今回は少々マニアックなお話です。
Shimanoのケーブル用のパーツ類、アウターキャップはバラ売りもしていますが実は結構高いのです。

コントロールレバー用は149円、ロングノーズは248円です。一個あたりこの価格って結構高いと感じてしまいます。
しかしです。これらの小物パーツは超重要です。
使い方を間違えるとパーツ本来の性能を引き出せないだけではなく、小物パーツ自体やケーブルの寿命も短くなったりすることがあります。
何がすごいって、ただただアウターケーブルを受けているだけではないのです。と言うことが今回のお話を見ていただけるとおわかりいただけるかと思います。
ということで今回はシマノ純正のケーブル用アウターキャップの技術を見る!そんなお話です。

▶シフト用
シフト用のアウターキャップは現在カタログに載っているだけでも10種類あります。
ただ単に多くの種類があるわけではなく、目的に合わせて構造が少しづつ違うものがラインナップとしてあります。
ざっくりと分けて使う場所、そして構造が違うのです。
まずはカタログにもあるようにシールドか否かです。

これは使う場所に合わせてシールド性能が必要な部分で使用することを目的とされているものはシールドとなっています。
まずは通常のアウターキャップ、一番安価で非シールドのものと、シールドタイプを比べてみます。

アウターキャップの線が2本が非シールド、4本がシールドタイプです。
これの2つインナーケーブルを通してみるとその差がよくわかります。シールドタイプのほうが明らかに抵抗が大きいです。なぜかというとシール構造が全然違うからです。
分解してみます。

※上が非シールド、下がシールドタイプ
まずは非シールドから見てみます。
安価な非シールドタイプとはいってもただのキャップではありません。

赤丸の部分。アウターを直接受ける部分に厚みがあります。
この構造が結構重要なのです。
と言うのも、アウターケーブルの構造上使用しているとアウターケーブル内部のワイヤーが突き破ってしまうものがあります。

想像ではありますが、インナーケーブルの動きや変速動作時やハンドルを切る動作や振動の影響でもアウターケーブルは少しは動きます。これにより少しづつ削れ、摩耗が進んでアウターケーブル内部のステンレススチールのワイヤーがアウターキャップを突き破ってしまうのです。
こうなると当然のことながら変速不良となります。
そうならない、そうなりづらいように純正品は対策として、アウターキャップの内部、アウターケーブルを受ける部分はある程度の厚みを付けているということ、そしてアウターキャップは簡単に交換のできる消耗品の1つと考えていると思われます。
またアウターケーブルに曲がり等で負荷がかかった状態でも、アウターキャップがあることでアウターケーブルのセンターからインナーケーブルを出すことができます。もちろん場所や組み方にもよりますがアウターキャップがない状態で組む場合は、アウターケーブルの構造上曲がりはアウターケーブルにかかる負荷が大きくなり、寿命も短くなる可能性があり他のパーツを傷つけてしまうこともあるということです。
フレームによってはアウターキャップを使わない構造のフレームも多くありますが、個人的にはアウターキャップを使用する構造のほうが優しい気がしております。
シールドタイプを更に分解して見てみます。
内部からは2つのパーツができます。

アウターキャップ内部には、ゴム製と思われるシールと(低摩擦タイプと思しき)樹脂製の受けが入っています。

この様になっています。
外部からの水分や汚れはゴム製のシールで防御し、内部はアウターケーブルからかかる強い力にも耐えられるような素材で補強しているようなイメージです。樹脂製の受けがないとゴム製のシールはいとも簡単に破れますし、アウターキャップ自体も破れやすいくゴムも力が加わると潰れて動きも悪くなるからだと考えられます。
これらの2種類のアウターキャップのお値段の差は約4倍です。
ちなみにもう一つあるリアディレイラー用のアルミのアウターキャップがあります。

