プレッシャープラグ(アンカーナット)を考える ヘッドパーツのガタって?
プレッシャープラグ(アンカーナットとかプレッシャープラグとか、、、)色々な言い方がありますが、スターファングルナットを使えない【カーボンコラム】に用いるパーツのお話しです。
アルミのコラムの方が頑丈なので、スターファングルナットのような金属製のものをガンガンぶち込んでも壊れにくいのですが、カーボンコラムはそうは行きません。カーボンの構造を考えると【剥離】や【割れ】のような事が起きてしまうことが考えられます。
まずはそもそもプレッシャープラグってどんな物かって言うと、、、
おさらいがてらヘッドパーツのお話しを再度見てみます。
ロードバイクのヘッドパーツ 構造と仕組み
①プレッシャープラグでフォークを引き上げることで適切な玉当り、及びガタ取りを行う。
②ステムのコラムクランプを締め付けることで、ハンドル・ステムとフォークを固定
構造を理解してしまうのが1番の近道で、少し内容が重なるところがあるかと思うのですが、大切なところなので確認がてらプレッシャープラグの役割に付いてのおさらいというお話しです。
※プレッシャープラグ・アンカーナットとスターファングルナットは機能的には同じ機能をです。
今回はプレッシャープラグ・アンカーナットのお話しですが、スターファングルナットでも同じことが言える部分があります。
赤のジグザグの部分がコラムとしっかりと食いついてトップキャップを締め込んでいった際に【ズレない・ずれてはイケない部分】ということです。
アンカー単品で見ると、、、
アンカー部のネジを締め込むことで引っかかる部分(下の【ウス】の部分)が広がってコラム内部に固定されます。なので「ウス」にはどれも切れ込みが入っていて広がっていくようにできています。
※少し構造は違っても基本的にこれと同じような原理になっています。
画像はセンプレの純正品です。少々一般的なプレッシャープラグとは違いますが、トップキャップは6mm六角で緩めて、アンカー部は4mm六角を締め込むことでウスが開いて固定されます。
トップキャップの方が太い六角の穴が空いておりますので、トップキャップを付けたままでもアンカーの締め付けトルクアップができます。
まずは【ガタ】のお話しから
▶【ガタ】とは・・・
実際に走っていてフロント周りから「なんかガタガタする」なんて思ったら確認をします。
フロントブレーキを強く握ってハンドルを前後に揺する。
フロントを10cmぐらい持ち上げて地面に落とす。
こんなコトをした時の【音のビビリ】【ガタ音】【ガタ感覚】でいわゆる【ガタ】をみます。
【カタカタ】【ガタガタ】これらのことを総称して【ガタ】といい、主に不適切なトップキャップでの調整によって起こる減少です。
おさらいになりますが、とは各所がピッタリとハマっていないことによる【隙間】が犯人なわけです。
ガタがあるとベアリング、フレーム、その他もろもろの場所が壊れてしまうことがあります。
そこで適切なガタ取りが必要になってくるということです。
▶プレッシャーアンカー・アンカーナット、スターファングナットの役割
おさらいになりますが、これはフォークを引き上げるということです。
トップキャップを締めることで、フォークを引き上げて各所の隙間がなくなるようにします。
▶ガタが出たら?
