ロードバイクのポジション出しフィッティングを自分でやる方法

先日のライドのときにどうにもこうにもポジションがあっていない気がする方がいたので自分でできるポジションだしの方法の一例をお伝えさせていただきました。

ソレにしたってロードバイクのフィッティングってものすごく高いですね。
ガッツリ調整を依頼すると30000円~とか、、、よく聞くお話しです。
ポジション出しってものすごく手間も時間もがかかります。

しかしポジション出しってものすごく大切です。
ポジションのかっちりでている自転車の気持ちのいいこと、、、それは気持ちが良かったり速くなるだけではなくて怪我や故障を防ぐこともあります。

となると、自分でちょこちょこいじるというのも一つの選択だと思います。

ということで今回はそんなときのお話しから、自分でできるポジション調整、フィッティングのお話①です。



▶何はともあれサドルの位置を決まる。


サドルの位置を決めるためには2つの手順があります。


①サドル高を決める。


ロードバイクのポジション調整 ~サドルの高さの調整~

サドル高についてはこちらで解説させていただきました。


~目安値を叩き出すための方法~

a.股下×0.875~0.885 = BB中心~サドル面


※股下はと言うとシューズを履いた状態で測るのがいいです。
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シマノのQファクターが大体146mm位ですのでおよそ15cmの開きで図るのがちょうどいいと思います。

股間に押し付けるものは硬い辞書や厚みのある程度(約4cm)くらいのものだと大体サドルと同じぐらいの太さとなります。

できれば壁沿いに真っすぐ立って誰かにはかってもらったほうが正確に測れます。

某店のフィッティングをやった際はこの股下計測の棒が上がってくるものなんですが、もういてぇのなんのってw
結構グイグイ押し付けて体を持ち上げたところから始まり、徐々に下げていき「足がついたら教えてください。。。」みたいな感じだった気がします。

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ソールの厚みはシューズにもよるとは思いますが、おおよそ10~15mmぐらいなのかなぁと思います。



b.クランクが下死点(1番遠いいところ?)でギリギリ、踵(カカト)に触れるぐらいの高さ

上記の方法から比べるとだいぶアバウトな設定です。

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ちょっと計算してみましょう。

ワタクシの場合、股下が82cm(シューズなし)ですので、BB-サドル面の高さは
aの場合は 82×0.885 = 72.57cm
bの場合は 82-クランク長(170mm )=65cm

この方法はチョット低めの設定になりそうです。



c.膝の角度で考える

膝の角度を考える上で3つのポイントがあります。

・外果(くるぶし)
・腓骨頭(膝)
・大転子(腿付け根)

この3点を直線で結ぶと言います。

下死点での捉え方だとこちらです。
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大体30°がいいということです。
これは3本ローラーを実際に漕いでいるときの映像でピッタリぐらいで良かったです(;´∀`)


もう一つはクランクが水平状態の時です、

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この時の角度が110°がいいということなんですが、上の画像は120°以上です。
と全く同じサドル高でもこういった色々な計測によって差が出てくるということです(笑


~少々脱線~でも大切だと思います。

ここで下死点のときになんで30°がいいかというところなんですが、歩くとき・走る時の姿勢を見てみます。

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※左は世界チャンピオンの走行、右側は歩行です。

実は走る際も歩く際も1番地面に設置しているときの膝の角度はほとんど一緒みたいです。

歩く走るは基本的に後ろに蹴り出す運動です。
それでも腰を深く落として歩いてみたり走ってみたりすればものすごくキツイです。
逆に腰を上げて走るにしても同様にものすごく大変です。

この時の角度が大体~30°に来ているのでは、ということです。

ということはこれ以上伸ばしたり深く曲がっている状態での運動はペダリングという不自然な運動をする上で(下支点付近での)、更に不自然な運動になって来る可能性があります。

というところから後ろに蹴り出す運動と、ペダリングはもちろん違う運動ですが、日頃こういった慣れ親しんでもう何百万、何千万回も繰り返している運動と近い関節の動き(可動域)を作り出すということは1時間のライド5000回以上繰り返す運動の中で、変な(体の自然な動きではない)動きを加えることをへらし、怪我や故障を防ぐということにもつながるのでは?という考えです。



もう一つはなんで110°なのかということです。
BSの方のお話によると踏切りの際の角度がなんでも110°辺りが一番多く力が入りやすいというお話しです。

ということで探してみました。

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まずは走り幅跳びです。
こうしてみるまではもっと屈伸(膝を曲げた)状態から踏み切っていると思っていたのですが、意外と伸びた状態から踏み切っています。(上のウォーキング、短距離走と余り変わらないです。若干深いぐらいか?)


