以前のShimanoのテクニカルセミナーからのお話しです。
※テクニカルセミナー:販売店向けの技術的なセミナー
大きく分けて2つです。
1つ目は、トルクレンチを用いて、”コンポーネントを組む際には適正締め付けトルクを守りましょう。”ということです。
昨今、カーボン製のパーツが増えてくることでも、適正締め付けトルクを守ることは安全性の問題だけではなく、パーツの破損を防ぐことにも繋がります。いわゆる手ルクレンチだけではなく、トルクレンチをしっかりと使って適切な締め付けトルクの管理をしましょう。ということです。

そして2つ目が今回のメインの話で”グリスの使い方”です。
Shimanoのコンポーネントは組む際に、グリスを使うところ、またグリスを使わないところ、、、とりあえず塗っておけば良い??そんなことではなく、しっかりとメーカーからの指定があります。
ということで今回はShimano製コンポーネントを組む際のグリス 塗布する?しない?、そんなお話しです。
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▶グリスはなぜ塗る?なぜ塗らない?
このグリスについてのお話しは、過去のShimanoのテクニカルセミナーでも説明のあったことです。
パーツの組み付け時にネジ部等にグリスを塗るか塗らないか、ということです。

基本的にShimano製のコンポーネントは、グリスを塗る場所のみ指定があります。

締め付けトルクの話に少々戻りますが、この辺はネジの特性となり少々難しいので今回はものすごく簡単に説明させていただきます。
ネジ部にグリスを塗ることで同じ締め付けトルクで締めた場合でも、摩擦が減り軸力が増加してしまう、ということです。
つまり校正された正確なトルクレンチを用いてShimano指定の適正トルクで締めたとしても、グリスを塗布すべきでない場所に塗布されている状態では、想定された軸力と差が出てしまうということです。

これが締め付けトルクとグリスの関係です。

▶公式マニュアルより
これらを踏まえて全てではありませんが、Shimanoのマニュアルにあるグリスの塗る、塗らない場所を確認してみようと思います。
※基本的には最新の上位モデルのマニュアルより抜粋
※すべて新品の状態での想定
※フレームやホイール等組み付けられる側に指定がある場合もあります

・ブレーキキャリパー:塗らない
※リムブレーキ、ダイレクトマウント、油圧も本体固定ボルトは全て塗らない
※ブレーキ系で指定があるのは油圧のオリーブ、コネクティングボルト

・クランク:塗る(右クランクアームユニット軸部、左クランク締結部、クランクキャップ)
※ボトムブラケット軸と左クランクの締結部からのきしみ音が発生した場合、締結部のグリスアップを行い指定締め付けトルクで締める、ということです。
・チェーンリングボルト:塗らない

・BB:塗る(ねじ切りのみ)

・ペダル:少量塗る(ネジ部)

・リアディレイラー:塗らない(ネジ部)

※P軸分解時は塗布

・フロントディレイラー:塗らない

・カセットスプロケット:塗らない


意外と塗らない部分が多いです。

▶マニュアル以外で確認する方法
またマニュアルだけではなく、最近のShimanoの新品パーツは箱から出した状態を見ることでもある程度判断ができる場合もあります。
BBを例に見てみます。
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こちらです。
スレッド式(ねじ切り)のBB-R9100と、圧入タイプのSM-BB92です。
まずはスレッドタイプです。
DSC_5599
予め、ネジ部にはグリスが塗布されています。
更に良く見るとネジ部だけではなく、内部(クランク軸が通る部分)にもグリスが塗布されています。

比べて圧入タイプを見てみます。
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こちらはフレームとの接点にはグリスがなく、内部のみ塗布されております。
これはフレームとの兼ね合いが考えられます。マニュアルどおりです。
このようにグリスと塗るべきところには新品の状態では塗られて出荷されている場合もあります。


と最初にも書きましたが、これはShimano製のコンポーネントのマニュアルからのお話しで、他社製品の場合は他社の指定がある場合があります。

組むパーツメーカー、また取り付けられる側に指定がある場合もあります。
その場合はメーカーの指定通りに行うことが必須です。
一例ですが、
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TOKENのNINJA(ある意味圧入式BB)のマニュアルですが、こちらはグリスを塗布、とあります。

これ以外でグリスではありませんが、カーボン製のパーツで滑り止めペーストを使うことが指定されている部分もありますし、逆に指定の無いメーカーもあります。

と、このように基本的にはまずはメーカーのマニュアル通りに組む、ということが大切です。

▶まとめ
つまりです。
ロードバイクの整備といえばグリス!どこでもかしこでもとりあえずグリスを塗っておけばよい、ということでは無いということになります。
またグリスの使い方もしかりグリスの使い分け、例えばですが、どこどこにはどのような種類のグリスをどのぐらい使うが、また別の場所はアレを。。。というこような企業秘密的な??お店によってこだわりがあったりがあると思います。

ともあれまずはメーカー公式の見解をただしく理解する、ということです。
ということで今回はShimano製コンポーネントを組む際のグリス 塗布する?しない?そんなお話しでした。

参考URL:軸力とは


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