
BB(ボトムブラケット)といえば、いわば自転車の心臓のような?部分です。
従来までのフレーム側のBBシェル(ボトムブラケット)と言えば左右にネジが切ってあり、ボトムブラケットの締め込んでいくいわゆるスレッド式のBBが主流でした。(現在ではBSAとかスクエアテーパーとか。)
※BBシェル:フレーム側のBBの規格、圧入式は基本的に各規格ごとの穴が空いているだけです。
その後、圧入式のBBという規格が出始めて、乱立時代へと突入しました。
ボトムブラケットは構造的に考えてもフルパワーを支えるところです。
様々なパワーのかかるところに、圧入式で直接金属のベアリングを突っ込んだ物がBB30です。
これは少々具合が悪かったです。
海の向こう側では、「えっ??静かなBB30フレームなんてあるのか?」というジョークも言われるぐらいのものでした。
数年前某誌にはフレーム側の精度、圧入手技的な精度を上げることでほぼ問題は起きなくなった、という記事を見ましたが残念ながら、そんな事はありません。
当店の場合は、基本的に具合が悪くなった状態のものが持ち込まれることがほとんどですので、圧入手技的な問題はわかりません。
しかし実際に今でもギシギシバキバキ、いい音を奏でているバイクは少なくありません。
BBからの音鳴りの原因はというと、そこまで複雑なことはありません。
BB(ベアリング)とフレーム、もしくはBBとクランク(締結部も含む)どちらか、もしくは両方です。
この圧入BBと異音の問題を解決するべく登場したものが、PF30やBB86というものです。
これらは何かと言うと、
フレームの(金属とかの)シェルに金属のベアリングをぶっ込んだらうるさいぞ。
→よしっ!音鳴りを防ぐために金属のベアリングを樹脂製のカップで包めばOK!?
と言う規格たちです。
BB86はロード用でシマノが唯一出している圧入規格のBBです。
少々寄り道ですが、30とか86というのはシェル寸法であったり、クランクのアクスル径であったりもします。86というのはシェル幅(86.5mm)で、BB90もシェル幅90.5mmというものです。
BB30の30はクランクシャフト径が30mmです。
386と言う規格ありますが、これは86.5mm幅に30mm径で3+86です。
本題に戻ります。
BB86やBB90規格は何が良いのかと言うと、フレーム内部にベアリングを持ってくることができます。※ねじ切りBBは通常フレームの外部にベアリングがきます。
コレによりねじ切りよりもフレームが太く作れたり、フレームの設計に自由度がでます。(剛性向上等)また軽量で、製造コストも抑えられると言うお話もありますが、真偽の程は不明です。
樹脂カップを使う圧入式BBの利点は音の問題だけではありません。
ベアリングが樹脂製のカップで包まれていることで、シェルの精度(円、左右差)がある程度甘くても回転の芯が出やすいとも考えられます。コレはねじ切りよりも優れている点だとも考えられます。
とは言っても、ワタクシの拙い経験上メーカー品であればカーボンフレーム、カーボンシェルでそこまで精度の低いフレームはそうそうあるものではありません。
ではなぜシェルを実際に測ってみると決まった寸法があるのにその中で微妙な差があるのか、というとおそらくメーカー設計思想です。
音鳴りの問題等からもともとの設計で多少寸法をずらして作っているメーカーもあります。(シェルをテーパー状にしているメーカーも。)
例えばですが86規格できれいに41mmのメーカーはと言うとキャニオン、ジャイアントなんかはきちっとしているイメージです。別に回し者ではありませんが。
メーカーによって多少の差があるということです。
ワタクシ自身この圧入BBは歴代のバイク、XELIUS、G7PRO、R3、R5、SLRと乗り継いできたフレームがありますが、はっきり言って圧入BBにほぼ悪い印象はありません。
と言うのも、不具合がないからです。
すべてシェルはカーボンです。
基本的にWISHBONEを使用してきましたが、現在のSLRはシマノのBBを継続して使用しております。
と言うのも不具合がでたら交換しよう、ということと十分すぎるぐらいBB周りが硬いから、ということで使用し始めてもうすぐ17,000kmノーメンテ ノートラブル!(笑)
シマノのBBすごすぎます。
そうシマノのBBって何もメンテしないでも、基本的にかなり長寿命です。そもそもシマノのBBはカップアンドコーンのようにメンテをすることを想定されていません。
ワタクシは多い時は週2回洗車、寒くなければ多少雨でも、ウエット路面でどろどろになることなんて非常によくあることです。

そんな使い方をして17,000kmまだまだ使えます。
そう、シマノのBBを使用している限りはほとんどノーメンテで何年も使えるものです。おそらくシマノの回転系パーツの中で最もメンテフリーで長く使えるのではないかと思います。
長く使えるから頻繁に抜き差しすることもありません。
シマノのBBは本当によく考えられています。
フレームとBBベアリングの間はBBカップ、クランクのアクスルとBBの間にもかなりきつめの樹脂のシールがあります。コレは時にはクランクを入れるのがかなり固くて苦労をするときもありますが、入らないほどではないこのきつさが秘訣です。このおかげで音鳴りの防止、そして耐水性をあげています。
安定のシマノ品質とはこういう物だと思います。
