ロードバイクのヘッドパーツ ~構造と仕組み~
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大幅に更新いたしました。
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今回はヘッドセットのメンテナンスや調整に欠かせないヘッドパーツの構造と仕組みのお話しです。
構造を理解せずに調整することは調整不足になるだけではなく、場合によっては壊してしまう場合もあります。

またヘッドパーツはしっかりとメンテナンスをしておかないと結構動きが悪くなったり、錆びてしまったり、トラブルのもとになります。一生懸命乗っている方のほうがメンテナンスをしっかりしておかないといけない部分であります。
というのも最近流行りの室内トレーニングはヘッドベアリングに対して悪影響が大きい場合が多いです。

※今回はヘッドパーツ の構造と仕組みのお話しですが、必ずしもセルフメンテナンスを推奨するわけではございません。不安がある場合はやはりプロにお任せいただけますよう、お願い致します。



早速本題へ
まずはこちらです。
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ものすごく簡単な構造です。

もう一枚、図のみにしてみます。
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各パーツについての説明です。

▶トップキャップ
主にコラム・フォークを引き上げるためについています。
上下ベアリングに適切な圧力をかけ、ガタを取るための調整に使います。
※主な役割として、ステム・フォークが抜け無いためではありません。そこまで強い力で締めつけるボルトではありません。

▶プレッシャープラグ(アンカーナット・プレッシャーアンカー等)
コラム部がカーボン製品の場合に使用します。
コラム内に挿入してアンカー(イカリの用に)、留置しておくパーツです。
コラムがアルミの場合は通常【スターファングルナット】と言うものを打ち込みます(文字通りトンカチで叩いて固定する少し乱暴といえば乱暴な取り付け方をするパーツです)が、カーボン製の場合は強度の問題などから使用ができません。そのためネジ式のアンカーを用います。

▶クラウンレース
構造的に必要ないフォークもあります。
もともとフォークがテーパー状になっていて、下部ヘッドベアリングがそのまま収まることもあります。最近はクラウンレースは使わない場合のほうが多いかもしれません。

▶ダストカバー
その名の通りゴミ・異物の混入防止のためのカバーです。
超有名所のFSA製品で国内の場合、その厚みが7.8mm、8.7mm、15mm、アルミ製、カーボン製があります。ダストカバーにはつば、Oリングが内蔵されています。

図にはありませんが、ダストカバーと上部ベアリングの間にはコニカルリングという割入りのスペーサーのようなものがあります。場合によってはコニカルリングとダストカバーの間にシムが入る場合もあります。そこはプロにおまかせしたほうがよい領域です。

実は無くても構造的にはOKなものです。ゴミ・異物の侵入からベアリングの寿命は短くなりますが、ハンドル位置を低くできます。FDJの選手のバイクでダストカバーなしのバイクがありました。

▶コラムスペーサー
ポジション調整に使ったり、引き代確保のために使用したりします。
使わない場合もあります。
主には、2mm、3mm、5mm、10mm、15mm、20mm、アルミ製、カーボン製だけではなく、チタン製等もあります。
ドレスアップ目的にも使われる場合もあります。

ちなみに富士ヒルのリング、ブロンズとか、ゴールドとかですが、このスペーサーを兼ねております。





▶トップキャップの役割と構造

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トップキャプを締め込んでいくとしっかりと留置されたプレッシャープラグ、またはスターファングルナットがボルトで引き上げられます。結果手的にコラム部(フォーク全体)が持ち上がってきます。

つまりこんなイメージです。
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アンカーにねじ込まれたボルトを引き上げるとフォークも釣られて押し上げられていきます。

つまりプレッシャーアンカー・スターファングルナットで固定されたコラム部(フォーク)を引き上げることガタをなくして上下のベアリングに適切な圧力をかけます。
これがトップキャップのボルトの役割です。


しかし適切な量のスペーサーがはいっていないとどうなるかというと、、、
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このままの状態でトップキャップを締めても、、、
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アンカーがもちあがるだけで何も意味がありません。
この状態でボルトを締め続けると、、、アンカーが壊れます。
スターファングルナットがメキメキに壊れたり、アンカーがずれてしまうのはトップキャップボルトの締めすぎによる原因が多いです。

