2輪の荷重のお話 ロードバイクとオートバイ

足掛け2日の超大作となってしまいました。
今回は文字ばっかり長文です。ご了承下さい。
 

荷重のお話です。
 

2輪は根本に大きな問題があります。

【静止状態では倒れる】不安定な乗り物です。

これはオートバイにしかり自転車もです。

 

しかし根本の違いもあります。競技を見ていて思うことはオートバイはコーナーリングのスピード勝負ロードバイクは総合的に速いものが勝つ、ということでしょうか。おそらくダウンヒルのみのコースが少ないことからみてもコーナーリングを鬼のようなスピードで走り抜けることもアドバンテージにはなりますが、サイクルスポーツの根本はいかに【長距離を速く走ること】を求めいているように思えます。

 

しかしオートバイのコーナーリングやブレーキングも同じ2輪ということでお手本にできることがあるのではないかというお話です。

 

てんちょーはもともと88のNSRというオートバイに若かりしきことは情熱を注いでいました。如何に速く走るか、ということです。

オートバイで重要な事は

【空力】

【コーナーリングスピード】

【制動力】

この3つが非常に需要です、

 

しばしオートバイのお話しです。

空力を考えるとネイキッドタイプではなくフルカウル(防風対策)のものが圧倒的に有利です。現在は200km/hを超える速度が簡単にでる時代ではありますが、250cc2stバイク200km/hは大きな壁でした。ではどう出すかというとレーシングタイプのカウルの中にすっぽりと手足を縮めて収まること、これは非常に重要です。実測で60馬力を超えるバイクでもここまで高速になると【空気】の壁をいかに突破するかということが非常に重要になるということです。

空力については非常に勉強になるのがオートバイのレースです。ロードバイクのレースしか見たことのない方はぜひ一度見てみると新しい発見があるかもしれませんよ。

ホームストレートではスリップストリーム(自転車ではドラフトというのでしょうか、)を使いスピードを伸ばします。その間全身をきれいに折りたたみ、カウルの中にすっぽりと収まります。ストレートが終わるとブレーキング勝負です。見事に【パカッ】とカウルから体を出し一気にブレーキングです。ブレーキングの時には上半身を持ち上げることでタイヤの限界以上の制動力を空気の力で作り出すというものです。ブレーキを引きずりながらコーナーにフロントをねじ込みます。クリッピングポイントを通過するころにはアクセルを前回にできるようにライン取りをします。

アクセル全開時にフロントが持ち上がらないように、空気抵抗を少しでも減らせるように前後の荷重バランスに気を使いながらマシンをコントロールします。

 

荷重の話ですと、コーナーリングが始まるころに少し残っている前荷重はコーナーリング終了時には完全に後ろ荷重へ移行します。これが何故かと言うと、加速の影響もしかりですが、【フロント】は滑るとおしまいだからです。

オートバイのコーナーリング中の挙動は半円を描くように移動します。ブレーキングで一気に前荷重になるのを体をずらすことと同時に、リアブレーキでリアのタイヤを沈めます。フロントブレーキだけでは制動距離は縮めることができません。【グイッ】と沈んだフロントフォークとともにリアブレーキを適性に欠けることでリアのサスを動かしてあげます。
タイヤの力は100だとします。100を制動に使っていたら、コーナーリングに移行することはできません。
9080と瞬時に制動力を減らしコーナーリングに入ります。タイヤの性能100をうまく振り分けながらクリッピングポイントへ向けてフロントをねじ込みます。そしてクリッポングを超えるころにはいかに速くアクセルを開けれるか、それのみを考えてライン取りをします。

 

という具合いです。

ではコーナーリング時の転倒は何が原因で起こるのか、ということです。

それには代表的な2種類があります。

フロントから行く場合、コーナーリング中【フロントに荷重がかかった状態】だとフロントを一気にすくわれます。主にコーナーリング開始~クリッピングポイント手前で起こります。フロントから行くときは【一気に行きます】。ズリズリしないです。「スコーン」と行きますね。これは転倒は間逃れないです。

