RD(リアディレイラー)のプーリーについて

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本記事は過去記事をパワーアップ、更新をさせていただきました。
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プーリーのお話です。
ちなみにプーリーは消耗品です。
シマノ公式の見解でもこのように記載があります。
・プーリーのガタが大きくなって、走行時、非常に雑音がうるさくなった場合はプーリーを販売店で交換してください。
最近ではビッグプーリーなども流行っておりますので、どうしても消耗品という印象が少ないパーツではありますが、特にガイドプーリーはギア歯同様に摩耗等の現象が起きます。
摩耗が起きると異音だけではなく、変速性能の低下等の不具合が起きます。

ということで今回はRD(リアディレイラー)のプーリーについてのお話です。



▶プーリーの種類とラインナップ
2020年4月現在のカタログより抜粋です。
キャプチ1ャ
11速コンポーネントにおいては新型、旧型双方ともにULTEGRA以上のグレードでシールドベアリングが内蔵されます。

105以下のグレードはブッシュ式となります。
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※以下2016年1月現在、確認が取れた情報となります。
★ロード用リアディレイラーのプーリーについて★
RD9000/9070 Gプーリー/Tプーリー シールドベアリング
RD6800/6870 Gプーリー/Tプーリー シールドベアリング
RD5800     Gプーリー/Tプーリー ブッシュ式
RD4700     Gプーリー/Tプーリー ブッシュ式
※上記現行プーリーにおいてセンタロン機構なし

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※シマノ公式HP部品展開図より抜粋

プーリー内部の回転部分は、ULTEGRA以上がシールドベアリング、105以下がブッシュ式となります。

▶プーリーの働き

image957

・テンションプーリー(Tプーリー)
チェーンテンションを保つためのテンションプーリー(下側のプーリー)です。
取付方向があります。

変速に伴いギアの大きさが変わります。
リアディレイラーの役割はチェーンを大きさの違うギアへ移動させること(いわゆるギアチェンジ)、これだけでは有りません。
大きさの違うギアへ移動した際は小さなギアに移動すればチェーンはあまりたるみますし、大きなギアに移動すればチェーンは張られていきますし、最悪チェーンの長さが足りないとぱっつんぱっつんになってしまって変速できなくなることも。
ですのでチェーンは前後最大ギアに入る長さはないとだめということになります。

しかしそのままでは小さいギアに入れたらチェーンがたるみまくってしまいます。そのチェーンのたるみを取るための機構がリアディレイラーには組み込まれています。
というのがPテンション軸の部分の仕事です。
bitmap1
P軸に組み込まれたスプリングの働きで常に矢印の方向に引っ張られることでチェーンのたるみを九州しています。

つまりギアチェンジに伴いチェーンの弛みが出ます。このたるみを取ってあげるため、チェーンテンションを保つための機構がPテンションであり、テンションプーリーの働きとなります。

もう一つの重要な仕事はテンションプーリーはフロントチェーンリングから流れてくるチェーンをガイドプーリーへ受け渡す枠割があります。
image1507
当然リアのギア位置によってはチェーンラインがきつくなります。
text4333

そのため旧型のテンションプーリーではローやトップ側のたすき掛け時等、チェーンラインがきつくなってもスムーズにチェーンにプーリーに噛み合うように切り欠きがあります。
 image4166
見るからに回転方向の指定がありそうな歯の形状をしています。
いわゆるたすき掛けのような状態でもチェーン、プーリーが滑らかに動くための加工と思われます。

チェーンの流れが急に止まる、つまりチェーンが外れたり、詰まったりするということは車体へのダメージも考えられますし、乗り手側にも非常に危険が伴います。
路面の荒れ、ギャップ等でチェーンが暴れてもテンションプーリーがチェーンを離したり、掴みそこねることのないような設計を、シマノは繰り返し行い、安全性を確立させているということです。

ちなみにテンションプーリーからガイドプーリーまでの間のチェーンは曲がることは有りませんので、旧型の加工となっているようです。

比べて新型(現行)のテンションプーリーです。
IMAG0601
歯の形状が変更になっています。
こちら新型のRDはシングルテンション化に伴い、リアディレイラーの動きが変わり、刃先形状が変更になったと考えられます。
新型のテンションプーリーは歯の形状は対称ですが、プーリー自体に回転方向の指定があります。


