2020版 シマノ純正シフトケーブル・ブレーキケーブルの種類と互換性

2015年の記事「シマノ ケーブルの種類(インナーケーブル~シフト・ブレーキ~)」こちらからの2020年更新バージョンです。

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   2020年最新バージョンに更新いたしました。
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シマノの紐式コンポの肝心要はケーブルです。
というのも、変速も制動系もすべて同じですが、
・コントロールするコントロールレバー
・各所に動作するコンポーネントパーツ
これもとても重要です。
グレードによって違うのは値段や重量だけではありません。
精度や耐久性、剛性等もちろんグレードごとに違いができます。

その中でも個人的にものすごく重要であると考えているのはケーブル類です。
コントロールレバーからの司令を無駄なく確実に正確に伝えるということはすべてケーブル次第です。
ケーブルの動きが悪かったりスモールパーツの使い方を間違ってしまっているととても残念な結果になります。このケーブルの選択、組み方次第でコンポーネントの性能をどこまで発揮できるのか、大幅にちがってきます。

ということでシマノの純正ケーブルをきちんと理解して使用することはとても大切なことです。
早速本題へ。
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2016年より こういった純正パーツのグレードがよりわかりやすく表記に加えられているようになります。

【ULTIMATE(アルティメイト)】
→レースで勝つことをめざす、様々な地形を疾駆する、など最高レベルのライディングを追求。
 より速く、よりストレスのない、走るためのアドバンテージとなる機能。
 最先端のテクノロジーを駆使した最高のパフォーマンスを実現

【ADVANCED(アドバンスト)】

→友達とレースを楽しんだり、時には自分の限界に挑戦したりする、ライディングに自分なりの刺激をもとめるスタイル。
 快適で安心感のある、スムーズな走行が持続できる、安定した高性能。

【SELECT(セレクト)】
→町中をスタイリッシュに走ったり、友人たちとリラックスして走るなど、サイクルライフを楽しむライディングスタイル。
 スムーズで信頼性のあるライディングができる。
 シマノコンポーネントの高い品質が確かな機能を提供

ということです。
【上】【中】【下】とは付けられないので、かっこ良くグレードを分けてみたのでしょう(笑

具体的に上中下に分かれているのはなにが違うのかという所です。


▶ケーブルのグレード(値段)の差とは?

シマノの純正ケーブルは、
”インナーケーブルはコーティングの種類”によってグレードが分かれています。

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2018年 シマノ公式カタログより
※これを見るとオプティとポリマーノサが殆ど無いように、、、(´∀`;)

上位グレードから順番に
1.ポリマーコーティング
2.オプティスリック(シフト)、SIL-TEC(ブレーキ)
3.コーティングなし

というのもインナーケーブルの動きはケーブルの動きがスムーズであれば有るほど、各パーツへの司令が的確に伝えることができます。簡単に言うと”摺動・滑りがいいほうが良い”ということです。
インナーケーブルはアウターケーブルの中を実際に滑りながら行き来しますので如何になめらかにうごくことができるか、コレによってコントロールレバーの入力からの各パーツに動きが伝わるスピード、正確さ等が変わってきます。
つまり摺動を良くするためにインナーケーブルに滑りが良くなるようなコーティングをしている、このコーティングの種類の違いが主なグレードの差ということです。

それと細かいところでは、スモールパーツなどにも差が出てきます。
インナーケーブルのコーティングを長期間(想定は1年ぐらいか?)に渡って保てるようにするために、また本来のインナーケーブルの性能をフルに使うためにそれに適したスモールパーツが同梱されてきます。
詳細は後述。



▶シフトケーブル

①インナーケーブル(単品)
※単品とは言ってもスモールパーツはある程度付いてきます。
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ポリマーコーティングケーブルに2500mmのモデルが登場です。
多種多様化するフレーム形状に、ケーブルルーティングに対応するためのロングモデルということだと思います。

