今回の主役は機械式変速(ケーブル式変速機)のフレーム構造の中でも、BBの下側だけに絞った超絶マニアックなお話です。
基本的にBBの下はフロント・リアともに通常シフトケーブルの折り返し地点のようになっているのはここ最近のお話ではなく、かなり古くから取り入れられている構造です。

ではただただそれだけしか無いのか?というと各メーカーやモデルごとに少しづつ、違う構造を採用しているのです。
様々な構造があり、様々な利点があり、そして各々のデメリットも有るのものです。
というのが今回のお話、少々マニアックでどこに需要があるのかはわかりませんが、そのニッチなところに差し込んでいくのが当ブログで(笑)、フレーム構造 BB下ケーブルガイド部の構造のアレコレです。

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▶旧式のBB下の構造
以前はコントロールレバーから出たアウターケーブルはダウンチューブ下のアウター受けで止まり、インナーケーブルだけとなり、BB下で折り返す。そしてフロントまではそのまま、リアはチェーンステー下部を通り、チェーンステー下部の後方のアウター受けから再びアウターケーブルへと入りリアディレイラーにつながっていました。
まさに今回のサムネイル(上の画像)のような構造です。
BB下には低摩擦樹脂ケーブルガイド、というものが使用される場合が多くシマノからも汎用品として発売されていました。
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このようなパーツです。
最近ではめっきり見かけることが少なくなりました。

このパーツ自体は汎用品ですので入手性が悪いこともなく、摩耗したり割れたり、具合が悪くなったら交換が可能ですのである意味親切な構造だったのかもしれません。
またこのケーブルガイドにはM5というネジが使われていました。
なぜM5かというと、、、と言うのは後ほどm(_ _)m

この構造はいわゆる古い構造で、フル外装式のケーブルルーティングのフレームで主に使われていました。現在でも一部のクロモリフレームなどでは使用されているかもしれません。


▶内装化とともに進化したBB下の構造
今から数年ぐらい前ぐらいからシフトケーブルを内装するフレームが増えてきました。
シフトケーブルの内装化、内装構造自体はスッキリしますし、増え始めてからは各社本当に一気に進んだと記憶しております。

従来まではダウンチューブにアウター受けが外付けされていたものが、ダウンチューブにアウター受けを取り付けられる穴が開いている構造になりました。

今回の主役のBB下のケーブルガイド部はどう変わったかというと、一度フレーム内に入ったインナーケーブルはBB付近でダウンチューブから出てくる構造、もしくは完全にフレーム内に収まったままの構造の2つになりました。

どちらが優位で、と言うお話ではなくやはり構造的なお話では、完全に内部に収まる構造はというと、スッキリします。逆に外に露出する構造は見た目のすっきり感は低く、汚れが付きやすい反面、メンテナンス性は良い場合が多いです。
とこのようにメリット・デメリットは構造によって少なからず差があります。

しかしです。
これらの構造の変化で失ったもの、、、シマノのケーブルガイドの存在があります。
もうこう言った構造になるとほとんど汎用品のケーブルガイドは使うことが出来ません。純正の専用品を使うしかなくなっています
この使用するしか無い純正のケーブルガイド構造が、物によってはなかなかにクセがあるものがあるのも面白いところです。
個人的な感想ですがRIDLEYのNOAHとかは特に癖が強く、組むのにコツがいるように思えます。そっくりに似た構造のGIANTは意外と組みやすいと言うのが面白いところです。ものすごく微妙な差なのです。


BB下の色々なタイプ
BB下の構造もいろいろな種類があります。
まず現在の内装フレームの一番スタンダードな構造です。
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フレームに穴が空いており、フレーム専用品のケーブルガイドが付属します。
大体この付属のケーブルガイドが悪いということは少ないのですが、某社のものはペラッペラで使用していくうちにだと思うのですが、ずれてしまっているものもありました。。。あれはもう一歩、と言う感じでした。ずれたまま運用するとフレームとケーブルが擦れて削れていくという問題もありました。