・ガイドプーリー
ガイドプーリーの働きはというと、ずばりリア変速です。
リアディレイラーにあるガイドプーリーがチェーンのラインをずらすことでギア位置を変えます。これがリアの変速です。

こちらも旧型から見てみます。
旧型のガイドプーリーです。
image4248

テンションプーリーとは違い歯の形状は対称で、進行方向の指定が無いです。
(※6800系のブッシュ製品(旧モデル)の画像です)

ガイドプーリーもテンションプーリーのように鋭く尖らせたほうが、スプロケ-ガイドプーリー間の動きがなめらかにいくかと思いきや、それをやってしまうと変速時にチェーンに自由度ができすぎてしまい鋭い変速ができなくなってしまいます。つまりガタや遊びが大きくなることでの、変速性能が低下するためと考えられます。(センタロンが廃止になった理由)

というのは旧型のお話、新型11速のガイドプーリーはどうなったかと言うと、、、
IMAG0593
左:ULTEGRA 右:DURA-ACE ガイドプーリー
刃先が長くなり完全に形状が変わりました。
これによりチェーンを掴む力が強くなっています。
特にアウタートップ側での変速にはこの形状が必要になります。

前述のように変速はガイドプーリーがチェーンを意図的にギアからずらすことで起こりますので、ガイドプーリーには想像以上の負担がかかっています。
プーリーのガタが大きくなって、走行時、非常に雑音がう るさくなった場合は、プーリーを交換してください。
※シマノディーラーマニュアルより
変速時ベアリングに対して繰り返し横方向に力を加えていることになり、プーリーが消耗品というのがよくわかる気がします。
横方向への力はベアリングもそうですし、歯の摩耗も進行します。

リアスプロケの変速ポイントのお話です。
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スプロケにはシマノの技術の髄が詰め込まれています。

丸はわかりやすいところですが、これだけではないです。
image4455
これが変速途中です。

text4726

シフトケーブルの動きによって、リアディレイラーが動きガイドプーリーが隣の歯の下まで来て止まります。
この状態でクランクを回すとチェーンはスプロケの変速ポイントに引っかかることでチェーンが隣の歯へと移動します
変速はチェーンの動きを利用してリアスプロケの隣の歯へと移動させるのでチェーンが動いていないと当然変速はできません。

以前のガイドプーリーはセンタロン機構というものがありましたが現在のモデルでは有りません。
センタロン機構とは要はガタのことで各所が正確に動くのであればガタはないほうが素早く正確に動きを伝えることができます。

Bテンション(現行エンドアジャスト)ボルトもマニュアルにあるように
チェーンづまりしない位置までガイドプーリーがギアに近づく ようにBテンションアジャストボルトを回して調整します。
ということです。
ガイドプーリーとスプロケが離れすぎているとそれだけチェーンに遊び(余裕)が出てしまうということで、変速が遅くなります。
ちなみにチェーンが伸びて変速がだるくなって来るのも、この仕組みと同様です。チェーンが伸びる=ローラーの磨耗が進みチェーンにガタ(遊び)が増える、これによりガイドプーリーの動きがチェーンの遊びに吸収されてしまって変速が起こりにくくなる、これがチェーンの伸びによる変速がだるくなるということです。
チェーンの伸びの影響はこれだけでは有りません、遊びが増えるということはチェーンはギア上でも遊び、ガタが増えます。これによってもチェーンとギア歯、金属同士の摩耗が増えギアの摩耗を加速させる原因となりえます。


▶プーリーの互換性について
旧型11速の王道のカスタムとして、超有名所のDURA-ACEプーリーへ交換するというカスタムがありました。が、こちら公式の見解では互換性は無し、となっております。

こちら旧型の11速、RD5800の展開図ですが、互換性情報に6800のプーリーは
互換性はなしになっております。
キャプチャ4

下記は新型11速、RD-R8000の展開図の互換性情報です。
キャプチャ5
こちらも同様にRD-R9100のプーリーは互換性は有りません。
※プーリーの厚み(ベアリング・歯)が違いますのでご注意ください。

