シフトのインナーケーブル切れについて

何故か似たような事案は続くものです。
先週は振れ取り三昧(笑)
そして最近多くみられるご依頼が変速不良です。

変速不良の原因の多くをしめるのがケーブルの問題です。
その中でも最近特に多いのがケーブル切れです。

正確には”切れかけ”と言って、素線の数本が切れている状態です。

ブチッと破断、完全に切れてしまえばもう一目瞭然ですが、ケーブルは複数本の素線を編んであります。ですので切れるときはまとめてブチッと切れるわけではなく、1本、また1本と切れていく場合多いです。

ということで今回はシフトのインナーケーブル切れについてのお話です。



▶どのぐらいで切れる?
これはばかりははっきり言って使い方次第で差が大きく出ます。
それでも殆どの場合はフロントよりもリアのほうが早く切れる場合が多いです。ということからもシフトケーブルは使えば使うだけ(シフト回数が多いほうが)切れる確率が上がる、要は寿命が短くなるということです。

ほんの一例ですが、シマノのケーブルではよく使う場合、レース等でも使用したり年間1万キロはゆうに超えるぐらいの場合は早くて半年、多く1年ぐらいで切れる場合が多いです。
もちろん組み方でも使い方でも差は出てきますので、それ以上使える場合もあります。

実際に切れる段階としていきなりブツンッ!とはいきづらいです。
初期段階として、撚ってある素線が1本2本と切れ初めます。
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※数本切れた状態です。

このあと1本、1本と少なくなっていき、最終的にはそこまで力を入れずともプツッと断線となります。


▶どこが切れる?
スバリですが、ほとんどん場合はコントロールレバー部で切れます。
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レバー内でケーブルは黄色の矢印の動きで巻き取ったり緩めたりしています。
コントロールレバー内に通されたケーブルはハンドルバーに沿うため外側から入って内側に抜けたあと、90度小さな弧を描きハンドルバーに沿う形となります。

レバー内も極力カーブがきつくならないように、通り道(リード)としてレバー内部にケーブルガイドがありますが、その付近で切れます。

実際に切れたケーブルです。
DSC_0118

あとはリアディレイラー本体のアジャストユニットを緩めすぎた脱臼、もしくはアジャストユニットの折れ、フレームのアジャスター部の脱臼、フレームのケーブル受け付近のケーブルが曲がったり折れたりすることで金属疲労のような状態でちぎれだすこともありました。
これらは主にフレーム構造により、輪行や車載でハンドルを大きく切る等が悪影響となる場合もあります。

これ以外の場合では、リアディレイラーのインナーケーブル固定部分での断線も少ないですがあります。
リアディレイラーの変速調整がうまく行かずにケーブルの固定・解除を何度も繰り返したりすることで撚りが解けてきたり、切れ始めることが原因となります。これは特に固定ポイントでケーブルが曲がる構造の旧型11速が多かったです。逆にティアグラとか新型11速はそこまで多くありません。

しかしこれらは特殊な例ですので、やはり普通に使用している上でのケーブル切れとなるとコントロールレバー内が圧倒的に多いです。


▶どのような症状になるのか?
それでは実際にシフトケーブルが切れかかっている、もしくは切れてしまうとどういった症状になるのか、ということです。
①変速不良
コントロールレバーの構造的にリアもフロントも同じで、
・小ギア→大ギア(大レバー操作):ケーブルを引っ張る
・大ギア→小ギア(小レバー操作):ケーブルの張りを緩める(解除する)
という動きです。

引っ張る動きは多少具合が悪くても、多少レバー操作が重いと感じるぐらいで問題が起きづらいです。逆に解除する動きは原則ディレイラー内のバネの力でケーブルを戻す動きです。この動きはレバーで力をかけて引っ張るわけではありません(レバーは一定量解除するだけ)ので、ケーブルの動きがディレイラーの動きに直結します。

ということからもインナーケーブルは完全な断線までいかない数本ちぎれたりしている場合、ケーブルを引っ張る動作(小ギア→大ギア:大レバー操作)時は問題なくとも、小レバー操作時の変速不良が症状として現れる場合が多いです。

余談ですが、ケーブル切れだけではなく、ケーブルの摺動がうまく行かない潤滑不良等のトラブルの場合も同症状が現れます。


②レバー操作異常

変速不良と同時に起こったり、もっと進行したあとに起こることが多いですが、レバー操作が異常に軽くなったり、重く(かたく)なったりすることがあります。
ケーブルの素線が数本切れることで伸びるというか、切れかけて素線が少なくなることでスカッと軽くなることがあります。

レバー操作が突然軽くなってその後また重くなる等もあります。

基本的に変速操作を普通に正しい使い方をしている場合は突然レバー操作が軽くなったり、重くなったりすることはほぼ起こりません。1回ならまだしも、2回3回と続く場合は何らかのトラブル発生の予兆と考え早めの対策をおすすめ致します。

このような状態が頻発するようになってくると、変速系のトラブルはなんでも起こり得る状態です。

③レバー操作不能(動かなくなる・スッカスカになる)
最終的にはレバー操作が完全不能になります。
レバーが完全にロック(動かなくなる)場合もありますし、動くけれどもスッカスカな状態になることもあります。
こちらも断線までしていなくとも起きる現象です。
ケーブルが切れかけたり、切れた素線が悪さをしたり、ケーブルが緩んだり変な動きをするせいか、コントロールレバー内のケーブルのタイコの位置がずれてしまうことがあります。

この状態をレバー内部のタイコの脱臼と読んでいますが、タイコが脱臼すると基本的にはレバーがロックします。
というのも初期的な軽度な脱臼であればレバー操作は可能ですが、多くの場合「あれ?あれ?」となって何度も操作を繰り返してしまいます。これにより完全脱臼をしてロックします。

この状態で更に操作を繰り返すことでタイコが分けのわからない位置に噛み込んでしまったり、ケーブルの断線した部分が内部のパーツに噛み込んだり、場合によっては傷つけたり、壊してしまう場合もあります。
動かないからと言って無理やり力いっぱい操作をしても直ることはありません。けして手荒なことはせずに、自転車屋さんへ持っていくことをおすすめ致します。

※この状態はケーブルが切れなくても起こることがあります。



▶まとめ
シフトのインナーケーブルはブレーキと違ってもしも切れてしまっても止まれないということは起こりづらいです。
もしも切れてしまった場合は、一番小さなギアから変速ができなくなりますが、ちょちょっといじってギア固定であれば走行不能という状態ではありません。
それでも切れたケーブルをそのまま走行するのは非常に危険なことですので絶対にやめたほうがいいです。

そもそもケーブルが切れるまでメンテナンスをしない事自体が良いことではありません。
シフトケーブルもブレーキケーブルもどちらもですが、切れる前に、不調になる前の交換をおすすめ致します。
またこのような状態からの交換はものすごく気持ちよく変速できるようになります。

ということで今回はシフトのインナーケーブル切れについて、というお話でした。
   

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