チェーンの潤滑と駆動ロスについて ”潤滑の謎に迫る”サイスポより

先日ざっくりと雑誌のバックナンバーを読み直していました。
それは確か2016年のサイクルスポーツ誌、その中の”自転車道”というコーナーです。
個人的にはこの自転車道というコーナーは大好きでした。
というのかなりのマニアックなネタを使っていたからです。

その中でもチェーンのお話として潤滑の謎に迫る、これをワコーズの中の方にお話を聞いた、そんな特集が今尚非常に役に立つ内容だと感じました。
3年も前のお話です。この業界フレームでもホイールでも3年も経てば新しい革新的な技術が出てくるものです。しかしこの潤滑については情報が古い!なんてことはありませんし、オイルについても従来までの考え方がガラッと刷新された、ということはありません。

ということで3年も前の情報を今更見返す、見返す価値があると感じているからこそのご紹介です。今回はチェーンの潤滑と駆動ロスについて 潤滑の謎に迫るサイスポより そんなお話です。

(まだバックナンバー買えるのでしょうか。。。)



▶潤滑の目的とは?
「2つの物体が接触する部分をスムーズに動かし、摩擦や摩耗を低減し、部品の寿命を伸ばすこと」
言葉に表すのは難しいですが、頭では理解がしやすいかと思います。
今回はチェーンのお話ですので、チェーン自体の潤滑、そしてチェーンとギア歯の潤滑のためにチェーンオイルが使われるということです。

昨今はパワーメーターが比較的入手しやすくなっておりますのでパワー値に関してイメージが湧きやすいと思います。
それを踏まえてのお話です。
自転車という乗り物は、ペダルに入力したパワーの5~10%を駆動部のフリクションでロスしているんです。

中略

チェーンに塗布する潤滑剤を摩擦係数の少ないものに変えると、そのロスを半分ぐらいにできるんです。400W時にロスが8%から4%になるということは、16Wセーブですね。
ワタクシ自身、実際にパワーメーターをつかったトレーニングを開始する前はよくわかりませんでしたが、400W時に16Wの削減ってものすごい数値です。
例えば450Wで漕いでいるときに、Aに比べてBは約20W、Cは約18Wもパワーロスが少ないんです。潤滑剤の種類によって数十Wもの差が生じているんですよ。

中略

何度繰り返してもこのような値が出るんです。
チェーンオイルの性能差による抵抗、侮れないです。

その記事には表・グラフがあります。

3種類の高性能潤滑剤(と認識されている製品)も使用した計測で、クランク出力と後輪出力の差が記載してあります。要は踏んだパワーと実際に後輪で発生したパワーの差:駆動ロス、コレを計測したものです。
400Wというとかなり豪脚の数値なので、表から常用の200W前後で見てみます。
するとざっくりですが少なくとも駆動ロスが10W、多いもので15W程度の差が発生しております。
ということはやはり駆動ロスは前述のように5~10%はあるということでしょう。

例えばですが、駆動ロスの半分がチェーン抵抗と考えてみて200Wで5W削減になったとします。
FTPテストでの結果195Wから200Wに上がったら、かなり嬉しいと思います。
たかが5W、されど5W、その5Wが大変!
5Wでも上がれば嬉しい!そして下がれば悲しいFTPゾ!
数%の差は侮れないということです。
いろいろな分野の技術者の方に話を聞くと、皆さん「ベアリングをセラミックにするよりチェーンをキレイにしていいオイルを注したほうがよほど効果がでかいんですよ」と言わるんですが、ホントにそうなんですね。

その後、摩擦と摩耗、3つの摩擦のメカニズムについての記載がありますが、ここはさらっとだけ。

すべてを台無しにする異物
(異物が入った)状態になると、摩耗は加速度的に進行します。
(チェーンが伸びるというのは)摩耗によるものですね。プレート部が物理的にのびるというよりは、ピンとブッシュの間が摩耗して減り、その分チェーンが長くなるんです。
適切なチェーンオイルでの潤滑は大切ですが、何よりも汚れた状態というのはチェーンにとって非常に厳しい状況であるということです。


▶潤滑剤
肝心要の本題突入です。
そもそも潤滑剤って、何でできているんですか?

