気温による心拍数の変動を考え データの精度を上げる

Strava Summit(有料会員サービス)にはFitness and Freshnessというものがあります。

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Fitness and Freshness は、相対的エフォートに基づく心拍数とトレーニング負荷に基づくパワーの両データを使用して、フィットネスや疲労レベル、フォームの変化を追跡します。
ということなんですが、これだけでは少々難しいので解説です。

相対的エフォート:最大心拍数にたいしての、運動中の心拍数の度合いということですので、心拍数が高い時間が長いほど相対的エフォートの数値は高くなる。(はずです。。。)

つまりパワーメーターを用いた疲労度合い等の指標としてTSS(Training Stress Score)というものがありますが、それに似たようなものにプラスして心拍数による疲労度合いも加えたものがSummit特典のFitness and Freshnessということかと理解しております。

で肝心要なのは表題の件、気温による心拍数の変動 データの精度を上げるためにというお話です。



▶気温による心拍数の変動①
同じ区間を走った2つのデータを比べてみます。
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データ①
タイム:8:23
速度:Ave 17.7㎞/h Max37.1㎞/h
ケイデンス:Ave85rpm Max109rpm
心拍数:Ave177bpm Max185bpm
平均気温:9℃
風:北北西 6m

データ②
タイム:8:33
速度:Ave 17.3㎞/h Max38.9㎞/h
ケイデンス:Ave84rpm Max108rpm
心拍数:Ave195bpm Max202bpm
平均気温:32℃
風:南西の風 3m

どちらもタイムアタックかなり真面目に登りました。手を抜いたつもりなんて一切ありません。

ちなみにデータ①はつい先日行った走行会のときの区間記録です。
風向きも向かい風~横風、不利な条件です。
データ②は追い風~ちょい向かい、タイムは出やすい風です。過去のベストタイムです。
それでもデータ①のほうがタイムが短いということでかなり頑張ったとお考えください。

でココで心拍数です。

(;・`д・́)...ゴクリ

全然違います。。。
心拍数は平均で見ても最大で見ても気温により差が出ています。
繰り替えしになりますが、どちらもかなり一生懸命で登りました。


▶気温による心拍数の変動②
もうひとつの区間です。
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データ①
タイム:11:37
速度:Ave 17.9㎞/h Max35.6㎞/h
ケイデンス:Ave85rpm Max102rpm
心拍数:Ave184bpm Max190bpm
平均気温:2℃

データ②
タイム:12:29
速度:Ave 16.7㎞/h Max32.0㎞/h
ケイデンス:Ave78rpm Max98rpm
心拍数:Ave196bpm Max233bpm(←最大値に関してはデータおかしいです。)
平均気温:29℃

データ②のほうが明らかに脚も回っていませんし、タイムもだいぶ遅いです。
しかしです。。。
心拍数だけ見れば明らかに高く頑張ってる感が(笑)
最大心拍数は明らかにおかしいので異常値です。それでも分析からデータを見てみると上り初めから500mぐらいで190bpmを超えてからは一度も190以下に落ちることはありませんでした。

この2つのデータを比べてみると夏と冬では、というか気温によって心拍数が変わってくる可能性が非常に高いことが見て取れます。
なんというか、あくまでも結果論ですがどちらも目いっぱいまで踏んで回しているつもりです。多分心拍計を付けていなければ差はわからないぐらいです。それでも苦しいのはどちらも苦しいですし、体が感じるきつさ主観強度もほぼ同様ですが、結果的に気温が低いほうが心拍数が上がりにくい、気温が高いほうが心拍数が高くなりやすいというものです。

でここで重要なのは気温の高低における心拍数の差はあるが、いわゆる体が感じるきつさ、主観強度はどちらも変わらないということです。

最後に比較はありませんが、かなり気合を入れて登る秋元のベストタイムのときのの記録はというと、、、平均で184bpm、最大が216bpm(異常値です)やはり夏場に比べてかなり低いです。(計測当日は平均気温3℃でした。)
あれだけ追い込んでギリギリの走りでしたが、190bpmを超えたのは最後の最後の数百mだけです。


▶各種データの精度
上記2つのライドのデータです。
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心拍ゾーンで見ても無酸素0って、、、(((( ;゚д゚)))アワワワ
あれだけ追い込んだのに、(´;ω;`)…

相対的エフォートの数値に差がありすぎます。流石にこの数値はちょっと、、、
当然全く同じコースを走ったわけではありませんので多少なりとも差が出てくるはずではありますが、倍も違うって。。。相対的エフォートは最初に書いたように、最大心拍数の設定により算出されます。

