新型DURA-ACE FD-R9100 徹底解剖第2段 構造と変更点
前回に引き続き第2段です。
今回はとんでもないボリュームです。
前回の記事はこちらから
新型DURA-ACE FD-R9100 徹底解剖第1段 組付~セッティング編
しかし見ればみるほど構造が変わっております。。。

もちろん変わったのは見た目だけではありません。
セッティング方法なんかもまったくもって変わっています。
構造が変われば調整方法が変わるのは当然のコトです。
ということで今回は新型DURA-ACEのフロントディレイラー FD-R9100の構造と今までのモデルとの変更点、そんなお話ですが、少々寄り道分かれ道・・・今回もとってもマニアックな内容のお話も織り交ぜながら徹底解剖をしてみよう、そんなお話です。
※今回は最後の方でガラッとお話が変わります。仮説と実証で差が出ておりますので途中まででは理解ができないかと思いますので、お時間のある際に最後までお読みいただければと思います。
▶リンク部の違い

こちら前から見たリンク部の動きです。
前から見るとまるで旧モデルとの差があまりないように思えます。
2点固定で2点のリンクの位置が動いていきます。
続いて前からです。
これを見ると、、、構造の分解が嫌になります(笑

2つの4節リンクからなる構造になっています。
公式では”トグル構造”という解説があります。
公式ページ
http://cycle.shimano.co.jp/content/sic-bike/ja/home/components1/road/dura-ace_r9100/fd-r9100-f.html
トグル機構とは・・・
2つのリンクとスライダーから構成されるリンク機構の一種であり、入力によって部材が入力方向に移動し、倍力構造によって出力が増大する機構です。
https://jp.misumi-ec.com/maker/misumi/mech/special/leverage/02.html より抜粋
こちらを見ていただととてもわかり易いかと思います。
まさにFD-R9100の構造そのものになっております。
この倍力構造を用いることで引きの軽さ、変速の軽さを実現しているということです。
▶トップ調整ボルト、ロー調整ボルトの役割は?
旧モデルのおさらいです。

簡単に言うと三角形の構造が左右に回転するのをトップ・ロー調整ボルトで抑えてあげるということです。
働き的に言うと何度も出てくる”リミット調整”(可動幅の設定)というのが働きでした。
でFD-R9100の構造はと言うと、、、

トップとローは独立した構造になっています。
これにより従来の”調整機能ではなくなっている”ということです。
正確にはローのみデス。詳細は後述
従来品との構造の違いです。

コントロールレバーで引き幅は決まっているので張り調整でインデックス調整、可動域をリミット調整(振れ幅・動ける幅の設定)をしてあげるというものです。
従来品の構造についてはこちらで
お悩み解決 フロントディレイラーが動かない?(トリムのお話し)動画更新
ということで、
①インナーローで内側の調整
②アウターローでケーブルの引き
③アウタートップで外側の調整
これが公式のマニュアルの調整方法となっていました。
これに対して、FD-R9100新型の構造では

②はリミット調整と少し関係があります。
ケーブルの引き幅はコントロールレバーで決まっています。
▶新型DURA-ACEとの互換性
フロントのクランクFC-R9100(新型DURA-ACEクランク)はFD-R9100としか互換性がありません。パワーメーター内蔵になった新型クランクを使いたければFDも変えろよっ!てことです。
FC-R9100は旧型よりもより短いチェーンステー長に対応するために、アウターとインナーの歯間(幅)が広がっているからで(インナートップでの接触防止)、旧型11速のフロントディレイラーの振れ幅では新型のクランクの拡張した2点ギア歯距離に対応できないということです。
(各社から多様なフレームが発売される中、互換性を広く持たせるため、ということです。)
逆に新型のFDを使えば対応できる、、、となるわけですが、「だったら旧モデルには振れ幅広すぎてしまうんでないの?」
となりそうです。
正しくいうと振れ幅(引き幅)はコントロールレバーで決まっています。
振れ幅はかえることができない、、、はずですネ。
ここからが”肝”で、新型の構造のお話です。
互換性表を見れば
・旧型コントロールレバー + 旧型FD FC-R9100 だめです。
・旧型コントロールレバー + 新型FD FC-R9100 OKです。
・新型コントロールレバー + 新型FD 旧型FC・・・OKです。
新型レバーと新型FDでは振れ幅が旧型クランクに合わせて広すぎるのでは?
ここが新型構造のトップ調整ボルトです。
新構造のトップ調整ボルトはロー調整ボルトとは全くバラバラの動きができます。ということはバラバラの設定ができるということです。