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もちろんどちらも個人差はありますが、片足踏切に比べて両足でジャンプをするバレーボールなんかは明らかに高飛びよりも深く腰を落とし、膝の角度もよく曲がっています。

こうして見てみると両足で踏み切るジャンプのときは深く片足のときは浅いということなのではないかと言うことです。

というのも両足のスクワットって多分健康な方なら少々膝・腰に悪いですが、お尻を1番落として地面近くまで落とすやり方でも10回とかは普通にできると思います。しかしこれが片足となるとどうでしょう。片足スクワット、下手したら一回もできない方もいるのではないでしょうか。

ということから考えても深ければ力が出るというわけではありませんし、浅すぎてもいいというわけでもなく、適度な深さがいいということだと言うことです。

試しに片足スクワットをしてみるとわかりやすいと思います。

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※わかりやすく前に手をついていますが、重心はまっすぐ落としたほうがわかりやすいです。
接地はペダルを踏むであろう拇指球後方の設置で行います。
踵接地で行うとかなり変わってきてしまいます。

これはものすごく大変なところまでやらなくても大丈夫です。

楽な範囲で上下に素早く片足スクワット(ケイデンスを意識して)をしてみると、

1番持ち上がったところでも膝が伸び切っていないと思います。
伸びきる瞬間に「えいっ」とすることで膝を完全に伸ばし切る運動となりスムーズにいくためには伸ばしきらないほうが行いやすいです。

ここが一つ目のポイントです。

逆に深く腰を落とし込むことも大変です。
ペダリング中もできればこの片足スクワットで比較的楽だと思える範囲内(楽に行えるということは力が出しやすい、力がかかりやすい)で、調整するのがいいのでは、ということです。

これが2つ目のポイントとなります。

おそらくこの片足スクワットで楽な範囲での上限が上の「30°」という角度と関係してくるのではという推測です。
ここの角度が開きすぎると、日頃行わない日常的からかけ離れた運動となり、体に負担がかかることで膝裏の痛みにつながる等に繋がる可能性が考えられます。

高すぎるサドル高で膝裏が痛くなるのはよく聞くお話しです。

特に下死点付近でも下向きのパワーが残ってしまうペダリングの場合、また下死点付近での引き足、後方蹴り出し(足の裏のウ@チ泥を地面でこすり取るとように)こういった動きを意識している場合は特に負担がかかることが考えられます。

関節が伸び切った状態で過度に負荷をかけるのは体の構造的に余り好ましいことではないということです。




でワタクシの場合は現在ペダルが変わってまだまだ”ヌマー”から片足が抜け出たぐらいの状態ではありますが、

BB軸-サドル面が約73.5cmで落ち着いています。

a.82cm(股下)+シューズ1cm(仮)×0.885=73.455cm

b.82cm(股下)+シューズ1cm(仮)-17=66cm

c.下死点30°方法で73.5cm(現状の高さ)

約一名を除いて(笑、なんとなく数値が揃い始めました。


と、ココまで3つの方法をご紹介しましたが、ここで大切なのは不動の数値ではなくあくまでも目安でしか無いということです。上の数値に揃いがでたのも結果論ですから(笑

ペダルのスタックハイト・Qファクター・サドルの種類等でも変わってきますので、まずはおおよその数値として出すということです。


②サドル前後


サドル高が出たら次はサドルの前後の決め方です。

使用するのはタコ糸(釣り糸)と重りです。
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※けして太いすずらんテープなどは使わないほうがいいです。
紐の太さが5mm違えばかなりのズレが出てしまいます。
タコ糸、釣り糸等の細くて丈夫な紐がいいです。

主に言われているのは2つの方法です。

どちらもペダルは水平状態、踏み足(前の足)で調整します。

「普段ペダリングをする位置にお尻をもってくる」これがなにより最重要です。

サドルは結構座れる幅がひろいです。
普段ペダリングしないところに座っての計測だと正確な調整ができません。
あくまでも普段の乗車姿勢で、という計測・調整が大切です。

