最近は良くも悪くも、情報が溢れかえっている時代だと感じております。
今回の表題にもあるようにクランク交換です。クランクの取り付けの手順はそこまで複雑なものではありません。実際のやり方もググればたくさん出てくると思います。
しかしです。
そこに落とし穴はないのかと言うと、、、もちろんあります。
ということで今回はクランク交換の際の注意するべきポイント、そんなお話にしてみようと思います。

▶ホローテックⅡクランクの構造
めちゃくちゃ複雑な構造をしているわけではありません。
Shimanoのクランクは右側と左側に分かれます。
右クランクアームにはBB軸(アクスル)が一体化しており、チェーンリング(フロントギア)が付きます。
今回の表題にもあるようにクランク交換です。クランクの取り付けの手順はそこまで複雑なものではありません。実際のやり方もググればたくさん出てくると思います。
しかしです。
そこに落とし穴はないのかと言うと、、、もちろんあります。
ということで今回はクランク交換の際の注意するべきポイント、そんなお話にしてみようと思います。

▶ホローテックⅡクランクの構造
めちゃくちゃ複雑な構造をしているわけではありません。
Shimanoのクランクは右側と左側に分かれます。
右クランクアームにはBB軸(アクスル)が一体化しており、チェーンリング(フロントギア)が付きます。
左側はクランクアームのみです。

左側のクランクアームはボルト2本(クランプスクリュー)でBB軸を咥えるようにクランプします。
この2本のクランプボルトにの真ん中にはプレートと呼ばれる抜け落ち防止構造をもつ物があります。

ただしこの抜け落ち防止用のプレートも見ての通り強靭なものではありません。
ですのでたとえこのプレートがあったとしても力を強くかければプレートを破壊し、取り外すことができます。

クランプ部センターにはセンターキャップ(正式名称:クランクアームフィキシングスクリュー)があります。
このセンターキャップはと言うと、その名の通りフィキシングということで、クランクのガタを取るのが主な役割です。
クランプボルトを締めることで左クランクアームが閉じ、このボルトも固定されます。
これが現行型のShimanoのホローテックⅡ クランクの構造です。
▶クランク交換のポイント
クランク取り付けの手順です。
①右クランクをBBに通す
②左クランクアーム取り付け
③センターキャップ(フィキシングスクリュー)を締める
④プレート、クランクボルトを締める
と言う流れです。
この中で重要なのが、センターキャップの締め付けです。
公式のマニュアルでは0.7~1.5 N·mと記載があります。
約1 N·mとはかなり弱いです。
純正工具はこちらです。

※右がプロフェッショナルでスペシャルな工具です。
通常左側の工具です。
これは工具の構造を見ても締めすぎにならないように手で締めるような構造になっています。
工具を使って強い力で締める場合は、工具がかかりやすい様な構造でかつ硬い素材でできています。
しかし純正の工具が樹脂製、そして工具がかからないような構造になっているということは、通常ではそこまで強く締め付けるものではないということからだと考えられます。
右側の工具はかなり固く締め付けることができてしまいますが、ではなぜ?と言うとそれがプロ用だからです。プロのメカニックはどのぐらいの強さで締めればよいか、構造を含めて理解していますので力がかけられる工具であっても、必要以上に締め付けないよう調整ができるので問題が無いのです。
また時々固着してしまったり、締めすぎたものを外さなければいけない場合もあるのでこう言った工具が必要になります。
あくまでもこのセンターキャップはガタがでないように締めるものです。(あとはちょっとした固定)
左クランクアームを固定するのは2本のクランプボルトです。
大切なことはというと、センターキャップも、クランプボルトも適正なトルクで締めるということです。
しかしこのセンターキャップの適正なトルクというのがなかなか複雑で、シマノの純正BBを使うときは純正のマニュアル通りですが、他社のBBを使うときは特に締め付けトルクに注意が必要だということです。
✓豆知識
出先でどうしても外さなければいけないことになった場合は、この専用工具がない場合は太めの割り箸で外せることもあります。
▶①センターキャップの締め付けすぎの害

センターキャップです。
これを締め付けすぎるとどうなるのか?というとBBにダメージがいきます。
とは言っても実際にシマノの純正BBであれば構造上かなり強く締め込んでも問題がない場合が多いです。(※適正トルクを守るのが一番です。)
しかし社外製のBBを使用している場合は注意が必要です。
これはWISHBONEのBBです。

