ショートノーズのサドルを止めた理由とショートノーズの意義を考える
・・・。

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まったくもって個人的なアレですが、サドルにはこだわりが!( ̄‥ ̄)=3 フンッ!!
・・・ということは実はあまりなく、ワタクシの場合はどちらかかというと、おケツにあったサドルを探すというよりもおケツをサドルに合わせるというタイプです。

まる子を使い始めたときも最終的な決め手は、”なんといって軽いから!”というなんともアバウトな決定打でした(笑)
おケツはそこまでセンシティブではないようです。

しかしです。
最近まる子が終わってしまってから、いつの間にかサドル沼にハマっております。
なぜでしょうか。。。

というのが今回のお話、今更ながらショートノーズのサドルを止めた理由とショートノーズの意義を考える、そんな話しです。



▶ショートノーズサドルって何?

その名の通りノーズがショートなサドルです。
比べてみると全然違います。
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※形状的な分類的で、両サイドがショートノーズと呼ばれる形状、真ん中がノーマル形状のサドルです。

ショートノーズのほうがズングリムックリしていて、、、と言うお話だけでは有りません。
基本的にショートノーズサドルは、
・ノーズが短い(短い分軽い)
・座面後部が広い(前部も広めのものもある)
という特徴があります。

最近流行り(ここ何年かのお話です)のショートノーズの先駆け的な存在であったのはスペシャのパワーというサドルだったと記憶しております。
スペシャのパワーサドルはそれまではTT用としてがメインだった前乗り用のサドルを、ロード用へと進化させたのが革新的なものでした。(・・・多分)おそらく今でもスペシャのパワーは人気のあるサドルだと思います。
その名の通り、サドルを交換するだけでパワーが出やすく、出しやすくなると言うサドルです。

なぜサドルを交換するとパワーが出しやすくなるのか?ということですが、それがスペシャの秘密だと思いますが、ワタクシが個人的に感じたところとすると、
①前傾姿勢でも圧迫感が少なく深い前傾を取りやすい
②前乗り姿勢を取りやすく、前乗り時に最大の安定感を出す設計
この2つがポイントだと考えております。

まったくもっての個人的なアレですが、お尻(骨盤)の安定こそ、力強いペダリングの秘訣なのでは無いかと考えております。
最近流行りの体幹トレーニングも体幹をしっかりと、ずっしりと安定させることでペダルにパワーがのってくる、要はどんなにパワーが出るエンジンも強いパワーを支える骨組みがしっかりしていないとパワーを伝えることができないのでは、ということです。
ですので体幹が安定してくるとパワーが上がる(しっかり伝えることができる)、ということです。

例えばですが体幹の重要さを簡単に体感する方法としては、ローラー台をヒルクライムのように前上がりでセットします。そこでパワーをかけてペダリングしている時に、パートナーに後ろからケツを前に押し出すように保持してもらいます。するとパワーをかけやすくなる(体幹を使いやすくなる)と感じると思います。
ということを元に骨盤をしっかりと安定させるためにはどうするのか、誰かにお尻(体幹)がぶれないように抑えてもらうよいのですが、そんなことは走行中はできません。となるとサドルで骨盤をしっかりキャッチ・保持してあげることでパワーがかけやすくなるのではないか、というところです。

実はこれ、体幹をしっかり入れている、もしくは体幹が強い人はあまり効果を感じないと思います。逆に体幹が弱い人がこれをやると、効果をよく感じることができます。
つまり脇道寄り道の結果ですが、サドルによってシッティングでのペダリング時に広い座面でしっかりとお尻(骨盤)を支えられることで体幹の安定を生みパワーがかけやすくなる、これがパワーサドルの秘密であり、これができるサドルこそが良いサドルというものではないかと考えております。

