FSAヘッドパーツ ベアリング規格・・・徹底的に解剖スル!!

完成車、またはフレームセットでも欠かせないのがヘッドパーツの複数入ったヘッドセットです。
フレームセットだとしても、
・フレーム
・フォーク
・へツドパーツ
この3点は最低抱き合わせ販売(?)となっているものです。
ついてないとものすごく苦労をするかもです。。。

しかしカタログなんかを見ても、、、少々複雑で分かりづらいです。

下側のベアリングは過酷な使い方をしていると意外と長持ちはしない割にこの、とっても親切なカタログのおかげで混乱必須です。。。(; ̄▽ ̄)ハハハ...
ということで今回はFSAのヘッドパーツの中でも最近良く使われて言る物に絞ってヘッドベアリングのお話です。

※ちなみにFSA(Full speed ahead:全速前進!)名前超かっこエェですd(●´ω`●)



▶FSA ORBIT C-33 44E
ゼリウスでみてみます。
こちらのカタログから見ていきます。

Headset:
FSA 1’’1/8 - 1’’1/4 ORBIT C-33 44E
+15mm TOP COVER

 もうこのカタログスペックからして意味がわかりませんヨ。。。(;´д`)トホホ…

カタログを見てみます。
image4406
右下の方になんか書いてあります。

HS NO.44E/CF - Orbit C33E (8.7mm carbon) 
HS NO.44E/CF - Orbit C33E (15mm carbon) 
HS NO.44E - Orbit C33E (15mm alloy) 

()内で(”ダストカバーハイト(高さ)” ”素材”)こんな感じでしょう。

image4428
※左:カーボン製 右:アルミ製

おそらく”CF”とつくものはもれなく左側のカーボン製のカバーが付いていますのでCF(Carbon Hood)なんでしょうか、、、
違うかな、、、間違っていたらコメントお願い致しますm(_ _)m


FSAのトップカバーの種類です。
toppukaba-

この辺はどうでもいい情報です。

ベアリングを見てみます。

image4453

ORBIT C-33 44Eでは上下異径ベアリングを使用しているので
上部ベアリング:1-1/8 45°/45° ACB
下部ベアリング:1-1/4 45°/45° ACB
こんな感じのベアリングが使われいます。

※ACB:Angular Contact Bearing
詳細を知りたいかたはこちらで↓↓
http://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/pdf/2202_a01.pdf

※1インチは25.4mmですので
1-1/8:28.58mm(28.6mm)
1-1/4:31.75mm(31.8mm)
1-1/2(1.5):38.12mm(38.1mm)
上記のコラムサイズに使うものとなると、最低でもこの内径よりも広くないと使えません。

ところがぎっちょん、こんなものをみるとわけがわからなくなります。。。

image4285
すごいでしょう。。。(´∀`;)
多すぎですネ。

これではアレなので型番から抜きだして、赤枠がこのORBIT C-33 44Eで使われるベアリングです。

ヘッドベアリングの詳細寸法です。
image4302
①ID(Inner diameter:内径)
②OD(Outer diameter:外径)
③H(Height:高さ)
④IA(Inner angle:内角)
⑤OA(Outer angle:外角)

上部ベアリング(1-1/8 45°/45°)TH-870E シングルシール
①ID:31mm(Φ30.5)
②OD:41.8mm
③H:8mm
④IA:45°
⑤OA:45°