ベアリングカバーが沈んでしまっています。
ベアリングを抜いてみます。

左側のベアリングはまだなんとか、右側のベアリングは内輪が浮きあがってしまっています。
これがセンターキャップの締めすぎによるベアリングへのダメージです。
このベアリングはもうだめです。
と、このように組み付けの不備でもベアリングの寿命を全うさせてあげることができない場合も出てきてしまうということです。
この様な事例は実は少なくはありません。
▶左クランクアームが外れる原因
また別の例ですがワタクシ自身、実際に聞いてびっくりしたがクランクが取れた、と言うお話です。
これも1例ではなく複数例耳にしております。
何故外れるのかと言うと、実際に見たわけではありませんが、構造的に考えてボルトの緩みの可能性が高いです。
なぜボルトが緩むのかと言うと、基本的にボルトは緩む場合があります。
ママチャリなどと違って、ゴリゴリに締めて外すときは壊れたとき、むしろ外さずに壊れるまで乗って乗り換える、このような使い方のロードバイクはあまりないと思います。
ですのでシマノ社からもよく言われることで、スポーツバイクの場合は特にですが、増し締め確認を含めた、定期的な安全点検が必要ということです。
▶クランクが緩んだ際の症状
基本的にクランクは一発でガツンと取れてしまうということは、よほどのことがないかぎりありません。
徐々にズレてきて限界を超えたときにボロっと行く場合がほとんどかと思われます。
クランクが緩んだときの抜け落ちる前の症状を構造的に考えると以下の症状がでます。
クランクにガタが出ます。クランクにガタが有るということは、同時にフロント変速に異常が起こることが多いです。抜けてくれば抜けてくるほどフロントの変速がおかしくなります。
フロント変速がなにか変、という症状があるときはディレイラーばかりを見てしまいがちですが、クランクのガタでも異常が起こる場合があるということです。
ちなみにクランクが緩んでいなくとも、BBが緩んでくると同症状になる場合もあります。
▶まとめ
クランクの交換なんて簡単で誰でもできる、なんて甘く見ているととても危険なことになる場合もあります。
この様なことはクランクだけではなく、自転車の整備では意外とよくあることです。
ご不明であったり、不安がある場合はプロショップへ持っていく選択肢をしっかりと持っていることが大切です。
それとともに定期的な点検、オーバーホールまでいかなくとも分解清掃等定期的にお店にプロに見てもらうことは安全のためにも大切なことです。
今の時期、とても寒く外をバリバリ走る方もそこまで多くない時期、この様な時期を利用して点検整備をしておくのも、これからやってくる春に気持ちよく安全に乗るためにも良いと思います。
ということで今回はクランク交換の際の注意するべきポイント、そんなお話でした。
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左側のクランクアームはボルト2本(クランプスクリュー)でBB軸を咥えるようにクランプします。
この2本のクランプボルトにの真ん中にはプレートと呼ばれる抜け落ち防止構造をもつ物があります。

ただしこの抜け落ち防止用のプレートも見ての通り強靭なものではありません。
ですのでたとえこのプレートがあったとしても力を強くかければプレートを破壊し、取り外すことができます。

クランプ部センターにはセンターキャップ(正式名称:クランクアームフィキシングスクリュー)があります。
このセンターキャップはと言うと、その名の通りフィキシングということで、クランクのガタを取るのが主な役割です。
クランプボルトを締めることで左クランクアームが閉じ、このボルトも固定されます。
これが現行型のShimanoのホローテックⅡ クランクの構造です。
▶クランク交換のポイント
クランク取り付けの手順です。
①右クランクをBBに通す
②左クランクアーム取り付け
③センターキャップ(フィキシングスクリュー)を締める
④プレート、クランクボルトを締める
と言う流れです。
この中で重要なのが、センターキャップの締め付けです。
公式のマニュアルでは0.7~1.5 N·mと記載があります。
約1 N·mとはかなり弱いです。
純正工具はこちらです。

