Swiss StopのBlack Prince ブレーキの鳴きを止める事はできるのか?
ブレーキキャリパーをBR-R9100に交換したのは最近のお話です。
先日も西伊豆のダウンヒルでもその性能を遺憾無く発揮してくれました。その効きはまさに最高峰、もうなんか挟みすぎてカーボンのリムぶっ壊れるんじゃないかと思うぐらいの制動力です。
しかしです。
普段の街乗りの時はあまり気にはしておりませんが、現状のセッティングではブラックプリンスは強いブレーキをかけるといわゆる”鳴き”がでます。
個人的な意見ですが、街乗りの場合は強いブレーキングの際、多少音が出て鳴いてくれたほうが安全性が確保できる場合もあります。
そもそも走行全体で98%ぐらいは公道を走るので、前もって危険予測をしつつ強いブレーキを必要としない安全運転をすれば、毎回ブレーキが鳴くほど強くかける事なくすんでしまいます。
では、調整を完璧にすれば完全に鳴きを0にすることはできるのか?というチャレンジです。
ということで今回はSwiss StopのBlack Prince ブレーキの鳴きを止める事はできるのか?そんなお話です。
※ブレーキの鳴きはかなり繊細で、ブレーキシュー、リム、ブレーキ本体、調整だけではなく、フレームやその他複合的な要因が合わさり出る場合が多いです。
前情報として、シマノの純正カーボンシューは数あるシューの中でも音鳴りが出づらい傾向にあるような気がしております。スイスストップのブラックプリンスはというと、シマノのシューと比べると鳴きはちょっとだけ出やすい場合が多いです。
がこれも各所との相性、ということもあります。
早速ですが、まず何から手をつけるかと言うと、、、まずは基本的なことですが、マニュアル通り、そして状態を可能な限り良い状態に近づけます。(良い状態とは新品の状態から馴染みがでた頃の状態です。)
そんなことかと、あれですが基本はものすごく大切なことです。
ということで基本に忠実にブレーキのセッティングからです。
①ブレーキのセンターを出す
まずはリムブレーキの基本中の基本ですが、ブレーキのセンターをビシッと出します。
ブレーキのセンターが出てないとすべての調整ができません。
ということは何から始めるかと言うと、、、
リムブレーキ車の場合はまず、ホイールを正しくはめることから始めます。
ホイールを正しくまっすぐ確実にはまっているか確認します。
その上でブレーキのセンター出しです。
ブレーキをゆっくりと握り込んでいきリムにシューがリムに当たる瞬間、左右同時に当たるようにしっかりと、目視し確認、調整をします。

リム面が見づらい場合は、ホイールを見ます。
握り込んでいき、シューがリムに触れてから更に握り込みます。その際にセンターがズレていると、最後の瞬間ホイールがブレーキに押されて、左右に動きます。
その際は、音で確認ができる場合もあります。
上の場合と同じように、ゆっくりとレバーを握り込んでいきシューがリムに触れてから更に握ると”ギュッ!”と音がする場合、センターがズレている可能性があります。
目視、音以外での確認もできます。
レバーを握り込んでいきシューがリムに触れてから更に握り込んだときの感覚です。センターがズレているとグニュッと気持ち悪い感覚があります。(※トーイン調整でも起こります。)
この感覚を覚えておくと、例えば乗り始めの際にセンターのズレにすぐに気がつけるようになります。
どの方法でも良いですが、確実にセンターの出ている状態を覚えておくと良いです。
※ノーマルブレーキの場合は、構造的にブレーキをちょっとぶつけることでもセンターがズレてしまうことがあります。ズレた際にすぐに戻せるようにしておくことと良いです。
調整はド派手にズレている場合はフォークの裏側から、本体を固定する枕頭ナットを緩めて、本体を真っ直ぐになるように合わせ再度規定のトルクでナットを締め直します。
微調整であればセンタリング調整ボルトで調整します。

二軸固定式の、ダイレクトマウントブレーキの場合は、ブレーキ本体を回転させることができませんので、このセンタリング調整ボルトのみの調整となります。
ダイレクトマウントのブレーキでセンタリング調整ボルトだけではどうにもならない場合は、ホイールのセンターがズレていないか、もしくはホイールがきちんとはまっているか、確認をし、不具合があればそちらも合わせて調整をします。
②シュー・リムの状態を確認
先日の記事にも有りましが、まずはシューです。
シューは研げばどんどん削れていきますが、効きの悪い状態のよくない面を出して、効きの悪い状態で使うのはよいことでは有りません
そこはケチらずに、多少摩耗が進んでも状態を確認し、状態がよくないのであれば、良い状態で使えるようにしておくのが良いです。
そしてリムです。
カーボンのリムでもシューが削れた汚れ、ブレーキダストがつくことがあります。