ですのでしっかりとコラム部を引き上げるために適切な厚みのスペーサーを使用することで(もしくはコラムを適正な長さにカットする)、それによってコラムとの”差”、いわゆる引き代が必要です。
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こんな感じで5mmぐらいコラムよりもスペーサーがでている状態で締め込んでいくと、、、

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しっかりとコラムを持ち上げることができます。


簡単に考えると、、、

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地中の土管につっかえ棒をして網のグレーチングの隙間からロープで引っ張り上げることと同じです。
地面の位置までは引っ張り上げることができます。
しかし地面(グレーチング)と土管の隙間がなくなった時点でそれ以上は引き上げることができなくなります。
※地面がトップキャップってことです。

★トップキャップを締め付けすぎると?
プレッシャーアンカーはずれて、スターファングルナットはこわれます。
場合によってはトップキャップボルトとアンカーのネジが壊れます。
もしくはトップキャップがぶっ壊れます。
要はどこかしらが壊れます。
トップキャップの締め過ぎにはくれぐれもご注意下さい。

トップキャップの締め付けは”荷重がかかっても”、ガタが出なければいいぐらいです。思いっきり締める必要はありませんが、適正な圧力は必要です。

スターファングルナットはずれたり動いたりしてしまった場合は再利用は不可の場合が多いですので、曲がったものを抜去、その後新品を打ち込み直す必要があります。


▶大切なのは”引き代”
コラムカット時なんかにビシっとツラを揃えてしまうといつまでたってもガタが取れないどうしようもないヘッド回りが出来上がります(笑
というものこういう理由です。

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赤色の点が【引き上げ代】です。
引き上げ代がないとコラムを持ち上げることができません。もしもこの引き代が取れない場合はスペーサーを入れることで調整をします。

★ベタ切りに関して
トップキャップ→ステム、いわゆるベタ切りのほうがスッキリします。
しかしコラムのベタ切りは推奨していないメーカーもありますし、構造的に考えて強度の不安が出ることもあります。
コラムは締め付ける方向(外側からの)に力が加わり、ピンポイントでプレッシャーアンカーが入っていることで、内側からも圧力がかかります。これにより更に強度があがります。
プレッシャープラグ云々を抜きにしても、サランラップの芯を潰すときにさきっぽの方を潰したほうが潰れやすいですが、真ん中を潰そうとしても難しいです。
ベタ切り専用ステムや、強いこだわりがない場合は、万が一の安全のため、心の安心のために上部に5mmのスペーサー1枚残す、これを推奨しております。


▶上部ベアリング・下部ベアリング
ヘッドチューブ内には上下2つのベアリングがはいっています。
最近はシールドタイプのベアリングの場合が多いです。
なんだっけ、、、インテグレーテッド、、、?

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上ベアリングと下ベアリングの大きさが違います。

これが【上下異径ヘッド】とか呼ばれるものです。その他だと【上下異径ベアリング】【上下異径コラム】、、、なんでもいいんですが、要はヘッドパーツの上と下のベアリングの径が違うよってことです。

当然違う系のベアリングが入るためにはコラムの太さが上下で違います。
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コラム部はテーパー上になっています。

上下異径ヘッドも最近では減ってくる傾向にあります。
ケーブルフル内装のバイクの場合、もちろんメーカー専用品を使う場合もありますが、FSAではACRというシステムがあります。
これはベアリングの内部をケーブル類が通るものです。ケーブルを通すために、上部ベアリングも1.5サイズを使用しています。
今後内装化が進むと異径ヘッドも過去の産物となるのでしょうか。。。



▶ヘッドパーツのカタログ
でこれを踏まえてFSAのヘッドセットのカタログを見てみます。

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・1-1/8in Upper,1.5in Bottom
→これはベアリングの寸法で【上部:1-1/8インチ上部、下部:1.5インチ】ですよってことです。
 つまり上下異径(上下で径が違う)ってことです。

