チューブラー以外のタイヤをお使いの方であれば、クリンチャーはもちろん、チューブレス運用でも“もしもの時のために”インナーチューブを携帯している人は多いと思います。
しかし――。
いざというときにそのチューブが「しっかり使えない状態」だと、ただの重りになってしまいます。
サドルバッグやツールケースは容量が限られています。
その中で、できるだけコンパクトに・かつ安全にチューブを入れるのは、どれだけ効率よくスペースを使うかがポイントとなります。
チューブを小さくまとめたいけれど、
「折り方」「巻き方」次第で、ゴムの劣化やピンホールの原因になることもあります。
ということで今回は、
インナーチューブを傷めず・効率よく携帯するためのたたみ方・巻き方のコツを考えてみたいと思います。

▶メーカー純正の状態
チューブへの負担をできるだけ減らしてまとめるには、どんな方法が良いのか。
そのヒントを探るために、まずは各メーカーが新品状態でどのように巻いているのかを見てみます。
3社です。

①Vittoria

こちらはヴィットリアのラテックスチューブです。
ラテックスチューブの最大の弱点といえば、チューブとバルブの接着部分。
この部分をどのように保護しているのか――その“秘密”を探ってみたのですが、意外にも巻き方はごく普通でした(笑)。
ビットリアのチューブは、全体的にふんわりと優しく巻かれているのが特徴です。
ただしこの「ふわっと巻き」だと、ツールケースやサドルバッグには少々収まりが悪く、持ち運びには向きません。
ということで、次を見てみましょう。
②Panaracer

こちらはパナレーサーの R-Air。
このチューブも弱点はやはり、バルブとチューブの接着部(継ぎ目)です。
R-Airはかなりギュッと固く畳まれた状態でパッケージされていますが、バルブが横方向に出る形になっています。
この構造のおかげで、チューブ本体を傷つけるリスクは少なく、バルブ付近にも過度な負担がかからないよう配慮されている印象です。
ただし、狭いサドルバッグやツールケースに無理に押し込むような収納をすると、
バルブ付近にストレスがかかる可能性があり、やや不安の残る巻き方でもあります。

矢印の方向にギュッとなり続けるのは少々不安が残ります。
③Vredestein(ヴェレデスティン)

今までの2社とは明らかに違う巻き方です。
チューブでバルブを挟み込む形になりますが、バルブとチューブの継ぎ目は一番普段がかからない巻き方に見えます。
この巻き方を見た瞬間、これは良さげと感じました。
ということでこの巻き方・畳み方を再現してみようと思います。
▶チューブの携帯の問題点
と実際に巻く前の寄り道です。
前述のようにチューブの携帯を考える際には、ゆとりやスペースがたくさんあるところに入れるわけではなく、結構ギチギチのスペースにギュウギュウに詰めることも少なくありません。実際にツールケースやサドルバッグの内部では、スペースの都合上パッケージの様にゆるく入れておけることはあまりないと思います。
チューブ携帯時の問題点は大きく分けて2つです。
①ギュッと潰れたり、圧力がかかる
②振動が常にある
ということです。
そして前述のようにチューブの一番弱いところはやはりバルブとチューブの接着箇所の継ぎ目です。
たとえギュウギュウに圧力がかかっても、この継ぎ目に如何に負担をかけることがないように、できるだけねじれたり変な方向に力がかからないように、携帯することが1つ目のポイントです。
そして2つ目のポイントとしては振動です。
振動に対応するためにはギュッと隙間がないように畳んだり、スペースを開けすぎないということです。振動も少しであれば問題ありませんが、何日も何ヶ月も、それこそ何年もかけ少しづつ少しづつ傷を付けたり広げていってしまう可能性もあります。
ということでビッタリとまとめたいけれども、チューブ本体や継ぎ目に負担をかけないように、そしてゆるすぎて振動の影響がないようすることがチューブ携帯のポイントと思われます。
▶巻いてみる・畳んでみる
①下準備
まずはチューブ内の空気をきれいに抜きます。
チューブ内に空気が残っているとどうしてもきれいに巻けません。

端っこからぐるぐるぴったりと巻いていきます。

巻きの残りが少なくなってくるとチューブ内の残りのエアーがよってきますので、バルブを触りながら空気をできるだけ抜きます。

ほぼ完全に抜けました。
この状態でバルブを閉じ、畳んでいきます。
実際にたたむ前の準備ですが、バルブキャップは付けたほうが良いと思われます。
バルブの先端でチューブを傷つけないようにするための保護です。
更に気になる場合は、バルブに要らなくなったチューブを短く切って差し込んでおくことで、更にバルブで傷が付く可能性を減らせます。
今回はキャップだけにしました。
②ヴェレデスティン流に畳む
ざっくりですが、半分にします。

バルブを中心に持ってきて、チューブを両側折りたたみます。

両側から畳んでいく際に、この部分に少しだけ余裕を作っておきます。

畳んでいきます。

余裕が少ないときれいにいきません。
反対側で見てみます。


畳んで巻いて、

こうなります。
バルブや接着箇所がよじれたりすることなく真っ直ぐの状態になっています。
巻数や仕上がりの形状はバルブ長やツールケース、サドルバックの形状やスペースに合わせて決めると良いと思います。
上の画像では少し横長形状ですが、もう少し太さが出てもこの長さを短くコンパクトにしたい場合はというと、

細かく巻くようにすると太くはなりますが、短くなります。
とてもきれいに畳めていると思います。
これもバルブとチューブの継ぎ目も変にねじれることも、曲がることもなく良い感じです。
最後にまきまきします。
ビニール袋でも良いのですが、

ストレッチフィルムが便利です。

こんなにコンパクトになりました。
別のチューブもこの方法で畳んでみます。

これだとコンパクトではありますが、どうしてもバルブの根元付近が辺にねじれたり、折れたりしてしまいます。
ヴェレデスティン流で畳みます。

バルブとチューブの接続箇所にも優しいように思えます。。
更に何本か巻いてみました。

コンパクトできれいです。
▶まとめ
ロードバイクの携帯用品はスペースとの戦いのような一面もあります。
そして何よりもご自身の携帯するもの、そして入れるスペース等に合わせて適切な形に巻いて携帯するのが良いと思います。
そう言えば、源氏パイみたいです(笑)
予備用のインナーチューブ、巻き方に迷ったら、源氏パイたたみではいかがでしょうか?
ということで今回は予備用インナーチューブの携帯方法 畳み方・巻き方を考える、そんなお話でした。
※TPUチューブはまだちょっと違ってきますので、現在研究中です。
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