2016年登場の【オプティスリック】もラインナップです。

過去にあったアルテグラグレードのポリマーコーティングシフトケーブルは2017年からカタログ落ちです。とは言っても入手ができないわけではありません。
一部完成車や、コントロールレバーを購入の際の付属のケーブル、、、実はあれはまだアルテグラグレードのポリマーコーティングシフトケーブルということです。


①コーティング無しのステンレスシフトケーブル
②2016年登場の新コーティング【オプティスリック】シフトケーブル

③アルテグレードなき今、ポリマーコーティングはこちらのみ

※タンデム用やスティール製10パック入りあまり使わないと思いますので、主にこの2種類の中からの選択ということになります。

②シフトケーブルセット
現行のシフトケーブルセット製品
1.DURA-ACE R9100シリーズ用OT-SP41 ポリマーコーティングシフトケーブルセット
2.OT-SP41ポリマーコーティングシフトケーブルセット
3.OT-SP41オプティスリックシフトケーブルセット
4.OT-SP41ステンレスシフトケーブルセット
5.OT-SIS40シフトケーブルセット(スティール) 
※激安の5.スティール製のケーブルはアウターがちょっと違います。

アウターケージングに関して2016年まではほぼ”OT-SP41”こちら一種類でしたが(スチール製のグレードのみOT-SIS40)、R9100系のDURA-ACE RD-R9100が登場してからリアアウターに専用品”1.R9100シリーズ用”のシフトケーブルがでました。

DURAも基本的にはOT-SP41ですが、新型DURA-ACE R9100系、新型ULTEGRA R8000のリアディレイラー、のみアウターケージングが異なる専用品”OT-RS900”という特殊なケーブルを使用することになっております。
こちらは従来のOT-SP41アウターケージングよりも柔軟性が高くSP41のようにワイヤー構造ではなくて、ブレーキアウターのようなコイル構造です。昨今の多様化するフレームでチェーンステーの後方からケーブルが出るタイプのフレーム等リアアウターのカーブがきつくなる設計のフレーム+新型のリアディレイラーでも組みやすいように考慮されているというものです。
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※チェーンステー後方からのリアアウターの場合はカーブがきつくなりがちです。

しかし
・ライナー管がすっぽ抜ける
・切る方向(切る側)・組付け方向の指定あり
・ホイールのつけ外しで折れる
こんな特徴がありますので組み付ける際は要注意です。

※カーブがきつくならない・きれいなカーブを描けるフレーム関しては通常のアウター(OT-SP41)でも可とシマノより回答を頂いております。
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新型の11速からフロントディレイラーがフルアウター対応になっています。
そのためのアウターキャップが1個多いです。
あとはカラーバリエーションが豊富なのは従来品のポリマーセットです。

お値段がどちらも変わりませんので、カラーさえ希望のものがあればR9100の方のセットを購入したほうがお得ですネ。

以下シフトケーブルの1台分(前後分+スモールパーツ類)のセット品です。
・コーティングなしのステンレスシフトケーブルセット


・新オプティスリックコーティングのシフトケーブルセット
・アルテグレードのポリマーコートのシフトケーブルセットは終売となりました。
(現在仕入れはできませんのでなくなり次第終了で、今後はコントロールレバー等の付属品のみとなります。)

・DURA-ACE R9100シリーズ用 ポリマーコーティングシフトケーブルセット


★互換性に関して★

シフトケーブルに関しては現行品

DURA-ACE(デュラエース)9000R9100
ULTEGRA(アルテグラ)6800R8000
105(イチマルゴ)5800
Tiagra(ティアグラ)4700

すべてポリマーコーティングシフトケーブルをお使いいただけるとのことです。
また、過去のモデルに関しても(7900、6700、5700、4600等)でも互換性がありお使いいただけるとのことです。


オプティスリックのセットはスモールパーツの付属がチョット変わっています。
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先ずRD用アウターキャップが金属のシールドと樹脂製シールドのもの、
オプティのほうがグレードが高いのに樹脂製です。
過去モデルはここに樹脂製を使用してしまうと角度・負荷がかかってちぎれてしまう、また樹脂製のものは食い込んでしまう。そんな事があったようですが、現行モデルですと大丈夫になったとか、その為オプティセットは新発売なので樹脂製に変更されましたが、ステンセット(コーティング無し)は過去のままのセット内容なので据え置きと言った状態とのことです。

