ブレーキのトーイン調整 その真意は??

漆黒のULTRA38、現在運用中です。
ブレーキの効き自体は相変わらずアルミ以上、ものすごい制動力を遺憾なく発揮しております。
特にリム面にあんなこんな特殊な加工があるわけではありません。
ただきれいに仕上げてあるだけです。
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もちろんシューの調整なんかも多少はいじっておりますが、基本的には何を変えたとか特にありません。相変わらずの少なめのトーインとドンピシャのセンター出しです。

それでもガツンと効くわけでもなくてブレーキ入力初期からしっとりとした制動力で、握り込んでいけば体が前にずれるほどきっちりと効いてくれます。

だた唯一の問題とすると、、、”鳴き”です。

完全にイメージ的なお話ですが、、、70%ぐらいまでだとヒュルヒュル言うぐらい、周りがうるさいと気が付かないぐらいに音でいわゆるカーボンリムのブレーキの音という感じです。
これが80%とかきつめにかけたときには「キャーーーーッ!」まぁ普通のブレーキの鳴きですネ。(; ̄▽ ̄)ハハハ...

ということで、、、ではなくて今回はトーインがメインなので鳴きのお話はまた次回にでも。。。

メインのトーインのお話に行きましょう。



▶トーインとは?

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シマノ公式オーナーズマニュアルより

リムの進行方向に向かってブレーキシューを傾けるというもので、シューのトゥ(つま先?)をインするからトーインだと勝手に考えております。

ブレーキの調整でシマノも一度はトーインを廃止したというお話もあったりなかったり、、、ということではあったようですが、現在は0.5mmのトーインをつけろというお話なっています。


▶0.5mmの傾きとは?

0.5mmです。

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計ってみればものすごく微妙な、、、
おそらく肉眼で見ればわかるかと思いますが、画像で見てもあまりわからないぐらいが0.5mmです。

トーイン、トーインと考えて傾けてしまうと傾きすぎになってしまうことが考えられます。
その調整は独特のコツがいりますネ。


▶なぜにトーイン?


これは諸説ありますが、、、

①泣き防止
②ブレーキの歪みを計算に入れて
③制動時シューをまっすぐリムに当てるため

この辺が関係していると言われています。
①はどう考えてもシンプルなので、
②と③についてのお話です。
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シューが押し付けられてもリムは進行方向へ動いています。①
この状態から更にシューを強い力で押し付けると前方方向へシューが動こうとします。②
その時のリムとシューの摩擦で進行方向後ろ側が内側に入ってくるような、引き込まれるような動きになります③

という構造と動きがアーチに剛性次第では考えられなくはないということでのトーインかなぁと考えているのですが、、、
これがシュー自体の動きのせいなのんか、ブレーキ本体の歪みなのかは不明です。

しかしブレーキング時にリムに垂直に、まっすぐシューが当たるということはしっかりとした制動力を確保する上でも大切なことではないかと考えています。

現在のブレーキの構造を見てみます。


▶ブレーキの構造


①ノーマルブレーキ
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いわゆるセンター止める一本締めのキャリパーブレーキです。
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②ダイレクトマウントブレーキ
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2本で固定する高剛性ブレーキです。
その強力な制動力はヘッド周りのより強い剛性を必要とするというお話です。
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2種類のブレーキを比べてみると構造は一目瞭然、全然違います。
1本止めのノーマルのブレーキは固定ボルトからアーチを超えてシューまで少し離れています。
これがダイレクトマウントになると2本締め、左右のシューの直上でフロントフォークに固定となります。

ゴンッ!と強烈なブレーキをかけた時のアーチやブレーキの”よれ・しなり”の動きを想像すると、この2種類の構造から見ても全く同じトーインの調整が同じような影響を及ぼすとは考えづらいです。

アーチの太さや、固定ボルトからの距離等これらのことを考えても、ダイレクトマウントのほうが剛性が高くよれやしなりの影響を受けないであろう想像ができます。

しかしシマノとして同じようにトーインの付け方に差がないということはひょっとしたらノーマルのブレーキもかなりの剛性を持つように作られているということも考えられなくはありません。
ということで結果を見てみます。


▶結果から見るトーイン(フロント:ダイレクトマウント)

これは最初のうちしかできないことですが、、、
ワタクシ自身のバイクでは基本的にあまりトーインを付けていません。
0.5mmとマニュアルにはありますがおそらく0.2mm程度です。。。
(本当は、、マニュアル通りにしましょう)

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この通り、画像で見ると全くトーインがないように見えますが(レンズのせい?)、実際は微妙についています。
このぐらいです。

で結果から見るということです。

シューを見てみます。

例えば前述の様にブレーキがしなる・たわむことでトーインのついたシューがまっすぐ当たるようになっている、ということであればトーインをつけることで最大限の制動力を得て、シューは全面均等に削れているはずです。

再度確認ですが、現在の状態は”トーインはほんの気持ち、微妙についている程度”です。
公式よりも遥かに少ないトーインですので頭の中だけで原理的に考えればシューの後方が主に削れているはずです。

右側:
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左側:
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左右ともに前方に使用感が出て後方は削れがほぼありません。
若干黒っぽくなっていいるぐらいです。