※右がプロフェッショナルでスペシャルな工具です。
通常左側の工具です。
これは工具の構造を見ても締めすぎにならないように手で締めるような構造になっています。
工具を使って強い力で締める場合は、工具がかかりやすい様な構造でかつ硬い素材でできています。
しかし純正の工具が樹脂製、そして工具がかからないような構造になっているということは、通常ではそこまで強く締め付けるものではないということからだと考えられます。
右側の工具はかなり固く締め付けることができてしまいますが、ではなぜ?と言うとそれがプロ用だからです。プロのメカニックはどのぐらいの強さで締めればよいか、構造を含めて理解していますので力がかけられる工具であっても、必要以上に締め付けないよう調整ができるので問題が無いのです。
また時々固着してしまったり、締めすぎたものを外さなければいけない場合もあるのでこう言った工具が必要になります。
あくまでもこのセンターキャップはガタがでないように締めるものです。(あとはちょっとした固定)
左クランクアームを固定するのは2本のクランプボルトです。
大切なことはというと、センターキャップも、クランプボルトも適正なトルクで締めるということです。
しかしこのセンターキャップの適正なトルクというのがなかなか複雑で、シマノの純正BBを使うときは純正のマニュアル通りですが、他社のBBを使うときは特に締め付けトルクに注意が必要だということです。
✓豆知識
出先でどうしても外さなければいけないことになった場合は、この専用工具がない場合は太めの割り箸で外せることもあります。
▶①センターキャップの締め付けすぎの害

センターキャップです。
これを締め付けすぎるとどうなるのか?というとBBにダメージがいきます。
とは言っても実際にシマノの純正BBであれば構造上かなり強く締め込んでも問題がない場合が多いです。(※適正トルクを守るのが一番です。)
しかし社外製のBBを使用している場合は注意が必要です。
これはWISHBONEのBBです。

ベアリングカバーが沈んでしまっています。
ベアリングを抜いてみます。

左側のベアリングはまだなんとか、右側のベアリングは内輪が浮きあがってしまっています。
これがセンターキャップの締めすぎによるベアリングへのダメージです。
このベアリングはもうだめです。
と、このように組み付けの不備でもベアリングの寿命を全うさせてあげることができない場合も出てきてしまうということです。
この様な事例は実は少なくはありません。
▶左クランクアームが外れる原因
また別の例ですがワタクシ自身、実際に聞いてびっくりしたがクランクが取れた、と言うお話です。
これも1例ではなく複数例耳にしております。
何故外れるのかと言うと、実際に見たわけではありませんが、構造的に考えてボルトの緩みの可能性が高いです。
なぜボルトが緩むのかと言うと、基本的にボルトは緩む場合があります。
ママチャリなどと違って、ゴリゴリに締めて外すときは壊れたとき、むしろ外さずに壊れるまで乗って乗り換える、このような使い方のロードバイクはあまりないと思います。
ですのでシマノ社からもよく言われることで、スポーツバイクの場合は特にですが、増し締め確認を含めた、定期的な安全点検が必要ということです。
▶クランクが緩んだ際の症状
基本的にクランクは一発でガツンと取れてしまうということは、よほどのことがないかぎりありません。
徐々にズレてきて限界を超えたときにボロっと行く場合がほとんどかと思われます。
クランクが緩んだときの抜け落ちる前の症状を構造的に考えると以下の症状がでます。
クランクにガタが出ます。クランクにガタが有るということは、同時にフロント変速に異常が起こることが多いです。抜けてくれば抜けてくるほどフロントの変速がおかしくなります。
フロント変速がなにか変、という症状があるときはディレイラーばかりを見てしまいがちですが、クランクのガタでも異常が起こる場合があるということです。
ちなみにクランクが緩んでいなくとも、BBが緩んでくると同症状になる場合もあります。
▶まとめ
クランクの交換なんて簡単で誰でもできる、なんて甘く見ているととても危険なことになる場合もあります。
この様なことはクランクだけではなく、自転車の整備では意外とよくあることです。
ご不明であったり、不安がある場合はプロショップへ持っていく選択肢をしっかりと持っていることが大切です。
それとともに定期的な点検、オーバーホールまでいかなくとも分解清掃等定期的にお店にプロに見てもらうことは安全のためにも大切なことです。
今の時期、とても寒く外をバリバリ走る方もそこまで多くない時期、この様な時期を利用して点検整備をしておくのも、これからやってくる春に気持ちよく安全に乗るためにも良いと思います。
ということで今回はクランク交換の際の注意するべきポイント、そんなお話でした。
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コメント
コメント一覧 (1)
各社様々なクランク構造で混乱はしますが、それ故に間違えは少ない。スクエアテーパーなんて、テーパー角の違いなんて目視では絶対に分からない。手持ちのカセットBBが「ピッタリじゃん」って喜んだ私は出先でクランクがユルユルになった。