簡易的な画像ですが、左がインナー側の位置で、右がアウター側の位置です。
こちらも構造こそ複雑ではあるのですが、働きとしてはボルト(イモネジ)の入り具合で調整するという構造は旧モデルと同じです。

もう一度最初の画像に戻りますが、FD-R9100はトグル構造になっている、これが公式の説明です。
しかし構造の理解のためには”2つの4節リンクからなる”こう考えたほうが構造を捉えやすいかと思います。
この構造によってコントロールレバー開放時(インナーロー状態)のロー側の位置、コントロールレバーを引いた時(アウター側へ)の移動幅をバラバラに設定できます。
そのため新型コントロールレバーと新型FDに旧型クランクだとしてもコントロールレバー自体の引き幅は新型クランクに対応して旧型コントロールレバーに比べて多くの幅を引くことにはなりますが、アウター側への移動幅をH側のトップ調整ボルトによって狭めることができる、コレによって引き幅を上手く殺してあげることができるため(振れ幅を変えることができる)、旧モデルへの互換性を持たせているということかと考えております。
というのが今回の構造の大きな変更点であると考えております。
▶フロントディレイラーの動きの実際は?
画像だけで判断すればそうなるのがおわかりかと思うのですが、そうはいかないのがFD-R9100の難しいところです。
というのも、、、

この画像をよく見るとわかるのですが、実はインナー側でもHのボルトが画像の青いプレートに触れている(遊びがない)ってことです。(ロー状態)
触れているということは、アウター側の位置でHボルトをいじるとディレイラーが動くということです。いわゆるHのトップ調整ボルトも”きいている”状態です。
ロー側でもトップ調整ボルトも働いていると考えるとドンドンややこしくなってきます。
少しだけ頭を傾けてかんがえてみます。

※コントロールレバーの位置で名称です。
すでにロー状態ではHボルトがHプレートに触れているということです。
構造を考えれば当然です。
※便宜上青をHプレート、赤をLプレートとします。

※①は固定リンク、②は可動リンクです。
赤丸は接点、触れているか触れていないか、です。
これはトップ調整ボルト(Hボルト)の調整しだいにはなるかと思いますが、ロートリムで微妙に触れるぐらいでした。ということはローの状態でもトップ調整ボルトをいじるとディレイラーが動くということになります。当然ボルトが触れない位置までくれば動かなくなります。
これは完全に旧モデルではあり得ない構造です。
このまま更に4節リンク①の動きで、Hプレートが押し上げられる(角度が変わる)ことで アウター側に変速が起こります。
更にトップ側ではこうですね。

ということを踏まえて考えるとトップ調整ボルトの設定次第ではロー調整ボルトが全く効かない事がある、ということです。
ロートリムの状態でHプレートがトップ調整ボルトに当たっていれば、Lプレートとロー調整ボルトは触れていないことになります。この状態ではロー調整ボルトを回しても空回りするだけです。
この仕組はセッティング次第ですが、あくまでもロー調整ボルトはフロントディレイラーがインナーに落ちすぎることを防止するだけ、ということはロー調整ボルトはリミット調整の機能であることが分かります。
逆にトップ調整ボルトはまさに名前の通り”トップ調整”、リミット(限界振れ幅)の設定ではなくて、ケーブルの引きに対して、どの程度ディレイラー(ガイドプレート)をアウター側に持っていくか、この設定になっているということです。
▶上記を踏まえて再度互換性で考えてみる
互換性表から見るに、、、
・旧型コントロールレバー + 旧型FD FC-R9100
これは単純に振れ幅不足になってしまいます。
旧クランクの狭い幅幅用の引き幅分しか引っ張れません。