リアから行く場合、コーナーリング中盤から起こりやすいです。前荷重から後ろ荷重に移る際にアクセルが丁寧でない場合に起こります。いわゆる【ドリフト】の状態です。しかしこれは荷重が移っていて滑り出すのでコントロールできます。ズリズリ行きます。しかしそこで注意ポイント、一気にアクセルを戻すと滑りだしているリアタイヤがアクセルを戻した瞬間急激にグリップを取り戻します。グリップを取り戻したリアタイヤののせいでリアのサスは一気に縮まり、限界までくると「ポーンッ」とアウト側に吹っ飛びます。これは【ハイサイド】という現象です。詳細はYou Tubeで検索して下さい。きれいに吹っ飛んでます。リアが【ズルっ】ときて次は【ギュッ】です。そして【ポーン】ですね。一瞬でこれが起きています。

これを防ぐためにはアクセルを開け続ける、ことです。しかし人間反射的にアクセルを戻してしまいます。これのために起こる現象ですね。

アクセルを戻さないとリアは滑る続けることで。そのままイン側に体が倒れてすべっていきます。もしくはうまいこと慣性とグリップがバランスよく行くとドリフト状態で何を逃れるかもしれません。

 

前後合わせて100しか無いタイヤの性能をどう振り分けていかに速くコースを走り切るか、これがオートバイのレースです。

 

ではロードバイクに応用できるところがないかというのが今回のお話ですね。

▶空気抵抗

もちろん空力はみなさんもうすでにお分かりでしょう。【体をしっかりと伏せる】これに付きますね、如何に体を小さくできるかを考えます。そして体を小さくしたままペダリング、巡航ができるようにするかということです。フロントフィークの厚みなんてたかが数センチです。それをブレード型にするぐらい空気抵抗は重要ということでしょう。それなのに体を地面と直角に近い格好で乗っていればなんにも意味が無いですね。エアロロードバイクも、エアロスポークもそうです。体の抵抗に比べたら機材の抵抗なんて微々たるものです。機材を数センチ、数ミリ補足することを考えるよりも乗車姿勢やウェアをしっかり考えるのが何よりも結果を出せるということです。
ダボダボの服でエアロロードでなんか乗っていて、これ空力がすごいんだぜ!なんか聞いちゃったらびっくりしますね。
さらにエアロスポークのホイールに変えちゃったぜ!なんか聞いちゃった時には、、、趣味の世界は自由なんので何もいうことはありません。 

プロは限界まで絞り込んで、出しきって、そして100km以上先のゴールを0.1秒でもいいから敵よりも先にチェッカーを受けることを目的にしています。1%でも0.01%でも敵よりも前に出るためには必要なんです。

「1日差か1マイル差かは関係ない。勝ちは勝ちだ」byドミニク

こういうことですね。

Winner or loserですからね。プロの世界は厳しいですね。

 

▶コーナーリング

趣味の世界では何よりも大切なことが【安全】です。

落車をしないためにはどうするかということです。また【落車】をしてしまっても怪我を最小限に抑えることが大切です。

コーナーリング中の転倒はロードバイクはオートバイと違いコーナーリング中は動力をかけていない場合が多いでしょう。慣性で進んでいる状態です。そうするとブレーキングがあれば前荷重、ブレーキなしでも空気抵抗、機材抵抗、路面抵抗で前荷重寄りになるでしょう。前荷重で転ぶ時というのは、フロントから滑るタイプです。フロントが滑る場合は想像していただければわかるかと思いますが、肩、頭から地面に落ちます。

リアが滑る場合最初に着くのは膝、おしり、背中です。私ならリアが滑ることを選びます、リアのほうがコントロールが効きますからね。如何に安全性を考えるのであれば最低でも極端にフロントに荷重をかけることは避けるべきです。そして極端に前後どちらかに荷重を掛けない事が安全につながるでしょう。前後荷重に関してはあくまでもニュートラルがいいでしょう。

 

2輪の特性として、フロントのグリップは極めて重要なものということです。

 

そしてそんな不安定な乗り物2輪は傾いていれば傾いているほど不安定になります。コーナーリングの基本は傾けなくて曲がれれば傾けないほうが良いです無駄に傾けて曲がっているバイクとかよく見ますね。下手くそな人です。車線変更でも【グイングイン】傾けているバイクを時々います。ほんとうに旨い人、白バイなんかはお手本のような走りをしますから、傾けないほうが速いことを知っているのでほとんど傾かないまま「すっ」と車線変更しますね。

2輪は傾いている状態は不安定ということを知っているからです。

 

ロードバイクも2輪ですから傾けなくて曲がれれば不安定になりにくいです。しかしそうはいっても2輪は傾けなくては曲がらないです。サドルを持って押している時に曲がろうとした時に自然にハンドルが切れていきます。その動きこそが2輪が自然に曲がれる一番きれいな形です。自然にハンドルが切れて曲がっていく、この動きを邪魔しない動きが必要ということですね。

