェーンをギアから脱落させることで隣のギアへ移動するということです。

これが変速の仕組みです。

とは言ってもガッチリチェーンが噛んでいれば外れにくいものではありますのでギアやチェーンにも変速が滑らかに行く仕組みが組み込まれていますし、もちろんディレイラー側にもあります。
ここはシマノの技術の結晶が組み込まれていますということです。
スプロケやチェーンリングの歯やチェーン等よく見てみると隣とは違う歯がはいっていたり様々な技術を垣間見ることができます。



▶ディレイラーの基本的な動き

前後共に同じです。

小さなギアから大きなギアへチェーンを移動させるときにケーブルを引っ張りディレイラーを移動させてチェーンを持ち上げる。というものです。
これは前後(フロントディレイラー&リアディレイラー)共に同じことで、デュアルコントロールレバーでは大レバーがこの役割を果たします。

ということは、、、
①フロント側(左側)の大レバー操作でアウターへ移動
歯数の大きなギアへの移動
→ギアが重くなる

②リア側(右側)の大レバー操作でロー側へ移動
歯数の大きなギアへの移動
→ギアが軽くなる

※フロントは歯数の大きな方が重くなり、リアは歯数の大きな方がギアが軽くなりますネ。

これを踏まえて、、、
大きなギアへ移動する時はケーブルを巻き上げる(引っ張る)ということです。(コントロールレバーの働き)

では逆に前後とも歯数の少ないギア(小さなギア)への変速はどうなるのかというと、、、
コントロールレバーで引っ張り上げたケーブルの張りを一定量解除(リリース)すること。これが小レバーの操作であります。

ディレイラーからケーブルを外すと通常一番小さなギアの上にくるようにできています。(スタート位置)
言い換えるとディレイラーに内蔵されているバネの力で勝手にスタート位置に戻っていきます。

もちろん外装の変速機はチェーンがついていればチェーンが動かないとディレイラーが動くことができませんので、外装の変速機、いわゆる変速機が外側についているもの(ハブに内蔵されていないもの)はクランクを回しながら(チェーンを動かしながら)変速することが必要になってきます。

バネの力でスタート位置(前後共に一番小さな歯)に戻るということが大切です。

もちろんスタート位置は一番小さなギアの位置になりますネ。

・ディレイラーは(バネが入っていることで)一番小さなギアがスタート位置となる
・小ギア→大ギア=ケーブルで引っ張る
・大ギア→小ギア=引っ張っているケーブルを解除する

これがコントロールレバーとディレイラーの動きです。
まさにコントロールしているのでコントロールレバー、ということですネ。


▶トップロー調整ボルト①小さいギア側

上記が完全に理解できた上で初めてトップ&ロー調整ボルトをいじれるようになります。

トップ&ロー調整ボルトとは名ばかりです。

というのもディレイラーにはHとLと書いてあります(;´∀`)ナンデダヨッ
FDは書いてありません。

現在はケーブルを張っていないとします。
すると前述のようにディレイラーは一番小さなギアの上に来ます。
ディレイラー内蔵のバネの力でスタートポジションにきます。。。くるはずです。

( ゚д゚)ハッ!来てないじゃん,,,(´・ω・`)ショボーン
このときにスタート位置を調整するのがトップ&ロー調整ボルトです。

トップ調整ボルトとロー調整ボルトです。

とちょっとお待ちの金太郎です。

リアディレイラーは前述のように一番小さなギアのポジションで止まります。
フロントも一番小さなギアの歯のポジションで止まります。

ってことは、、、
リアはスタート位置の調整はトップ調整ボルト(H)で行う。
フロントはスタート位置の調整をロー調整ボルト(L)で行うってことです。

※もうマニュアル上ではフロントのボルトに関しては名前がなくなっていますが、便宜上ここでは使用をさせていただこうとも思います。

前後で違う名称のボルトをいじるということです。

ややこしくなってきましたネ。

この状態でドライバーを使っていじっていい場所は
・リアのHボルト
・フロントのLボルト

だけということです。

それ以外は触ってはいけません。

というのもこれ以外のボルトを触ってもディレイラーはネジを回せども回せども一向に動きません。
(とはいっても実は新型(第2世代11速)のFDはどっちを触っても動くことがあります。動いちゃうからややこしいんです。)