少し変わった構造はメリダのスクルトゥーラです。
現行型は不明ですが以前の形のスクルトゥーラはリアはフルアウター、フロントのみがBB下で切り返しになります。今でこそよく見るようになったフルアウターのリアシフトをいち早く取り入れていた印象です。ちなみにフルアウターだから悪いということはほぼありません。

さらに異端児のフレーム例です。
ケーブルガイドなんざ一切必要ない!という潔さ(笑)
ケーブルガイドはなく、BBシェルの外郭というか外側をライナー管を使用して折り返すだけです。
通常は特に不具合が出るわけではありませんので、問題ありません。
しかしです。
ライナー管が破れたりしたら、、、やはり折り返し地点をインナーケーブルが行き来しゴリゴリ削ってしまう、ということを考えるとやはりケーブルガイドがあったほうが保険のためにも良いような気はしております。

ケーブルガイドの角度もそうです。フレームに入ったインナーケーブルがガイドにまっすぐと入るような角度、これを計算しているフレームはさすが、と感じます。


▶BB下の問題点
手がかかるほど可愛い、、、というようなこともあるのかもしれませんが、少々苦労をするフレームもあります。
と言うのも、大体どこどこのフレームのあのモデルは構造的にこうなる、、、というパターンが有るのです。

例えばですが水抜けが悪いフレームです。
場所的に汚れや水に影響を受けやすい部分、ということが大前提にあります。
BMCのSLRも基本的に水抜け(泥ですが(笑))がそこまで良いフレームではありません。
このようにどろどろのものが中にたまります。
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しかしです。
BMCの場合は樹脂製のケーブル受けがハマっているだけなのです。
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基本的にBB下のケーブルガイドは常にケーブルが張られている状態です。つまりケーブルテンションでフレームに押し付けられている状態ですので、そこまで太いボルトを用いて高トルクで固定しなければだめな部分ではありません。
このようにモデルによってはボルトも何もなくフレームの溝にハマっているだけのものもあります。

ですので、SLRの場合は構造的に多少水抜けが悪くても錆びたりするものが無い以上は問題が起こりづらい場合が多いです。

しかしです。
水抜けが悪い影響をフルに受ける構造もあるのです。
例えばボルトを使用している場合です。
もちろんボルトで固定するということは、ナットの部分はフレーム側にある場合が多いです。
これはボトルケージのナットと同じような構造のナットを使用している場合が多いです。
この構造で水抜けが悪かったり、場合によっては水がたまる構造なのにナット・ボルトがある構造は錆びたりしますので注意が必要です。
また錆びによる固着が起きることは多々ありますので、特に小さなボルトで外すことが非常に困難になってしまっている事が多いフレームもあります。固着からボルトの頭をなめてしまったり、ナット自体が供回りするようになってしまう場合があります。
こうなりやすいフレームは定期的なメンテナンスが特に重要です。

でここで最初の方に書いたケーブルガイドのボルトの太さです。もしもの時に錆びて固着をしたとしても外しやすいように弱い極細ボルトでは無く、ある程度の太さがあるボルトを使用している可能性、また他にも考えられる理由としては長すぎればBBに刺さってしまうので、長さが稼げない部分ということもあり、太さで補強をしている可能性もあるとも考えれられます。シマノのケーブルガイドのボルトが付属してこないのも長さの問題があるからなのかもしれません。これらの事だけでは無いかもしれませんが、短く太く外しやすく、ということは要因としてあるのではないかと思っています。


▶まとめ
ケーブルのフル内装化が進むにしたがって、こう言った構造もいつしか少なくなってくるのかもしれません。基本的に機械式でもフル内装仕様の場合はフルアウターで組むことがほとんどです。
またハイエンドだけではなく、低グレードもDi2が進むことでこう言った問題は次第に消えてくるかもしれません。

ということで今回はフレーム構造 BB下のケーブルガイド部の構造のアレコレのお話でしたが、Di2化がもっと進むと完全に不要になる心配かもしれません。そんなお話でした。


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