ちょっとこわいスピードでコーナーリングに入っていき、肩に近がら入っていると曲がれない。曲がりきれなくてガードレールと仲良ししたことがある経験がある方はお分かりではないでしょか?自転車自身は曲がっていこうとしているのに、人間が知らず知らずにうちに力を入れてしまい、自然なハンドルの舵角を無視した力の入力をしてしまっているということです。

「あっやばいかも、、、やばい、、、、やばい、、、あぁぁぁぁー」というパターンですね

これが怖くなって曲がりきれない要因です。

一緒に走っている人がすっと曲がっていっているのに、自分は曲がりきれずに突っ込んだ、これが原因です。
タイヤの性能だけではありませんよ。 

またスリップダウンは無駄に傾けすぎによる場合が多いです。

「行けるぜ(知らず知らずののうちに力が入っている)、、、ずりーーーずざーーー」ですね。

 

コーナーリングのコツは2輪は進行方向に向かって勝手に曲がっていきます。【?】何のことを言っているのか不明なのでもう少し詳しく。人間の操作としては曲がりたいと思うだけで勝手に曲がれます。勝手に曲がれるというか【勝手に曲がるための操作】しています。それを如何に邪魔しないかということが重要です。上にかいた肩に力が入ってしまっていたり、コーナーリングの事を考えすぎて無理にバイクを倒しすぎたりです。

 

そしてオートバイの話ですが、加速、減速時は力が強ければ強いほどバイクは起き上がろうとする。という大原則があります。

強烈な加速時、強烈なブレーキング時は車体は自然におきあがります。

そして不安定になりにくくなります。

オートバイのコーナーリングで絶対にやってはいけないこと、それは【クラッチを切る】です。動力がかかっている場合は加速だろうが制動だろうが車体は安定します。しかしその力がなくなった瞬間に車体は不安定になります。自転車のコーナーリングではチョツト無理です。

コーナーリングのおさらいです。直線からブレーキングでスピードコントロールにタイヤのすべての力を使います。コーナーの入口付近で(倒し始め)でブレーキを弱めて【旋回】に使えるようにします。ブレーキを弱めた瞬間に倒し始めます。何故ならば先ほど書いたように強力な制動中はバイクは自然におきあがります。ですのでブレーキをある程度解除するタイミングでバイクの挙動を変えていきます。そして弱めながら【旋回】をはじめます。クリッピングポイントに向けてタイヤの100%の力をすべて【旋回】に使えるようにブレーキをリリースしていきます。クリッピングポイントを超えたら【旋回】にかけている100%のちからを【加速】へと移行していきます。

 

コーナーリングの絶対条件は【コーナーの手前の減速】が最重要です。これができないと曲がれません。

某雑誌や特集コーナーでも「コーナーリングの途中までブレーキを引きずって、」とありますが、安全を考えればブレーキを引きずって入っていくのはキケンです。いわゆる【突っ込み勝負】というものですね。それであればしっかり減速して、立ち上がりでいかに速く車体を起こせるか、いかに速くペダリングを開始できるかを考えたライン取りをするほうが【安全】であり安全は【速い】につながるでしょう。

先程もかきましたが【怖いと思ったらコーナーは曲がれない】ということです。

 

ですのでロードバイクではブレーキングで前荷重になるのを抑えるために後ろ荷重を作り出していると思います。それをコーナーリング中如何にニュートラルな状態に持って行き、自転車が自然に曲がっていく動きを邪魔しないであげるか、ということが重要ですね。

 

そしてもう一つの荷重移動があります。それは左右の荷重移動です。ロードバイクのレースを見てみて下さい。絶対にお約束があります。それはコーナーイン側のペダルは必ず上がっています。ペダルをすってしまうからということだけありません。外側の足に荷重を掛けるためです。傾いている状態でイン側に荷重がかかっているとどんどん傾く方向に力がかかってしまいます。逆に外側の足に荷重がかかっていればバイクは自然に起き上がろうとします。

グリップがあるうちはいいですが、グリップを失った瞬間の話です。グリップを失えば失った瞬間のちからの入力に従い人間もバイクも動いていきます。イン側に荷重があればあっという間に更に傾きます。逆にしっかりと外側に荷重が乗っていればグリップが消えた瞬間にバイクは起き上がろうとする力が働きます。これが左右の荷重の意味です。

