メカニック目線のロードバイクフレーム選び
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アルミは硬い、カーボンは衝撃吸収が、ディスクorリム?
、、、というお話ではありません。
もうすこしマニアックなところでみるフレーム選びです。

整備性が良いフレームはどんなフレーム?
輪行などで苦労をしないフレームは?
ケーブルがながもちするフレームは?

そんなちょっと一風変わったフレームの選び方、かなりメカニック目線で、こんなフレームはエエよ!というフレームの選び方、そんなお話です。



▶肝心要のケーブルルーティング
ケーブルの通し方、通り道です。

油圧ディスクブレーキでDi2の場合はケーブルの通り方、かなり自由度が高いです。
はっきり言ってしまうと通せさえすればどんなルートでも問題が出にくいです。(”出にくい”です。)

ですが、油圧ディスクのDi2、コンポだけでULTEGRAグレードで25万円です。。。
なかなか手が出にくい価格になってしまいました。

まだまだ機械式も需要が多いのではないかと思います。というか市場に出回る殆どの車両は機械式だと思います。

機械式とは、ですが、簡単に言うと”アウターケーブルの中をインナーケーブルが動く”というものです。
アウターケーブルの中をインナーケーブルが行ったり来たりするものですので、当然摺動抵抗(インナーとアウターがこすれる抵抗)が生まれます。
アウターケーブルが真っ直ぐな状態が最も抵抗が少なく、曲がりがキツくなればなるほど、抵抗が大きくなります。

インナーケーブルの摺動抵抗はできるだけ少ないほうが良いです。これはブレーキもシフトもそうです。
抵抗が少なければ少ないほど、コントロールレバーの操作は軽く動き、操作される側、ディレイラー・ブレーキは正確に速く、動きます。

ケーブルを組む際にはできるだけ、抵抗が少なくなるように組みますが、フレームの設計・構造に依存してしまうということがあります。
昨今流行りのハンドル内装、そしてフレーム内装もできるだけカーブがゆるく組めるほうが摺動抵抗が低くなります。

また特に要注意なのが、各所のサイズです。
大きいフレームサイズの場合は問題がなくとも、フレームが小さかったり、ステムが短い場合、ハンドル幅が狭い場合等、基本的にサイズが小さい方がカーブがきつくなりがちです。
つまり身長が低い方の場合は特に注意が必要ということになります。

ということを踏まえてのお話です。

①ヘッド周り
ヘッドチューブからはできるだけ後方からフレーム内部に引き込む構造のほうが、ケーブがきつくなりにくいです。
具体的にフレームを見てみようと思います。

これは単純にできるだけ後方からフレームの中に入るほうが良いです。
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シフトケーブルのフレーム引き込み口です。

基本的にダウンチューブから入ることが多いですが、ダウンチューブ側面の場合、
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ダウンチューブ上面の場合があります。

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こちらはちょうど中間ぐらい?

ハンドルに沿わせたり、内装式ハンドルの場合はハンドルからアウターケーブルが離れる部分、要はアウターケーブルのハンドルの最終固定箇所から、フレーム引き込み口までの距離が長いほうが良いということになります。
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※アウターケーブルのハンドル側の最終固定箇所です。

逆にヘッドかなり前方にフレーム引き込み口がある構造です。
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ブレーキは後方に位置しておりますが、シフトはヘッドチューブに引き込み口があります。

こう言った設計のフレームはフレームサイズが大きかったり、ステムが長い場合は影響が出にくいですが、逆にフレームサイズが小さい=ヘットチューブが短い、そしてステムが短いとアウターケーブルのカーブがものすごくきつくなったりケーブルの取り回しがきつくなりがちです。
まっすぐの状態であれば問題は有りませんが、ハンドルフルロックができる長さのアウターをどのように取り回すかでも引き等が変わってきます。