また安定感だけではなく、前傾姿勢での圧迫感の少なさ、これは非常に重要です。
前傾を深くしていっても、体幹の力が不十分であったり、背中が固い場合は特にですが、骨盤がべちょっと前傾していわゆるつぶれるような前荷重状態になります。これにより過度なハンドル荷重やサドル等ではよく使われる表現で、軟部組織(主に会陰部前方等)という部分への圧迫が増えしびれや、排尿痛等の障害が出る場合もあります。これが起こりづらいのが最近のショートノーズサドルの設計でもあります。
骨盤の前傾に関しては難しいのですが、べちょっと骨盤がつぶれた前傾では体幹を使いづらくなりますし、上死点の通過がうまくいきずらい(いわゆる”つまる”と言う現象)というところもありますので(ワタクシの場合は、、、ということで。)、いわゆる股関節が”つまらない”程度で”体幹が入る角度”、が良いと思われます。

本題にググッと戻します。

ショートノーズはなぜショートなのか?ということです。
なにゆえショートかというと”サドルを前方に配置するため”、です。(個人的は先端イラネと思うフシも(笑))
UCIの規定でサドル先端がBB軸よりも50mm以上後退、というものがあります。
要はサドルをTTのように前に出しまくる、超前乗りを禁止します。というものです。

何故かというと、もちろんものすごく極端な設計を取らせないということもあるのかもしれませんが、ロードレースでは集団走行をしますので、個人で走る競技と違い極端な前乗り・前荷重は危険がともなうから、というお話もあります。
簡単に考えるとTTのような前乗りはいくらペダルにパワーがかかりやすい(≒速く走りやすい)とは言っても、集団走行時のコーナーリングやブレーキング時等に危険が伴う可能性があるから、と言うことです。

それでも前乗りはやはりパワーが出やすい、ということでサドルを最大限に前に出すためにサドル先端をぶった切ってしまえ!(短ければ50mmの確保はしやすい!)というのがショートノーズです。
ノーズが短くなればその分前に出せますし、より前乗りになります。

というのがショートノーズの本体の目的のはずです。

つまりショートノーズのサドルを使う目的はというと、ノーマルサドルでは50mm規定に引っかかるので、先端をぶった切ってでもサドルを前に出したい人向け、というところから始まったのではないかとも考えられます。
サドルを前に出したいということはすなわち前乗り、前乗りの目的といえばペダルにガンガンパワーをかけて走るため、つまるところ速く走るため、ということになります。

しかし前乗りのしっかりとペダルにパワーをかける乗り方はあくまでも速く走る目的がメインとなり、例えばポタリングでのんびり~、や街乗りで上体を起こしてしっかりと周りを確認しながらゆっくり走る場合だと、そんなアグレッシブな前乗りのような乗り方はあまり適しているとは考えられないこともあります。
また逆に後ろ乗りでキレイに回して乗る場合、広すぎる座面が仇となることもあります。(詳細は後述)


▶ショートノーズ信仰を生んだわけ
ではなぜ”自分にはショートノーズ!ショートノーズ命!”と思い込んでしまったのかを考えてみます。
それはパワー値で見ても良い結果が出えたから、ということ、、、だったら良いのですが、そういったことはなく、なんとなくですが踏みやすい、回しやすい気がしたから、というものです。

時は遡ること前乗り全盛期、ショートノーズサドルを用いることで、物理的に前乗り寄りになりペダルに力がかかりやすくなりますし、広い座面に支えられることで骨盤のサポート力が上がり安定感が得られ、結果的にパワーが上がったように感じていたのではないかと思います。

前乗りというものを考えてみます。
前乗りの場合はKOPS positioning(コップス ポジショニング)よりも、膝が前に出る状態になります。

※KOPS(knee over pedal spindle:膝上ペダル軸)
imgH2FaB4
https://blog.bikefit.com/how-to-fit-a-road-bicycle/より

前乗りの場合は3時の位置でペダル軸よりも膝のほうがより前方に出ます。
膝を前に出るということはお尻が前に出ないと膝が前に出ませんので、着座位置が前方へ移動します。結果的にサドルが前にでます。

ワタクシ自身UCIのレースにでる予定はありませんが、一応なんとなくですが、50mm規定という概念が頭の隅っこに有りました。
それとショートノーズというものを使ってみた時の良さがありましたので、それからショートノーズ一択となってしまっていたのかもしれません。


▶ショートノーズのデメリットは?