実際に試してみたらどうなるのかは不明ですが、考えるとこうなります。
例えばリミット調整が完全にできたとしても、コントロールレバーでの引き幅(可動域)が狭すぎてしまいます。インデックス調整が足りないということになります。
試してないので不明ですが、シマノが駄目というのでおそらく駄目なんでしょう。。。
・旧型コントロールレバー + 新型FD FC-R9100 OKです。
引き幅はコントロールレバーで決まってしまっていますが、引き幅=可動幅とはならないのが、新型のFD-R9100デス。
コントロールレバー自体の引き幅自体は決まってしまっていますが、可動幅はFDの調整(トップ調整ボルト)で広くできるということです。
アウター側への移動幅を増やしたいのであればHのボルト(トップ調整ボルト)でHプレートの遊びを最大限に減らしてあげる。(実際は遊びはほぼありませんので、遊びというと語弊があるかもしれませんが、理解のためにデス。)これによりチェーンリング間の広い新型クランクに対応できるとなるのだと思います。
その際も独立したロー調整ボルトのお陰で、ケーブルの引きにかかわらずロー側の設定(リミット調整)もできます。
以前のトップ調整ボルトの仕組みでは移動幅の設定は全くできませんでした。
・新型コントロールレバー + 新型FD 旧型FC・・・OKです。
上記説明の逆に通り(遊びを作ること)で可動幅を減らしてあげれば万事解決です。
▶セッテイングで再度考える。
・ロー調整ボルトは内側に行きすぎないためのリミット調整である
・トップ調整ボルトは可動幅の設定である
と考えてみます。
公式の調整方法では、
旧モデル
※チェーンを取り付けて・ケーブルを取り付けて
①インナーローでロー側のリミット調整
②アウターローでケーブルアジャスト(張り調整・インデックス調整)
③アウタートップでトップ側のリミット調整
新モデルでは
ケーブルを取り付けて
①ケーブルアジャスト(張り調整)
※チェーンを取り付ける前に
②アウターローでトップ側の調整(可動幅調整)
③インナーローでロー側の調整(可動限界幅の調整)
こうなります。
構造が変わっているので1番シンプルにできる方法をとったというところでしょう。
構造を考えればケーブルを張る前にインナーローの設定をしてしまっても問題はないはずです。
ではなんでチェーンを取り付け前にケーブルアジャストをするかというと、、、
チェーンがついているとフロントディレイラーが自由に動けないからです。
外側に移動しようとしてもチェーンがギアに挟まって設定が見えないからです。

※4節リンク①の上部2個のリンクから伸びる線を真っ直ぐに設定します。
実際にはクランクを回しながら(変速しながら)であれば調整はできますが、FD交換の際にはチェーンを切らないと出来ないので1番かんたんな方法ということがと思います。
ポイントの箇条書きです。
・ケーブルの張り過ぎでL側の調整が出来ない
(これは旧モデルと同じです)
ケーブルアジャストは印がついてそこまで張る、簡易化したのでほぼほぼ間違えることはないと思います。
・H側の調整
トップトリム+インナートップで行います。
ココでトップ調整ボルトでどの程度アウター(トップ)側に移動させるかを決めます。
トップトリム+インナートップの状態で内側にすらないようにします。
これが先程説明したHプレートの傾きを決めるということです。

