新型DURA-ACE R9200を実際に変速させている動画が世界各国からアップロードされております。
技術の発展を感じます。

で今回は、実際の変速を穴があくほど見てみたお話です。
正直なところ、怒られてしまうかもしれませんが、確実に速いと感じたのはフロントです。
しかしリアに関しては、、、というようなお話を掘り下げてみようと思います。

某資料のグラフを見る限りでは変速速度を2つに分けております。
①ボタン操作から各ディレイラーへの信号の到達時間
ワイヤレスでも超高速というのがR9200シリーズのお話です。
※数値はグラフを目で読んでいる数値となります。
✓RD-R9150→RD-R9250 
(17T→15Tへの変速時:シフトアップ)
0.021秒→0.014秒

✓FD-R9150→FD-R9250 
(36T→52Tへの変速時:シフトアップ)
0.019秒→0.031秒

旧型のコンポーネントであれば、
ボタン→ジャンクションA→マスターユニット(バッテリー)→各ディレイラー
と言う流れでエレクトリックケーブルを介して信号が送られる、ということのようなのですが、今回の新型では、
ボタン→リアディレイラー(受信機)→(バッテリー)→フロントディレイラー
とこのようになることで伝達速度が上がっているということは昨日の動画でも話されていました。

確かにリアディレイラーは0.007秒程度速くなっていますが、逆にフロントは0.012秒遅くなっています。

それなのにです。
フロントのあの変速の早さは、ということは後ほど。

②ボタン操作から動作終了まで
✓RD-R9150→RD-R9250 
(17T→15Tへの変速時)
0.173秒→0.074秒(-58%)

✓FD-R9150→FD-R9250 
(36T→52Tへの変速時)
0.338秒→0.189秒(-45%)

これらが全体的な変速速度の向上の数値です。

※今回見た動画でめちゃくちゃ速く見えるのはと言うと、もちろん動画のコンポは完璧な調整、チェーンやチェーンリングが新しく非常に良いの状態であります。
しかしワタクシも含めおそらく多くのユーザーの方々の頭の中のイメージの速度というと、一番良い状態とは限らずに、普段使っているある程度摩耗の進んだ、完全な状態ではない可能性がある、ということは考慮しなければいけないところだと思います。

▶フロント変速
これらを考慮しても、実際に見た感じとして特にフロントディレイラーの動きがとにかく速いです。
で何がそんなに速いのかと何十回も比べて見たところ、フロントの変速速度の速さは、モーター動きがとにかく早く駆動時間も短くなったように見えました。これによりあの超早いフロントディレイラーの動きとなっていると感じました。

従来までのDi2の場合はモーター駆動で、ケーブル引きよりも初動の遅さ、というものが少なからずあった様に感じます。というのも新型のDURA-ACEを見てからですが。。。旧型はフロントディレイラーは作動音でウィーンと音が聞こえるぐらいでした。しかし新型はウィンッと明らかに動作時間が短いです。
極端な話、ケーブル引きだと力いっぱい引っ張れば瞬間的にグンッと引き上げられますし、解除はバネを弾くようにバチンと落とせます。

Di2のフロントディレイラーの場合、司令を受けたディレイラー本体の瞬発的な初動からの動きをいかに早くするか、これが変速速度に直接影響を与えるところですが、新型を見る限りこの初動からの動きがめちゃくちゃ速くなっています。しかしただ速く動けばよいわけではなく、正確に動かないとたちまち向こう側にチェーンが落ちてします。この正確な動きの速さこそ新型のフロント変速の速さの秘密ではないかと思われます。

変速機を直接弄ってみるとわかりますが、リアの変速はそこまで大きな力は必要はありませんが、フロント変速(アウターへの)はある程度のパワーが必要になります。アウターのチェーンリングにいかに強い力でチェーンを押し付けられるか、(特に力がかかった状態では)これがアウターへ素早くもたつかずに上げるためには必要なことです。スピードとパワー、そして正確性の両立が難しいところなのではないかと思います。
あれだけの動きの速さとなると、取り付け調整等による差も出てきそうな感じはしております。


▶リア変速
前作もそうでしたが、Di2は特に変速性能が高く、そして安定しています。
機械式と違いDi2の場合はアップもダウンもどちらもモーターで動かします。機械式はどうしてもケーブルに依存してしまうので、(特にシフトアップは)ケーブルの状態次第では動きが悪くなってしまうことがあります。

リアに関しての映像を見る限り、確かに早く正確に動いているとは思います。しかしその差は約0.1秒を体感できるかどうかは、、、おそらく出来るとは思いますが、そこまで大きな差ではないのではないかと思います。
というのも旧型もリアの変速速度はかなり速いということ、そしてリアはフロントほど大きな移動幅ではない、(フロントと比べて)隣のギアとの歯数差が少ない、ということもあるのではないかと思います。