こちらも分解をしてみると同様にゴムシール+樹脂製の受けの構造です。
基本樹脂製と同じ構造ですが、ノーズが無いのが特徴です。なのですがリアディレイラーにもノーズのパーツがありますので、必要ないという判断かと思われます。
お次はこちらです。

ロングノーズのアウターキャップです。
製品名は”ポリマーコーティングインナーケーブル用ロングノーズ付きアウターキャップ”、というものです。
カタログにも記載があるようにこちらはシールドタイプです。
分解してみます。

一見アウターキャップにライナー管がついているだけのように見えますが、、、

ただのライナー管ではなく、前述のシールドアウターと同様にしっかりと受けが強化されています。
要はShimanoのSP41アウターケーブルは少なからず受けにかかる負担があり、アウターキャップはそれに対応する形状になっているということです。これが純正品ということです。
ロングノーズを分解してみます。

ゴムのシールこそついてはいませんが、その長いノーズと構造によってシール性能を強化してあると考えられます。
同じくノーズ付きがありますが、こちらです。

こちらはコントロールレバー用でカタログ状はノーズ付きですが、カタログにもあるようにシールドタイプにはなっていません。
分解してみます。

確かにシールド構造はなく、シールドのないアウターキャップにノーズがついた構造に近いです。
このアウターキャプの特徴はノーズ部分は分解したとしても取り外しができない一体型構造であること、コントロールレバーの溝に合うように、凸がついているということです。
ともあれコントロールレバー内部に位置するため、そこまで高いシールド性能は必要ないということなのかもしれません。
とこのショートノーズとロングノーズとの違いを分解してみてみたのですが、、、シール部分の構造の差はそこまで大きくないように思え少々疑問が残るところです。
▶ブレーキ用

ブレーキ用のアウターキャップは主に3種類です。
ノーズ付きスチール、ノーズ付きアルミ、ノーズなしスチールです。
はっきり言ってフレーム構造的にノーズ付きを使えるのであればノーズなしを使用する理由はコスト面以外ではほぼありません。ノーズ付きアルミ(DURA-ACEグレード?)はお値段が1個440円ととても高価だからです。しかしフレームの種類によってはこのブレーキ用のアウターキャップをフレームにちょくで突っ込むタイプが有り、アウターキャップ自体が固着してしまう場合があります。P社やC社のフレームとかです。その際にアルミ製を外そうと下手するとちぎれるという悲しい現象が起きることがあり、個人的はスチール製にしっかりとグリスを使って組むのをおすすめしています。
お話を戻して見てみます。

このような構造になっています。
この形はただライナー管を潰しただけではありません。
これが何かというと、、、

アウターにきっちりと収まるようにできます。
このような構造の何が良いのかというと、アウターキャップの内部でインナーケーブルがど真ん中に位置することができ、(多少アウターの長さや取り回しが良くない場合でも)アウターキャップのホール等との接触を減らすことで抵抗を減らすことができます。これはシフトでも同じ構造で、シールのゴム等にも不要な負担がかからないようになっています。
また使っていくうちに摩耗したりして、ノーズが切れてしまう場合があります。
ブレーキケーブルの受け受け、フレームの出口と入口の角度が調整された設計ではないものです。

ノーズで切れやすい部分はもちろん根本ですが、根本が切れてしまってもある程度は軽さを保てる構造です。
これは実はシフトもそうなのです。
▶まとめ
とこのようにShimanoの小さなパーツ、ただのアウターキャップですがとても繊細なShimanoの技術をみることができます。
このように繊細な技術を積み重ねていること、そして組み方、使い方等を正しく組むことで、世界のShimanoクオリティの変速性能やブレーキの性能を引き出している、ということです。
ものすごく細かいことですが、とても重要なことです。
ということで今回はシマノ純正のケーブル用アウターキャップの技術を見る!そんなお話でした。
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〒262-0019
千葉県千葉市花見川区朝日ヶ丘1-21-2
※当日の受付は18:00までとさせていただきます。
作業は18:00以降も行います。
TEL:043-376-1121
(整備中、接客中等 電話を受けれない場合は番号通知にておかけいただければ折り返しお電話をさせていただきます。)
E-Mail:ffcycle@outlook.jp
※ご連絡をいただく際には
・お名前
・ご連絡先
・ご希望の整備内容
・ご希望の日程
こちらをお申し付け下さい。
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Shimanoのケーブル用のパーツ類、アウターキャップはバラ売りもしていますが実は結構高いのです。