ケツの位置が定まったらそこからケツをアロンアルファで止めるぐらいの勢いで動かさないように(できれば上半身も)して計測です。
(これもできれば他人にはかっても立ったほうが正確です。)

a.膝のお皿の裏側からまっすぐおろしたところに”ペダル軸”が来るように

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1番有名な方法です。

久のお皿の後方からペダル軸を結んだラインが地面と水平にするということです。

これだと膝のお皿の後方ってどこ?という場合、また一人で計測が難しい場合はb.方法もあります。


b.膝頂点(先端)から糸を垂らして”クランクの先端”に合わせる

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要は考え方は一緒なんですが、「膝のお皿の後ろってわかりにくい」という場合に、
「”膝のお皿~後ろ側の距離”と”ペダル取付軸~クランク先端”までの距離が大体同じ」というところからこの方法の方がわかりやすいということでこの方法を用いることもあります。

どちらも”3時の方向で膝の動きが地面に対して垂直になる”また”重力を考慮して”作られた調整方法ということです。




~またまた余談~と言うかここからがメイン?


足の力がなくとも重力は常に地面に対して垂直にかかります。
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これが下支点と上支点の膝の軌道とクランクの軌道を図にしたものです。

これを見てびっくりする方もいのではないでしょうか。

まずペダリング時の股関節の可動域の狭さです。

たったこのぐらいの角度しか動いていないんですね。
股関節自体のもともとの可動域が広くないということもあります。

もちろん膝(関節)と大転子(股関節)は大腿骨でくっついていますし、長さが変わることはありません。
骨盤の傾き等によっては多少変わることはありますが、大転子を中心と捉えると原則”膝の動きは(円に沿った)往復運動”ということです。

これにクランクの軌道を考えます。
クランクは基本円運動ですので、

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こうなるわけですね。(大腿骨の長さは変わりません。)

この図を見るとわかりやすいと思いますが、ペダリングの動きとして
・股関節の伸展(股関節を伸ばす運動)
・膝関節の伸展(膝関節を伸ばす運動)
・足首関節の動き
この多関節の複合運動が主なペダリングの動きです。


で、なんで「3時で踏め」「3時がピーク」というのかというと、、、

踏み足を3分割にして考えます。
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足の動きとして体から突き放す動き、蹴り出す動きで1番効率のいいのは真ん中ということだからです。

このペダリングに矢印を入れるとわかりやすいです。

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※矢印はペダルの回転方向です。

ペダルを回すことでしか推進力は生まれませんので、回転のための力の要求方向がクランクの回転に合わせて変わります。

1番左 上支点付近での回転に対して加速力を生みたければ当然前方向の矢印ができます。
そして一番右も後ろ方向に矢印が向きます。
まずまっすぐ前に蹴り出す事ができるのか?多分厳しいですね。
そして動きで大切なのは「股関節+膝関節」の動きです。
両端の部分での動きは股関節+膝関節の角度の変化が少ない所ということです。。

上半身と自転車の構造の兼ね合いがあります。

なんでと言われると説明は難しいのですが体の構造として、上支点の通過時の動き、足を折りたたんだまま前方に出す動きは基本的に力が入りづらいです。
足を伸ばすという運動は股関節、膝関節、足首の関節の複合で行われる事が多いので1箇所でも休み気味だと途端にパフォーマンスが落ちます。(←これはさほど気にしなくても、、、)

上支点の通過に比べて下死点での後ろに蹴り出す運動のほうが馴染みがあると思います。
走るときの運動に近いです。
ですのでチョット前の教科書には靴の裏のウ@チ泥をこすり取るような、そんな事が書いてあったのではと思います。

しかし力の入りづらい上支点や下支点での動きを考えるのであれば先ず、しっかりと3時の前後でのピーク時の1番力の入りやすいポイントをまずはしっかりと捉える、これが需要視されてきています。

この3時付近の足の動きとして「股関節の伸展+膝関節の伸展」(最も自然な多関節の複合運動)足の動きで最もパワーを出すことのできる運動であるこの2つの動きのピークを迎えるのが3時付近(2時~4時)であるということです。

ものすごく簡単に言うと足の仕組みとして
「体幹から遠位に向かって蹴りはがしていく様な動きの方が強い力を発揮できる。」
ジャンプをするとき体の全体重を1m以上も宙に持ち上げるようなパワーは発揮することができますが、では逆に体の重さを瞬間的に足で引き上げられるかというと、上手くは行かないと思います。