Hプレートの②リンクが上に上がれば上がるほどディレイラーは外側(アウター側)にでます。
バネの力でフロントディレイラーは内側(インナー側)に入ろうとしますので、それに逆らってケーブルで外側(アウター側)に持ち上げます。
ケーブルを引っ張ることで②が持ち上がりますが、Hのトップ調整ボルトをいじることでどの程度持ち上げるのか、この設定がH側のトップ調整ボルトでの調整になります。
Di2の調整と近い設定方法になっているということです。
構造的に考えればトップトリムが動かない、こんなコトは比較的起こりにくい現象なのではないかと思います。(トップ側のリミット調整がないため)
それにしても限界に来れば動かないということがあると思います。
・インナーローでもH側のボルトをいじればディレイラーが動かすこともできる
ロー側の限界調整を無視するようにねじ込んでいけば動きます。
・ロートリムではH側のボルトでディレイラーは動く。
すでにロートリム状態ではHプレートが接触しているということです。
・ケーブルがいくら張ってあったとしても、トップ調整ボルトの調整次第ではアウターへの変速ができない。
従来品はリミット調整さえ外側によっていればケーブルの張りだけでアウターに持ち上げることができたということです。
・調整は必ず張る方向にのみ行う
緩める場合は必ず数回シフト操作をしないと正常な位置に来ません。
※これなにげにいちばん大切です。
特にアジャストバレルの動きなんかもよくみておかないといつまでたってもセッティングが決まらなくなります。
▶まとめ
トップ調整ボルトの働きの変更によりFDのストローク幅が調整できるようになった。
これが何よりの大きな変更点だということです。
構造が大きく変わって、、、何ていうお話はよく目にするかと思いますが、じゃあどこが?どういう風に?そんなところまで詳しく解説しているところってあまりありません。
ワタクシ自身互換性なんかを実際に試したわけではありませんので、あくまでも現物を見ていま現状の組み合わせでのお話、その他は机上の空論でしかありません。
(わざわざ互換性なしとシマノがしているので特別な事情あったとしても基本的には避けるべきだと思います。)
実際にはHプレートの遊びはなかったり、LとHの関係性であったり、、、細かいところは多少理解に差異があるところもありかもしれませんが、それはもっともっと触ってみないことにはなんとも言えないところもあります。
ドンドンいじって研究して、、、楽しすぎます。。。
ということで本当にざっくりとですが、構造と仕組みのお話でした。
+++++++++++++++++++++++
遊星ギアと格闘しながら記事を書いておりますので、
ひょっとしたら逆に書いてあるかもしれません。
その際はごめんなさいm(_ _)m
コメントいただければ修正させていだきます。
+++++++++++++++++++++++++++
FF-Cycle(エフエフサイクル)
〒262-0019
千葉県千葉市花見川区朝日ヶ丘1-21-2
※当日の受付は18:00までとさせていただきます。
作業は18:00以降も行います。
TEL:043-376-1121
(電話を受けれない場合は番号通知にておかけいただければ折り返しさせていただきます。)
E-Mail:ffcycle@outlook.jp
※ご連絡をいただく際には
・お名前
・ご連絡先
・ご希望の整備内容(希望時間)
・ご希望の日程
・駐車場の要否
こちらをお申し付け下さい。
ロードバイクの健康診断・カスタマイズ相談的なこともお受けいたします。
当店の特徴・詳細ははこちらから
★フォーマルハウトは当店オリジナルのサイクルウェアです★
2017モデル入荷致しました。
★レディースウェアも新作入荷です。
★イチオシアイテム★
★レディースウェアも充実のラインナップ★
★シマノ純正パーツもすべてOK!お見積り承ります
在庫になくともシマノカタログ掲載商品全品お取り寄せいたします。
詳細はメールにてご連絡下さい。
★その他あったら便利なパーツも取り揃えております★
前回に引き続き第2段です。
今回はとんでもないボリュームです。
前回の記事はこちらから
新型DURA-ACE FD-R9100 徹底解剖第1段 組付~セッティング編
しかし見ればみるほど構造が変わっております。。。

もちろん変わったのは見た目だけではありません。
セッティング方法なんかもまったくもって変わっています。
構造が変われば調整方法が変わるのは当然のコトです。
ということで今回は新型DURA-ACEのフロントディレイラー FD-R9100の構造と今までのモデルとの変更点、そんなお話ですが、少々寄り道分かれ道・・・今回もとってもマニアックな内容のお話も織り交ぜながら徹底解剖をしてみよう、そんなお話です。
※今回は最後の方でガラッとお話が変わります。仮説と実証で差が出ておりますので途中まででは理解ができないかと思いますので、お時間のある際に最後までお読みいただければと思います。
▶リンク部の違い