樹脂カップを使用することのメリットは左右のシェル精度もある程度は吸収できると言うメリットも有るのではないかと思います。
では樹脂カップを使用していないWISHBONE等の左右結合式BBはと言うと、、、これはこれで一つの理想形であり完成形です。左右を結合することで強制的に回転の芯は高精度で出ます。また左右から締めることで副産物的に剛性を上げることもできます。これにより微妙なきしみを抑え音鳴りの問題を強力に防ぐことができます。
しかし一見完璧なようなWISHBONEも組付けがうまくないと残念なことにもなりますが、、、

ということで圧入式BBに対して悪い印象はほぼありません。
しかし残念ながら、”ほぼ”ということです。
実はあまり良い印象がない圧入式シェルもあります。
それは一部の金属製のシェルの場合で、ベアリングを直接圧入するものです。カーボンフレームでもシェルが金属のものもあります。
金属製の場合は、おそらくですがよくも悪くも硬いのです。
カーボンシェルよりも金属シェルのほうが傷が付きやすかったり削れやすかったりするのでは、と考えれられます。
またカーボン製であればある程度は動いてくれたり(変形)するのですが、金属となるとはそうはいきません。
その結果としての異音が出やすく、そして異音からシェルの摩耗、痩せ等を起こしてしまうと考えられます。(異音→ベアリング抜き差しメンテ→異音→メンテ、と言う負のループです。)こうグズグズになったあとからなにか対策を、というのは根本的な治療は難しい場合が出てきてしまいます。
では、、、ということで、かくなる上は接着剤!というのはかなりアレな方法です。。。
結果的に接着が剥がれてきたり、接着が甘かったりすることでトラブルが起きます。
そもそも接着ですので、外す時に尋常じゃないぐらいの状態のものもあります。
こう言ったトラブルが起きた時に、きちんと対処ができればよいのですが前述のように同じことを何度も繰り返してしまうこともあるようです。結果的にこれはだめだ、、、となってしまう場合が多いです。
しかしこれは対処ができないわけではありません。
正しい知識をもって然るべきことを行えばよいのですが、正しい知識や情報が曖昧ということもあります。また本当に悪いのはBBなのか?実は原因が別の所に。ということも意外と多いものです。これらの切り分けができていない場合もあります。
ですが圧入BB=悪いものという負のイメージのせいで、異音=BBというのが第一選択になってしまっているのも、初期の圧入式の影響がいまだに色濃く残っているのかもしれません。
構造的に考えれば圧入式のBBは圧入と言う方式云々の前に、非常に理にかなっている構造ではあります。それが現在でも多くのバイクに圧入式が採用されている理由です。
技術や様々な情報を大量に持っている有名メーカーが採用するということは、それなりの理由があるからです。(ロードバイクのメーカーってこういったことを正しく説明したりすることが不足しているような気が。。。)
圧入式はシェルの精度をある程度許容できたり、回転の軸を揃えやすい、そして不要な部品を減らす簡易化、軽量化、そしてフレーム設計の自由度が上げれるという利点です。
しかし一部の不具合が出やすい構造があることでどうしても悪いイメージが根付いてしまっている、ということだと考えております。
そもそも基本的に滅茶苦茶パワーがかかるところに、金属と金属圧入もなしで手で入るレベルの交差で行ったりその他諸々、、、コレをうまく解消しているのがシマノの現在の構造です。
流石といった感じです。
ちなみにT47というフレーム内部にベアリング収められるスレッド式BBがあります。
最初はTREK?だったかと思いますが、スレッドとベアリングをフレーム内部に収められると言う利点はあります。しかしこれも構造的にはパーフェクトではありません。
またねじ切りだと異音がでないわけではありません。
ねじ切りだと異音が出づらいというだけです。
ということで、圧入BB(ボトムブラケット)は悪なのか?という事を考えると、ということをつらつらと書いてみましたが、中には少々手のかかるものもあるけれども、全てがすべて悪いわけではない、圧入式のすべてを一括にして圧入だから悪!と決めつけるのは少々早計なお話かと思います。
また例えばですが圧入式のBBの取り外し、叩くのはフレームに負担がかかるからだめ、と言うのも一概に言えるものではありません。こう言ったことの正しい知識をもつこと、だめだだめだと決めつけるのではなく様々な視点から見ること、これもメカニックとして大切なことだと考えております。
音鳴り等の問題、お気軽にご相談お待ちしております。
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コメント
コメント一覧 (2)
柔らか過ぎるフレームはお論外ですが、「芯のある剛性と柔軟性」を見付ける事が、自転車道の基本。
最近のモデルはBB周りは基本的にどれも超硬いです。
というのも推進力にのためにBB、進ませたりコントロール性のためにはヘッド剛性がないとヘロヘロしてしまいます。BBの剛性を落としているという基本的にあまり聞いたことがありません。
しかしワタクシが乗った感想ですが、BBの硬さはなれているのですが、最近の剛性過多はスルー部分が超硬いためと思われます。
ディスクのハイエンドはリムの比じゃないぐらい超硬いですよ~!(笑)