下部ベアリング(1-1/4 45°/45°)TH-970E ダブルシール
①ID:34mm
②OD:46.8mm
③H:7mm
④IA:45°
⑤OA:45°

まずは上部ベアリングです。
コラム径は通常で28.6mmです。で上部ベアリング内径は31mm、、、これではガタガタです。

image4784

上部はこうなります。

構造のおさらいをします。
rect5295
上ベアリングには必ず”コニカルリング”割り入りセンタリングワッシャー的な物が入ります。

IMAG1255

この状態ではスッカスカです。

IMAG1256

コニカルリング(センタリングワッシャー)をはめてあげます。

こんなものカンパのホイール何かはばらしてみると似たようなものがあります。
要はアレと同じような役割です。

こんなものを入れてコラム径の28.6mmと上部ベアリング内径31mmがピッタリとなるようにできています。
もしもこのコニカルリング的なものがないとすると、、、
ベアリング内径との交差(寸法の違い)にもよりますが、カーボンコラムに金属のベアリングを圧入する必要が、、、ちょっと怖いです。(´∀`;)
そんなことは現実的ではありませんので、この割り入りのコニカルリングを用いることできちんとガタ無く組めるようにできているということです。




下部ベアリング部はどうなっているかというと、、、
おなじみのクラウンレースなるものがあります。

P6084021
ここに角度がついています。

この角度が45°とか36°とかとなっているわけです。

IMAG1253

もしくはこれはクラウンレースがいらないタイプで、フォーク自体に角度が付いている親切設計です。
(最近はこのタイプが多いです。。)

IMAG1252
こんな感じに下部のベアリングがハマります。

rect5512
ということは画像の”a”の角度がこの ORBIT C-33 44E というモデルだとすべて45°になります。
上下フレームの受け、ベアリングのアングル、クラウンレース、コニカルリング、全て45°ではないとピッタリとなりませんネ。

IMAG9962
下部ヘッドチューブの受けの部分です。


✔シングルシールとデュアル(ダブル)シール
サラッと少々前に書いてありましたがこちらです。

こちらデュアルシールの下部ベアリングです。
image5070
上から見ても下から見てもシールドです。みたまんま上下でシールがしてあり、デュアルシール!

そしてシングルシールの上部ベアリングはと言うと、、、
IMAG1243

上からみても変わりません。

これをひっくり返してみると、、、

IMAG1244
※左がダブルシール、右側がシングルシール

下部のシールがありません。

しかし内輪と外輪があるベアリングですので構造上隙間というというか、継ぎ目(?)があります。
IMAG1240
※右側が上部ベアリング(シングルシール)です。

これを傾けてみると、、、

image5120

シングルシールのヘッドベアリングはこの内輪に隙間というか、シールがない部分があります。
これでダブルシールか、シングルシールかということかと思います。



これ以外だとこちら
▶FSA Orbit NO.42/48CF-ACB 

image4489

こちらも上下異径ベアリングです。

上部ベアリング(1-1/8 45°/45°)TH-870E シングルシール
①ID:31mm
②OD:41.8mm
③H:8mm
④IA:45°
⑤OA:45°

下部ベアリング(1.5(1-1/2) 36°/45°)TH-073E  シングルシール
①ID:40mm
②OD:51.8mm
③H:8mm
④IA:36°
⑤OA:45°

下部ベアリングの内角が36°です。
ということでクラウンレースやフォーク構造で36°となっているということです。。
36°でカーボンクラウンってあったっけ??作れないことはないですが。

インテグレーテッドヘッドパーツで上下異径の場合、1-1/8+1-1/4と1-1/8+1.5(1-1/2)どちらかの規格が多いです。
というか最近はGIANT、Canyon等の一部のフレームを除いて上部はほぼ1-1/8ですネ。

ORBIT C-40-ACB - NO.42/ACB
ORBIT C-40-CF-ACB - NO.42 CF/ACB
ORBIT C-40/48-CF-ACB - NO.42/48CF/ACB
この3種類が似たようなところでラインナップがあります。
この辺がもう、、、複雑です。
ヘッドチューブ側の寸法が違ったりとかあるのでご注意下さい。

また時々コラム径が異常に太かったり、そんなものはまた変わります(´∀`;)


ということなのですが、続きです。

▶cervélo R3のヘッドセット
cervéloのR3のベアリングですが、以下カタログの記載です。

FSA IS2 1-1/8 x 1-1/2

画像はこちら。
IMAG9154

画像では非常に見にくいですがベアリングには、
”TH MR040 1-1/8 36°×45° D8”
このようにあります。
ちなみにこれはR3の上部のヘッドベアリングです。

下部ベアリングはと言うと、
”TH MR019 1.5 36°×45° D8”このように記載があります。

下部ベアリング(MR019)を例にみてみます。
これを交換しようと思ったら、、、
サイズは1.5(1-1/2)で、 角度は36°×45° 、8mmの高さのベアリングでOK!

