【第4弾】ディープリムホイールはなぜ速い?~帆走効果とは~

第1弾はこちらから


第2弾はこちらから


第3弾はこちらから


前回に引き続きエアロダイナミクスです。
Swiss Side社にどっぷりです。
ディープリムホイールはエアロダイナミクスに優れ、特に平地や高速巡航の速度を上げることができる、また疲労を抑えることができる。これはよく聞くお話ですが、ではなぜディープリムがそこまでエアロダイナミクス的に有利になるのか?と言うと、、、難しいです。
よく見るお話では、リム剛性が上がる、リム重量増による慣性モーメント、スポークが短くなるために等々、、、というものですが、Swiss Sideのお話のメインは少々違い、帆走効果によるエアロダイナミクス効果の影響の大きさを述べています。

ということで今回は【第4弾】ディープリムホイールはなぜ速い?~帆走効果とは~、F1のテクノロジーを取り入れたSwiss side社のお話をメインにまとめて見ようと思います。

※例の如くできるだけ簡単にわかりやすいように、という説明に致しますのでめちゃくちゃ詳しく、ということではございませんm(_ _)m



▶よく見るグラフの意味
こんなグラフを見たことがあるかと思います。
下の画像は両社共にホイールに関するグラフですが、フレーム、車体でも同様にこのようなグラフがあります。
boyd
https://boydcycling.com/より

キャプチ55ャ
https://flocycling.com/より
Open Pro、、、(`;ω;´)

どちらのグラフも横軸のヨ-角17.5°を超えるまで値は下がり続けて、17.5°を超えると逆に値が上がり始める、ということです。

・縦軸のGarms of Drag
ワタクシのあまりいい訳ではありませんが、直訳すると”抗力のグラム(重さ)”となります。
抗力と揚力:
物体を”流れ”の中に置くと、物体は流れから力を受けます。この力のうち、流れの方向の成分を”抗力”、流れに垂直な方向の成分”揚力”といいます。
少々難しいので詳しく見たい方は下記のサイトにて。


・横軸のヨー角(Yaw Angle)
ヨー角とは:
ライダーの進行方向と、実際の風上の方向のズレ角のこと。

前回前々回のお話の中にも出てきましたが、このヨー角は速度が上がれば上がるだけ狭くなる、速度が遅くなるとヨ-角は開いていく傾向にあり最終的に停車状態では何°にでもなり得る、ということです。

ちなみにこちらのグラフはFLO社の調査です。
キャプチャ5
https://flocycling.com/より

Floの調査によると実際の走行では80%が0~10°までのヨー角だったということです。
またSwiss Sideの話では実際の走行の95%が20°以内に収まるということです。

抗力に戻ります。
ホイールの話に戻すとどうなるかというと、縦軸は運動を妨げる力を重さを用いて数値化したものです。

ともあれ難しいことは抜きにして、ものすごく単純に考えます。
上のグラフの”Garms of Drag”の数値が大きければ大きいほど、抗力が大きい=前に進もうとする力を妨げる力が強い=進みづらいということになります。
逆にグラフで値が下に下がれば下がるほど進みやすいということになります。
正確には進みやすいとか進みづらいとか、、、余り良い表現ではありませんが、語彙力不足なのでごめんなさい。

でココからが肝心なのですが、Swiss Side社のお話でもあったように、FLOもBOYDもリムの高さによる抗力の差はヨー角0°の場合はそこまで大きくないということがグラフから見て取れます。
つまり真正面からの向かい風のときはリムハイトによって、そこまで大きな差は出ないということです。

しかしです。

ではどういう時に差が出てくるかと言うとグラフ通りで、ヨー角が開いてくる(風向きが真正面から横へと少しずつずれてくる)事によって、抗力の数値が下がってきます。

これが面白いところです。

真正面の向かい風、実際に乗っているとめちゃくちゃ辛いです。
それがヨー角が開く、ざっくりとですが斜め方向の風になるとどんどん抗力がさがってくる、どんどん進みやすくなってくるというものです。(一定のヨ-角まで)
そう、下がるということです。
この低減幅は45km/h、ヨ-角約17°時に最大で25W の削減になるということです。
(並んで走っている状態から、突然25Wも差があったらはっきりいって全然追いつけないぐらいの差です。)