では次は実際にガタが出たらどうするかということです。
「トップキャップをしめればいいんじゃ?」
これでは一向にガタは取れません。
犯人はステムです。
画像の黄色の部分を見ていただければわかるかと思うのですが、【ステム】と【コラム】がガッツリ【固定】されています。
何らかの原因でガタが出てしまったときにトップキャップだけを締めてもフォーク(コラム部)は持ち上がってきません。ステムがジャマをしているんです。
各所のガタ(隙間)をなくすためにはコラムが引き上がる必要があります。
要は内側の筒(コラム)が上方向に移動しないといけません。
ですのでステムを緩めてからトップキャップを締め込むことでコラム部を持ち上げて隙間をなくす。これがいわゆるガタ取りということです。
ものがいっぱいあるとわかりづらいのですが、物凄くシンプルに表すとこんな感じです。
内側を引っ張れば当然、隙間は埋まります。
しかし下のスペーサー(ステム)が固定されていれば下の隙間は変わりません。
というのをもう少し細かく見ると、、、
こうなります。
ステムが固定されていないと画像左のように、内側の筒(コラム)が引き上がります。
しかしステムが固定されていると画像右側のように、引き上げようとしてもステムが引っかかってコラムが持ち上がってきません。
正にステムを緩めないでトップキャップを締めるということはこういったことをやっているということです。
このままムリに締め上げていくとどうなるのかというと、、、
アンカー部本体がコラムにくっついている固定力よりも引き上がる力のほうが強くなれば、
プレッシャーアンカー・アンカーナットの場合
→アンカーがズレる、もしくは壊れる
スターファングルナットの場合は
→スターファングルナットが持ち上がってきてしまう。
この場合はめくれて持ち上がってくるのでナット自体がガタガタになります。
という現象がおきます。
▶ガタの原因
パーツ・フレームは正常なものとします。
時々各所が壊れている、また精度が出ていないため起こることではありますが、「最初は大丈夫だった。」「不具合がでたことに何もきっかけはない。」ということであれば整備を疑うのが先決かと思います。
①ステムのコラムクランプ部の固定不具合
何にもパーツをいじっていないでガタが出る場合はほぼほぼこれが原因です。
トップキャップはステムを締めてしまえば後はおまけみたいなもんです。
前述のようにステムとコラムが固定されていればトップキャップはしめようが、ゆるめようがステムより上の部分しか動きません。
トップキャップの役割は
→玉当り、ガタ取り
→抜け落ち防止
が主な役割ですので、しっかりとステムがずれないように対策を考える必要がります。
走行でガタが出てきてしまう原因は主に、トップキャップの緩みではなくて、ステムの緩みズレ、によるものが大きいのではないかと思います。原理的に考えればステムさえしっかりとついていればトップキャップはたとえ外してもガタが出ることはありません。トップキャップで引き上げてステムで固定してありますからね。
注)安全のために絶対にトップキャップを外して走行してはだめです。
a.コラムクランプ部にファイバーグリップ(カーボン製品のすべり止め)を使うや、適切なトルク管理。
b.プレッシャープラグの確認
これが緩いと適切な量をひきあげることができません。
プレッシャーアンカー・アンカーナットはトップキャップで引き上げる力よりも強い固定力、が必要になります。
トップキャップを締め付けることでフォークが持ち上がってきますので最低限、実際にフォークを持ち上げるだけの固定力がプレッシャーアンカー・アンカーナットには必要ということです。
「トップキャップの締め付け具合はどんなもん?」こんなコトをよく聞きますが、これはアンカーナット(スタファンでもプレッシャープラグでも同じですが、)がずれない程度の締め付けでガタをとる。ということです。
ガタがなくなれば後はステムでコラムクランプを固定してしまえばズレることはありません。
これでずれてしまう場合はコラムクランプ部の滑り対策を行う必要があります。
これは機材面での不具合がない場合です。
原因②
トップキャップの引きしろ不足です。
一番上のスペーサー(もしくはステム)はコラムよりも飛び出していなければ駄目です。
コラムカット後や、ステム交換後でこの【引きしろ】が確保されていないとガタが取れない原因になります。
コラムカットの際は必ず引きしろを確保した長さで切ります。
またステム交換の際はスタックハイトを確認します。
※ステムのコラムクランプ部の高さということです。
もしここが狭すぎる場合は、十分な引きしろを取れるようにスペーサーで調整してあげる必要があります。
▶確認方法
①トップキャップを開けてみて【引きしろ】が十分にあるかどうかを確認します。
