ロードバイクを始めた初心者サイクリストの多くが、最初の目標として「100kmライド」をクリアしたり、徐々に距離や時間を更に伸ばしていきます。しかし、「もう少し、もう少し」と練習を重ねるうちに、誰もが一度は「壁」にぶつかる時が来ます。

この壁は、単に「速さ」や「パワー」の伸び悩みだけではありません。

  • ライド後半でどうしてもバテてしまう。

  • 一定のところから体重が落ちていかない。

  • 求めている結果が、練習量に反してついてこない。

これらこそが、次のレベルへ進むために乗り越えるべき”壁”です。


そして、この壁を破るための一つの代表的な方法として必要とされているのが、「走り込み」練習の量です。

悩んだら走る。では、どのぐらい?
目安として、そこで登場するのが「月間1000km」という数字です。

「月1000km」は、多くの方にとってかなりの長距離であり、達成は簡単なことではないと思います。なぜならば単純に週末の休みの日だけでは、まず足りない距離だからです。

しかし、ワタクシの経験上、ある程度の距離を走れる人、速く走れる人、うまく乗れる人、という上位層は、例外なくこの水準か、それ以上の距離を走っています。逆に言えば、月に500km以下の走行量で、圧倒的に速いという人は非常に稀です。

「距離を走り込むから速くなれるのか、速くなるために走り込みが必要なのか」という議論はありますが、速い人は皆よく走っているという事実があります。

ということで、今回はこの**「月1000kmの壁」を登竜門と捉え、達成に不可欠な「平日の練習」について、具体的な戦略を考えてみようと思います。登竜門!?月1000kmの壁を超える 平日の練習を考える、そんなお話です。



月1000km達成の鍵は「平日の習慣化」
前述のように月に1,000kmという走行距離は、週末の2日間だけで達成するには少々厳しい距離です。

目標達成の可否を分けるのは、間違いなく仕事がある平日をどう使うかにかかっています。つまり、「乗る時間を作る」こと、そして「乗る習慣を作る」ことが、次のステップアップに必要不可欠な要素となります。

まずは「無理のないプラスアルファ」から始める

今まで平日に全く練習をしていなかったサイクリストであれば、少しずつでも乗ることで、今よりも確実にレベルアップができます。


いきなり高い目標を設定するのは禁物です。まずは「無理のない習慣」から始めるのが良いと思います。例えば、「平日も週2回、20kmずつ」でも乗ってみる習慣を作ってみてください。

たったこれだけでも、1ヶ月(4週間)で計算すれば160kmもプラスになります。この積み重ねこそが、1000kmの壁を乗り越えるための確実な足場となります。


平日の練習こそ、上達への最大の近道です。

平日に乗る最大のメリットは、練習の「周期」を短く取れる点にあります。

週末ライダーは、通常5日間も練習が空いてしまいます。この空白期間を埋め、身体に継続的に刺激を入れることが、持久力向上と疲労耐性の獲得に直結すると言われています。

最初のうちは、慣れない早起きや平日の運動で、眠かったり、疲れを感じやすいかもしれません。しかし、続けることで体は次第に慣れてきます。慣れてきたら少し伸ばす、増やしていくというステップを踏み続けるのが、最も効果的な方法です。

安全と効率を考えた選択

平日の練習は、必ずしも実走である必要はありません。特に暗い時間帯しか時間が取れないようであれば、外を走るのはリスクが高まります。

安全、そして長く続けられるように、ローラー台の活用も視野に入れるべきです。ご自身のライフスタイルに合わせて、安全かつ継続可能な練習スタイルを見つけることが、月1000km達成の前提条件となります。

この差が「結果」に現れる


おそらく、平日に練習をしない人のほうがまだ多いでしょう。

しかし、この「平日にも練習をするかしないか」の小さな差こそが、ロングライドの後半の踏ん張りや、レースなどの順位にハッキリと現れてくるものだと考えております。


下の画像はファンライドのアンケートです。
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サイクリストの月間走行距離はどのくらい? ~ファンライドアンケートより~より

500kmを超えるとガクッと人数が減ります。
月1000km走ればかなり走っている方です。
これで平均的な一般的なサイクリストよりも速くなれないわけは無いと思います。

▶月1000kmを逆から考える
「月に1,000km」という数字を目の前にすると難しく感じるかもしれませんが、目標は逆算することで明確になります。
1週間で250kmを走ることができれば、4週間で1,000kmに到達できます。この週250kmの達成プランを具体的に考えてみましょう。

項目走行距離(目安)所要時間(目安)備考
週末ライド①100km4~5時間ロングライド
週末ライド②50km2時間強リフレッシュライドなど
週末合計150km--

週末で150kmを稼げるとすれば、残りの100kmを平日に乗ることになります。

平日100kmを達成するための具体的な時間割
平日の練習回数1回あたりの距離1回あたりの所要時間(目安)確保する時間(例)
4回 (週1日休み)25km1時間強早朝、または帰宅後
3回 (週2日休み)34km1時間半程度帰宅後のローラー台など
2回 (週3日休み)50km2時間程度かなり時間が取れる方向け

