チェーンの注油・メンテナンスのために分解構造を理解する

先日チェーンオイルのお話しをさせていただいので、パワーアップ(・・・更新しただけですが、)して再度しっかりと考えてみようかと思います。

チェーンオイルはただただいっぱいつければいいというものでも有りませんし、少なすぎても十分な潤滑性能を発揮できません。また使用用途であったり、使用方法を間違えると、チェーンの寿命を短くしてしまう場合もあります。

ということで今回は適切なメンテナンスのための理解、チェーンの注油・メンテナンスのために分解構造を理解する、そんなお話です。



何の変哲もない自転車のチェーンです。

チェーンのオイルアップ時によく表面ばかりがベタベタの場合があります。
分解図を見てみると注油ポイントが自ずと見えてくるでしょう。

でこいつを分解していきます。
金色に輝くなんとも高貴なチェーンです。
なんで金色かというと、わかりやすいからです。
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基本的な構造はどのチェーンも一緒です。

分解に使うのはこれだけ。
チェーンカッターです。
こればかりは専用工具が無いとどうにもなりません。

これはSHIMANOの純正品です。
何年も使用しておりますが、さすがの純正品です。
迷ったら確実に純正品を選ぶのが良いです。
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チェーンは、、、お古をつかいます。

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ところどころメッキが剥がれていい感じに使われた感じがします。
これは分解前に掃除済みです。

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外から見ても全くベタつきもなくきれいな状態です。
作業の便宜上ものすごく拭き取りまくった状態です。

▶分解
説明の便宜上、まずピンをずらしました。
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外側のプレートを外します。

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外側のプレートの次は右側の内プレートを外してみます。

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内プレートが外れるとローラーが見えます。
このローラーの動きが非常に重要です。

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ローラーが外れるとまた内プレートです。

注)これは保持のためピンを残してあります。
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最後に内プレートを外して外プレートだけになります。
(ピンは保持のために残してあります。)

でココで注目していただきたいステップが、
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ここです。

チェーンの動きの中で非常に重要なところです。
右側の内プレートのピンの穴の部分が盛り上がっています。
内プレートが2枚合わさった状態で、この盛り上がり(スリーブ)をローラーが回ることで滑らかに動くチェーンなります。

いわゆる伸びの正体がこれです。
金属が伸びるのではなくて、ローラー部分が摩耗することで減ってきます。結果的にチェーンの可動部、各所にガタが大きくなってきます。
これが伸びの正体で、結果的には伸びていますが、正確には各所が摩耗している、ということです。

▶注油ポイント
ではチェーンはどこに向けて潤滑すればよいのか?ということです。
今回はなぜ金色のチェーンをばらしたのかということです。
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使用済みのチェーンを見ればわかりますが、金色の部分よりも銀色の部分の潤滑が重要です。
金色の部分はサビが発生しないように油膜があればいいぐらいです。

むしろチェーンの側面は変速の際に変速ポイントに引っかかる部分ですので、じゃぶじゃぶオイルがあると滑ってしまうこともあります。

ということでしっかりと寿命を迎えたチェーンを確認してみます。

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この銀色の部分、メッキ?が剥がれて?摩耗をしている部分です。
ここの潤滑が超重要です。

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最初の写真に戻りますが、こういうことです。
このようにばらして見てみるとどこに油が行き渡っている必要があるか、わかると思います。

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必要な部分にしっかりと油を入れてあげる、また掃除をする時は劣化した油や、汚れをこれらの場所から除去してあげることが必要になります。

日常メンテナンスのチェーン清掃のあと、チェーンをよじったり、チェーンを動かしたりして、ジャリジャリ感があるようでは、外部的にはきれいに見えても、チェーンの中で一番キレイでありたい内部の掃除が上手く言っていないということです。


▶オイルの動きを見てみる

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左が柔らかいチェーンオイル、右が雨天用対応の硬めのチェーンオイルです。

左側のチェーンオイルは付けた瞬間「スッ」とチェーンに馴染んでいわゆる馴染みが良いです。柔らかいオイルですので当然です。

では右側の硬いオイルはというと、、、
垂らしたリンクの上から余り馴染んでいきません。
この場合は優しくローラーを回したりして、ローラーの内部までオイルを浸透させる必要があります。

※どちらがいいとか悪いとかではありません。適材適所のようなもので、ウエット条件はそれなりに粘度があり、油膜しっかりとないと、あっという間に油膜切れの状態になってしまいます。

通常チェーンオイルは使用上、浸透性を高めるための溶剤が飛ぶまで、塗った後しばらく放置することでギュッと定着する、このようなイメージのものが多いと聞きます。

しっかりと正しいメンテナンス方法、そしてオイルの性能を引き出す使い方、これらを理解して使わないとものすごく勿体にないことをしてしまっている可能性もあります。



▶まとめ

晴れ専門!雨が降ったらおやすみ、、、そんな場合は油膜薄め、粘度は柔らかめのもののほうが、汚れが付きづらかったり、汚れも落としやすくメンテナンスが楽です。

逆に雨でも乗りたかったり、レースのような高負荷をかけるような場合はしっかりと長時間長距離でも油膜を保てる製品が必要になります。

基本的にスプレータイプのチェーンオイルは、水置換(水分があっても注油可能)があったり、多少であれば汚れ落としの効果があるものが多いです。(スプレーは霧状で噴射するため、溶剤がしっかりと入っている場合が多いです)
これらは汚れや、水分があってもその上からでも使えるので、使い勝手という面では非常に良く、万人向けの製品です。

逆にリキッドタイプ等で水置換性のないチェーンオイルはと言うと、水の上につけても飛び散るだけです。原則水分を完全に抜いてから注油をする必要があります。
もちろん水分だけではなく、チェーンを洗った際のクリーナー成分が残っていては残念な結果になります。

何を選ぶのかは、基本的にロードバイクの車体やタイヤ、ホイールなどとも全く同じ考え方で、使用状況に合わせて適切なものを使用する、これに付きます。
迷ったらプロショップで適切なものを選んでもらうのが良いと思います。

ということで今回はチェーンの注油・メンテナンスのために分解構造を理解する、そんな話でした。



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