富士ヒル後の前後ぐらいから少々ドタバタしており、ようやく少し時間が取れるようになりました。
そこで日頃サボり気味だった大変お世話になっている、自分のバイクのメンテナンスです。

最近はBMCよりも使用頻度が高いように思える室内用のキャノンデール号です。今回は久しぶりにガッツリとメンテナンスをしたところドライブトレインが、、、室内用と実走用を時間をかけて比べてみると少しだけ見えてくることがあります。
ということで今回はロードバイクのドライブトレインの摩耗の原因を探る、そんなお話にしてみようと思います。

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まだまだ大活躍のローラー専用機です。
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①チェーン
室内のローラー用の自転車の不思議があります。
ローラーでしか使わない自転車のチェーンは、実走バイクのチェーンと比べても異常なぐらい伸びづらいです。なんだかんだで画像のチェーンは中古で使い始めてから1万キロに迫るぐらい使用していますが、まだParktoolの0.5%ですら全く刺さる気配がありません。
ちなみに実走用のチェーンは通常3000km前後ぐらいから伸びが確認できるようになります。
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ピント、、、(笑)
ほぼ伸びが進んでいないのです。
では管理が良いのかというと、お指示にも良いとは言い難いのです。
洗車は今回のようになにかの節目ぐらいで、油は時々足しますがドバッとつけて余分なものは拭き取るぐらいです。
明らかに実走用バイクよりもメンテナンスはサボりがちなのです。。。ゴメンヨ

つまり室内用のチェーンは実走用チェーンと比べても極めて伸びずらい、ということです。


②カセットスプロケット
続いてカセットスプロケットです。
スプロケの状態です。
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どろどろ、、、頻繁に洗浄しているわけではないので、そこまできれいな使い方ということではありません。油切れは起こしていないと思われます。

このままでは摩耗度はわかりませんので、きれいにして確認します。
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さっぱりしました。

再度見てみます。
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ズイフトはワークアウトがメインですので、よく使用しているギアはロー側から数えて3~6枚目ぐらいまでです。それでも下りのコースも走りますので原則トップまで使用することもあります。

やはりよく使う位置は実走と同じようにチェーンの食い込みのような痕がありますが、歯自体は摩耗によって細くなる状態にはなっていません。
ちなみにこのスプロケは5800ですので、かなり年代物で全然新しいものではなく実走での第一線を退いた後、ローラー台用として使用しているものです。
これらのことを考えると長持ちにも程があります。

カセットスプロケットも室内使用では摩耗が非常に遅いという結果でした。

③フロントチェーンリング
ではカセットよりも酷使されがちなアウターのフロントチェーンリングはどうかというと、、、
摩耗はそこまで酷い感じではありません。しかし摩耗の仕方が実走とは少々違うのです。
実際の状態を見てみます。
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比較してみます。
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実走で主に使っているフロントチェーンリングの摩耗は目の細かいヤスリで削ったような、歯がきれいに削れていき、なめらかな摩耗です
一方の室内用バイクはというと、削れていく摩耗というよりは細かな傷がかなり目立ちます。

もっとアップで見てみます。
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室内用バイクのチェーンリングはこのような感じで、細かな傷でなめらかな摩耗ではないのです。

裏側から見てもわかります。
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比べてインナーはというと、現在は比較的大きなキズはなくなめらか摩耗なのです。

しかしです。
以前にも室内用バイクの歯の摩耗を記事に書かせていただいた事がありました。(最下部にリンクがございます)2年前ぐらいです。
こちらの画像はその時のインナーの状態です。
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力のかかる歯の前方側には、摩耗というよりかは比較的大きな”欠け”のような傷が刻まれています。現在のアウターの歯のようです。
これです。
実は現在と2年前でこのようにインナーの削れ方に差が出ていることは説明ができるのです。
2年前、この画像を撮るまではZwiftをやっていなかったのです。室内ではRouvyというものをやっていていつも走るコースは上りのみのコースでした。ギアはほぼ100%インナーのみでの運用をしていました。つまりインナーでパワーをかけ がしがし踏んでいた、ということです。

その当時のアウターの歯です。
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全然使っていないので、ほぼ摩耗していないです。

ではなぜ今現在はインナーがなめらかなのか?というと、現在はZwiftでワークアウトもコースを走ってもほぼアウターしか使いません。インナーはというと上りで休むときぐらいしか使わないのです。
ですのでパワーを掛けて乗ることはほとんどなく、変速も緩やかなためなめらかに削れていっている、ということだと考えられます。

つまり室内ではパワーをかけて変速したり、ガシガシ踏むような使い方の場合は実走の摩耗とは違い、傷系の摩耗が起きやすいと考えられます。


④樹脂製ギア
では最後です。
ドライブトレインで弱いと思しきパーツはどうかというのを見てみます。
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唯一樹脂でできているプーリーです。
テンションプーリーはというと、、、そこまで摩耗していないのです。。。

では変速を司る、つまり変速時に大きな負担がかかるガイドプーリーはというと、
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歯に傷が多く見られ、摩耗もさることながら傷みも大きいです。

▶これらの状態からわかること
これらの結果からの原因を推測します。

✓室内と実走の摩耗の差の原因
実走の場合は主に走っている最中に付着してしまう細かい砂塵による摩耗の影響が大きいと考えられます。実走の汚れはチェーンオイルに巻き込まれたジャリジャリしたり砂塵系の汚れが主で、チェーンがジャリジャリしてくるのも細かな汚れを噛み込んでいるからとだと思われます。
そしてこの細かな汚れが研磨剤のようになりフロントもリアも含めたギア歯の摩耗、そしてチェーンの伸びの原因に直接つながっているのではないか、ということです。