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外したベアリングにも書いてあります。
【36°×45°】とは?と言うとこんな画像を見てみるとわかるかと思います。

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これの【OA(アウターアングル)】【IA(インナーアングル?)】です。
(※なんか最近は色々な規格が乱立しすぎて複雑です。間違っていたらご連絡お願い致しますm(_ _)m)

これ以外だと
ID(インナーダイヤメーター)(内側の径)
OD(アウターダイヤメーター)(外側の径)
H(ハイト)(高さ)、、、です。

ヘッドセットはものすごい種類があります。
よく使われるサイズのベアリングはお店にも在庫がありますが、特殊なサイズの場合は基本的にフレーム購入店舗にてお取り寄せとなる場合が多いです。



▶ヘッドパーツの組付け
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この部分です。
基本的に叩いて圧入するもので、専用工具が必要になります。
クラウンレースには下部ベアリングがぴたりとハマるように、角度がついています。
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つまり下部ベアリングの内側とクラウンレースの角度はあっていないとだめよってことです。

ピッタリはめるとこんな感じになります。
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最初の方にも書きましたが、最近のフレームの多くはクラウンレースが不要なフォークが多いです。

組んでいきます。
クラウンレースの不要なフォークです。
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下部ベアリングを入れます。
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ヘッドチューブに差し込みます。
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上部ベアリングを取り付けます。
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このままだとベアリングとコラムはスッカスカです。
コニカルリングを入れます。
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これがコニカルリングまでハマった状態です。

いちばんステムを低くしたい場合は、この上にステムを付けます。が汚れに異常に弱くなりますのであくまでも最終手段です。

基本的にはこの上にダストキャップを付けて、ステムを入れ、スペーサーで引き代を取ります。
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2mmぐらいあれば良いです。(トップキャップの形状によります

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最後はトップキャップの調整です。


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多少オーバーな絵ですが、トップキャップのボルトを締めることで、フォークコラム全体を引き上げて、各所のガタ(隙間)をピチッと締めてあげるってことです。

この調整をトップキャップで行います。
シールドベアリングは締めすぎても通常のむき出しのベアリングよりも弊害は出にくいですが、ヘタすれば各所がぶっ壊れます。

つまりトップキャップの締め付けは【固くなったところから1/4回転】なんて言いう場合もありますが、かなり適当なたとえで、要は締め付けすぎてはだめよってことです。
ココは非常に言葉で表すのが難しいところで、締め付けすぎても、ゆるすぎても駄目です。

調整後、必ず確認をします。ガタが出ていないかだけではなく、ヘッドの動きはスムーズかも非常に重要です。確認でもしもガタが出た場合はトップキャップで再度確実にガタをとる必要があります。
このときに、ステムのボルトを緩めずにトップキャップを締め込むとガタは絶対に取れませんし、下手すれば各所が壊れます。必ずトップキャップボルトでのガタ調整の際はステムのボルトを緩めてから行う必要があります。というのはなぜか、というのが今回のヘッドパーツの構造を理解することでわかるようになると良いと思います。

このヘッドパーツの調整によるトラブルですが、実は結構多いです。
・アンカーが取れない
・ガタが取れない
・アンカーがずれる
等、トラブルは一筋縄では行かない場合が多く対処はやはりひどくなる前に、プロにおまかせするのがよいと思います。

ということで今回はロードバイクのヘッドパーツの構造と仕組みのお話しでした。



ちなみに上部ベアリングは汗、ドリンク、雨等の影響を受けやすく、下部ベアリングは路面から拾ってしまう砂や泥水の影響をうけやすいです。
でどっちが汚れやすいかというと、、、圧倒的に下部のベアリングのほうが早くダメになることが多いです。

ですが最近ブームの室内トレーニング、これは上部ベアリングをあっという間にボロボロサビサビにしてしまうことがあります。
しかしこれはグリスをきちんと入れておくことで予防できます。
もしも不安な場合は、ボロボロサビサビになる前、お早めにご相談下さい。



参考ページ




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