新型の12速の油圧ディスクブレーキです。
ワタクシは必ず初めてのものだけではなく、慣れている作業でも定期的にマニュアルを確認するようにしております。というのもマニュアルは更新が加えられる場合もありますし、日頃の確認という目的もあります。
今回は新型12速の油圧ディスクブレーキです。
新型の油圧ディスクブレーキの特徴は音鳴り改善のために、パッドクリアランスを10%増やし、、、ということがあります。
※パッドクリアランス:ローターとパッドの隙間
油圧ディスクのパッドクリアランスは構造上、リムブレーキとは違い調整で変更することは難しいです。そしてもともと油圧ディスクブレーキのパッドクリアランスは超狭いものです。
その微妙なパッドクリアランスを10%、増やしたのが新型のブレーキキャリパーです。
しかしです。例えばですが(※数値は機械式ディスクブレーキの例)、クリアランスが片側0.4mmあったとすると10%増やしたとしても0.44mmです。0.1mm以下の差です。
そう、ディスクブレーキのパッドクリアランスはものすごく微妙なものです。
ということを頭の片隅に、これを踏まえての今回の本題です。
新型12速コンポ、R8100、R9200系の油圧ディスクブレーキの注意点、です。

マニュアルを見ながら作業を進めていると。

Shimano公式 ディーラーマニュアルより
こちらです。
明らかにブリード用スペーサーの形が変わっています。
しかもです。
よく見ると丁寧に旧型のスペーサーの使用は不可、となっております。
これはなぜか!?ということです。
またこれ困ったことに(確か)、新型のキャリパーでも旧型のスペーサーも普通に入って(使えて)しまいマニュアルを確認していないと、旧型を使用してブリーディング(エア抜き等)の作業をしてしまうこともあるかと思います。

※左側が新型のスペーサーです。
比べてみます。

見た目では少々分かりづらいですが、新旧のブリード用スペーサーは厚みが違うのです。
測ってみるとたしかに、新型のスペーサーの方が厚みがあります。
では厚みが違うスペーサーでもしもブリーディングを行った場合、どんな弊害が起きるのか?ということを考えてみます。
ものすごく簡単に考えてみます。
基本的に油圧の整備はパッドやローターを外しておこないます。
ブリーディング、エア抜きを行う際はレバーを握ります。
レバーを握るということは油が押し出されて、ピストンを押し出す方向に力がかかります。
スペーサーを入れないと、、、当然ピストンはどんどん出てきますし、さらに進めば出過ぎたピストンのシールの隙間から油がぼたぼた出てきてしまいます。
そうならないため、適切な位置にピストンを留める、位置を安定させるためのツールがブリード用スペーサーです。
スペーサーがあれば物理的にストッパー的な役割になりますので、ピストンは押し出されても出すぎることはありません。
しかしです。
新型のブレーキのブリーディング時に、スペーサーが薄いもの(旧型)を使ってしまうとどうなるのか、ということです。
通常の厚みがあるスペーサーよりも薄いスペーサーを使用しブリーディングをすることで、ピストンが適切な位置にはきません。単純に考えて薄いスペーサーを使用した場合、通常あるべき位置よりもピストンは出すぎてしまいます。
ピストンが出すぎる、ということはです、、、単純にピストンの突出量分だけ、オイルが多く入ってしまうことが考えられます。
今回はリザーバータンクやダイヤフラムが、、、という難しいことではありません。
オイルの量が多くピストンが出すぎていると、、、ということですが、当然ピストンは正常な位置まで戻りませんので、パッドクリアランスが狭い状態になります。
ちなみにこのスペーサーの厚みの違い、
パッドクリアランス10%増え、、、どころの厚みの違いではありません。
これらのことからも、旧型スペーサーを用いてブリーディング等を行うことはNGということです。
とは言ってもこれは実際に旧型のスペーサーを使ってやってみたわけではなく、あくまでも構造的な事を考えた結果です。
実際にその影響がどこまででるのかどうかは不明です。
しかし考えられる影響はクリアランスが狭くなる、レバーの遊びが少ない、ということです。
新型でせっかくパッドのクリアランスを広くしたのに、間違った整備でクリアランスを狭めてしまう可能性があるということです。
マニュアルをしっかりと確認をするということはとても大切なこと、という一例でした。
ということで今回は新型12速コンポ、R8100、R9200系の油圧ディスクブレーキの注意点、グリード用スペーサーは旧型を使わない、そんなお話しでした。
ちなみにこの新型用のスペーサー、、、
現在の入手方法はこれしかありません。

フルキット、、、(笑)

ロード用は何度何度も長期にわたって繰り返し、使用しているとやはりボロくなってくるのでまだしも、MTB用とか旧型スペーサーとか、不要な抱き合わせがいっぱい(笑)
スペーサーのバラ売りは当分先のようです。
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コメント
コメント一覧 (5)
ローターの厚みは変わらないので、パッドスペーサーは共通でいけるかと思います。型番も同じとなっておりました。
新型キャリパー単体で買うとブリスペがオマケ程度に付いてきますね、危うく買うところでした汗
ちなみに新型キャリパーと旧型レバーを併せると、フリーストロークが結構増えます。構造的に当たり前の結果ですが、気にする方は調整必須ですね
そんなことよりも、シマノさん、キャリパーやらマスターシリンダーのシールキット売らないのは汚いですねぇ
山登り好きな人は最悪の場合、2~3年に1回レバーとキャリパー買い替えということになりません?
ヘタったオイルで構わず走り回ってればシールも加速度的に痛むはずですし、、、それとも方針転換してオーバーホールキット売る事になったりするんですかねぇ
キャリパー単体だとスペーサがつくのですね!当店で仕入れているものはレバーとキャリーパーのセットなので付属がありませんでした。。。
レバー内の分解は構造的に考えても、スモールパーツの構成を見ても、現実的ではないと思います。あの細身のレバー内に積まこまれた技術はすごいものだと思いますb