ロードバイクの締め付けトルク管理とトルクレンチ



ロードバイクの整備で締め付けトルクの管理は非常に重要です。

適切なトルク管理が必要なのはカーボン製品だけではありません 。

先日ご紹介させていただいたスターファングルナットも締付けトルクが大幅に上回れば持ち上がってしまったり場合によってはめくれたり、またボルトもそこまで太いものを使用しているわけではありませんので、当然スメつけトルクが強すぎればねじ切れたりと不具合が生じます。

緩すぎても締め付け過ぎてもダメ。ならばどうするか、、、

そこで適切な締め付けトルク管理をするために締付けトルク管理をするための工具が必要になってくるわけです。

いわゆる手で力加減を調整する【手ルクレンチ】も大幅にズレが称していればとても危険です。

ロードバイクの締付けトルク管理では車やオートバイと違ってとても小さな力(低トルク)を細かく見れることが必要となります。

まずは締付けトルクとはと言ったお話しからです。

締付けトルクとは
ボルト,ナットの間に部材を挟み、仮締めから完了まで締め付ける際には、回すための力が必要となる。これがトルクで、その時に必要な力を締付トルクと言います。
一般に、普通のねじは、径が大きくなると締付けに大きなトルクを必要とするので、テコの原理で手を掛ける位置(力の作用点)がねじの中心から離れている方が、締め付けが容易である(力が少なくてすむ)ので、スパナの柄の長さは、ねじ径に応じて長くしてあります。
weblio辞典より抜粋  http://www.weblio.jp/content/締付トルク

簡単に言ってしまうと【ネジを締め付ける力】のことですね。

単位はというと現在はN・m(ニュートンメートル)が主に使われています。

N・mとは
ボルトに長さ1mの長いレンチをかけてその先端に1kgのおもりをぶら下げたときに掛かる力でこれが【1kgf・m】で大雑把に言うと1N・m≒1kg・m(ちょっとだけN・mのほうが小さいです)というようになります。

こんなことは覚えておかなくても現在は販売中の製品はほぼN・mで表記されておりますのでだいたいこのぐらいの力なんだなぁと覚えておいていただければと思います。


主要パーツの締付けトルク参考値です。
※下記の表はあくまでも参考値です。
 カーボン製品は締付けトルクが事なる場合がございます。
 各製品のマニュアルを良くご参照ください。



本体  トルク値   単位 
ブレーキ 本体 8.0-10.0 N・m
ブレーキシュー 5.0-7.0 N・m
ケーブル 6.0-8.0 N・m
フロントディレイラー バンド式本体 5.0-7.0 N・m
シフトケーブル 6.0-7.0 N・m
リアディレイラー 本体 8.0-10.0 N・m
シフトケーブル 6.0-7.0 N・m
ペダル 本体 35.0-55.0 N・m
クリート 5.0-6.0 N・m
クランク BB 35.0-50.0 N・m
クランクキャップ 0.7-1.5 N・m
クランクボルト 12.0-14.0 N・m
チェーンリングボルト 12.0-16.0 N・m
カセットスプロケット ロックリング 30.0-50.0 N・m
ハンドルバー ステムクランプ部 5.0-8.0 N・m
ヘッドパーツ 玉当り、ガタ調整 1.0-2.0 N・m
ステム コラム部 5.0-8.0 N・m
サドル シートポスト台座 8.0-20.0 N・m
シートポスト クランプ部 4.0-8.0 N・m

※ハブ軸は現行モデル シマノ製品で15.0-17.0 N・m

おおよそですが、6角の5mmのボルトは6-10N・m、4mmで4-8N・mこのぐらいの値が多いです。

そして30N・m超えの部分は余り多くはありません。
特殊な工具を使う部分が多いです。
BB→ボトムブラケットリムーバー
ペダル→ペダルレンチ
カセットスプロケ→スプロケリムーバー
 
ということでトルクレンチで管理する上で重要となるトルクの値の幅が見えてきます。
(※トルクレンチは物によってトルクの範囲があります。)