ベースオイルと添加剤からできています。使いやすくするために溶剤を入れたりすることはありますが、基本的にはベースオイルと添加剤です。

溶剤とは?

メーカーによって違うと思いますが、表面張力を下げて浸透性を良くするために用います。表面張力が下がると同じ粘度でも浸透しやすくなるので、使いやすくなるんです。
基本ですが、オイルはベースオイルと添加剤からできているということです。
この種類や配合によってオイルの性能としての差がでるということです。

ベースオイル単体では、使用条件によってはサビが発生したり大きな摩耗が起きたりします。添加剤をベースオイルに配合することで、用途に合わせた性能をもたせることができます。

添加剤にはよく聞くところだと、極圧剤や防錆剤等が比較的馴染みがあると思います。

この添加剤が面白くて、添加剤メーカーが作ったもの「パッケージ」と呼ばれる添加剤セットのようなものを1種類入れるだけが多いとのことです。
いわゆるパッケージに書かれている成分「添加剤」としか書かれていませんので何が入っているかどうかは不明ですが実はこの配合は企業秘密ということです。しかし成分分析をすればわかってしまうということです。ですので成分分析ができるオイルメーカーは他社がどんなものを使っているかはほぼ丸わかりと。。。(笑)

そんなオイルにはなくてはならない添加剤ですが、入れすぎては逆効果になることも、ということです。

食べ物と一緒ですね。醤油は必要だけど、入れすぎるとまずくなっちゃうでしょ。いい塩梅を外れたら一気にバランスが崩れちゃうんです。
面白いです。

更にコストのお話となると、
例えばウチのチェーンルブリキッドは、原料を混ぜる順番、温度のかけ方、その時間なと、かなり凝った作りをしています。当然製造コストは跳ね上がります。ベースオイルにパッケージの添加剤を混ぜるだけだったら、パッケージの原料代が多少高くても製造コストは抑えられます。中には原料代と販売価格が大幅に違うメーカーもありますし、なんとも言えないところです。
高ければいいということでもなさそうですし、安いものには安い理由があるということなのでしょうか。
潤滑剤の考え方にはいろいろあるんです。どのタイミングで何をしてやるか。低負荷時に抵抗を減らして楽にできるようにするか。摩耗するような高負荷域での抵抗を減らしてスプリントやヒルクライムで本領を発揮するように作るか。そういうことを添加剤でコントロールできるんです
もうマニアック過ぎて楽しすぎます。

化学反応を起こす添加剤に関しては大量に入れれば消費後のゴミが増えてきてしまいます。なので添加剤は必要なときにだけ働くようにする、ということです。
添加剤については、
潤滑剤に複数配合されている添加剤は、常にすべてが働いているわけではなく、状況によって「働く添加剤」と「休んでいる添加剤」が次々と切り替わっている。
そういう設計にすることによって、低負荷から高負荷まで各々の状況にあった性能を発揮する潤滑剤になる。しかも添加剤が必要なときにだけしか働かないので、寿命も伸びる。

この添加剤の切り替わりは温度や負荷で起きるということです。

(チェーンルブは)使いやすくするために洗浄力のある溶剤を入れ、濡れていても性能を発揮するために水置換性をもたせて、付着性を増やすためにワックス系の増ちょう剤を入れています。誰がどんな状況で使っても使いやすく性能が発揮できるような作りになっています。

中略

(それに対してチェーンルブリキッドは)競合吸着を防いで抵抗を極限まで低くするために水置換性もなくしましたし、流動点降下剤や消泡剤も入っていません。極圧剤も非常に抵抗の低いものを使っています。
潤滑剤の設計、添加剤の配合は)そう簡単に行くものではありません。最適なバランスを決めるには、膨大な数の試験を繰り返す必要があります。たくさんある原料を、一個ずつ抜いたり加えたり配合を変えたりして、実験を何度も繰り返します。成功するまでは失敗の連続。逆に言えばほとんどが失敗です。
もうぜひともワコーズのオイルを使いたくなるようなお話です。

▶使用法
最後は肝心要の使用法です。
潤滑剤って使っているうちに黒くなりますが、あれば何が原因ですか?

