チューブレスシステムとシーラント なぜ使う?なぜ使わない?

チューブレスにはシーラント、
正確に言うとチューブレスレディタイヤにはシーラント、、、だけではありません。
ワタクシ自身は現在チューブレスを使ってもシーラントを使っております。

なぜかと言えば楽だし安心だから!たったのこれだけです。

しかしそこにはメリットだけではなくて、当然デメリットもあります。
それらを総合的に考えてもメリットの方が上回るので、シーラント運用をしております。

ということで今回はチューブレスシステムとシーラント なぜ使う?なぜ使わない?というお話を実験も含めての記事にしてみようと思います。



▶チューブレスタイヤとチューブレスレディタイヤの違い
チューブレスタイヤはシーラントが必要ありません。空気の保持層がタイヤに存在することでタイヤからの空気漏れを防ぐことができます。
しかしこの保持層を作ることで不利になることがあります。
”重量増”と”しなやかさ減”と言われています。

一方チューブレスレディタイヤは空気の保持層がタイヤ自体にありません。
重量は軽く作ることができ、タイヤ自体を保持層がない分しなやかにできるということです。
しかしです。空気の保持層がないということはタイヤ自体から空気が漏れてしまいます。

それではタイヤとして使い物にならなりません。
タイヤとしては高圧の空気を保持しなければなりません。
そのためチューブレスレディのタイヤにはシーラントを入れておくことが必須となります。
※あくまでも嵌合の問題ではなくタイヤの構造的なお話です。
タイヤとホイール嵌合部からのエア漏れの原因の多くはビードの上がり方です。それはもちろんメーカーにもよりますが、ホイール側の問題の場合とタイヤ側の問題の場合とがあります。

これがチューブレスタイヤとチューブレスレディタイヤのざっくりとした違いと特徴です。

~おまけ~
空気の保持層の有無によって明確に分かれるチューブレスタイヤとチューブレスレディタイヤです。統一の規格があるのかないのかは不明ですが、タイヤに関しては概ねチューブレスとチューブレスレディの区別ははっきりしております。
一方のホイールはどうかというところですが、レディ等の言葉に関して統一された定義がないということです。ニップルホールがタイヤ側に空いていればレディ、とか言われることもあるようですが明確な定義があるわけではないのでホイールに関してはメーカー毎、お店によっても差が出てきているというのが現状ですが。どれが正解で、どれが間違いということではありません。

▶シーラントの目的
前述のようにシーラントをチューブレスレディタイヤに入れることは必須です。
チューブレスレディのタイヤは原則シーラントがないとタイヤからのエア漏れを防ぐことができません。

シーラントの目的は空気の保持、それだけではありません。
もう一つの目的はというと、パンクの修復です。
ロードバイクの最大の天敵ともいえるパンクです。
シーラントを入れておくことでパンクによるエア漏れも勝手に止めることができます。(すべての場合ではありません。)
いわゆるパンクの自動修復です。

ちなみにワタクシ自身もシーラントを入れたチューブレスレディでパンクを経験しました。
どんな感じだったかと言うと、過去の記事も書きましたが全然気が付きませんでした。

しばらくして洗車をする際にフレームにシーラントがちょっとだけついていました。
よく漏れるなぁ、、、なんて考えていたらパンクをしていたと。(笑)
空気圧の減少も通常程度のものでしたので洗車をするまで全く気が付きませんでした。

これがシーラントを入れていなかったらどうだったかと言うと、、、
普通のパンクをしておりましたので、出先でチューブを入れて、もしくはクイックショットのような後入れシーラントを入れてそろりそろりと帰って来ることになっていたと思います。

しかしシーラントさえ入れていれば前述のようにパンク修理どころか気がつくこともなく帰宅できてしまうというなんとも便利なものです。
ゴイスーですネ。


▶シーラントのいろは
今までのことを見ると万能のようなイメージもありますが、シーラントにはデメリットもたくさん有ります。ということでシーラントのいろはをまとめてみました。

①重量増・バランスの悪化
チューブレスタイヤであれば本来シーラントを入れル必要はありません。シーラントが不要な設計です。不要ではありますが、その分保持層がタイヤの構造に必要になりの重量が重くなります。
そこにさらにシーラントとなるとどうしても重量は増してしまいます。

チューブレスレディタイヤはタイヤ重量+シーラント重量を統合して重量として考えなければなりません。概ね30~45ml程度の量を必要とするシーラントが多いのでタイヤ重量に+30g程度、と考えるのがいいと思います。(チューブレスレディはシーラントが必須です。)