コントロールレバー用は149円、ロングノーズは248円です。一個あたりこの価格って結構高いと感じてしまいます。
しかしです。これらの小物パーツは超重要です。
使い方を間違えるとパーツ本来の性能を引き出せないだけではなく、小物パーツ自体やケーブルの寿命も短くなったりすることがあります。
何がすごいって、ただただアウターケーブルを受けているだけではないのです。と言うことが今回のお話を見ていただけるとおわかりいただけるかと思います。
ということで今回はシマノ純正のケーブル用アウターキャップの技術を見る!そんなお話です。

▶シフト用
シフト用のアウターキャップは現在カタログに載っているだけでも10種類あります。
ただ単に多くの種類があるわけではなく、目的に合わせて構造が少しづつ違うものがラインナップとしてあります。
ざっくりと分けて使う場所、そして構造が違うのです。
まずはカタログにもあるようにシールドか否かです。

これは使う場所に合わせてシールド性能が必要な部分で使用することを目的とされているものはシールドとなっています。
まずは通常のアウターキャップ、一番安価で非シールドのものと、シールドタイプを比べてみます。

アウターキャップの線が2本が非シールド、4本がシールドタイプです。
これの2つインナーケーブルを通してみるとその差がよくわかります。シールドタイプのほうが明らかに抵抗が大きいです。なぜかというとシール構造が全然違うからです。
分解してみます。

※上が非シールド、下がシールドタイプ
まずは非シールドから見てみます。
安価な非シールドタイプとはいってもただのキャップではありません。

赤丸の部分。アウターを直接受ける部分に厚みがあります。
この構造が結構重要なのです。
と言うのも、アウターケーブルの構造上使用しているとアウターケーブル内部のワイヤーが突き破ってしまうものがあります。

想像ではありますが、インナーケーブルの動きや変速動作時やハンドルを切る動作や振動の影響でもアウターケーブルは少しは動きます。これにより少しづつ削れ、摩耗が進んでアウターケーブル内部のステンレススチールのワイヤーがアウターキャップを突き破ってしまうのです。
こうなると当然のことながら変速不良となります。
そうならない、そうなりづらいように純正品は対策として、アウターキャップの内部、アウターケーブルを受ける部分はある程度の厚みを付けているということ、そしてアウターキャップは簡単に交換のできる消耗品の1つと考えていると思われます。
またアウターケーブルに曲がり等で負荷がかかった状態でも、アウターキャップがあることでアウターケーブルのセンターからインナーケーブルを出すことができます。もちろん場所や組み方にもよりますがアウターキャップがない状態で組む場合は、アウターケーブルの構造上曲がりはアウターケーブルにかかる負荷が大きくなり、寿命も短くなる可能性があり他のパーツを傷つけてしまうこともあるということです。
フレームによってはアウターキャップを使わない構造のフレームも多くありますが、個人的にはアウターキャップを使用する構造のほうが優しい気がしております。
シールドタイプを更に分解して見てみます。
内部からは2つのパーツができます。

アウターキャップ内部には、ゴム製と思われるシールと(低摩擦タイプと思しき)樹脂製の受けが入っています。

この様になっています。
外部からの水分や汚れはゴム製のシールで防御し、内部はアウターケーブルからかかる強い力にも耐えられるような素材で補強しているようなイメージです。樹脂製の受けがないとゴム製のシールはいとも簡単に破れますし、アウターキャップ自体も破れやすいくゴムも力が加わると潰れて動きも悪くなるからだと考えられます。
これらの2種類のアウターキャップのお値段の差は約4倍です。
ちなみにもう一つあるリアディレイラー用のアルミのアウターキャップがあります。