こちら前から見たリンク部の動きです。
前から見るとまるで旧モデルとの差があまりないように思えます。
2点固定で2点のリンクの位置が動いていきます。
続いて前からです。
これを見ると、、、構造の分解が嫌になります(笑

2つの4節リンクからなる構造になっています。
公式では”トグル構造”という解説があります。
公式ページ
http://cycle.shimano.co.jp/content/sic-bike/ja/home/components1/road/dura-ace_r9100/fd-r9100-f.html
トグル機構とは・・・
2つのリンクとスライダーから構成されるリンク機構の一種であり、入力によって部材が入力方向に移動し、倍力構造によって出力が増大する機構です。
https://jp.misumi-ec.com/maker/misumi/mech/special/leverage/02.html より抜粋
こちらを見ていただととてもわかり易いかと思います。
まさにFD-R9100の構造そのものになっております。
この倍力構造を用いることで引きの軽さ、変速の軽さを実現しているということです。
▶トップ調整ボルト、ロー調整ボルトの役割は?
旧モデルのおさらいです。

簡単に言うと三角形の構造が左右に回転するのをトップ・ロー調整ボルトで抑えてあげるということです。
働き的に言うと何度も出てくる”リミット調整”(可動幅の設定)というのが働きでした。
でFD-R9100の構造はと言うと、、、

トップとローは独立した構造になっています。
これにより従来の”調整機能ではなくなっている”ということです。
正確にはローのみデス。詳細は後述
従来品との構造の違いです。

コントロールレバーで引き幅は決まっているので張り調整でインデックス調整、可動域をリミット調整(振れ幅・動ける幅の設定)をしてあげるというものです。
従来品の構造についてはこちらで
お悩み解決 フロントディレイラーが動かない?(トリムのお話し)動画更新
ということで、
①インナーローで内側の調整
②アウターローでケーブルの引き
③アウタートップで外側の調整
これが公式のマニュアルの調整方法となっていました。
これに対して、FD-R9100新型の構造では

②はリミット調整と少し関係があります。
ケーブルの引き幅はコントロールレバーで決まっています。
▶新型DURA-ACEとの互換性
フロントのクランクFC-R9100(新型DURA-ACEクランク)はFD-R9100としか互換性がありません。パワーメーター内蔵になった新型クランクを使いたければFDも変えろよっ!てことです。
FC-R9100は旧型よりもより短いチェーンステー長に対応するために、アウターとインナーの歯間(幅)が広がっているからで(インナートップでの接触防止)、旧型11速のフロントディレイラーの振れ幅では新型のクランクの拡張した2点ギア歯距離に対応できないということです。
(各社から多様なフレームが発売される中、互換性を広く持たせるため、ということです。)
逆に新型のFDを使えば対応できる、、、となるわけですが、「だったら旧モデルには振れ幅広すぎてしまうんでないの?」
となりそうです。
正しくいうと振れ幅(引き幅)はコントロールレバーで決まっています。
振れ幅はかえることができない、、、はずですネ。
ここからが”肝”で、新型の構造のお話です。
互換性表を見れば
・旧型コントロールレバー + 旧型FD FC-R9100 だめです。
・旧型コントロールレバー + 新型FD FC-R9100 OKです。
・新型コントロールレバー + 新型FD 旧型FC・・・OKです。
新型レバーと新型FDでは振れ幅が旧型クランクに合わせて広すぎるのでは?
ここが新型構造のトップ調整ボルトです。
新構造のトップ調整ボルトはロー調整ボルトとは全くバラバラの動きができます。ということはバラバラの設定ができるということです。

簡易的な画像ですが、左がインナー側の位置で、右がアウター側の位置です。
こちらも構造こそ複雑ではあるのですが、働きとしてはボルト(イモネジ)の入り具合で調整するという構造は旧モデルと同じです。