と、言うことではありません。
試しに2つ、表記の同様のもの(1.5 36°×45° 8mm)を揃えてみました。
ツィッターで先行してちょっとだけつぶやきましたが、
くれぐれもご注意ください。

すこし角度をずらしてみてみますヨ。
IMAG9946
※左が純正品、右がFSA製の別型番のベアリング、右が他社製ベアリングです。
微妙に明らかに形が違いますが、全て同表記のものです。

もう一枚違う画像です。
IMAG9938
やっぱり違います。

というものまずはFSAのベアリングの刻印ですが、”D8”と記載があっても8mmではなくて7.5mmです。
そしてここです。
heltudobarin
全体の高さ:H
傾斜部分の高さ:H1
垂直部分の高さ:H2
と便宜上表記致します。

上の画像の一番右側のベアリングで組んでみます。
パッとみた感じでH1の高さが明らかに低いということは、その分H2の高さが高いです。
ここが正しくないとどうなるかと言うと、組んでみるとわかります。

こうなります。
IMAG9950

ス・キ・マ!(´゚艸゚)∴ブッ
こうなります。

ちなみに正しいもの、純正品はこちら。
IMAG9953
これです。

少なくともH2の高さが低すぎる場合は最悪干渉します。
高い場合はヘッドチューブとフォークのクリアランスが広がり、お世辞にもOK!バンザイ!とは言い難い状態です。

こんな事があるから、間違いなく同型番を購入するのが間違いないということです。
(型番が違ったら100%NGということでもない場合もあります。)
しかしです。
同型番のものが買えない場合は、、、プロにおまかせするのが一番です。
200ページ以上のカタログをババっと開いて適切なものを用意してくれるはずです。



ということで意外とだめになりがちな下部のヘッドベアリング、アンギュラコンタクトベアリングとはいえ、かなり過酷な使われ方をしますのでだめになったら交換、こんな感じの使い方が正しいでしょう。(ものによりますが、概ね1500~2500円ぐらいだったような気がします。。。)
(物によっては開けてグリスアップとかもできなくはありませんが、開けないと駄目なようなものは多くはベアリングがご臨終です。またダメになる前に、ということもありますが開けることで返って具合が悪くなることもありますんのでくれぐれもご注意下さい。)
そもそもちょっとやちょっとでは駄目になりずらくなるように組むのが正しい組み方ですし、だめになる前にきちんとメンテナンスをするのが正しいことです。

ということで今回はヘッドベアリングについての少々複雑なお話を作成してみました。
実はものすごく複雑なように見えても正解がたくさんあるわけではなくて、答えは一つ合うか合わないかです。

この2種類以外のヘッドパーツの場合は、、、お店に言って聞くか、実際に外したものの型番を見るのは一番確実です。

ヘッドパーツって意外と気にされる方は多くは無いようですが、具合が悪いのからきっちりと整備をしてあげるとものすごく滑らかになります。このヘッド部のきれいな動きって2輪車としてものすごく重要な動きです。

それにしてもちょっとちょっと、コンマ数mm違うとかベアリングだけを買おうとするとなかなか複雑なものです。。。もう少しシンプルにしてくれると助かると思うのですが、、、(´∀`;)

もうここも規格の乱立・・・(´ε`;)ウーン…数で見ればBBなんて比ではないぐらいです。(笑


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