また現在ワタクシの場合、室内では5800の105組でZwiftを行っております。
で実走、外を走る時にはR8050のULTEGRAのDi2を使用します。
Zwift用の5800はケーブルは日泉で組んでありますが、オイルを塗るぐらいで整備は結構手抜きがちです。。。しかし実際に乗ってみてDi2とケーブル式の変速速度の遅さや不自由さを感じるかというと、確かにDi2の変速はどんなときも安定して早いですが、機械式でも不自由を感じることはほぼありません。(室内とローラーということを考慮したとしても。)がっちり整備済みのULTEGRA Di2と1世代前のコンポでグレードも低い105との比較でも、です。
実際に5800とR8050の変速速度の差、数値的なものは不明ですが0.1秒どころの差ではなくもっと差は大きいと思いますが、それこそ慣れの問題か そこまで不自由を感じることはありません。
ということからももちろん使い方にもよるとは思いますが、レースとかではないZwiftや趣味のサイクリング等の場合はリアの変速速度の影響はそこまで大きくないのではないかと思っております。

とネガティブなお話ではなく、今回の進化でワタクシが一番興味を持ったメリットはその速度ではなく、ハイパーグライドプラスの変速性能です。
ヒルクライムやゴールスプリントで奮闘しているときに、もうシフティングのためにペダリングを弱める必要はないのです。
(公式ページより)。これにより従来の変速操作そのものが変わるかもしれ無いぐらいの大きな可能性を秘めていると思いました。(今までもスプリント時に抜いていたのかは置いておいて。。。)
ギアやチェーンの摩耗やフリーボディへのダメージがどうなのかはわかりませんが、(むしろカンパのアルミフリーとか速攻でかじりそうなのですが、かじりの原理を考えればシームレスでなめらかな変速であればダメージは軽減できそうです。。。)変速の0.1秒よりもこちらのほうが遥かに大きなメリットではないかと思います。
シームレスな変速、ぜひ体感してみたものです。

が本当にプロの2000W近いスプリントでもゴリゴリに踏んだままのシフト、ぜひとも1000W超えの際のドライブトレインの動きを見てみたいものです。

またリアの変速速度の違いで大きな影響があるのは、Di2とかディレイラー、チェーンの摩耗等による影響ももちろん大きいことですが、マウント方式もかなりの変化があります。
はっきり言ってリアのダイレクトマウントの変速性能は高く、普通に良さを体感できるぐらい差があります。
変速速度の向上にはこのダイレクトマウント方式のハンガーに影響も大きいと思います。

旧型R9100の頃はというとまだまだダイレクトマウントタイプのリアディレイラーハンガーは主流ではありませんでしたが、現在ではじわじわと増えてきております。
image8698

なぜダイレクトマウントのハンガーが良いかというと、推測の域でしかありませんが、リンク(関節)が減ることによる剛性の強化と、遊びの減少ではないかと思います。
変速性能はというと、フロントもそうなのですが、ディレイラーやパーツの性能・状態だけではなく根元の部分(取付部)、ハンガーや台座の剛性もものすごく大切ということだと感じております。

このようにパワーを掛けたままでもゴリゴリ変速していくような使い方には、やはりダイレクトマウントタイプのディレイラーハンガーの剛性感等も必要になってくるとも考えられます。

こう言ったフレームの設計はフロントもリアもそうですが、フレームメーカー次第です。シマノがこのように0.01秒単位で詰めてくるようなアップデートをしてくるので、ぜひともフレームメーカーも台座の剛性などもしっかりと設計を詰めてほしいと思うところです。



▶その他
✓シンクロシフト
例のシンクロシフトです。
シフトアップの際は問題ないのですが、問題はシフトダウンの時です。
フロント落ちる、ガコガコとリアが上がる、このだるい動き。。。確かにすこし改善傾向にはありませすが、未だ健在。この動きだけはやはりどうにもいただけないところがあります。
安定したシフトには必要な時間なのかもしれませんが。。。
そもそもプロはあまり使わないので、ということもあるのかもしれません。

✓チェーンノイズ
これは新品のチェーンということもあるのかもしれませんが、それにしてもかなり静かなように見えます。
歯先の形状、チェーン等の影響もあるのかもしれません。

✓各所の摩耗耐性
究極の変速はいつまで続くのか、と言うところもあります。
先日のプレゼン動画ではチェーンの寿命は同等程度、と言うお話もありましたが単純に12速チェーンは7,800円と11速よりも更にお高いものです。
ハイパーグライドプラスのスプロケもかなりの細かく様々な歯の形状があります。これらの美味しい寿命は、と言うところは不安なとことです。

そもそもレース機材に長寿命を求めることはナンセンスなのかもしれませんが。


▶まとめ
機械式がなくなってしまうのはメカニックとしては少々寂しいところもありますが、時代の流れとしては致し方がないところなのかもしれません。そして究極の変速、イメージ的にはレースで勝つためのコンポ、コスト度外視で勝つためのコンポ、いくらかけてでも勝てるコンポ、これこそが究極のレース機材のあり方、これがシマノの答えなのかもしれません。(というようなことも言っておりました。)

DURA-ACEはともかく、ULTEGRAも基本レース機材の位置づけのような印象です。

ユーザーとしての選択肢が狭まってしまうのは望ましいことではありませんが、今後の動向を見守るしかなさそうです。特に105がどうなるかはかなり重要な気がします。

機械式変速のDURA-ACE R9100、ULTEGRA R8000がいつまで発売されるのかも注視する必要があるかと思いますが、しばらくは買えそうです。(在庫の有無は別のお話で。。。)

ということで今回は新型DURA-ACE R9200 のドイラブトレイン 変速の話、ですが期待値はかなり高いかと思われます。と言うお話でした。


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