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※これはできますね。

1番パワーの出るまっすぐの方向です。
しかしペダリングでは少々変わります。

クランクありペダルがあるからです。

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赤矢印:力のかける方向
水色矢印:ペダルの動く方向

これを見れば、わかるかと思います。
・上死点でいくら踏んづけたってクランクの円に合わせてペダルは前方に動く
→力の入力が曲がっているため効率が悪い
・3時で踏むと力の入力(矢印)とクランクの円(実際に動く方向)が1番近くなる
・5時をすぎれば踏んでも地面に向かっての入力となり推進力とはならない。

5時を過ぎてもまだ下方向に踏む力が抜けていないというこが如何に効率が悪いペダリングかがわかります。
5時過ぎの下向きのペダリングは前にすすめることができないだけではなくて、逆に反対側の足のじゃまになってしまうということでもあります。

ケイデンス90で回せば1回転0.67秒この中での2-4時の60°、この0.11秒に集中する。
0.11秒の積み重ね、、、
0.1秒の美学です(笑



これらのことから1番得意である多関節の複合運動ができるポイントであり、1番効率よくクランクを回す力となるのが3時の位置ということです。

これは言い換えると、ペダリングの円運動では股関節+膝関節の角度が大きく変わる時大きなパワーを生み出すとともに、効率が最もいい場所。(※深すぎる屈伸は除きます。)
ということです。
簡単に言うとペダルの上下運動が大きい所、ということです。
クランクがないタダのジャンプであればまっすぐ上方向に向き、一定の力のかかり方、角度の変わるスピードも基本的には一定(もしくは加速)ですが、円であるクランクが考えを難しくする要因ということです。

ということは踏み足以外に実は引き足も効率が良いポイントがあります。9時付近ですが、つい最近も書きましたが、ワタクシはこの引き足で踏み足ほどのパワーを発生させることができるとは思っていません。0.1秒の間に引き足と踏み足を完全にシンクロさせることの大変さときたら、、、踏み足に一点集中、5時まで踏まない、反対側の足を邪魔しない、こちらに意識を100%集中させる方がいいような気がしています。


3時がピークというのはあくまでもロードバイクの構造と適正ポジションからでるものでありますので、もちろん例外もでてきます。

例えばTTポジション(前乗り)です。

これの場合は上で書いたように股関節+膝関節の角度が大きく変わる所、ということなので前傾が深ければ深いほど3時半~4時と前に倒れていきます。(重力とはかけ離れていきますが、重力よりも空力のほうが影響が大きいということなのかもしませんね。)
逆にリカベント何かを想像してもらうとTTバイクよりもわかりやすいと思いますが、リカベントでも3時でピーク、、、なんて言ったら明らかにおかしな話です。





お話しをメインに戻しますと、係数でも角度でも飛びぬけて変なものでなければ大体の目安として用いればいいということです。
個々に大腿骨の長さも違いますし、柔軟性も差があります。

大切なのはこの一番パワーのかけることができるポイントに、サドルの高さ、サドルの位置を持ってくるということが先ずポジション出しのなかでいちばん大切なポイントだと思います。

最終的にはもうこれしかないんですが、乗りながらの微調整で乗った感じどう感じるかで調整を繰り返していく。
①サドル高を出して、サドルの前後をびしっと合わせる
②乗りながら微調整をする(サドルの高さが変わると前後も変わってきます。)

これを繰り返しながら、客観的に見てみる、ということ、自分で画像(写真)を取って確認してみる。ということです。
ローラー台を持っていればローラー台の動画から写真を切り出して見てみるのが最もわかりやすいです。

スマホでパシャッと、、、いい時代になりました。

ちなみにワタクシが子供の頃は「写るんです」や「フィルム」を写真屋さんに持っていき、1週間ほどで現像、、そんな時代でしたので(笑
”写ルンです”とか”ネガ”とか最近の若者は知らない方が多いと聞きます。


こんな事はどうでもいいんですが(笑
ポジションは100人いれば100通り、BSの方のお話しもありましたが、プロでも全くマニュアル通りではない方もたくさんいます。
基本をしっかりと理解した上で、自分流に変えていけばいいと思います。

ということで今回はロードバイクのポジション出しの第一歩、主に下半身の目安のお話しでした



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