ビフォー

アフターです。
アルミリムのように研いできれいにすることはできませんが、汚れを落とすことは可能です。
リムの種類や、シューの種類によって差はあると思いますが、やはり汚れが溜まっているのであればきれいにしてあげると良いです。
③トーイン調整
個人的な見解とすると、二軸のダイレクトマウント方式のブレーキとリムブレーキではトーインの幅が若干変わってくると思います。
またトーインは付けすぎるとブレーキフィール、タッチが悪くなりますので微妙な調整です。
シマノの公式マニュアルでは0.5mmのトーインをつける、ということになっております。
トーインとはシューの前方を狭める(トゥをインさせる)というものです。
これはもういろいろなやり方があるのでサラッとだけです。

なんかのパッケージの外箱の厚紙を2つにおります。

0.5mmです。
これをシューの後方に挟み調整します。

するとこうなります。

今回は基本にそって、マニュアル通りにするために、きっちりと左右0.5mmのトーインを付けました。
④その他
・各所の増し締めブレーキの鳴き、音が出るということは根本的な原因は振動です。
各所確実に適正トルクで締まっているか、の確認ですが、基本的にロードバイクで各所の増し締めはブレーキの鳴き云々に関わらず、必須メンテナンスです。
・振れ取りやハブ等のホイールの調整
各所のガタもよくありませんし、振れやスポークテンションのばらつきもできれば整えてあげると良いと思います。
(最近の完組ではそこまで激しいばらつきは起こりづらい傾向にあります。)
▶結果
止まった!
今までのように強く握り込んでいった際に鳴いていた、もしくはロック状態まで待ちこみましたが、ブレーキが静かなままの状態になりました。
厳密に言うと0km/h直前に一瞬キュッ!と音がすることがたまにはありますが、キーキーなるいわゆる鳴きは有りません。
という結果からも、やはり調整で止められる場合もあるということでした。
しかしまだまだ十分にいろいろな場面で試したわけでは有りません、長い激坂、ブレーキがかなり熱くなったとき等の状況はまだ観察が必要かと思われます。
またこれと全く同じことをやっても鳴きが止まらないこともあります。
ブレーキの音鳴りはそれだけ多くの要因が絡まり合っていることが多いということです。
それでもまずはマニュアル通り、教科書どおりにきちんと整備をする、ということは何においてもとても大切なことです。シマノは世界最大の自転車パーツのメーカーです。
ということで今回はSwiss StopのBlack Prince ブレーキの鳴きを止める事はできるのか?というお話でしたが調整で、止めることができた。そんなお話でした。
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ブレーキキャリパーをBR-R9100に交換したのは最近のお話です。
先日も西伊豆のダウンヒルでもその性能を遺憾無く発揮してくれました。その効きはまさに最高峰、もうなんか挟みすぎてカーボンのリムぶっ壊れるんじゃないかと思うぐらいの制動力です。
しかしです。
普段の街乗りの時はあまり気にはしておりませんが、現状のセッティングではブラックプリンスは強いブレーキをかけるといわゆる”鳴き”がでます。
個人的な意見ですが、街乗りの場合は強いブレーキングの際、多少音が出て鳴いてくれたほうが安全性が確保できる場合もあります。
そもそも走行全体で98%ぐらいは公道を走るので、前もって危険予測をしつつ強いブレーキを必要としない安全運転をすれば、毎回ブレーキが鳴くほど強くかける事なくすんでしまいます。
では、調整を完璧にすれば完全に鳴きを0にすることはできるのか?というチャレンジです。
ということで今回はSwiss StopのBlack Prince ブレーキの鳴きを止める事はできるのか?そんなお話です。
※ブレーキの鳴きはかなり繊細で、ブレーキシュー、リム、ブレーキ本体、調整だけではなく、フレームやその他複合的な要因が合わさり出る場合が多いです。
前情報として、シマノの純正カーボンシューは数あるシューの中でも音鳴りが出づらい傾向にあるような気がしております。スイスストップのブラックプリンスはというと、シマノのシューと比べると鳴きはちょっとだけ出やすい場合が多いです。
がこれも各所との相性、ということもあります。
早速ですが、まず何から手をつけるかと言うと、、、まずは基本的なことですが、マニュアル通り、そして状態を可能な限り良い状態に近づけます。(良い状態とは新品の状態から馴染みがでた頃の状態です。)
そんなことかと、あれですが基本はものすごく大切なことです。
ということで基本に忠実にブレーキのセッティングからです。
①ブレーキのセンターを出す
まずはリムブレーキの基本中の基本ですが、ブレーキのセンターをビシッと出します。
ブレーキのセンターが出てないとすべての調整ができません。
ということは何から始めるかと言うと、、、
リムブレーキ車の場合はまず、ホイールを正しくはめることから始めます。
ホイールを正しくまっすぐ確実にはまっているか確認します。
その上でブレーキのセンター出しです。
ブレーキをゆっくりと握り込んでいきリムにシューがリムに当たる瞬間、左右同時に当たるようにしっかりと、目視し確認、調整をします。