では逆にショートノーズのデメリットはというと、
これは今までつらつらと書いてきたこととは、全く逆のことが当てはまります。

ショートノーズはノーズが短い分、サドル上での移動の自由度が減ります。いくらサドル後方は広い座面を持っていたとしても、先端は細くなっています。そして広いとはいえ先端に座れるほどは広く有りません。基本的に刺さります。
”前乗り”と、”前に座る”、は別物です。
ショートノーズはサドル上のスイートスポットが狭い傾向にあり、前後の移動はほとんどできません。特に後方はその広い座面の影響もあってほぼ厳しいです。
いわゆるノーマル形状のサドルのほうが前方は同様でそれなりですが、サドル後方への移動はある程度可能です。(とは言ってもはっきり言ってどちらもサドルのスイートスポットは狭い、という中でのお話です。)
ショートノーズは前後の移動があまりできませんので、しっかりとセッティングをする必要があります。

あと前乗りをメインにセッティングをしやすい設計のショートノーズサドルは通常の後乗り用のセッティングをすると、乗り心地が悪く、、、はならないんです。
そこが最近のサドルの技術の良いところです。

しかしです。
逆にショートノーズのサドルでドンピシャリのセッティング(サドル主体のセッティング)をして、後ろ乗りをするとどうなるのか?というと、最悪です。
広すぎるサドルのショルダー部分がハムと臀筋の中間らへんをズブズブ攻撃してきます。(これで痛めました、詳細は後述)

またショートノーズの特徴でもある、幅広座面は坐骨幅が狭い人にとっては苦痛の元になります。
サドルの設計、座面形状にもよるとは思いますが、ワタクシの狭い坐骨幅にはショートノーズの幅広座面は合わなかったようです。(今更。。。)

というのも例えば、です。
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143mm幅のステルスサドルです。

理想の坐骨を当てるポイント(座る位置)が赤丸だとします。
しかし坐骨幅が狭い場合、どうしても赤丸の位置にはおさめることができません。
となると座っている、ペダリングをしているうちに主に下支点付近で、サドルのショルダーに引っかかることが不快で、自然に黄色のところぐらいに収まってしまいます。そうすると結局の所、細い位置に座ることになって、座面の広さからなるショートノーズサドルの安定感を得られない、そして痛い、ということが起きます。

ただでさえスイートスポットの狭いショートノーズサドルで、更に座れる位置の理想に座れないとなると、、、辛いです。
ということからも、セッティングだけではなく、ショートノーズのサドルは種類や幅等の選び方も大切になると考えられます。

▶ショートノーズ選びの注意点
ショートノーズ選びの注意はずばりですが、幅だけで選べないというものです。
実際に見てみるとわかりやすいです。(とは言っても画像で分かりづらいのがごめんなさい。)
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座面の形状です。
左がまる子、右がステルスです。
どちらも画像上は拡大等の影響がありますが、サドル幅はほぼ同じものです。
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まる子(幅:144mm)のほうが座面がラウンド形状で中高気味です。比べてステルス(幅:142mm)はかなりフラットです。

となると、見た目やスペック的にはむしろまる子のほうが広いです。しかし個人的な主観ですが、実際に乗ってみると座面がラウンドのまる子ほうが細く感じますし、フラットのステルスほうがかなり広く感じます。
これは乗り手の坐骨幅だけではなくて、股の形状、乗り方等でも差が出てくることかと思いますが、この座面の形状によってもスペック的な広さよりも大きく感じる差があるということです。

スペック的なもので選べないとなると実際に使ってみるしか有りませんが、実際には使用してみる機会が多くはないのが残念なところです。

▶ショートノーズサドルを止めた理由
ということを踏まえた上で本題の、なぜショートノーズのサドルを止めたのか。というお話です。

理由はものすごく単純です。
まる子のヘタリを感じてから様々なショートノーズのサドルを試しました。
前述のように、もう自分の中ではショートノーズ以外の選択肢はなかったと思われます。
しかしとっかえひっかえ色々と試しても、いい線は行くのですが、最終的にはかっちりしっくりとくるものと巡り会えませんでした。
というのはお尻が痛いとかではありません。お尻は意外と鈍感みたいなので(笑)
問題はペダリング的なものです。