この1日1時間~1時間半という時間を、24時間の中でどう捻出するかが、月1000km達成の重要なポイントとなります。

なぜ「回数を増やす」ことが重要なのか
まだ走り込めていない方がいきなり距離を稼ごうとする場合、少ない回数で長い距離を走るよりも、練習回数を増やした方が良いとワタクシは考えます。その理由は大きく二つあります。。

① 怪我のリスクと危険性の低減
一気に距離を稼ごうと無理をすると、怪我をしてしまう可能性があります。
疲労がたまりすぎれば注意力散漫になることで危険性は高まりますし、オーバーワークで身体を痛めて練習を休ませざるを得なくなっては本末転倒です。無理のない距離を週に数回に分けた方が、スキル的な練習にもなりやすく、安全です

②心肺機能は「こまめな刺激」で向上する
週末の週2回にまとめて練習し、その後長く休むという周期よりも、できるだけこまめに練習を入れた方が、心肺機能の向上には効果的だと考えられいてます。

ワタクシ自身の経験ですが、3~4日運動をしないと、久しぶりに乗ったときに心臓がびっくりしてしまうような動きをすることがあります。もちろん個人差はありますが、心肺機能は継続的な刺激に反応して成長する、というのも経験的な話からです。

▶1,000km走行を可能にする「成長の土台」

これまでお伝えした通り、平日に練習習慣のない方がいきなり月1,000kmのペースを目指すのは、最初のうちはかなりキツいかもしれません。特に習慣を作る中で強度を上げようとすれば、なおさらです。

そうなると、必然的にペースを落とさざるを得ない状況が生まれるでしょう。

しかし、ワタクシはこの「ペースダウン」こそが、次の成長の壁を破る重要なポイントだと考えています。

1. 「低強度での習慣」が基礎体力を底上げする
習慣的に行う低い強度でのトレーニングは、まさにLSD(Long Slow Distance)のような効果を発揮し、心肺機能の底上げに繋がります。

心肺機能はいわゆる体力の「基礎」であり、ここが強くなると、かなり速く走れるようになり、ベースとなる体力も上がってきます。平日の練習で距離を稼ぎ、土台を固めることで、週末の高強度練習がより活きてきます。

2.スキルアップを促す「余裕」が生まれる
走り込みが必要なのは、心肺機能の向上だけではありません。スキル的なトレーニングにも非常に有効です。

一生懸命に高い強度でゼェゼェ言いながら走っている時、フォームやペダリングといったスキル的なことをしっかり考えるほどの余裕はないはずです。

しかし、強度が落ちたときこそ、冷静に「引き足」や「体幹の使い方」「エアロフォーム」といったスキル的なことを深く考えながら乗ることができます。

結論:走り込みは「すべての底上げ」になる
月1,000kmの走り込みは、単なる体力勝負ではありません。

心肺機能という土台(基礎体力)を大きくし、基本となるライディングの技術(スキル)を磨くための時間を生み出します。つまり、走り込みは「すべての底上げ」になるとても大切な練習ということです。

この月1,000kmという練習習慣を身につけることで、今まで諦めていたライド後半のバテや、体重の壁など、あらゆる「壁」を乗り越える力が以前と身についてくるはずです。

▶まとめ
これまでお話してきたように、月の走行量が500kmだった方が、いきなり1,000kmを達成するのは難しい目標です。怪我などのリスクを減らし、確実に習慣化するためにも、焦らず少しずつ走行量を増やしていくのが良いでしょう。目標を高く持ちすぎないことも大切です。

そして、月1,000kmの走行が習慣化する頃―個人差はありますが、おおよそ2~3ヶ月ほど継続できたとき―に、大きな変化が現れることが多いです。

このぐらい実走で続けられるようになると、今までよりも速く走れるようになるだけでなく、バイクコントロールや、ライドスキルといった総合的なスキルも身についてきているはずです。

継続のための見落としがちなポイント
ここで忘れてはならないのが、日々の整備の重要性です。

距離を走るためには、機材にも負担がかかります。整備をきちんとしていないと、それこそメカトラブルで走れないことになってしまい、せっかくの練習の習慣が途切れてしまいます。日々のメンテナンスは、練習を習慣化する上でも重要なことなのです。

ともあれ、練習とは「少しだけ大変なことを、習慣的に行うこと」。
そして何よりも継続こそ力なり! いくつになっても成長することはできると、ワタクシは信じております。

※今回は月1,000kmというお話でしたが、もちろん無理に1,000kmに固執する必要はありません。少しずつでも距離や時間を伸ばしたり、負荷を増やしたり、そういったアプローチでももちろん成長することはできます。ご自身のペースで次のステップを目指しましょう。

ということで、今回は登竜門!?月1000kmの壁を超える平日の練習を考える、そんなお話でした。


次回は、今回提示した「平日の練習」を実行に移すための具体的な時間術についてを作成予定となっております。m(_ _)m
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