リム面が見づらい場合は、ホイールを見ます。
握り込んでいき、シューがリムに触れてから更に握り込みます。その際にセンターがズレていると、最後の瞬間ホイールがブレーキに押されて、左右に動きます。
その際は、音で確認ができる場合もあります。
上の場合と同じように、ゆっくりとレバーを握り込んでいきシューがリムに触れてから更に握ると”ギュッ!”と音がする場合、センターがズレている可能性があります。
目視、音以外での確認もできます。
レバーを握り込んでいきシューがリムに触れてから更に握り込んだときの感覚です。センターがズレているとグニュッと気持ち悪い感覚があります。(※トーイン調整でも起こります。)
この感覚を覚えておくと、例えば乗り始めの際にセンターのズレにすぐに気がつけるようになります。
どの方法でも良いですが、確実にセンターの出ている状態を覚えておくと良いです。
※ノーマルブレーキの場合は、構造的にブレーキをちょっとぶつけることでもセンターがズレてしまうことがあります。ズレた際にすぐに戻せるようにしておくことと良いです。
調整はド派手にズレている場合はフォークの裏側から、本体を固定する枕頭ナットを緩めて、本体を真っ直ぐになるように合わせ再度規定のトルクでナットを締め直します。
微調整であればセンタリング調整ボルトで調整します。

二軸固定式の、ダイレクトマウントブレーキの場合は、ブレーキ本体を回転させることができませんので、このセンタリング調整ボルトのみの調整となります。
ダイレクトマウントのブレーキでセンタリング調整ボルトだけではどうにもならない場合は、ホイールのセンターがズレていないか、もしくはホイールがきちんとはまっているか、確認をし、不具合があればそちらも合わせて調整をします。
②シュー・リムの状態を確認
先日の記事にも有りましが、まずはシューです。
シューは研げばどんどん削れていきますが、効きの悪い状態のよくない面を出して、効きの悪い状態で使うのはよいことでは有りません
そこはケチらずに、多少摩耗が進んでも状態を確認し、状態がよくないのであれば、良い状態で使えるようにしておくのが良いです。
そしてリムです。
カーボンのリムでもシューが削れた汚れ、ブレーキダストがつくことがあります。

ビフォー

アフターです。
アルミリムのように研いできれいにすることはできませんが、汚れを落とすことは可能です。
リムの種類や、シューの種類によって差はあると思いますが、やはり汚れが溜まっているのであればきれいにしてあげると良いです。
③トーイン調整
個人的な見解とすると、二軸のダイレクトマウント方式のブレーキとリムブレーキではトーインの幅が若干変わってくると思います。
またトーインは付けすぎるとブレーキフィール、タッチが悪くなりますので微妙な調整です。
シマノの公式マニュアルでは0.5mmのトーインをつける、ということになっております。
トーインとはシューの前方を狭める(トゥをインさせる)というものです。
これはもういろいろなやり方があるのでサラッとだけです。

なんかのパッケージの外箱の厚紙を2つにおります。

0.5mmです。
これをシューの後方に挟み調整します。

するとこうなります。

今回は基本にそって、マニュアル通りにするために、きっちりと左右0.5mmのトーインを付けました。
④その他
・各所の増し締めブレーキの鳴き、音が出るということは根本的な原因は振動です。
各所確実に適正トルクで締まっているか、の確認ですが、基本的にロードバイクで各所の増し締めはブレーキの鳴き云々に関わらず、必須メンテナンスです。
・振れ取りやハブ等のホイールの調整
各所のガタもよくありませんし、振れやスポークテンションのばらつきもできれば整えてあげると良いと思います。
(最近の完組ではそこまで激しいばらつきは起こりづらい傾向にあります。)
▶結果
止まった!
今までのように強く握り込んでいった際に鳴いていた、もしくはロック状態まで待ちこみましたが、ブレーキが静かなままの状態になりました。
厳密に言うと0km/h直前に一瞬キュッ!と音がすることがたまにはありますが、キーキーなるいわゆる鳴きは有りません。
という結果からも、やはり調整で止められる場合もあるということでした。
しかしまだまだ十分にいろいろな場面で試したわけでは有りません、長い激坂、ブレーキがかなり熱くなったとき等の状況はまだ観察が必要かと思われます。
またこれと全く同じことをやっても鳴きが止まらないこともあります。
ブレーキの音鳴りはそれだけ多くの要因が絡まり合っていることが多いということです。
それでもまずはマニュアル通り、教科書どおりにきちんと整備をする、ということは何においてもとても大切なことです。シマノは世界最大の自転車パーツのメーカーです。
ということで今回はSwiss StopのBlack Prince ブレーキの鳴きを止める事はできるのか?というお話でしたが調整で、止めることができた。そんなお話でした。
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コメント
コメント一覧 (2)
油圧だとブリーディングやパッドの油汚れに怯えなければなりませんけれど…。
店長さん的にはマグラのリムブレーキの油圧はお使いにならないのでしょうか?
マグラのリムブレーキ用の油圧を見てみました。
重量的な面、あまりにも強すぎるとそれこそリムが壊れそう、ヅラブレーキでも十分なのはタイヤの性能・スキルの問題、そして心のブレーキ最強説、等々がありそうです。