とは言っても実際に現行品でもリア側のアウターが樹脂製でひん曲がっているものも見かけることもあります。。。リアアウターの長さのせいということも有るかとは思いますが、、、(´ε`;)ウーン…

これとステンセットにはコントロールレバー用のショートノーズ付きアウターキャップの付属がありません。このパーツ結構ダメージを受けやすいので、できれば交換ごとに買えたほうがいいので現行コントロールレバーでステンセットを購入するときはダメージ(ハンドルとの段差でバナナみたいにひん曲がります。)にもよりますが、別途購入したほうが良さそうです。

とは言っても別途で購入するのであれば素直にオプティスリックセットを選べば付属はありますので、お得といえばお得ですネ。

RD用ノーズも付属がありませんが、こちらもあの角度(リアトップ付近でのRD出口付近)を考えればついていたほうがいいような気がしなくもありません。新型のリアディレイラーはこの問題は解決していますネ。

スモールパーツの使い方はこちらをご参照下さい↓↓↓
スモールパーツの使い方 シフト・ブレーキケーブルセット

どちらもスモールパーツで購入するのがいいと思います。





▶ブレーキケーブル

↓ROAD/MTB~~~とあります。むしろ今までナンデ分けていたのか、、、タイコの形が少々違うんですネ。
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ブレーキインナーケーブルも同様にアルテグレードがなくなっております。
ポリマーコーティングを選択したのであればDURAグレード一択です。

こちらは新コーティングはありませんので【SIL-TEC】(PTFE)据え置きです。

ポリマーコーティグはノーズ付きアウターキャップがついてきます。
上位グレードのアウターキャップは(ロングだろうがショートだろうが)ノーズ付きというのが現状お約束です。 

シフトケーブルではポリマーコーティングは軽さが素晴らしいのですが、コーティングの剥がれが汚くて気になります。しかしブレーキインナーケーブルでは毛羽立ちが気になりません。
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※3ヶ月位使用したポリマーコーティングブレーキインナーケーブルです。

ポリマーコーティングは間違いなく軽いです。シフトと違ってアールがきつくなりにくかったり、距離の問題もありコーティングが綺麗に保たれています。これなら使用上も問題なく使えそうです。

以下ブレーキインナーケーブル単品の製品です。
・ステンレス

・SIL-TEC
・ポリマーコーティング




ブレーキケーブルセット(前後1台分)
・ステンレスブレーキケーブルセット


・SIL-TECコーティングブレーキケーブルセット
(ブレーキはオプティスリックはありません。)


・BC-9000 ポリマーコーティングブレーキケーブルセット

同じくブレーキもアルテグレードがカタログから消えています。

MTBとの共通でスティール製のセット(1012円)もあります。
しかし前回の記事で書いたようにあまりおすすめはできないでしょう。

※アウターケージング
ポリマー:BC-9000ブレーキアウターケージング
SIL-TEC:SLR
ステンレス:SLR

圧倒的な引きの軽さとタッチの良さが実感できるポリマーコーティングですが、スモールパーツの使い方がとても大切です。

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これがリアブレーキ用のノーズ付きアウターなんですが、こいつがないとものすごくタッチが悪くなります。試しにこれを使わずに組んでみたのですが、やはり駄目です。これは絶対に必須です。
(実はステンやSIL-TECでもこれを使ったほうがタッチが良くできます。。。)

こちらも実は真鍮とアルミの2種類があります。

軽量のアルミにもデメリットはあります。

しつこいようですが、正しくスモールパーツを使わないとものすごく残念な結果になります。
スモールパーツの使い方はこちらをご参照下さい↓↓↓
スモールパーツの使い方 シフト・ブレーキケーブルセット