おおよそで、1-12N・mぐらいの範囲を図れれば使い勝手が良しということでしょう。


オートバイと比べるとだいぶ低い値です。
(オイルドレンボルトのフルパワーで締めてネジ山をぶっ壊しオイルをだだ漏れにしたのは今から15年以上前のお話し、、、懐かしい限りです。)


前置きが長くなりましたが、トルクを計れる工具のご紹介です。

★トルクレンチは自転車整備用のものがおすすめです。
上にも書いたようにトルクの設定範囲が適切であり、付属ビットが自転車の整備に適したサイズが付属します。


▶トルクレンチ①

いわゆるトルクレンチと呼ばれる中でも【プリセット型】と呼ばれるものです。

予め設定した規定のトルクに達すると【カチッ】【コクッ】【チンッ】種類によって様々ですが、何らかの反応がでて教えてくれるというものです。

物によってはとても小さな音だったり、反応が小さいものもあります。
気づかないでそのまま締め込んでいくと、、、締め込んでいくことができてしまいます。くれぐれもご注意を。
トルク指定範囲:2-24N・m


▶トルクレンチ②

こちらはいわゆるプレート型トルクレンチと呼ばれるものの簡易版のような感じです。
締め込んでいくと本体がねじれます。この本体のねじれによってトルクを計測するというものです。
実際に締め込み具合を目で見て判断します。
付属ビットも六角レンチ:3、4、5、6mm、T25トルクス、と正にロードバイクの整備に適したサイズがついてきます。
トルク測定範囲:1~12N・m


▶トルクレンチ③
これは便利です。
これもいわゆるプリセット型のトルクレンチです。

トルク測定範囲:4-6N・m

そこまで広い範囲をカバーできるわけではありませんが、ヘッド周り、シートポスト等のトルク管理にはこれで十分。更に増し締めなんかもめちゃくちゃ作業スピードが上がります。
この形、そして手軽さがGOODです。

▶トルクレンチ④

測定範囲:3~60N・m
お財布に余裕があればもちろんこちら。
デジラチェ、デジタルのトルクレンチです。
規定トルクでピーピーなって教えてくれるものが多いと思います。
LED照明も同時に反応する物もありませす。
難点はビットの付属がありません。





今回は4種類のご紹介でしたが、使用方法を正しく使えばどれでもいいと思います。
初めてのトルクレンチ選びにワタクシの一番のおすすめはというと、、、
②のTOPEAKのコンボトルクレンチがいいかなぁと思います。
何故かというと、アーレンに一番感覚が近いからです。そしてやすいです。

そして単純なものほど故障が少ないです。
正しく使えば結構正確に計れます。 

作業が増えてくるに従って上の①のトルクレンチは幅広く使えます。
こういった少々お安い商品は少々精度の不安が心配な無いわけではありません。精度を求めるのであれば値段が10倍ぐらいになります。

あくまでもこういったものを使用するときも手の感覚で明らかにおかしい、異常だ、と思うのであればもっと単純な構造の②TOPEAKで調べてみるとかしてみるといいと思います。

それにしたって一本持っていればかなり幅広くしっかりとトルク管理が行えます。

④は一本あれば、、、もう手ルクに頼ることはなくなるはずです。
少々高いのが難点ですが、特に手先の感覚に自信の無い方、正確トルク管理をしたい場合はこういったものを使用するということも、安全を守る上では大切な選択だと思います。

自転車の工具って結構職種な工具が多くて全部を一気に揃えるといくらお小遣いがあっても足りません。

少しずつ自分の整備のレベルに合わせて必要な物をちょこちょこ買い集めていくのが奥さんにもバレずにうまくいくのではないかと思います(笑

もちろん締付けトルクの適正な管理というものはカーボン製品だけではなくて、鉄でもアルミでも例外なく安全のためにも、心の安心のためにも大切です。
締め付け過ぎてもダメ、緩すぎてもダメ、、、自転車整備は難しいです。。。

ということでロードバイクの締め付けトルク管理 トルクレンチ選びのお話しでした。

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