一方の室内の場合はというと、環境的に砂塵系の汚れが付着することは基本的に殆どありません。ではどのような汚れが?というとやはり強い衝撃による歯の欠けや、欠けた金属片等の比較的大きな物体による影響が主な原因になっているのではないかと思われます。
ですので比較的大きな汚れはチェーン内部までは入り込むことは少なく(量自体も実走よりも少ない)、チェーンの伸び・摩耗を引き起こしづらいのかもしれません。
主にチェーンリングにキラキラが付着していることが多いです。

✓カセットの摩耗が意外に遅い理由
また意外だったのはカセットスプロケットです。特に室内ではかなり手荒な操作になりがちでガチンガチン変速をしている割にダメージが少ないのです。これはなぜかということを構造的に考えてみます。(マニアックすぎて需要があるかは不明ですが、それがいつものごとく当ブログ!(笑))
カセットに駆動を伝えるべくチェーンが回ってくる時は、リアディレイラーによって必ずガイドプーリーが狙ったカセットの歯のまっすぐ下に位置します。つまりカセットスプロケットにチェーンが入ってくる時は必ずまっすぐ入ってくるから、ということ(変速時以外は、です。)またディレイラーによってテンションが掛かっているためチェーンが浮きづらい(遊びずらい)ということも考えられます。
変速時に使われるカセットの変速ポイントの摩耗も考えられますが、そもそも研磨剤のようになりがちな砂塵系の汚れがつきづらいので油さえついていること、そして変速調整がばっちりであれば摩耗が進みづらいのではないかと思います。
それに比べてフロントのチェーンリングはというと、殆どの場合チェーンが斜めに入ってきます。これによりリア変速時等で過負荷がかかった際に歯にダメージを負いやすいのではないかと思われます。

要はチェーンに横方向の力が少なからず加わっている状態はギア歯に負担がかかりやすいのではないか、ということです。

✓2つのプーリーの摩耗の差
これらを考えると変速で思いっきりチェーンを横方向に押すことになるガイドプーリーの傷も多く見られる、と考えられます。
ではテンションプーリーの摩耗が少ないのは?というとです。。。これもあくまでも想像でしかありませんが、一番パワーがかからないところだから、ではないかと考えられます。

図で出します。
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ペダルを踏むとクランク+チェーンリングが周りチェーンを引っ張ります。①の状態でいわゆる踏んでいる、パワーがかかっている状態です。
するとクランクごとチェーンリングが周りチェーンを強力に引っ張ります。このときに②の部分のチェーンはパンパンに張られている状態です。
ではその時に③はどういう状態なのか?ということです。

実際に足でペダルを踏んでブレーキをかけてチェーンを触ってみるとわかりやすいですが、③の部分のチェーンは特に張られていないのです。(チェーンのこの部分にテンションをかけるためのプーリーなのでテンションプーリーというのです。)ペダルに力がかかっていれば、②のチェーンはもちろんパンパンに張られているです。

ですので変速時にチェーンを無理やり横に押すガイドプーリーは傷が多く、テンションプーリーの摩耗はそこまで多くないのではないか、ということです。

✓フロントチェーンリングの傷から推測すること
おそらくですが例えばリア変速時、チェーンはリアスプロケットを移動します。その際は瞬間的にチェーンの張りが抜けます。隣のギアにチェーンが移動した瞬間チェーンのテンションが抜け、ギアが噛んだ瞬間にテンションが戻ります。このときのオン→オフのようなガンッ、という力のかかり方がフロントの歯に衝撃を与え、悪さをしているのではないか、と考えられます。
変速のときに力を抜かずにガンガンやることで、痛むのはフリーボディもそうですが実はフロントの歯にもダメージが考えられるということです。(足を止めている状態からの漕ぎ出しの際や、スムーズではないチェーンが瞬間的にたるむようなペダリングもです。)
リア変速時は②の部分で意外とチェーンが暴れている、ということもあります。


▶まとめ
これらのことを考えるとです。
チェーンやギアを長持ちさせたい場合は、室外でもドライブトレインをすっぽりと包み込み外からの汚れがつかないように運用する事ができれば、室内同様に長持ちさせることが可能になる可能性が高いと思われます。現実的には難しいかもしれませんが。。。

ともあれ実走と室内、2つは運用環境にかなりの違いがあります。
あくまでもワタクシの場合ですが、大前提として実走に比べてもスマートトレーナー等の自動負荷は予想外の負荷がかかったり変速時の力を抜き辛かったり、Zwiftレースで熱くなったりすることでも操作は荒くなりがちです。しかし室内であってもガシガシ乗ることなく、実走と同じようにスムーズに、ということを心がけていればこういった摩耗は起こりづらいと考えれられます。(現在のインナーの状態のように。)
逆に実走であってもガンガンゴリゴリパワーを抜かなかったりスムーズではない変速を繰り返すことで傷のような摩耗も起こり、更に実走の汚れが重なることで摩耗を促進させてしまうことも十分に考えられますの。ですので日頃から歯の状態を確認し、細かい傷のような摩耗が目立つのであれば変速、漕ぎ出し、ペダリング等を気をつけることで歯の摩耗を今よりも減らせる可能性があるかもしれません。

このようなことを実際にご自身が使われているバイクを良く観察することで、適切な整備が見えてくるかもしれません。環境的には室内は実走と比べても汚れがつきにくいので油膜厚めのウエットルブなんかももちも良いのでよいのではないかと思います。
ということで今回はロードバイクのドライブトレインの摩耗の原因を探る、ということですが、実走と明らかに違いがあり、整備も例えばチェーンオイルも適切なものはというと違いが出る可能性が高いのでは??そんなお話でした。


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