②十分にある場合はアンカーナット(スタファンでもプレッシャーアンカーでも)の取り付けを確認します。
→プレッシャープラグは締め付けの確認。
※締めすぎでコラム部破損の恐れがあります。
曖昧な表現ではありますが、プレッシャープラグの固定は【トップキャップでガタをとるときに締め込んでもずれない程度】の締め付けが必要です。また最後の増し締めの際はステムを取り付けてからだとコラム部が広がりにくい、ということもあるようです。
③ステムをゆるめてトップキャップを締め込んでガタ取りをとります。
トップキャップの締め付けはアンカーがズレないぐらいの力でガタがしっかりと取れるように締め込みます。
→トップキャップの締め付けはガタがなくなればいいということです。
必要以上に締め込む必要はありません。
④ステムがずれないようにすべり止めを塗るなり、適正なトルクで締め付けます。
※同じくステムの締め付けも適正でないとコラム部の破損や、ネジがちぎれたり不具合があります。
アンカーの位置で締め付けると強度が出る気がします。
⑤最後にトップキャップを再度緩めて締め付けます。
機材面での不具合がなければこれでガタが取れるはずです。
※ステムに記載のトルク値は限界値であり、コラム側の限界値も設定がある場合があります。
限界値まで締め付ければいいというものでもありません。
では実際にアンカーナット・プレッシャープラグはどんなものがあるかをみてみます。
▶Dixna
長い面積でしっかりと固定できます。
接触面はザラザラのヤスリのようなものです。
カーボン製品との固定といえばシマノのブレーキ本体のワッシャーです。
ブレーキナットはアルミフォークははギザギザのアルミ、カーボン用はこのヤスリのようなものを使用するようになっています。
ってことはこの材質形状が材質へのダメージも考えて、ズレ防止にいいというのはシマノの見解ということでしょう。
そして他のアンカーナットと違いゆるゆるの状態でコラム内に入れてもコラム内部に落っこちる心配がないです。
というのも上部の引っ掛かりが脱落防止になります。
しかしすこし引きしとに余裕が無いとパツパツになってしまうかもしれません。
またこれの長さはステムのコラムクランプ部をしっかりと内側から支える構造になりますのでコラム部の強度アップ目的としても一役買ってくれるという考え方もあります。
▶ヒラメ
マルチプレッシャープラグと言うものです。
安定のヒラメ製です。
これも固定には大変評価の高いパーツです。
固定部は細かい凸凹です。
難点は少々重い、、、
主に固定部の形状が上のDixnaようにヤスリのように細かいザラザラのもの(FSA、ミスターコントロール等)と、ヒラメのようにゴツゴツした素材(シマノプロ、KCNC、タンゲ等)に分かれます。
どっちがいいかと言われれば、、、固定できればどっちでもいい気がします。
アタリが優しいのは細かいヤスリタイプのものなのかなぁ、、、シマノもブレーキの回り防止に使ってるし。。。
ちなみに、、、
※左はシマノプロ製、右はFSA製のセンプレ純正品です。
(プロはゴツゴツ製なんですね。)
もうセンプレの純正品なんてしょぼくてしょぼくて、、、
固定部がものすご~く貧相ですが、これだって特に不具合なく運用できています。(多少詰め物はしていますが、、、)
アンカーナットは時々不具合なんかを目にしますが、どちらかというと整備が上手く行っていなくて不具合がでている、そんなことが非常に多いです。
ガタを取るために、ステムを緩めないでトップキャップばかりを回したって一向にガタは取れないどころか、多分どっかしら壊れることになってしますね。
ということで構造を理解すればガタの原因がわかりやすくなります。
原因がわかると問題の解決につながります。
プレッシャープラグ(アンカーナット)を考える ヘッドパーツのガタって?というお話しでした。
+++おまけ+++
ちなみにワタクシがカット済みのカーボンコラムでどのくらい耐えられるのか実験してみましたが、かなり耐えられました。
今回は何社かのカット済みカーボンコラム部で試しましたが、どれもコラムが割れることはありませんでした。
トルクレンチで8N・mでもびくともしません。それ以上は逆にネジがねじ切れそうでやめました。
(シマノステムのネジのバラ売りはしていないもので、、、)
ちなみにステム側の最大トルクは6N・m、、、
そういえば以前某メーカーの人と話したときにカーボン製の各所「どんぐらい力かけたらぶっ壊れますか?」なんて聞いてみたことがあるのですが(メーカーは多くの症例をもっているでしょう。)、「場所によってはネジのほうが早く破断します。」なんてことをいっていたような気がしますが、、、なんか分かる感じがします。
注)だからといってとんでもないパワーで締め付けていいというものではありませんヨ。
適正な締付けトルクを守りましょう!
