プレッシャープラグが外れない、よくあることです。

スターファングルナットではありません。
カーボンコラムに使うアレです。。。
別に打ち込んであるわけではありません。それでもナットを緩めても外れない事があるってもんだから困ってしまいます。
ということで今回は外れないアンカーナットの外し方、そんなお話にしてみようとも思います。

注:色々な言い方があります。
アンカーナット:Dixna
アンカー:TANGE
プレッシャーアンカー:ヒラメ
プレッシャープラグ:FSA
アヘッドセットキャップ:KCNC
エクスパンダー:PRO
※一部個人的なイメージも・・・(笑)
要は同じような働きをしているのでだいたい同じようなものということで。。。m(__)m
今回はプレッシャーアンカー(もしくはアンカー)と統一させていただこうと思います。

早速本題へ。



▶プレッシャーアンカーの構造

まずは構造からのお話です。

大体どのプレッシャーアンカーも
・上下2つの臼
・臼の引き寄せボルト
・拡張・固定具
メーカーごとに多少違いはあるものの、大体この3種類のパーツで構成されています。

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※GIF画像です。

複雑なことはありません。

横から見た図ですが、ボルトを締めることとで上下にある円錐上の”臼”を近づけます。
この”臼”が近づくことで割の入った固定具が広がりコラム内で固定されるというものです。
とてもシンプルな構造です。

実際の製品を見てみましょう。

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こちらは広がる固定具が2枚あるタイプですが、全く同じ構造です。

別の種類です。
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これも固定具(画像一番左)が少々違いますが構造は全く一緒です。
これが基本的なプレッシャープラグの構造です。


▶プレッシャーアンカーがはずれない原因

このようにそこまで複雑ではない構造をしているのに何故か外れないことがあるところが面白いところです。
構造から逆に考えていくと原因がわかりやすいかと思います。
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単純に上部のボルトを緩めることで、上下の臼が離れれば固定具の広がりは縮まり固定はゆるくなります。
というのが理想的な動きなんですが、そうはうまくいかないものです。

通常はボルトを緩めれば臼が上下の離れて行くことで、固定具が狭まり抜けるはずです。
しかしこれがうまくいかない場合がほとんどです。
そのためボルトを緩めるだけでは固定具の圧力が落ちないため、結果的に外れないということです。

簡単に言うとボルトが緩んでも固定具と臼の固着が原因で動かない(緩まない)ために実質ボルトを緩めても緩めたことになっていないというものです。

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※赤丸の部分が金属同士固着気味になりやすいです。
固着している場合はボルトを緩めても上下の臼と固定具が固着しているため固定具が緩むことがありません。

プレッシャーアンカーが外れない原因はほとんどがこれです。
某S社のアンカー、、、かなり頻発します。

構造的に考えてプレッシャーアンカーのボルトを緩めてトップキャップを締め込んでぶっこ抜く。。。こんな力技も原理的には的外れではありませんが、臼が固着してる場合はNGです。ご注意ください。


▶画像で見る固着したプレッシャーアンカーを外す方法

下部臼を叩き落とす
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ボルトが浮き上がってくる場合、下側の臼はほぼ固着しています。この状態ではプレッシャーアンカーの圧力は抜けていません、ですので引っ張ってもまず取れません。
第一選択として、まずはこのボルトを緩めて押し込むことで下側の臼を下げます。
方法は様々あれども、ボルトを緩めてプラハンで叩きます。
そこまで力を入れないでも下の臼の固着は外すことができます。(よほど錆びていないければ)
注)ボルトが貧弱そうなアルミ製とかを使用している場合、固着が強そうな場合はボルトを抜き取ったあとにピンポンチなどで優しく力をかけてあげれば落とせるはずです。

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下がりました。
これで下側の臼は下がっているはずです。

図で見るとこんな感じです。

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下の臼は問題なく固着が外れます。

とそこで感の良い方はお気づきかと思いますが、このような構造ですので、固定ボルトは緩め過ぎれば下部の臼から外れ、下部臼がコラム内部に”カランッ”と吸い込まれて(落ちる)はずです。
(固着を外した際に下の臼が空回りしてボルトが外れない(緩まない)場合は軽く引っ張りながら回せば空回りしないですが、くれぐれも思いっきり引っ張らないようにご注意ください。再び固着します(笑))
下側の臼はアンカーを抜けば簡単にとれますが、逆に言えばアンカーを外す以外に取り出す方法はありません。何が何でも気合を入れてアンカーを抜きます。


②上部臼の取り外し
下側の臼を落とすことに成功してもまだまだ道のりは険しいです。
上部の臼も外す必要があります。

こんな状態になっているはずです。
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この構造のアンカーであれば、やはりピンポンチで軽くコンコンします。
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浮き上がればもう勝利確定です。

これでうまくいかない場合があります。
要は上部の臼を少しでもずらせれば良いわけですが、これが構造的にかなり厳しいものもあります。
こちらです。
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これがなかなか厄介なのです。

というのも分解してみるとわかりますがこちらです。
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上部の臼はすっぽり内部に入る構造なのです。
この構造の場合はペンチなんかではつかみにくいですし、滑ってしまったり力が入りづらいわけです。

でこうなります。。。
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仰々しいですが、ベアリングプーラーがあると簡単です。
打ち掛け式の小さめのサイズでバッチリです。

いとも簡単にサクッと外れます。
作業は道具次第です。

※プレッシャーアンカーにはメーカーにっていろいろな形状がありますのでプーラーを掛けるところを間違えないようご注意ください。

上の臼がはずれれば固定具を抜くだけなのでスルッと外れます。
ですがまだ外れない場合もあるのです。

アンカー本体が開いたまま固まってしまった場合、上下の臼を外してもなお抜きづらい場合があります。そんな時は優しくアンカーを回転させてあげたりするときもピンポンチは非常に役に立ちます。ともあれここまでいけばそこまで苦労はしないはずです。

もしも下の臼がコラム内に落っこちた場合は邪魔なものを抜いたあとに逆さまにすればコラム内から落ちてきます。


▶まとめ
プレッシャーアンカーが抜けないときは如何に上下の臼を動かしてあげるか、これがポイントです。
下部は比較的簡単に動きますが、多分外したあとは、、、コラム内に落っこちます。というか下部の臼は中途半端に緩めて外れないぐらいなら完全に落としてしまうのが確実かと思います。回収は難しくありませんので。しかし回収はアンカーを外すしかないのは大きくはないデメリットです。

プレッシャーアンカーはメーカーごとに少しづつ構造が違う場合があります。
あそこのメーカーのは~~~、あそこのメーカーは固着しやすいとか、、、
それでも2つの臼を引き寄せる構造はほぼどこも同じです。
構造さえ理解してしまえばあとは道具があれば外すことができます。

プレッシャーアンカー外し、お気軽にご相談ください。
ごく特殊な例、ひどい状態の場合は除いては15分もあれば外れる場合がほとんどです。

ということで今回は、固着したプレッシャープラグを外す方法、そんなお話でした。


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