こちらも分解をしてみると同様にゴムシール+樹脂製の受けの構造です。
基本樹脂製と同じ構造ですが、ノーズが無いのが特徴です。なのですがリアディレイラーにもノーズのパーツがありますので、必要ないという判断かと思われます。
お次はこちらです。

ロングノーズのアウターキャップです。
製品名は”ポリマーコーティングインナーケーブル用ロングノーズ付きアウターキャップ”、というものです。
カタログにも記載があるようにこちらはシールドタイプです。
分解してみます。

一見アウターキャップにライナー管がついているだけのように見えますが、、、

ただのライナー管ではなく、前述のシールドアウターと同様にしっかりと受けが強化されています。
要はShimanoのSP41アウターケーブルは少なからず受けにかかる負担があり、アウターキャップはそれに対応する形状になっているということです。これが純正品ということです。
ロングノーズを分解してみます。

ゴムのシールこそついてはいませんが、その長いノーズと構造によってシール性能を強化してあると考えられます。
同じくノーズ付きがありますが、こちらです。

こちらはコントロールレバー用でカタログ状はノーズ付きですが、カタログにもあるようにシールドタイプにはなっていません。
分解してみます。

確かにシールド構造はなく、シールドのないアウターキャップにノーズがついた構造に近いです。
このアウターキャプの特徴はノーズ部分は分解したとしても取り外しができない一体型構造であること、コントロールレバーの溝に合うように、凸がついているということです。
ともあれコントロールレバー内部に位置するため、そこまで高いシールド性能は必要ないということなのかもしれません。
とこのショートノーズとロングノーズとの違いを分解してみてみたのですが、、、シール部分の構造の差はそこまで大きくないように思え少々疑問が残るところです。
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ブレーキ用のアウターキャップは主に3種類です。
ノーズ付きスチール、ノーズ付きアルミ、ノーズなしスチールです。
はっきり言ってフレーム構造的にノーズ付きを使えるのであればノーズなしを使用する理由はコスト面以外ではほぼありません。ノーズ付きアルミ(DURA-ACEグレード?)はお値段が1個440円ととても高価だからです。しかしフレームの種類によってはこのブレーキ用のアウターキャップをフレームにちょくで突っ込むタイプが有り、アウターキャップ自体が固着してしまう場合があります。P社やC社のフレームとかです。その際にアルミ製を外そうと下手するとちぎれるという悲しい現象が起きることがあり、個人的はスチール製にしっかりとグリスを使って組むのをおすすめしています。
お話を戻して見てみます。

このような構造になっています。
この形はただライナー管を潰しただけではありません。
これが何かというと、、、

アウターにきっちりと収まるようにできます。
このような構造の何が良いのかというと、アウターキャップの内部でインナーケーブルがど真ん中に位置することができ、(多少アウターの長さや取り回しが良くない場合でも)アウターキャップのホール等との接触を減らすことで抵抗を減らすことができます。これはシフトでも同じ構造で、シールのゴム等にも不要な負担がかからないようになっています。
また使っていくうちに摩耗したりして、ノーズが切れてしまう場合があります。
ブレーキケーブルの受け受け、フレームの出口と入口の角度が調整された設計ではないものです。

ノーズで切れやすい部分はもちろん根本ですが、根本が切れてしまってもある程度は軽さを保てる構造です。
これは実はシフトもそうなのです。
▶まとめ
とこのようにShimanoの小さなパーツ、ただのアウターキャップですがとても繊細なShimanoの技術をみることができます。
このように繊細な技術を積み重ねていること、そして組み方、使い方等を正しく組むことで、世界のShimanoクオリティの変速性能やブレーキの性能を引き出している、ということです。
ものすごく細かいことですが、とても重要なことです。
ということで今回はシマノ純正のケーブル用アウターキャップの技術を見る!そんなお話でした。
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