++++++++++
プレッシャープラグ(アンカーナットとかプレッシャープラグとか、、、)色々な言い方がありますが、スターファングルナットを使えない【カーボンコラム】に用いるパーツのお話しです。
アルミのコラムの方が頑丈なので、スターファングルナットのような金属製のものをガンガンぶち込んでも壊れにくいのですが、カーボンコラムはそうは行きません。カーボンの構造を考えると【剥離】や【割れ】のような事が起きてしまうことが考えられます。
まずはそもそもプレッシャープラグってどんな物かって言うと、、、
おさらいがてらヘッドパーツのお話しを再度見てみます。
ロードバイクのヘッドパーツ 構造と仕組み
①プレッシャープラグでフォークを引き上げることで適切な玉当り、及びガタ取りを行う。
②ステムのコラムクランプを締め付けることで、ハンドル・ステムとフォークを固定
構造を理解してしまうのが1番の近道で、少し内容が重なるところがあるかと思うのですが、大切なところなので確認がてらプレッシャープラグの役割に付いてのおさらいというお話しです。
※プレッシャープラグ・アンカーナットとスターファングルナットは機能的には同じ機能をです。
今回はプレッシャープラグ・アンカーナットのお話しですが、スターファングルナットでも同じことが言える部分があります。
赤のジグザグの部分がコラムとしっかりと食いついてトップキャップを締め込んでいった際に【ズレない・ずれてはイケない部分】ということです。
アンカー単品で見ると、、、
アンカー部のネジを締め込むことで引っかかる部分(下の【ウス】の部分)が広がってコラム内部に固定されます。なので「ウス」にはどれも切れ込みが入っていて広がっていくようにできています。
※少し構造は違っても基本的にこれと同じような原理になっています。
画像はセンプレの純正品です。少々一般的なプレッシャープラグとは違いますが、トップキャップは6mm六角で緩めて、アンカー部は4mm六角を締め込むことでウスが開いて固定されます。
トップキャップの方が太い六角の穴が空いておりますので、トップキャップを付けたままでもアンカーの締め付けトルクアップができます。
まずは【ガタ】のお話しから
▶【ガタ】とは・・・
実際に走っていてフロント周りから「なんかガタガタする」なんて思ったら確認をします。
フロントブレーキを強く握ってハンドルを前後に揺する。
フロントを10cmぐらい持ち上げて地面に落とす。
こんなコトをした時の【音のビビリ】【ガタ音】【ガタ感覚】でいわゆる【ガタ】をみます。
【カタカタ】【ガタガタ】これらのことを総称して【ガタ】といい、主に不適切なトップキャップでの調整によって起こる減少です。
おさらいになりますが、とは各所がピッタリとハマっていないことによる【隙間】が犯人なわけです。
ガタがあるとベアリング、フレーム、その他もろもろの場所が壊れてしまうことがあります。
そこで適切なガタ取りが必要になってくるということです。
▶プレッシャーアンカー・アンカーナット、スターファングナットの役割
おさらいになりますが、これはフォークを引き上げるということです。
トップキャップを締めることで、フォークを引き上げて各所の隙間がなくなるようにします。
▶ガタが出たら?
では次は実際にガタが出たらどうするかということです。
「トップキャップをしめればいいんじゃ?」
これでは一向にガタは取れません。
犯人はステムです。
画像の黄色の部分を見ていただければわかるかと思うのですが、【ステム】と【コラム】がガッツリ【固定】されています。
何らかの原因でガタが出てしまったときにトップキャップだけを締めてもフォーク(コラム部)は持ち上がってきません。ステムがジャマをしているんです。
各所のガタ(隙間)をなくすためにはコラムが引き上がる必要があります。
要は内側の筒(コラム)が上方向に移動しないといけません。
ですのでステムを緩めてからトップキャップを締め込むことでコラム部を持ち上げて隙間をなくす。これがいわゆるガタ取りということです。
ものがいっぱいあるとわかりづらいのですが、物凄くシンプルに表すとこんな感じです。
内側を引っ張れば当然、隙間は埋まります。
しかし下のスペーサー(ステム)が固定されていれば下の隙間は変わりません。
というのをもう少し細かく見ると、、、
こうなります。
ステムが固定されていないと画像左のように、内側の筒(コラム)が引き上がります。
しかしステムが固定されていると画像右側のように、引き上げようとしてもステムが引っかかってコラムが持ち上がってきません。
正にステムを緩めないでトップキャップを締めるということはこういったことをやっているということです。
このままムリに締め上げていくとどうなるのかというと、、、
アンカー部本体がコラムにくっついている固定力よりも引き上がる力のほうが強くなれば、