左右ともに前方を主に使い後方はほとんど使われていなかったことになります。

トーインをつけることで本当にブレーキやシューが歪んでリムにまっすぐシューが当たるようになるのであれば、今回の状態でほとんどトーインのついていない状態からブレーキを使うことでシューの後方の方が主に使用されるはずです。(いわゆるシューの引き込みという状態です。)
しかし今回の実験ではそうはなっていなかったというところです。

この結果から推測するにワタクシが使用中のダイレクトマントブレーキのシステムだとむしろトーインを付けないほうがリムに面できれいにシューが当たるのではないかということが考えられます。


▶結果から見るトーイン(リア:ノーマル)

フロントとは違いリアは一本締めのノーマルブレーキです。
こちらがどうだったかと言うと、、、

まずはセッティングからです。
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掃除前でごめんなさいm(_ _;)m

左は少々強めなぐらいのトーインで右はほぼ平行なぐらいの弱トーインです。
(フロントよりもだいぶ蔑ろな。。。(笑))

ではこれはどうなったかと言うと、、、

左側:
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右側:
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左側が比較的均等に削れているのに対して、右側は後方の方が削れています。

これは個人的には非常に面白い結果だと思いました。

左のほうが均一にシューが削れているという結果から考えるに、リアのノーマルのキャリパーブレーキに関してはトーインを付けたほうがシューはリムに対して垂直に当たっていたという結果です。
これは当然二輪車におけるブレーキの仕組み上のフロント・リアのブレーキの違いということもあるとは思いますが、やはりダイレクトマウントのほうが剛性が高くブレーキング時の”よれ”が少ないということにつながるかと思います。



▶結果から推測する

今回の実験は6800シリーズを使用しました。
ということで6800シリーズでは、
リムにシューが真っ直ぐ当たるようにする。という目的でのトーインは、
・ダイレクトマウント:ほぼトーインなし~ごく浅トーイン
・ノーマルキャリパー:トーインをしっかりと付ける
ということでシューがリムに面でしっかりとまっすぐ当たるようになるということが考えられます。

ノーマルのキャリパーブレーキは構造上の剛性の問題等で本体がしなったりシューがよれたり、そんなことでトーインを付けておくことでシューがまっすぐリムに当たるようになることを推測してのシマノ推奨トーインセッティングということだったのかもしれません。

しかし昨今のダイレクトマウントブレーキや、ノーマルタイプでもブースターのようなものが内蔵されたり、ブレーキ自体の剛性を上げてきている、技術的に剛性を向上させることが可能になってきたということが考えれられます。

となるとなぜシマノはこの現在でもトーインを推奨しているのかということですが、、、
ここからはワタクシの勝手な推測ではありますが、
まずははこちらです。
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シマノディーラーマニュアルより

”トーインをつけることにより、スムーズなブレーキ操作が可能になります。”
こうあります。

ということから効きに関してというよりも、どちらかと言うとスムーズなブレーキングのためにトーインを推奨しているのではないかと考えられます。
というのもいきなり面でガッツリリムに当たることで制動力の立ち上がりカーブが急になるところを、あえてトーインを付けることで繊細ないわゆるロードバイクで使う当て効きであったり、バイクのコントロールに使うようなブレーキングなんかで使いやすくしているのではないでかというところ、これと合わせて握り込んでいくことで面での接触へと変わり、立ち上がりはマイルドでよりコントローラーブルに、、、ということなのではないかと考えられます。
ブレーキの効きをあえてマイルドにするということはシマノは前モデルでは行っていた事ですネ。

またこれ以外ですと、鳴きの防止策ということも考えられます。
シマノの性格(?)からして、ブレーキで鳴きまくる製品を世に出すことは好ましいことではないと考えると思います。
世界のシマノとしてもプライドもあるでしょう。
こちらも結果論ですが、
”トーインをつけることでブレーキの鳴きが改善した。”
こういったことは聞かなくはいことはありませんが、
”トーインをなくして泣きが消えた。”
こちらのほうが絶対数として少ないと思います。
するとわざわざブレーキが鳴く可能性の高い方法を推奨することもないということかと思います。
とは言っても実際のところあまりトーイン調整だけで鳴きがピタッと、、、ということはあまりないような、、、それ以外の原因が多いような気がします。


▶最後に

今回の実験ですはあくまでもワタクシが個人で行ったものであり、もちろん結果は走るコース、例えば山が多いとか、平地が多いとか、これだけではなくて普段からどのくらいの強さでブレーキをかけているか、そんなことでももちろん結果に差は出てくると思います。

ということでトーインのジャストのセッティングはどうすれば?というところだと思いますが、、、
こればかりは削れた部分をよく観察してシューが面できれいに削れていくようにセッティングをする。それと実際に乗って自分の好みに効かせかたに合わせていく。これに尽きると思います。
前述のようにコースやブレーキのかけ方でも差は出てくると思いますので、自分のライドに合わせてセッティング、これがいいのではないかと思います。

ではシマノの一律0.5mmトーインは?ということなんですが、、、シマノが公式の店舗向けマニュアル(ディーラーマニュアル)で”個々の削れ方を観察して適切なセッティングを1台1台出してください。”な~んて記載できる訳ありませんネ(笑)
と考えてはいますが、原則マニュアル通りの整備をしましょう。

ということで今回はブレーキのトーイン調整 その真意は??そんなお話でした。


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