注意としては、例えばインナーケーブルのみお店で変えてもらった場合に、アウターが社外製であったり、下位グレードのものを使っている場合があります。
通常のパッケージ版製品には重要なスモールパーツは同梱されておりますが、お店用のバルク品はスモールの付属がない場合があるとかないとか。。。
お店で変えて貰う場合は、しっかりとスモールパーツの取り付けもお願いしたほうがいいでしょう。

※フレームの種類によってはこれらを使わないフレームもあります。最近だとフルアウターのリアブレーキとか色々ありますネ。


★互換性に関して★

ブレーキケーブルに関しては互換性がダメなものがあります。
くれぐれもご注意下さい。


DURA-ACE(デュラエース)9000番 R9100番
ULTEGRA(アルテグラ)6800番 R8000番
105(イチマルゴ)5800番
Tiagra(ティアグラ)4700番

以降はどの機種もポリマーコーティングを使用できるとのことです。

しかし過去のモデル
DURA-ACE(デュラエース)7900番 
ULTEGRA(アルテグラ)6700番
105(イチマルゴ)5700番
Tiagra(ティアグラ)4600番
(上記機種を含み以前のモデル)

これらは互換性をもっていないということです。

つまりこれらの機種はポリマーコーティングのブレーキケーブルは使えないということです。

固定ポイントに違いがあり、最悪スッポ抜けると大変な自体に陥ります。

繰り返しになりますが、くれぐれもご注意下さい。


▶ケーブルグリスについて
以前はケーブルにグリス、、、余り使われることがなかったかのように思えますし、未だに使用していない場合も多いです。しかしケーブルはシフトもブレーキもどちらもそうですが、摺動がポイントです。安定した性能を発揮するためには潤滑をしっかりするということは大切なことです。
※インナーケーブルにグリスを使う場合は必ず固定ポイントの脱脂は必ず必要となります。

OT-SP41やBC-9000ブレーキアウターケージングはケーブル専用のグリス、”ケーブルグリス”が入っております。組み直しや長期間の安定した潤滑にはケーブルグリスを使用した方が調子がいいです。

極端な事を言ってしまうと組むときにさらっさらのオイルを塗布して組むと一時的には引きがものすごく軽くできますが、長持ちはしません。またオイルの種類によってはアウターケージングのライナーへの攻撃性も考えられなくはありません。ケーブルは一度組んでしまうと通常の場合は次回交換まで組みっぱなしになる場合がほとんどです。
となると一時的な軽さよりも次回組むときまで、長い目で見て安定したレスポンスが期待できる専用のグリスを使うことをお勧めいたします。

※SLRブレーキアウターは通常のDURAグリス推奨です。
▶まとめ
ということで2020年カタログ版よりシマノ純正ケーブルの種類を更新させていただきました。

こう見てみるとあれだけシフトケーブルがドンドン新しいものが出てくるのに、ブレーキケーブルは基本据え置きということです。
少しひねくれた考え方をしてみればブレーキはほぼ不具合がない、完成に近い状態を出せているのか。
またシフトは、、、まだまだ改良の余地がある、ということなのかもしれません。
ポリマーは、、、剥がれて詰まるんですヨ、(´Д`)ハァ……
下手したらインナーが抜けないぐらい強烈に詰まっているものもみます。。。

ケーブルの選択もしかりですが、しっかり組んであるバイクの調子のいいことと来たら無いです。
スモールパーツ一つ組み方が違うだけも調子は全然変わってきます。
まずは正しく組むということはとても大切なことですネ。

あと最近流行りのケーブルがハンドルの内装式のものなんかはやはりケーブルに負担がかかりやすいように思えます。STI出口付近で結構な角度がついてしまうことでのシフトインナー断裂を何件か見ました。。。
最低1年に一回は交換したしたほうがいいと言われてはおりますが、こういった特殊な形状のものを使っている場合は1年間放置しっぱなしではなくて、ときどき確認をしておいたほうがいいと思います。

ということで2020年更新版シマノ純正ケーブルのまとめでした。



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