プレッシャーアンカー・アンカーナットの場合
→アンカーがズレる、もしくは壊れる
スターファングルナットの場合は
→スターファングルナットが持ち上がってきてしまう。
この場合はめくれて持ち上がってくるのでナット自体がガタガタになります。
という現象がおきます。
▶ガタの原因
パーツ・フレームは正常なものとします。
時々各所が壊れている、また精度が出ていないため起こることではありますが、「最初は大丈夫だった。」「不具合がでたことに何もきっかけはない。」ということであれば整備を疑うのが先決かと思います。
①ステムのコラムクランプ部の固定不具合
何にもパーツをいじっていないでガタが出る場合はほぼほぼこれが原因です。
前述のようにステムとコラムが固定されていればトップキャップはしめようが、ゆるめようがステムより上の部分しか動きません。
トップキャップの役割は
→玉当り、ガタ取り
→抜け落ち防止
が主な役割ですので、しっかりとステムがずれないように対策を考える必要がります。
走行でガタが出てきてしまう原因は主に、トップキャップの緩みではなくて、ステムの緩みズレ、によるものが大きいのではないかと思います。原理的に考えればステムさえしっかりとついていればトップキャップはたとえ外してもガタが出ることはありません。トップキャップで引き上げてステムで固定してありますからね。
注)安全のために絶対にトップキャップを外して走行してはだめです。
a.コラムクランプ部にファイバーグリップ(カーボン製品のすべり止め)を使うや、適切なトルク管理。
b.プレッシャープラグの確認
これが緩いと適切な量をひきあげることができません。
プレッシャーアンカー・アンカーナットはトップキャップで引き上げる力よりも強い固定力、が必要になります。
トップキャップを締め付けることでフォークが持ち上がってきますので最低限、実際にフォークを持ち上げるだけの固定力がプレッシャーアンカー・アンカーナットには必要ということです。
「トップキャップの締め付け具合はどんなもん?」こんなコトをよく聞きますが、これはアンカーナット(スタファンでもプレッシャープラグでも同じですが、)がずれない程度の締め付けでガタをとる。ということです。
ガタがなくなれば後はステムでコラムクランプを固定してしまえばズレることはありません。
これでずれてしまう場合はコラムクランプ部の滑り対策を行う必要があります。
これは機材面での不具合がない場合です。
原因②
トップキャップの引きしろ不足です。
一番上のスペーサー(もしくはステム)はコラムよりも飛び出していなければ駄目です。
コラムカット後や、ステム交換後でこの【引きしろ】が確保されていないとガタが取れない原因になります。
コラムカットの際は必ず引きしろを確保した長さで切ります。
またステム交換の際はスタックハイトを確認します。
※ステムのコラムクランプ部の高さということです。
もしここが狭すぎる場合は、十分な引きしろを取れるようにスペーサーで調整してあげる必要があります。
▶確認方法
①トップキャップを開けてみて【引きしろ】が十分にあるかどうかを確認します。
②十分にある場合はアンカーナット(スタファンでもプレッシャーアンカーでも)の取り付けを確認します。
→プレッシャープラグは締め付けの確認。
※締めすぎでコラム部破損の恐れがあります。
曖昧な表現ではありますが、プレッシャープラグの固定は【トップキャップでガタをとるときに締め込んでもずれない程度】の締め付けが必要です。また最後の増し締めの際はステムを取り付けてからだとコラム部が広がりにくい、ということもあるようです。
③ステムをゆるめてトップキャップを締め込んでガタ取りをとります。
トップキャップの締め付けはアンカーがズレないぐらいの力でガタがしっかりと取れるように締め込みます。
→トップキャップの締め付けはガタがなくなればいいということです。
必要以上に締め込む必要はありません。
④ステムがずれないようにすべり止めを塗るなり、適正なトルクで締め付けます。
※同じくステムの締め付けも適正でないとコラム部の破損や、ネジがちぎれたり不具合があります。
アンカーの位置で締め付けると強度が出る気がします。
⑤最後にトップキャップを再度緩めて締め付けます。
機材面での不具合がなければこれでガタが取れるはずです。
※ステムに記載のトルク値は限界値であり、コラム側の限界値も設定がある場合があります。
限界値まで締め付ければいいというものでもありません。
では実際にアンカーナット・プレッシャープラグはどんなものがあるかをみてみます。
▶Dixna
|
接触面はザラザラのヤスリのようなものです。
カーボン製品との固定といえばシマノのブレーキ本体のワッシャーです。
ブレーキナットはアルミフォークははギザギザのアルミ、カーボン用はこのヤスリのようなものを使用するようになっています。