これともう一つ(と考えたほうが考えやすいため)の働きがあります。
それが過去の記事にも出てくるリミット(限界域の)調整です。
前述のようにディレイラーはチェーンの動きを制御するものです。
こんなことを決めるのがこのボルトの役割ということです。

ココで設定したトップ&ロー調整ボルトは動きの限界域を決めるので原則壊れたりしていなければ何があってもここの限界域を超えることはありません。


ここまで行ったら次はケーブル張りです。

※ケーブルを張ってある状態だとケーブルがすでにディレイラーを引っ張り上げている可能性があります。ケーブルが引っ張っている状態ではリアのHボルトもフロントのLボルトも回しても一向に動かないこともあります。



▶ケーブルの張り調整

もう11速系であればビンビンに引っ張ってケーブルを固定して下さい。
6~8速は裏技で引っ張って張るほどでも無いです。

アジャスターはあくまでも微調整に使うものでありグリングリン回るものではありません。

お店に持っていてプロの整備を見てグリングリン回しているように見えてもそれは幻想です(笑(・・・と思って下さい。)
どの程度回せばいいのかわかっているので一気に回しているように見えても実は限度を熟知していますし、微妙な調整を繰り返しているという視覚的なトリックだと思って下さい。

11速はビンビンに引っ張ってケーブルを固定、その歳の注意事項です。

実はグレードが低ければ低いほどガッチリ固定しないとずれてきます。特にFD,,,,
シマノさん、こんなところでグレード差つけなくてもいいのに、、、( ´Д`)=3

固定ができれば後はリアディレイラーは内蔵のアジャスターで調整します。
フロントディレイラーはハンドル周りのアジャスターで調整、新型FDは内蔵されていますのでそちらで調整となります。

変速不良でなにか具合が悪くなる決定的なきっかけがない場合は通常このアジャスター調整だけで直る場合が多いです。

あとケーブルアジャスター調整のコツというか、ポイントです。
いくら硬くても絶対にペンチなんかを使って回してはいけません。
絶対に駄目です。ぶっ壊してしまいます。
無理くり回してぶっ壊れているものを何台も見ています。

アジャスターの回転が硬いのには必ず理由があります。
①ケーブルが引っ張られている状態で回そうとしている
ケーブルがガンガンに張られている状態でアジャスター、あんな指先で回すような力のかかりにくい構造のものが簡単に回るわけはありません。(それでもシマノ純正はなんとか回しやすいですが、サードパーティ製のものはめちゃくちゃ回しにくいものもあります。)
ここで言うケーブルがガンガンに張られた状態とは、、、
そう、ディレイラーを引っ張り上げている状態です。
・リア:トップ以外(特にロー側)
・フロント:一番インナー側以外(特にアウター)
インナーケーブルにはテンションがかかっていますので硬いのは当然です。

ではどうするか、アジャスターを張る側に回す時は、
・リア:トップ
・フロント:一番インナー側
この状態であればアジャスターは硬くないはずです。

”はず”です。
固い場合は壊れている可能性がありますのでショップへGoです。

これともう一つ。
特にフロント側ですが、アジャスターをちょっとさわったら何回か実際にギアチェンジをしてみて様子をみるということです。アジャスターで回しても動いていないように見えても実は何度か変速するとしっかりと動いていることもあります。


~ちょっと寄り道~
上記は少々ディーラーマニュアルとやり方が違ってきます。
しかしディーラーマニュアルというのはあくまでもディーラー(ショップ)用・プロ用のものであり、一般ユーザーももちろん閲覧はできようにはなっておりますが、一般のユーザーが見ても完璧に理解ができるように作られているものではないということです。(マニュアルの最初に記載がありますネ。)物によってはそこまで親切に書いてないですしネ。。。(´∀`;)
シマノにはこれとは別に一般ユーザー用のユーザーマニュアル、と言うものも用意がされているということからも考えられます。

