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今回はTOKENのZ1リアハブですが、基本的に殆どのハブは似たような構造をしており、ぜんぜん違うということはあまりありません。
ですのでZ1ハブを例にリアハブがどうなっているのか、というお話にしてみようと思います。

▶ラチェット構造
現在のリアハブで大きな違いがあるとすれば、ラチェット部の構造で大きく分けて2種類です。
古くからあるカンパなどの爪式構造と、DTの上位モデルに採用されるスターラチェット方式です。
①スターラチェット式
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後者スターラチェット方式はというと、DTのハブだけではなくMAVICやROVAL、BONTRAGERにも似たような構造が採用され、最近ではシマノも似たような構造を取り入れるようになりました。

爪式よりも広い面での”かかり”は駆動剛性を稼げる一方、フリーが止まっている時、つまり脚を止めているときの摩擦抵抗が大きい、爪式の方が抵抗が少なく感じるのは整備台上でも顕著にわかる最大のデメリットです。

この問題を解決したのが、空転時に接触を減らした構造のシマノのサイレンスハブがあります。R9200のホイールには似たような構造がDURA-ACEのみ、取り入れられています。(動画で見る限りでは若干違いそうです。)
キャプチャ
シマノの新型構造は従来の爪式よりも30%剛性が高いということです。

②爪式
爪式はというと、駆動剛性を上げるために爪数を増やしたり、かかりを良くするためにギアの数を増やしたりもします。爪が多ければスターラチェットのように抵抗が増えますので、この辺のバランスは難しいところだと思います。
通常3~4枚、多いものでは6枚のものもあります。
が実際に乗ってみての差は、、、あまり感じません。
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Z1ハブは4枚です。

基本的に詰め式は何らかのバネ(板バネやポールスプリング)を用いて、爪を起こしてあげる必要があります。このばねが壊れると爪がかからず永遠とフリー回転、となってしまいます。

ラチェット構造の簡単な説明でした。

ということを踏まえて、TOKENのZ1ハブ(リア)の構造を例に見てみます。
▶TOKEN Z1ハブ
DSC_2066

内部です。
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こちらはZ1ハブを簡単に図にしたものですが、前述のようにラチェット部の構造の違いはあれども、現在のロードバイクのリアハブの構造はこのような構造となっているものがかなり多いです。
これはデイスクのホイールでも基本的には同じです。

内部です。
①ベアリング
Z1ハブはハブ内部に左右1個づつ、フリーボディ内に左右1個づつで合計4個のベアリングが内部に入っています。(3つのものもあります。)4つのベアリングにアクスルが通っています。
アクスルの内部にクイックのシャフト、スルーアクスルシャフトをツッコミ車体に固定します。

実物はこの様になっております。
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つまりリアホイールはハブ内の合計4つのベアリングで回転させています。
(確がMAVICは3つ)

②エンドキャップ
エンド部のキャップはシマノやカンパはねじ切り式のロックナットですが、その他のメーカーはただ押し込んでいるだけのものが多いです。絶対ではありませんが、カップアンドコーンの場合はロックされている方が良いかと思います。カートリッジベアリングでもガタの調整機構があるものに関してはロック式が多いように思えます。
押し込み式でも、車体に取り付ければクイックやスルーアクスルで抑えてしまうのでどちらでも問題ありません。

③フリーボディの固定方法
フリーボディはどのような方式で抜けないように抑えられているか、これはメーカーによりかなり差があります。
TOKENはエンド部のキャップで保持する方法です。
カンパはナットで抑える方式ですが、結構緩みやすいので要注意です。(ネジで緩むぐらいなら押し込み式のほうが。。。)
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フリーボディに関してはシマノは変速性能のためにわざと多少ガタを出していたりするものもあります。


▶メンテナンス
メーカーやモデルによっても多少の差はあれども、通常ハブ本体に2個、フリーボディに2個ベアリングが入っています。(シマノは少し特殊)

①カップアンドコーン(シマノ・カンパ)
ベアリング部を分解しての定期的なグリスアップが必要です。
分解清掃することを考慮して作られている構造です。
実はママチャリのハブとかもこの方式のものは結構多いです。

②カートリッジベアリング
基本的にラチェット部のメンテナンスは必要になりますが、(一部を除き)ベアリング部は外部の汚れの遮断するためのメンテナンスぐらいです。
だめになったら打ち替えることが必要になります。

▶ベアリングの寿命

基本的にカートリッジベアリングはだめになったら交換です。

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多くの場合は上の図の番号の順番にだめになっていきます。
逆に唯一の左側(反フリー側)のベアリング、これは意外と長持ちでフロントのベアリングと同じぐらいの寿命の場合が多いです。
ハブ本体よりもフリーボディのベアリングのほうが駄目になりやすいイメージです。

この消耗品のベアリングをいかに長く使えるようにするか、当然シール性能高くすることで寿命を伸ばすことができますが、逆に強いシール構造は回転の抵抗になります。これが各社の構造の違いに現れています。

また基本的にはフリーボディ自体も消耗品です。
以前の鉄のフリーボディでは起こりずらい”かじり”(スプロケの食い込み)と言う現象が、最近のアルミ製ではかなり目立つようになっております。かじりがひどくなれば交換するしかありません。
フリーボディもベアリングが交換できる構造であればベアリングのみの交換もできなくはありませんが、フリーボディの性質上寿命があり消耗していくものですので、フリーのベアリングがだめになった時点でフリーごとまるっと交換、というのでも良いと思います。

TOKENのZ1ハブはというと、交換を想定されているかと言うと、、、おそらくされていないと思われます。
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内部のベアリング(ピンクシール)を守るために、フリーボディ一番外側のシールがありますが、これがなんともかなり固くハマっています。このシールにより強力な某汚効果がありますが、実際にはこのシールにより回転が重く感じることがあります。(耐久性のため)
このシールはかなり固くハマっているため、きれいに外すのはかなり厳しいです。

こう言ったシール類は外すときに曲がってしまうと防汚効果が落ちるだけではなく抵抗も増しますので、やはりフリーごと交換が良いと思います。
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1年もゴリゴリ使用すれば、ある程度かじりも出ているので交換でも良いとは思います。
(確かZ1のフリーボディは14,000円だったと思います、、、ちょと高い。)

▶フリーボディのベアリング交換
それでも無理やりやってみました。(笑)
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シールを無理やり外しますが、やはり曲がりました。。。
もう接着でもしてあるのかと思しきぐらいの固さでした。

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ベアリングをプーラーで抜きます。

ということでベアリングの交換をしましたが、今回はシールを付けませんでした。
そもそも曲がってるし、カンパや他社製品を見てもここはなくてもなんとかなりそうです。
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※カンパのフリーボディです。

▶まとめ
と、このようにハブベアリングでは複数のベアリングを使用している場合が多いです。
交換時に重要なことは前回の記事と重なる部分がありますが、
・どこのベアリングがだめになっているのか
・なぜだめになったのか
・どうすればもっと長持ちさせることができるのか
・どんな工具を用いて、どの様にアプローチするのか
このようなことを考える必要があります。

ということで今回はZ1はハブを例にリアハブの構造を見る。そんなお話でした。


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