では実際にシーラントがタイヤの中でどんな状態かというと、、、、
ドロッとした状態です。シーラント剤は
・タイヤにへばりつく分
・流動的にタイヤの内部面にとどまる分
に別れます。
基本的にはすべて均等にタイヤにへばりついてくれれば理論的にはバランスの悪化はほぼありませんが、流動的な後者によってもバランスの悪化等が考えられます。

例えば一昔前に超流行ったホイールのバランス取りです。
アレはやり方次第ではシーラントが入っていると流動的なものが動いてしまうのでどんなにやってもバランスが取りきれません。
しかし理論上はタイヤは回転すれば遠心力で概ね等しくなるはずなので、整備上でのバランスの悪さと実際に乗ってタイヤが回転している状態のバランスの悪さはイコールではないとも考えられます。


②パンクはどの程度まで塞がる?
これはシーラントの種類とパンクの種類にもよって様々です。
そもそもシーラントの種類は2種類に別れます。
・混ぜものなし、純粋なサラサラ系シーラント
・混ぜものがあったり、粘度が高かったりパンクに強い系いわゆる異物・粘性系のシーラント
前者は市場に出回っているものの多くはStan'sのNo tubes シーラントです。
IRCもジャイアントもStan'sです。
Stan's以外だとマビック、カフェラテックスとか、BHもシーラントがありますがこのサラサラ系のシーラントです。

後者、異物・粘性系のシーラントは
・フィニッシュライン(ごま)
・Panaracer シールスマート(チョコミント)
・EVERS スーパーシーラント(スライム)
等があります。(カッコ内は(笑))
この異物・粘性系のシーラントの特徴としては従来のサラサラ系のシーラントよりも大きなパンクも防げるというもので、概ね各メーカー公表で6mm程度までOKというお話です。
しかし実際にどのくらいまで防げるかは、、、謎です。

理屈で考えればサラサラ系よりもパンク修復能力は高そう見えます。それでも例えばですが、3mmの釘が刺さったって実際の傷の大きさが3mmとは限りません。パンクの種類や傷の状態、最終的な修復の可否は運のようなところもあると思います。


③手技とメンテナンス
基本的にシーラントの入れ方は2種類あります。
・バルブコアを外して入れる
これは主にサラサラ系のシーラントののときに使われます。
一度タイヤを組み付けてビードをあげます。その後シーラントをボトル、またはシリンジに移してコアを外したバルブから注入します。(ダイソーのシリンジでOKです。)
この方法の最大のメリットは汚れづらいということです。

・バルブを使わずタイヤに直接入れる
これは主に異物・粘性系のシーラントで使う方法です。
最後のビードをはめる直前(ビードの一部が外れている)の状態にしてタイヤにシーラントを直接注ぎ込みます。その後ビードをはめて、ビードを上げるといった方法です。
デメリットはどうしても少なからず多少はホイールにシーラントがついてしまいます。
またその状態でビードが上がらないと、、、大惨事になります(笑)。。。((.;゚;:Д:;゚;.))
しかし前述のような状態の場合は、バルブからの注入を余儀なくされることもあります。

というのも異物系はそのパンクの修復能力を上げるための混入している異物があるが故、バルブからの注入でバルブをつまらせてしまう事があるということです。
バルブ詰まりですが理論的に考えれば確かに、、、と考えられます。

注)以下あくまでも非公式の方法です。
どうしてもタイヤから入れられないやんごとなき事情がある場合は、バルブから注入後コンプレッサー、タンク等を用いて勢いよく空気を入れることでバルブ内のシーラントを一気に押し出して極力バルブ内に残らないようにする。
場合によってはシーラント、空気を入れたあと再度空気を抜いて、コアを外してバルブ内の清掃をする。
これでもコアのつまりを極力防ぐことができます。

続いてホイール側のメンテナンスです。
タイヤまとわりついてくっついたシーラントの除去はかなりの労力を使いますが、ホイール側はシールスマートに関してはペリペリ剥がれてくれますのでそこまで苦労はしないです。
というかリムテープ使用しているのであればリムテープを変えてしまえばテープ面はきれいな状態です。
リムテープの張替えは必須事項なのできれいにする目的以外でもリムテープを張り替えてしまえばきれいな状態になります。

④そもそもシーラントの寿命って
どのくらいの期間シーラントが流動体としてシーラントの役割を果たしてくれるのか、これはかなり大きな問題かと思います。

しかしこれはメーカーによって様々です。

サラサラ系では半年を目安に交換や注ぎ足しを推奨している場合が多いようです。

異物・粘性系ではもう様々です。
Panaracerのシールスマートに至っては2~7ヶ月という何を言っているのかわからないぐらいの(笑)期間を設けております。
フィニッシュラインは固まりにくいというお話ですが、試していないので不明です。