番外編
トップチューブからシフトケーブルを引きこむ構造のフレームもあります。
旧型ですがAR、SK、PR等です。(なんとなくぼかしましたが。。。)
あの構造は不思議なところがないわけではありませんが 、意外とと引きを軽くできます。
それでも各フレームの専用パーツなどを見ても、Di2を猛烈におすすめしているように思えなくもない構造です。


続いてブレーキです。
ブレーキも同様にできるだけ後方に位置していたほうが良いです。
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トップチューブ下部の場合、トップチューブ側面の場合もあります。

注意が必要なのはブレーキもヘッドチューブから入る場合です。
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こちらの場合もシフト同様にステムが短い場合、ヘッドチューブが短い場合、ハンドルからの距離が違い場合に注意が必要です。

ブレーキに関しては右側に入口がある場合、左側に入口がある場合があります。
日本のメーカーは右側に入口がある場合が多いように思えます。(YONEX、現行ANCHOR等)

ということなんですが、個人的には右前ブレーキで組みますが、リアは左側から入るほうが好きです。
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右前ブレーキで組む場合、右入り口だと長さが微妙で場合によってはせり出してきます。
左入り口の場合はせり出しががほぼ有りません。
これがもちろんステムの長さ等にもよりますが、特にDi2組の場合ハンドルが勝手に切れていく。曲がる(アウターの抵抗で)、という現象は右側入り口のほうが多いです。

また正面から見た場合、
シフトをクロスで組まない場合、ケーブルの流れがきれいにまとまります。
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左レバーのアウターは左側へ、右レバーからのアウターは右側へ流れていきます。


ついでに少々それますが、ハンドルのお話も、、、
ハンドルも同じようなことが言えます。
ハンドルの場合は最近流行りの内装式のハンドルです。
あまりにも外側過ぎてもアレですが、穴の位置はできるだけ外側にあるほうがカーブをゆるく組みやすいです。
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逆にものすごくセンター寄りにある場合、かなりカーブがきつくなりがちです。

つまりヘッド周りに関して、各所の固定箇所(アウター受けやハンドルの最終固定箇所)の距離が長いほうがカーブをゆるく組みやすく、ケーブルの取り回しの自由度が高いです。

またアウターケーブルのカーブが緩いことのメリットはレバーの引きの軽さだけでは有りません。
カーブをゆるく取ってゆとりがある方が、ハンドル(ステアリング)の動きも軽く良くなります。
これもなにげにめちゃくちゃ重要なところかと思われます。


②リア回り

こちらもリアディレイラーのアウター受けから、フレーム出口までの距離は長いほうが良い傾向にあります。こちらも同様ですがカーブがゆるくできますし、ホイールのつけ外しも容易です。
Di2の場合は逆です。エンド部の出口で全く問題有りません。

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黄色の距離です。

逆に近いものを見てみます。
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カーブはきつくなる傾向にあります。

この場所のカーブがきつくなることを想定した、OT-RS900という柔らかいアウターがあります。
しかし組むときは問題がなくとも運用上問題が出る場合が多いです。

というのも新型のリアディレイラーと最近のフレーム構造は、はっきり言ってめちゃくちゃ相性が悪いです。
見てみます。
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チェーンステー後方からアウターが出るタイプです。
シャドウタイプのRDはアウターケーブル受けの動きはほぼ有りません。
しかし後輪のつけ外しの際には青い矢印の方向にディレイラーを動かす必要があります。

となると、、、リアアウターが折れます。
OT-RS900を使うとケーブルが折れることが多く、SP41で組むとアウターが折れたりスモールパーツがちぎれたりアジャスターが鬼のように固くなったりします。

ちなみに旧型はと言うと、
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旧型でも同様にリアホイールのつけ外しの際には同じ動きになりますが、それでもリアディレイラーのアウター受けまでの距離が新型に加えて長いので、折れづらかったです。