もう一度最初の画像に戻りますが、FD-R9100はトグル構造になっている、これが公式の説明です。
しかし構造の理解のためには”2つの4節リンクからなる”こう考えたほうが構造を捉えやすいかと思います。
この構造によってコントロールレバー開放時(インナーロー状態)のロー側の位置、コントロールレバーを引いた時(アウター側へ)の移動幅をバラバラに設定できます。
そのため新型コントロールレバーと新型FDに旧型クランクだとしてもコントロールレバー自体の引き幅は新型クランクに対応して旧型コントロールレバーに比べて多くの幅を引くことにはなりますが、アウター側への移動幅をH側のトップ調整ボルトによって狭めることができる、コレによって引き幅を上手く殺してあげることができるため(振れ幅を変えることができる)、旧モデルへの互換性を持たせているということかと考えております。
というのが今回の構造の大きな変更点であると考えております。
▶フロントディレイラーの動きの実際は?
画像だけで判断すればそうなるのがおわかりかと思うのですが、そうはいかないのがFD-R9100の難しいところです。
というのも、、、

この画像をよく見るとわかるのですが、実はインナー側でもHのボルトが画像の青いプレートに触れている(遊びがない)ってことです。(ロー状態)
触れているということは、アウター側の位置でHボルトをいじるとディレイラーが動くということです。いわゆるHのトップ調整ボルトも”きいている”状態です。
ロー側でもトップ調整ボルトも働いていると考えるとドンドンややこしくなってきます。
少しだけ頭を傾けてかんがえてみます。

※コントロールレバーの位置で名称です。
すでにロー状態ではHボルトがHプレートに触れているということです。
構造を考えれば当然です。
※便宜上青をHプレート、赤をLプレートとします。

※①は固定リンク、②は可動リンクです。
赤丸は接点、触れているか触れていないか、です。
これはトップ調整ボルト(Hボルト)の調整しだいにはなるかと思いますが、ロートリムで微妙に触れるぐらいでした。ということはローの状態でもトップ調整ボルトをいじるとディレイラーが動くということになります。当然ボルトが触れない位置までくれば動かなくなります。
これは完全に旧モデルではあり得ない構造です。
このまま更に4節リンク①の動きで、Hプレートが押し上げられる(角度が変わる)ことで アウター側に変速が起こります。
更にトップ側ではこうですね。

ということを踏まえて考えるとトップ調整ボルトの設定次第ではロー調整ボルトが全く効かない事がある、ということです。
ロートリムの状態でHプレートがトップ調整ボルトに当たっていれば、Lプレートとロー調整ボルトは触れていないことになります。この状態ではロー調整ボルトを回しても空回りするだけです。
この仕組はセッティング次第ですが、あくまでもロー調整ボルトはフロントディレイラーがインナーに落ちすぎることを防止するだけ、ということはロー調整ボルトはリミット調整の機能であることが分かります。
逆にトップ調整ボルトはまさに名前の通り”トップ調整”、リミット(限界振れ幅)の設定ではなくて、ケーブルの引きに対して、どの程度ディレイラー(ガイドプレート)をアウター側に持っていくか、この設定になっているということです。
▶上記を踏まえて再度互換性で考えてみる
互換性表から見るに、、、
・旧型コントロールレバー + 旧型FD FC-R9100
これは単純に振れ幅不足になってしまいます。
旧クランクの狭い幅幅用の引き幅分しか引っ張れません。