そしてショートノーズが合わない事に気がついた決め手はというと、某フラット座面のショートノーズを試したときです。(※自分に合わなかっただけです。)
以前も使ったことがあったものだったのですが、久しぶりに使用してみましたところ、、、足を痛めてしまいました。

というのもサドルが悪いわけではなくて、セッティングの問題だと思いますが、サドルのショルダーが大臀筋とハムの付け根あたり(おそらくハムストリングス付着部)に異常に当たるようになってしまいました。(取り合えずセッティングはど真ん中。)
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※右側もさることながら特に左側がひどかったです。。。

ライド中は違和感ぐらいだったものの、終了後に激しいスジの痛みに襲われました。(内ももとの干渉はサドルが高い状態の際に起こりやすいと推測できます。)
サドルの丁度いい位置に座ろうとすると、ショルダーが内股(ハムストリングス付着部付近)にあたり、内股に当たらない場所を探すとお尻の収まりがよくないというものでした。

もうこれは完全にだめだと思い、もういっそのことショートノーズで、サドルのショルダーが当たるのであれば単純に細くすればいい。だったら幅広のショートノーズを止めてみようと、雨の中ほぼノリと勢いで通常(幅狭)のノーマル形状のサドルを使ってみました。

するとすぐに違いに気が付きました。
普通に回しやすいです。( д) ゚ ゚アボーン
前後移動もOK、特に下支点の通過時、ケイデンスを上げても下げても全くスムーズに回せます。
ショートノーズのときは若干膝が開いてしまっていたのかもしれない、ということに気がついたのはノーマル形状のサドルを使って回してみたら、内側も引っかかりがなく非常にスムーズに回せるようになったから、ということからです。ペダリングに自由度が増えたと感じました。

というのも最近、なんとなく薄々気がついてはいたのですが、ワタクシの場合坐骨幅が多分かなり狭めです。
超原始的な方法で測ってみます。
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ざっくりとですが100mm位、やはり少々狭めだと思われます。

ショートノーズサドルの利点の安定感生む広い座面もスイートスポットにケツが収まっていなければ意味がありません。
で結局右往左往して、ショートノーズサドルを試しまくった結果、ノーマル形状のサドルに戻った、、、というオチです。

パワーの130mm(狭いモデル)も気になるところですが、現状25mmオフセットのシートポストで実際にノーマルサドルをセットしたところ、BB後退60mm以上取れているので、ショートノーズはあまり必要がないといえば必要がなかった可能性が否めません。

~おまけ~
もちろんサドル選びは前述のようにお尻の形状だけではなくて、前乗りのような乗り方であったり、更にはロードバイクの使い方によっても適正なものが変わってくると思います。
ちなみにワタクシの場合はというと、主にトレーニング目的で乗ることが多いです。

また現状の乗り方では、ポジション的は普通に前乗り(K.O.P.Sでみても膝が前に出ます)ですが、回し方は突っ込みすぎずに体幹で支える後ろ乗り(スタンダード)、というようなものと感じております。
前述のようにべちょっとがっつり前荷重の前乗りは危険が伴いますので、前乗り気味でもあくまでも体幹を使って乗る、ということや安全性を考えた結果のLSDで身につけたのが、いわゆるポジション前乗り、回し方スタンダード、という方法だったのではないかと思います。



▶まとめ
現在でも爆発的な人気のショートノーズです。
各メーカーのラインナップを見てもパワーに続け!的なことなのか、各メーカーショートノーズサドルのラインナップが充実しております。むしろいつしかショートノーズが無いメーカーのほうが少ないぐらいに。。。

しかしです。
ショートノーズを使うだけでパワーが出るのかというと一概にその限りでは有りません。

乗り方、目的、身体的な話等を含めて合うか合わないか、これが重要なところだと思います。
特に坐骨幅が狭い人にとっては幅広のショートノーズは合わない場合は、パワーが出ない、回しにくいだけではなく、痛みを出してしまうこともあります。

結論:ショートでもノーマルでも自分にあったサドルが一番!

ネットも安くていいですが、サドル沼という言葉があるぐらいで、合わなかったときのことを考えると、しっかりと専門店で然るべきものを選んでもらうということも良いと思います。

ということで、ショートノーズのサドルを止めた理由とショートノーズの意義を考える。というお話でした。

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