もしもケーブル引き(機械式)シフトで組む、また輪行などで後輪のつけ外しが多い場合は、少し注意が必要なところかと思われます。
ココが折れると途端にリアディレイラーの動きが悪くなったり、シフトが重くなったりします。

あとは出口の角度です。
おそらくフレームの出口からアウター受けまでの距離(上の画像の黄色線)を稼ぐためだと思われますが、、、
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完全にフレーム内部でカーブを描きます。
ということはこの部分に何らかの処理をしてあげないと、フレームの内側がインナーケーブルの行き来で削れていくことになります。ポンと抜いてポンと指す、だけでは不具合がでることが予想できます。

これら問題を解決するためには、スクルのようにリアをフルアウターで組むことで、後輪のつけ外しの際にはアウターを引き出して長くして外す、等の方法であれば回避することは可能かと思われますが、かなり手間がかかるのでどうのか、またアウターが余りすぎているとフレーム内で暴れますのでカチカチ音の原因にもなります。ハンドル周りの余裕をリアに持ってきて、、、うーん、なかなか難しく手間のかかるお話です。

Di2であれば全く問題のないお話ですが、機械式の場合は使い方に合わせて検討するのが良いと思います。


▶その他
その他では、、、
①BB回りは大きく空いていたほうが整備性はいいが、剛性は構造的に落ちる可能性が高い。
最近のカーボンフレームはカーボンの使い方等で、構造以上に全く変わってくることが多々あります。ですので一概に、とは言い切れ無いところも難しいところです。

②BB下のケーブル用の穴の大きさは、大きさではなくて位置と角度が重要
これも重要で、実は大きければ整備性がいいわけでは有りません。小さくても角度と位置が良いフレームは整備性が高いです。

③Di2バッテリーはBB付近に入れられると重心的にはOKだけど、開口部が広くなって剛性が落ちるのであればシートポストがよい。
重量物はできるだけ下方のほうが良いというのは理想ですが、重量配分よりも剛性は重要だと考えております。逆に硬すぎる傾向にある車体の場合は如何にしなやかに動くようにするのか、それがポイントだと思います。

④ブレーキの理想はフロント:ダイレクトマウント、リアノーマルで必ずリアはシートステー
空力性能、剛性、効き等を考えてもフロントはダイレクトマウントが良いと思います。逆にリアは取り付け部分の剛性のことを考慮してノーマルタイプ、XELIUS方式が最良かと思われます。
BB後方のブレーキは剛性は高くなりますが、如何せん整備性が悪く汚れやすいので動きが悪くなりがちです。

⑤ボトルケージ台座、シートチューブ側はできるだけ低い位置に
最近のトレンドですが、もしも高ければ台座の位置を動かしても低くしたいものです。

⑥圧入BBは全く悪くない
構造等を考えれば圧入という方式が悪いわけではなくて、各メーカーの思想というか、呼吸の合わなさが、、、ゴニョゴニョ。。。。




▶まとめ
と、こんなことも最近では選ぶ余地もなくなってきているのがハイエンドモデルです。
ケーブルはフル内装、でいじることもほぼできません。
それがいいのか悪いのかというお話はべつとして、、、

フレームを選ぶ際にワタクシの場合は大人の事情が絡んできますのであれですが(笑)、通常であれば好きなメーカー、デザインやカラー等で決めることが多いのではないかと思います。

どういったコンポーネント運用したいのか、またどのような使い方をしたいのか、そういったことも考慮した上でフレームを選ぶのが良いと思います。
もちろん今回のお話で組みにくい、組むのにコツがいるようなフレームは悪いフレーム、ということでは一切ありません。もしもそういったフレームだった場合、普段使う際に少しだけ気を使ってあげたり、メンテナンスや整備の際にも少しだけ気を使って上げることで十二分に性能を使うことも可能です。

ということで今回はちょっと普通とは違った目線、メカニック目線のロードバイクフレーム選び、そんなお話でした。


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