むしろちょっと斜めから風があたったりしたらまっすぐ風が抜けずに空気抵抗が増えそうな気がしないこともありません。
前面投影面積という面でも、真正面真っ直ぐの前面投影面積と、斜め前からの前面投影面積では当然斜めのほうが面積が広くなります。
しかしヨ-角は約17°までは開いたほうが進みやすくなる、というのが上のグラフから読み取れることです。

ではなぜ、ヨー角が開いたほうが抗力すなわち抵抗が下がってくるのか?というのが今回のメインのお話です。


▶帆走効果
Swiss Side社のお話の中で何度も出てくる、帆走(はんそう)です。
想像しやすいのはヨット、帆船だと思います。
風の力を受けて進むヨットは、どうやって風上に向かって(向かい風で)進んでいるのか?というお話です。

というのは動画を見るとわかりやすいです。


これです。

ディープリムも同様に帆走効果を生むことで抗力を下げるということです。
概ねリムハイトの高いモデル80mmや90mmの場合、Swiss Sideの調査では12°前後で抗力が0になります。その後17°ぐらいまでは抗力が下がり続けます。
つまり上のグラフは風を受けることで帆走効果の影響で進みやすくなる、ということです。

この帆走効果はホイールが全体の65%をしめ、前述のように45km/hで走行時、最大で約25Wの抗力の低減になるほどの効果ということです。(フレームとフォークの帆走効果は全体の22%)

つまりヨ-角20°ぐらいまでの範囲で走行しているときは帆走効果による影響で速く走れるということになります。
この帆走効果による抗力の低減こそがディープリムのメリットであり、利点ということがグラフから分かるところです。



▶まとめ
エアロダイナミクスだけを考慮すれば80mm、90mmあるディープリムは実験結果から見ても通常のヨ-角20°ぐらいまでの範囲であれば速く、そして楽に走れるものだと思います。
しかしSwiss Sideのお話にもありましたが、リム高が高くなる事によるデメリットも無視することはできません。
それは横風によるハンドリングの問題ということです。強い横風でハンドルがふらつくことでのパワー損失は思いの外大きく、横風が強い場合はリムハイトを落としてハンドリングが悪くならないほうが良い、ということも述べています。(ちなみにSwiss Sideは体重の軽いライダーや山岳では485がおすすめということです。)

そんなお話の中でもやはりといえばやはりですが、人間の空気抵抗をしっかりと考える。ということです。何でもその数値は全体の75%ということです。人間の空気抵抗を重視しているのはSwiss Side社だけではなく、各社同様の見解を持っているようです。
ポジション的な話では体の動きがよくないとエアロダイナミクスに優れた姿勢を取ることはできませんし、姿勢がよくてもパワーが出なければ意味がありません。体の柔軟性や練習も必要になるということです。

ということで今回はエアロダイナミクスについてSwiss side社のお話の第4段、【第4弾】ディープリムホイールはなぜ速い?~帆走効果とは~、そんなお話でした。

※なかなか難しく色々と勉強をしながら書きましたが、物理とか学がございませんで間違っていたら修正をさせていただきますm(_ _)m

公式ページはこちらから。


++++++++++++++++++++++++++++
当ブログの運営費用の一部はアフィリエイト広告費用より補わせていただいております。

Wiggleをご利用の際はこちらからポチッとご購入いただけると当ブログ運営費用に補填させていただくことができます。。


Chain Reaction Cyclesはこちらからお願い致します。


+++++++++++++++++++++++++++
FF-Cycle(エフエフサイクル)
〒262-0019
千葉県千葉市花見川区朝日ヶ丘1-21-2
※当日の受付は18:00までとさせていただきます。
作業は18:00以降も行います。
TEL:043-376-1121
(整備中、接客中等 電話を受けれない場合は番号通知にておかけいただければ折り返しお電話をさせていただきます。)
E-Mail:ffcycle@outlook.jp
※ご連絡をいただく際には
・お名前
・ご連絡先
・ご希望の整備内容
・ご希望の日程
・駐車場の要否
こちらをお申し付け下さい。
また整備内容によっては、車体メーカー、モデル名、ホイール、コンポーネントなども合わせてご連絡をお願い致します。
ロードバイクの健康診断・カスタマイズ相談的なこともお受けいたします。
当店の特徴・詳細ははこちらから