実際に試してみたらどうなるのかは不明ですが、考えるとこうなります。
例えばリミット調整が完全にできたとしても、コントロールレバーでの引き幅(可動域)が狭すぎてしまいます。インデックス調整が足りないということになります。
試してないので不明ですが、シマノが駄目というのでおそらく駄目なんでしょう。。。
・旧型コントロールレバー + 新型FD FC-R9100 OKです。
引き幅はコントロールレバーで決まってしまっていますが、引き幅=可動幅とはならないのが、新型のFD-R9100デス。
コントロールレバー自体の引き幅自体は決まってしまっていますが、可動幅はFDの調整(トップ調整ボルト)で広くできるということです。
アウター側への移動幅を増やしたいのであればHのボルト(トップ調整ボルト)でHプレートの遊びを最大限に減らしてあげる。(実際は遊びはほぼありませんので、遊びというと語弊があるかもしれませんが、理解のためにデス。)これによりチェーンリング間の広い新型クランクに対応できるとなるのだと思います。
その際も独立したロー調整ボルトのお陰で、ケーブルの引きにかかわらずロー側の設定(リミット調整)もできます。
以前のトップ調整ボルトの仕組みでは移動幅の設定は全くできませんでした。
・新型コントロールレバー + 新型FD 旧型FC・・・OKです。
上記説明の逆に通り(遊びを作ること)で可動幅を減らしてあげれば万事解決です。
▶セッテイングで再度考える。
・ロー調整ボルトは内側に行きすぎないためのリミット調整である
・トップ調整ボルトは可動幅の設定である
と考えてみます。
公式の調整方法では、
旧モデル
※チェーンを取り付けて・ケーブルを取り付けて
①インナーローでロー側のリミット調整
②アウターローでケーブルアジャスト(張り調整・インデックス調整)
③アウタートップでトップ側のリミット調整
新モデルでは
ケーブルを取り付けて
①ケーブルアジャスト(張り調整)
※チェーンを取り付ける前に
②アウターローでトップ側の調整(可動幅調整)
③インナーローでロー側の調整(可動限界幅の調整)
こうなります。
構造が変わっているので1番シンプルにできる方法をとったというところでしょう。
構造を考えればケーブルを張る前にインナーローの設定をしてしまっても問題はないはずです。
ではなんでチェーンを取り付け前にケーブルアジャストをするかというと、、、
チェーンがついているとフロントディレイラーが自由に動けないからです。
外側に移動しようとしてもチェーンがギアに挟まって設定が見えないからです。

※4節リンク①の上部2個のリンクから伸びる線を真っ直ぐに設定します。
実際にはクランクを回しながら(変速しながら)であれば調整はできますが、FD交換の際にはチェーンを切らないと出来ないので1番かんたんな方法ということがと思います。
ポイントの箇条書きです。
・ケーブルの張り過ぎでL側の調整が出来ない
(これは旧モデルと同じです)
ケーブルアジャストは印がついてそこまで張る、簡易化したのでほぼほぼ間違えることはないと思います。
・H側の調整
トップトリム+インナートップで行います。
ココでトップ調整ボルトでどの程度アウター(トップ)側に移動させるかを決めます。
トップトリム+インナートップの状態で内側にすらないようにします。
これが先程説明したHプレートの傾きを決めるということです。