ってことはこの材質形状が材質へのダメージも考えて、ズレ防止にいいというのはシマノの見解ということでしょう。
そして他のアンカーナットと違いゆるゆるの状態でコラム内に入れてもコラム内部に落っこちる心配がないです。
というのも上部の引っ掛かりが脱落防止になります。
しかしすこし引きしとに余裕が無いとパツパツになってしまうかもしれません。
またこれの長さはステムのコラムクランプ部をしっかりと内側から支える構造になりますのでコラム部の強度アップ目的としても一役買ってくれるという考え方もあります。
▶ヒラメ
|
安定のヒラメ製です。
これも固定には大変評価の高いパーツです。
固定部は細かい凸凹です。
難点は少々重い、、、
主に固定部の形状が上のDixnaようにヤスリのように細かいザラザラのもの(FSA、ミスターコントロール等)と、ヒラメのようにゴツゴツした素材(シマノプロ、KCNC、タンゲ等)に分かれます。
どっちがいいかと言われれば、、、固定できればどっちでもいい気がします。
アタリが優しいのは細かいヤスリタイプのものなのかなぁ、、、シマノもブレーキの回り防止に使ってるし。。。
ちなみに、、、
※左はシマノプロ製、右はFSA製のセンプレ純正品です。
(プロはゴツゴツ製なんですね。)
固定部がものすご~く貧相ですが、これだって特に不具合なく運用できています。(多少詰め物はしていますが、、、)
アンカーナットは時々不具合なんかを目にしますが、どちらかというと整備が上手く行っていなくて不具合がでている、そんなことが非常に多いです。
ガタを取るために、ステムを緩めないでトップキャップばかりを回したって一向にガタは取れないどころか、多分どっかしら壊れることになってしますね。
ということで構造を理解すればガタの原因がわかりやすくなります。
原因がわかると問題の解決につながります。
プレッシャープラグ(アンカーナット)を考える ヘッドパーツのガタって?というお話しでした。
+++おまけ+++
ちなみにワタクシがカット済みのカーボンコラムでどのくらい耐えられるのか実験してみましたが、かなり耐えられました。
今回は何社かのカット済みカーボンコラム部で試しましたが、どれもコラムが割れることはありませんでした。
トルクレンチで8N・mでもびくともしません。それ以上は逆にネジがねじ切れそうでやめました。
(シマノステムのネジのバラ売りはしていないもので、、、)
ちなみにステム側の最大トルクは6N・m、、、
そういえば以前某メーカーの人と話したときにカーボン製の各所「どんぐらい力かけたらぶっ壊れますか?」なんて聞いてみたことがあるのですが(メーカーは多くの症例をもっているでしょう。)、「場所によってはネジのほうが早く破断します。」なんてことをいっていたような気がしますが、、、なんか分かる感じがします。
注)だからといってとんでもないパワーで締め付けていいというものではありませんヨ。
適正な締付けトルクを守りましょう!
++++++++++
コメント
コメント一覧 (5)
いつもブログを参考にさせて頂いております。
さて、カーボンコラムについてご教授願いたいのです。
プレッシャーアンカーを締め込んだ前後でカーボンコラムが膨らむかということです。
自身で作業した際に、コラム側の設定が7N/mにもかかわらず、プレッシャーアンカー側(ヒラメ)の指定圧13N/mで締め付けてしまいました。すると、ステムをコラムに通しにくくなっていました。
緩めるとスルスル入るのですが、一度緩めて7N/mで締め付け直しても通しにくくなってしまいました。
外見的な割れ等は見られません。
参考までに当方の自転車はピナレロのカーボン車です。
お時間があればご教授お願いします。
今起きている現象が答えだと思います。
同じステムがコラムを通りにくくなってしまうのであれば締め付けによる膨張が考えられます。アンカーナットの締め付けを強めるとステムが通しにくくなるフォークはありますヨ。
逆に、コラムにプレッシャーアンカーを締めていったらどのくらい耐えるものでしょうか?いつもビビりながら締めてるので気になります。ネジやテーパーのコンディションでも圧が変わるのでネジのトルクだけだとあまり信用が出来ないので、どのくらい余裕が有るものなのでしょうか?
コメントありがとうございます。
下記のリンクに詳細がございます。
http://ff-cycle.blog.jp/archives/1071511179.html
注意点としてコラムの強度は差がかなり大きい、ということです。
メーカーによっても違いますし、モデルでも大きさがありますのであくまでも一例とお考えいただけるろ幸いでございます。
リンク先拝見させて頂きました。
思っていたよりも強いのですね。
ステム以前にプレッシャーアンカーで割れないか不安でしたが、
常識的なトルクで扱えば大丈夫そうなので安心しました。