オートバイのコーナーリングの様子をよ~くみて下さい。Google検索【オートバイ コーナーリング】イン側の膝はバンク角を図るために使います。そしてアウト側の足はというと、思いっきり踏ん張っています。ステップを踏んづけて荷重をかけているんですね。
オートバイのオンロードレースではリーンインがが基本ですね。【ハングオン】とかっていいます。なぜハングオンをするかというと外側の足をガッチリ踏み込みやすく、また車体をを最大限に寝かせないで曲がることができるからです。画像を見るとペターっと寝ていますが、あれでも最大限に寝かせないように走っているんですね。前述のようにバンクが深ければ深いほど不安定であり、アクセルを速く開けることができないからです。
自転車の場合は外側荷重さえしっかりできていれば、リーンウィズでもリーンインでもいいと思います 

2輪なのでどちらも似通っている部分が多いですね。

 

とコーナーリングの荷重でした。

 

▶ブレーキング

荷重は全開のブレーキングでは前荷重になります。リアが浮いてしまうと不安定になるばかりか、リアブレーキが使えません。そこで2輪の制動はリアに荷重をかけます。ロードバイクだとおしりをサドルを後方へ移したりしますね。しっかりと、前後のタイヤを制動に使うということです。

そして急制動でもう一つ重要な事はハンドルに乗っからないということです。ハンドルに乗っかったり異常な荷重がかかっているとグリップの限界を超えた時に荷重の通りに素直にバランスを崩します。変な荷重がかかっていなければ前輪が滑ったとしても慣性の法則通りにまっすぐ進みます。転倒は間逃れられるかもしれません。

コーナーリングと同じで方に力を入れないということです。

場合によっては車体を安定させたり、体を固定するためにトップチューブを腿で挟むこともいいです。

 

2輪はリアブレーキだけでは止まりにくいです。フロントだけでも止まれますが制動距離を考えるとまだ不十分です。フロントとリアを同時に掛けることで最大の制動ができます。

まぁリアはおまけのようなものですが、このおまけが重要です。ビックリマンチョコみたいですね。

先ほど書いたように2輪は【加速】【減速】どちらかの力が強く働いていれば働いているほど安定します。これは経験からのお話ですが、リアブレーキはおもに車体を【安定】させるために使います。

そうは言っても制動力を上げるためにももちろん必要です。フロントだけで安定して止まることができればリアにブレーキいらないですからね。むしろフロントに2個ブレーキ付けたほうがいいですね。しかしそうはならない。車輪の付いている乗り物はどれもそうですが、タイヤのグリップ以上の制動は無理です。(壁にぶつかったりとかは溝とかはなしです。)そうなるといくら荷重は前に移っているからとはいえ、リアのブレーキも制動のためには必要不可欠ということです。

 

タイヤのグリップをフルに使うという意味でも制動で前にかかった荷重を人間の体で後ろに移してあげる、結果的に2個のタイヤを制動にフルに使うということです。

 

そして限界を超えた時タイヤがロックしますが、その状態に常に備えるということです。ですのでブレーキング時の左右の荷重は5050です。

リアをロックさせる練習をするといいかもしれません。タイヤはロックした瞬間に荷重のかかっている方向に流れていきます。これで左右の荷重の確認ができます。

転んでもいい装備をしてフロントロックもやってみると如何にフロントから滑ることが怖いことかわかります。くれぐれも怪我のないようにお気をつけ下さい。

 

2輪ではそれほどフロントタイヤは重要ということです。

ですのでタイヤ交換もおすすめの方法はフロントを新しいタイヤをフロントへ、リアが無くなったらリアを変えるのではなくてフロントを交換してフロントのお下がりをリアへ持ってくるという方法です。逆は絶対にやめましょう。そうすれば一回に購入するのは1本ずつなのでお財布にもやさしいです。リアはガンガンなくなりますので、リアタイヤを見て交換するのがいいです。そうすれば常にフロントにはいい状態のタイヤを持って来れます。

ローテーションということもありますが、あまりおすすめはしません。それは前述したようにフロントタイヤの重要性の高さゆえのお話です。

 

と今回はちょっとロードバイクネタからは珍しく外れて2輪を総合的に見てのロードバイクの荷重のお話でした。自転車ばかりではなく広い視線で見てみるとあたらし発見があるかもしれませんね。

整備でもそうですが、偏った知識というものは拡張性に乏しくなります。視野を広くもつと新しい発見があるかもしれません。
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