またまったく別のお話ですが、各メーカーが公表しているジオメトリなんかもそうです。
image4144
某車体のジオメトリ表です。
どことはいいませんが、カタログにはこれしかないんですネ。。。
一般ユーザーはSTとかTTとかはなんとかわかる方もいるかもしれませんが、RCとか、、、(´∀`;)
これを見て何を考えればいのか、ただただサイズ確認だけではありませんネ。
これもいわゆる一般向けの案内ではなくて”ショップ向けの案内”またはかなりマニアックな方向けであると考えられます。
ちなみにラピエールの(ポロッチャッタ,,,)ディスクはDiscフレームはRC:415にしっかりと!その差1cm!やはりそこはしっかりと調整してきたということでしょうか。この辺の差も実はDiscとリムブレーキのフレームの差というところも出てきます。
2018モデルはロード用ディスクに感してはヒラリと交わしたメーカーもあります(笑)ので、、、売れないんでしょうか。。。ラインナップかなりヘリましたネ。
OLD:142のスルーでRC:405のディスクフレームって(´ε`;)ウーン…シマノ組むなってことでしょうか。。。触ったことがないので不明です。。。
この辺はものすごく複雑ですネ。困っちまいますヨ(;´д`)トホホ…



相当マニアックなお話はこの辺にしておいてお話を戻しましょう。

▶再びトップロー調整ボルト②大きいギア側

もう一度トップロー調整ボルトをいじります。
今度は大きなギア側です。

ここは都合上大きな歯のギア位置でディレイラーが止まっていてくれたほうが調整が楽なのでケーブルを張った後の調整がいいと思います。もちろんケーブルは無くても調整することはできます。

こちらも働きは前後共に小さなギア側と同じです。

ディレイラーの動きが一番大きな歯を飛び越えてしまうと、、、
リア側:ホイール側にチェーンが落ちる
フロント側:アウターを飛び越えてチェーンが外側に落ちる
こうなります。
それを防止するためにも正しい調整が必要になります。

もちろんここは
リア:Lボルト
フロント:Hボルト
こちらでの調整となります。

ではどんなときに調整するのかというと、
・前述のように一番大きな歯を飛び越えてしまう時
・どんなにケーブルを張ったとしても、ディレイラーを手で押しても一番大きな歯に上がらない・上がりにくい
こんな所です。

感の言い方はお気づきかと思いますが、
・少々乱暴なお話ではありますが、トップ&ロー調整ボルトの構造は無くてもケーブルの張り(ケーブルアジャスト)さえ完璧であれば変速はできます。
・この2つのボルトは”回したって一向にディレイラーが動かないことがあります。”
・大きなギア側の調整は原理は難しくはありませんが、調整方法が少々厄介です。
これらがなぜなのか、理解ができない場合はここの調整はプロにおまかせした方がいいと思います。


▶再度ケーブルの張り調整で芸術的な変速へ

通常の変速不良・ディレイラートラブルはこれだけで直ることが多いです。

ケーブルの張り調整には幅というかスイートスポットのような範囲があります。

変速不可 ー 変速可 ー きれいな変速 ー 変速可 ー変速不可

このようなイメージです。
これがリア段数がおければ多いほどきれいな変速の幅、スィートスポットは狭くなってきます。
いわゆるケーブルの張りはインデックス調整のようなものです。
張りすぎても大きな歯側によってしまいますし、ゆるすぎれば小さな歯側によってしまいます。
ここのスィートスポットを見つけるのが変速調整です。

この辺は1ノッチ等かなり細かい調整が必要になります。
この段階まで来てまでもアジャスターをグリングリン回すということはもうありません。
まだグリグリ回さないと駄目であれば何かが間違っているか壊れている可能性があります。

これで直らなければ、、、
・ディレイラーハンガー
・インナー&アウターケーブル
・各所パーツ
等など・・・

これらの確認をして一個づつ原因を潰していきます。

11速の細かい音鳴り・異音のトラブル本当に多いですネ。
というのもフレームが原因だったりもしたりするとどうにもならないので後は如何に音をし小さくするか、これを考えたりもします。他にも、、、

ディレイラートラブル、クロスバイクなんかでも非常に多いです。
変速しないのが当たり前ではありません。当たり前にならないようにご注意下さいm(_ _)m
ご相談、ご依頼お気軽にご連絡下さい。

ということで今回はとことん文字攻め!ディレイラートラブルを基本的な構造から考える ~第1世代11速、そんなお話でした。
※冒頭にも書きましたが、新型11速は調整方法が異なります。

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