しかしこれはどのシーラントでもそうですが保管状態、使用方法等でもものすごく差が出るところかと思います。
タイヤを外さないで内部のシーラントの状態を確認したいとなると、空気を抜いてバルブコアを外して何を突っ込めばわかるかと思います。
最初のうちは定期的に確認をしておくとだめになるまでの期間がわかるかと思います。


⑤金属に対する攻撃性
アルミに対する腐食が起こることがあったということですが、現在のシーラントでは対策が取られているものが多いようです。(シーラントに含有のアンモニアが原因というお話です。)
※確実なのはホイールメーカー、シーラントメーカー双方に確認をすることを推奨致します。

当店でも販売中のPanaracerのシールスマート、BHのシーラントともにアルミホイールでの使用も問題ないということです。

とは言ってもレディのホイールでリムテープを張ってしまえば直接シーラントが触れることはほとんどありません。


▶シールスマートの重量実験
Panaracer渾身の商品、シールスマートです。
こちらで実験をしてみようと思います。

シーラントが寿命を迎えたらどうするべきなのか、という実験です。
というのもあの固まったシーラントをペリペリするのは非常に大変な作業で、まったくゴールが見えません。
サクッといきましょう。

ちょっと少なめにギリギリの量で30ml弱程度ぐらいです、、、(27ml位?)
これで重量は22gです。
IMAG9283

これを移します。
IMAG9284

IMAG9286

22gです。

でこれが完全乾燥後、要はシーラントの交換、継ぎ足しの時期 状態としてパッサパサになったらどのぐらいの重量になるのか、といったお話です。

でいい感じに乾燥してきたので重量測定です。。。







違うやんけ!(((;;;゚ω゚)))ヤッテモータ…

明らかに間違っています。
総重量で測定しておかないと意味がありませんでしたorz...=3(笑)
大ボケをかましていても仕方がないので再度、、、

IMAG9291

容器の重さ11g

IMAG9293

+21g分シーラントを入れます。

これを乾燥させます。
日当たりがよく乾燥しやすいところに放置します。

いい感じになったところで重量測定です。

IMAG9322

乾燥後重量=21g→5gとなりました。

なんだか行ける気がしました。

( ̄‥ ̄)=3 !!
IMAG9349

ベリベリと、、、

IMAG9350

脱げました!(笑)

重さはと言うと、、、
IMAG9351

やっぱり5gでした。

ということは、、、

IMAG9353

こっちも剥がれました乁( ˙ω˙ 乁)ウェーイ

IMAG9355

こちらも同じく重量は5gです。
ということは、乾燥後重量22g→5g
ということです。

結果です。
今回は剥がしやすい容器だったのでペリペリと剥がれましたが、タイヤではこうは行きません。
推奨値ギリギリの量、30ml弱、20g程度で運用している場合であれば、乾燥後に約1/4の重さ(5が程度)になる。ということでした。

これをふまえて例えばタイヤ自体が半年間使えると言う場合で考えてみます。
シールスマート推奨の最低値が2ヶ月ですので、2ヶ月でぱさぱさになった場合と仮定してみます。。
6ヶ月でタイヤが寿命を見返るとすれば、継ぎ足しは2回。
洗浄はせずに継ぎ足しで運用するとしても、実質のシーラントカスの影響の重量増は15g程度に抑えられるのでは、ということです。

タイヤについた乾燥したシーラントを除去するのは結構な労力です。
個人的には乾燥後、シーラント注入1回分、かなり多く見積もっても乾燥後重量10g程度の重量増であれば剥がすこともないとも感じてしまいます。そもそもタイヤが半年も持ちませんので(笑)



▶まとめ
ワタクシは現在前輪レディ+シーラント、後輪チューブレスでもシーラントを使用しております。
なぜかというと、、、圧倒的な精神的アドバンテージを得るためです。
もうシーラントに慣れてしまうと、パンクをしても勝手にふさがってくれる、なんでこんな便利なものを今まで使ってこなかったのか不思議に思うぐらいズブズブです。

サドルバッグにチューブを一本入れれば軽量なものを入れたとしても概ね50g以上にはなると思います。
そしてもしもパンクをしてしまえばどんなに小さなパンクでもその場に止まって、修理をしなければいけません。たかが小さなパンク程度で出先の修理はめんどくさい、と思ってしまうのもシーラント運用になれてしまったというところが有るからです。
そのわずわらしさがなくなる、もちろんどの程度のパンク、パンクの状態にもよりますが、それでも圧倒的に精神的に安心感が得られます。

回転物の外周周りの重量増は重量以上の重さを感じるとは言いますが、それでも心の余裕を得るためにシーラントを使用しております。
なにを選んで何を選択するかは使い方次第だと思います。

ということで今回はチューブレスシステムとシーラント なぜ使う?なぜ使わない?そんなお話でした。



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