互換性なしというのは公式の見解です。
”使ってみて使えた”、ということと公式の互換性なしとなっていることは全く別物とお考えください。

新型旧型問わず、ULTEGRA以上のグレードであれば上下ともにシールドベアリングが入りますので、例えば公式の互換性なしという情報を無視して無理にULTEGRAのRDにDURA-ACEのプーリーを入れても激的な効果を望むことは難しいですし、場合によっては性能が低下することもあるかもしれません。(7000以下は現時点での確認はしておりませんので不明です。)

※旧型11速と新型の11速のプーリーも形状がまったく違い互換性はありません。
実際にやってみたことがありますのが、いいことは有りませんでしたのでやらないほうが良いです。

ということで純正プーリーを用いたグレードアップはあくまでも自己責任の範疇でのカスタムで具合が良くなったら良いけれども、具合が悪くても自己責任ということです。


▶プーリーのベアリングやビッグプーリーについて
ではあくまでも公式の互換性はなしではありますが、自己責任の範囲内でブッシュ式からシールドベアリングに変えるとどうなんだ?ということですが、回転性能の差ははっきりとしております。
どう考えてもブッシュ式のほうが回転性能が高い訳は有りません。とは言っても、最近のブッシュ式は意外と回るものが多いです。
乗って違いがわかるかというと、プラセボ的なことも考慮しても微妙なところかと思います。

では社外製プーリーのベアリングの効果はと言うと、、、メリットもありますが当然デメリットもあります。
最近の流行りビッグプーリーや(フル)セラミックベアリングかなんかの回転自慢のものは確かに回転が軽く感じるものもありますが、耐久性や利便性にかけるものもあります。
見た目でインパクトバッチリの回転性能のベアリングはシールが非接触であったり、開放型であればピンと弾けばしばらく空転をしているものが多々あります。しかしそれと耐久性を両立できるかと言うと難しいところです。(初期性能と性能低下の時間の問題)
また実はビッグプーリーは輪行時はRDを外して、と注意書きのあるものが多く利便性はちょっと。。。
ちなみにビッグプーリーの回転の軽さはベアリングの軽さというよりもチェーンのカーブやテンション的な問題のほうが影響が大きいというお話も、、、つまるところベアリングはセラミックや開放型ではなくても(´=ω=。)ホボソッ...t

と肝心要の変速性能や安全性はなんと言っても純正が一番です。

純正を使用していてRDがもげるようなことはあまり聞きませんが、社外製でRDがもげたというのは時々目にすることもあります。。。
得てして社外品は純正に比べてトラブルが多いものです。

▶摩耗したプーリー
IMAG0589
こちら15,000km程度使用した純正のULTEGRA のガイドプーリーです。
摩耗はある程度進んでいますし、手前右側の歯先に欠けがあります。
こうなるともう交換したほうがいいです。

ちなみに社外品はと言うと、、、
IMAG0605
こちらも歯先の角に摩耗が確認できます。
社外品での変速不良の原因で意外と多いのは、ガイドプーリーの摩耗でチェーンのキャッチ力が落ちることによる変速不良です。
組み付け当初は調子がとよくてもだんだんと具合が悪くなっていきます。

シマノ純正品であろうとも、社外品であろうともプーリーは摩耗しますし、消耗品ということです。



▶まとめ
プーリーだけではありませんが、シマノはきちんと互換性等の情報を公開しております。公式の見解はしっかりと理解した上でのカスタムが良いと思います。

肝心要の性能ですがプーリーのみの交換で激的に速くなることはというと、、、残念ながら有りません。
以前(旧型)のプーリーは回転性能がちょっと、、、というものもありましたが、最近のプーリーはブッシュ式でも意外と回るものが多いです。

微妙な回転性能の差、そして犠牲になるものこれらをしっかりと天秤にかけた上で判断するのが良いと思います。

ということで今回はRD(リアディレイラー)のプーリーについて、そんなお話でした。




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