黒くなるのは、添加剤の劣化、異物、チェーンの摩耗粉が原因です。

添加剤が反応すると黒くなるんですか?

はい、チェーンが摩耗していないのに黒くなるのは添加剤が反応した結果です。
もちろん摩耗粉でも黒くなることは多いのですが。
潤滑剤の性能を発揮させるためにやること。

もうこれはワコーズのチェーンオイルであればワコーズの推奨する方法を行うのが確実です。
自社製品のことは熟知しているはずですし、設計から使用方法までセットで性能をチェーンオイルの発揮させるというのは大切なことです。
それをふまえて、
チェーンの洗浄はというと、速乾性のブレーキクリーナーを使う人が多いですが、それだけだと溶けやすい油分だけが外にでて、固形物が中に残ってしまいます。しょっちゅうブレーキクリーナーで洗っているけど、走りが重いという人の原因はそれ。

速乾性のクリーナーで完全に洗おうとすると、1本どころか3本ぐらい使わないといけません。

中略

に注意をしていただきたいのが、フッ素形樹脂が入った潤滑剤を使っている場合。フッ素樹脂はパーツクリーナーで溶けないので、いくら洗ってもフッ素樹脂だけチェーンの中に残ってしまいます。最終的にはフッ素樹脂が固まってローラーが動かなくなってしまいます。
チェーンの掃除の方法に関しては、揮発性がなくかつ水洗いできるタイプ、ワコーズのチェーンクリーナー(スプレータイプ)をおすすめしています。
水洗いが可能なクリーナーをチェーンに掛けて、ブラッシングでローラーを回転させてあげ内部の汚れをかき出してあげる、そして最後に大量の水で流してあげるのが良いということです。
この「大量の水」というのがポイントだそうです。

ではペットボトルシェイクはどうかというと、、、
ローラーを回さないとゆるくならない汚れもあるので、やはりローラーは一個一個回してあげるのが一番。そのひと手間で数ワットのパフォーマンスの差が出ますよ。
とても興味深い内容でした。

詳細は別記事作成予定です。



▶まとめ
チェーンオイルは各社様々なものが発売されております。
そして性能の違いはもちろん、お値段の差が非常に大きなところでもあります。
ただただ高ければいい潤滑剤ということではないということも記載にあったとおりです。

そして潤滑剤の性能を十分に発揮させるための方法として、ワコーズさんが各種イベントでも行ってる洗車セミナー、これは自社の製品で最高のパフォーマンスを発揮させるためにの方法を教えてくれるというものです。
ただ自転車をキレイにしてもらって、乁( ˙ω˙ 乁)ウェーイ
というだけではもったいないことです。

すぐれたチェーンオイルを使用するということ、そしてきれいな潤滑の行き届いたチェーンを使い200W時に5W得をすると取るか、汚いチェーンで5W損をしていると考えるか。。。
適切なチェーン管理はとても大切ということです。

今回のお話は3年ほど前の記事ですが、現在のワコーズのチェーンルブは主に2種類に分かれます。
スプレータイプは主に手軽に使える万能チェーンルブ、そしてリキッドタイプはいわゆるレーススペックのチェーンオイル(3種類)です。
どちらを使うかは使い方に合わせて選択するのが良いと思います。
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ということで今回はチェーンの潤滑と駆動ロスについて ”潤滑の謎に迫る”サイスポより、3年前の雑誌のワンコーナーですが、非常にためにになることが書いてありましたので、ご紹介をさせていただきました。
もっと詳しく知りたい方はサイクルスポーツの2016年10月、11月号2号に渡って掲載がありますのでバックナンバーをご参照下さい。


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