Hプレートの②リンクが上に上がれば上がるほどディレイラーは外側(アウター側)にでます。
バネの力でフロントディレイラーは内側(インナー側)に入ろうとしますので、それに逆らってケーブルで外側(アウター側)に持ち上げます。
ケーブルを引っ張ることで②が持ち上がりますが、Hのトップ調整ボルトをいじることでどの程度持ち上げるのか、この設定がH側のトップ調整ボルトでの調整になります。
Di2の調整と近い設定方法になっているということです。
構造的に考えればトップトリムが動かない、こんなコトは比較的起こりにくい現象なのではないかと思います。(トップ側のリミット調整がないため)
それにしても限界に来れば動かないということがあると思います。
・インナーローでもH側のボルトをいじればディレイラーが動かすこともできる
ロー側の限界調整を無視するようにねじ込んでいけば動きます。
・ロートリムではH側のボルトでディレイラーは動く。
すでにロートリム状態ではHプレートが接触しているということです。
・ケーブルがいくら張ってあったとしても、トップ調整ボルトの調整次第ではアウターへの変速ができない。
従来品はリミット調整さえ外側によっていればケーブルの張りだけでアウターに持ち上げることができたということです。
・調整は必ず張る方向にのみ行う
緩める場合は必ず数回シフト操作をしないと正常な位置に来ません。
※これなにげにいちばん大切です。
特にアジャストバレルの動きなんかもよくみておかないといつまでたってもセッティングが決まらなくなります。
▶まとめ
トップ調整ボルトの働きの変更によりFDのストローク幅が調整できるようになった。
これが何よりの大きな変更点だということです。
構造が大きく変わって、、、何ていうお話はよく目にするかと思いますが、じゃあどこが?どういう風に?そんなところまで詳しく解説しているところってあまりありません。
ワタクシ自身互換性なんかを実際に試したわけではありませんので、あくまでも現物を見ていま現状の組み合わせでのお話、その他は机上の空論でしかありません。
(わざわざ互換性なしとシマノがしているので特別な事情あったとしても基本的には避けるべきだと思います。)
実際にはHプレートの遊びはなかったり、LとHの関係性であったり、、、細かいところは多少理解に差異があるところもありかもしれませんが、それはもっともっと触ってみないことにはなんとも言えないところもあります。
ドンドンいじって研究して、、、楽しすぎます。。。
ということで本当にざっくりとですが、構造と仕組みのお話でした。
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ひょっとしたら逆に書いてあるかもしれません。
その際はごめんなさいm(_ _)m
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ロードバイクの健康診断・カスタマイズ相談的なこともお受けいたします。
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2017モデル入荷致しました。
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コメント
コメント一覧 (7)
素晴らしいブログで大変に感動しました。
いきなり不躾な質問で恐縮ですが、
2013カンパエルゴ11sのシフトレバーで、FD-9100は使えますか?
というのも、現在スーパーレコードのFDなのですが、カンパ特有のFD内の凹凸がオーシンメトリックと特定のギアで干渉してしまい音鳴りが酷すぎて、FDをシマノ製に替えて解決ないし緩和したいと思っているためです。
もしよろしければご助言いただければ幸いに存じます。
コメントありがとうございます。
基本的にカンパとシマノを混ぜてシマノ単独よりも調子を良くすることは難しいということを前提にして考えます。
で結論から言うと、、、わかりません。。。(;´∀`)
こればっかりはやってみないことにはなんともいい難いところがあります。
しかし可能性として机上の空論ではありますが、新型構造のFDは”振れ幅を広く取れる”+”ガイドプレートが広い”ということから、音鳴りの状態によっては軽減できる可能性もなくはないと思います。
ともあれ後は実際に動かしてみてどうだかという所です。
もしご希望があれば当店に一個FD-R9100が転がっておりますのでご来店いただければお試しいただいても構いませんヨ(≧∇≦)b
またFD-R9100のお試しのご好意、感謝いたします。
当方、都内在住で若干遠方であるため、日程調整させていただきてんちょーさんとのご都合が合えば是非お願いいたします。
今後とも、他では学べない素晴らしいブログ、楽しみにしております。
ご返信ありがとうございます。
ご都合合えば是非お待ちしておりますm(_ _)m
よろしくお願い致します。
6800 di2システムに楕円リングを入れた所変速の範囲がシビアで困っていました。
純正の真円リングでもインナーローでプレート内側に当たるなど11sでのフロント変速に不満を感じていました。
r9100 r8000から羽の可動範囲が変更し広がったとの事で期待していました。
このブログは大変勉強になりました。
コメントありがとうございます。
正確には可動範囲が広がったといよりも”調整幅が広がった”といった方が正しい解釈かもしれません。振れ幅を狭くもできるので旧型クランク+旧型レバーにも対応できている、ということかと思います。
Di2だと調整方法が実はあまり変わらないかも、、、ですが可動幅は広げることが可能ですし、プレートの幅も広がっているので音鳴り対策としてはいいかもしれませんネ(≧∇≦)b
BB周りのボリュームがあるフレームで、FD用のワイヤーが右寄りから出てくるタイプの
もの(ワイヤーのルートがFDに近い)があります。
このタイプのフレームに新型FDを組んでみると、インナーにシフトした時にワイヤーが
FDと干渉してしまい、FDの羽根が十分に内側に動きません。
羽根が奥まで動かないので、インナーロー付近で羽根とチェーンが擦れないように
セッティングすることができません。
自分はこの事に気付いてからFDを6600アルテグラに戻しました。
(6800のロングアームFDは引き始めが重過ぎるので早々に退役させました。シマノが
フロントシフトのワイヤーの引き量をずっと一定に保ってくれているのはありがたいです。
新型FDはリア10速(78デュラ)のバイクで使用中です。)
この事について検証・啓蒙していただければ幸いです。