でココからが大切なことで繰り替えしになりますが、主観的なきつさ、疲労感等はどちらも同じぐらいということです。

この結果から考えるにやはり心拍数を元にした各種データの精度をあげていくためには最大心拍数の数値も気温で変える必要がありそうです。

各種データをまとめたところ、室内のローラー台は心拍数を追い込みづらいということがありますが、真冬の今ぐらいの季節の心拍数と室内ローラーが大体同じぐらいということがわかりました。

夏場の最大心拍数:205bpm前後
室内・冬場の最大心拍数:195bpm前後
と大体ですが、10bpmぐらいは差が出てくるようです。

となるとゾーンの数値にも当然差がでてきます。
ざっくりとの計算です。
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最大心拍数の数値が10bpm違うとこれだけゾーン分布に差が出てきます。
つまり夏用の205bpm設定のままローラー台回しても冬場に外を走っても最大心拍数は200bpmを超えることはありません。ということはMaxHR205bpmの心拍ゾーンでは無酸素領域が0となり心拍系の数値(相対的エフォート・レッドポイント等)は軒なみ低く出るということになります。
そして相対的エフォートが低く出ると、一番最初にご紹介したSummit特典のFitness and Freshnessも低くでます。そして精度が甘く悪くなってきてしまうということです。

逆に自身の最大心拍数を冬場に合わせて設定したとなると夏場は10bpm位平均で上がることを考えると相対的エフォートは夏場に上がりすぎてものすごく甘く優しい数値が出てきてしまうことが考えられます。

この現象を防ぐためには、、、
①心拍数を季節に応じてきちんと設定する。
むしろ季節性がある国もたくさんあるので、最大心拍数の設定を直近1ヶ月ぐらいのデータから抽出するような設定があると精度が上がりそうな気がします。しかしそれは運動強度にもよって差は出てきますし、よくある心拍センサーの異常値なんかも反映されてしまうとやはり精度に狂いがでそうです。

となるとやはり手動で気温が大きく変わる季節ごとに細かく最大心拍数の設定を入れていくというのが少しでも精度が上がる方法かと思います。

②Fitness and Freshnessをパワーのみで見る
元も子もないと言えば元も子もありません。
それならば純粋に、トレーニングロード(トレーニングインパルス:TSSのようなもののStravaバージョン)というもので見れば良いような気もしてしまいます。

③常夏の島へ移住
冗談です。。。(笑)



心拍数の季節・気温による変動はStravaの問題だけではなくて、その他最近便利なトレーニング分析アプリ系でもよくあるお話ですが、心拍数を数値の算出に用いている場合はやはり最大心拍数(あるのであれば安静時心拍数・閾値等)の設定次第でかなり精度にばらつきがでてくると考えられます。

こういった数値の管理って甘くでても別に誰に褒められるわけでもありませんし、ただの自己満足的なものになってしまいますが、やはり精度よく管理するということが何よりも大切だと思います。
自分に甘くても何もいいことはありませんから(; ̄▽ ̄)ハハハ...

となるとやはり気温が変わるごとに最大心拍数の見直しがStravaでの数値(相対的アルフォートエフォートやFitness and Freshness等)の精度を出す上では必要になってくるのではないかと思います。

最近は便利なものでこういった自分のデータからトレーニングメニューを組み立てたり様々な事が簡単にできる時代になっています。そんなときでも例えば代表的な数値でFTPという数値があります。Functional Threshold power (機能的作業閾値パワー)ですネ。
要は1時間維持できる最大限のパワーということですが、これも簡単に書いていますがもう少し厳密に書くと、、、
1時間血反吐を吐くほど死ぬ気でぶん回して、測定終了後にぶっ倒れる位全力全開のパワーの平均値、ということです。

ということは当然FTPを低く見積もってしまえばFTPを元にした各種トレーニングの数値は軒並み高くでます。

きちんとトレーニングをしていればFTP(パワーウエイトレシオ)は少なからず上がっていく”はず”非常に前向きに考えます。(一定のレベルを超えるまでのお話かとは思いますが。。。)
何ヶ月も前のFTPを参考値にしたままTSSなんかを算出しても精度なんて甘々となるはずです。それで精度がでていると感じるのであればトレーニングをしても体が成長していないということになります。

StravaのFTPの説明にも数週間~1ヶ月に1回はFTPテストをして、、、と説明にあります。

またデータであったり数値はあくまでも数字上のお話です。
良く言えばデータ・数値は嘘をつかないということでもありますし、逆に言えば数値では測れないものもあるということです。
便利な時代だからこそこういった数値を積極にトレーニングに取り入れるもよしだと思いますし、逆にきちんと自分の体を知るこということも大切だと思います。

ということで今回は気温による心拍数の変動を考え データの精度を上げる、そんなお話でした。

・・・というかワタクシだけ??では無いと思うのですが((.;゚;:Д:;゚;.))

参考 文献 循環機能評価に及ぼす気温の影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh1946/35/6/35_6_814/_pdf

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