走行前のお話はこちらからどうぞ


まずはリアを交換したインプレ記事はこちらからどうぞ。

前回に引き続きフロントです。
タイヤを前後で片側ずつ交換するのは、フロントとリアの働きの違いを体感するためでもありますし、純粋にタイヤの違いを細かく感じやすいから、という目的があります。
今回はフロントもCORSA N.EXTに変えました。
前後とともに交換し、今まで使用してきたAGILEST TLR28cよりも前後で60g以上の重量増となりました。
果たして重量増はどの様な体感や影響を与えるのか、Vittoria CORSA N.EXT TLR 26c ②フロント インプレッション!そんなお話です。

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フロントに関してはチューブレスリムテープを張り替えませんでした。
それでもやはり前作G2.0のCORSAよりも若干組付けが硬くなったように思えます。とは言っても全然想定の範囲内ですので、一般的な運用で苦労することはないと思われます。
CORSA N.EXTのビードの上がり方は非常に良いです。これはリアでも感じたことですが前作よりもビードが上がりやすくなっています。前作は少々ゆるくエア漏れでビードが上がりづらかったのですが、今作は改善されています。
しかし今回はなぜか最後の一部分のビードが上がりきらないようで、コンプレッサーを使用してもシューシュー音が止まりませんでした。
う~ん、とよく見てみると実はビードは上がっておりましたが、バシューーーーと聞こえるのです。
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( д) ゚ ゚アボーン

タイヤのスピュー(タイヤのひげ)の根本の継ぎ目の様な部分からエアが結構な勢いで吹き出してしたのでした。それでも内部のシーラントで止まるは止まるのですがあの量のエア漏れは不安が残ります。
こういった初期不良は判断が難しい場合もあります。
というのも例えばチューブであれば少しでもエア漏れがあれば一目瞭然初期不良、ということになります。しかしチューブレスの場合は、元々がエアが漏れるのをシーラントで止めるという構造です。どこまでが正常でどこまでが不良、という適切な判断をする必要があります。

とその後様子を見てみましたが、やはり減圧が早いので少量の漏れが起きているようです。
ということで内部を見てみます。
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原因箇所はコレです。
見る限り傷の穴というわけではなく、真円形状で気泡のようにきれいに開いた穴です。
おそらく製造上の不具合の可能性が高いと考えられます。


▶交換前と後
フロントも28cの感覚にだいぶ慣れてきたところでした。
AGILESTの25cと28cをコロコロ変え、その違和感というかだいぶ慣れてきたところでした。

それでは今回はなぜCORSA N.EXTに交換したのかと言えば、リアで使ったところものすごく良かったからです。
フロントも同様に240g以下のAGILEST TLR 28cからの交換です。
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実測273gでカタログ値-12gはかなり優秀な数値です。
それでもAGILESTの28cよりも30g以上は重量増となります。

重量は確実に増えますがメリットは有るのか、というのがポイントになると思われます。


▶インプレッション
✓転がり感
フロントはリアの経験をいかし4.8~5.0BARに設定し、交換後200kmほど使ってきました。
交換後走り出した瞬間すぐに感じたことがあります。
なめらかで非常によく転がる、スルスル進むということです。
これはフロントで一番最初に感じたことで、リアを交換したときの印象とはやはり少し差がありました。
このスルスル進む感覚は旧作G2.0のコルサスピードを初めて使ったときのよく転がる感覚と似ていたと思います。とは言ってもコルサスピードは転がりは良いのですが、その代償かもしれませんが多少ふらつく感じ・接地感の薄さがありましたが、N.EXTは接地感が高くふらつく感じがないのは非常に良いと感じました。やはり純粋にG2.0のCORSAよりも正当進化をしていると感じました。

またこの転がり感ですが、きれいな路面であればそこまで大きな差はないのではないかと考えていたのですが、コレがまたいい意味で裏切られました。vittoriaの持ち味とも言えるしなやかさは荒れた路面に強いのかと思ったのですが、きれいな路面でも想像以上にすごく軽やかに進むのです。
路面を選ばずにするする進んで非常に気持ちが良く感じます。

✓重量増の影響
まだ長い登りでは使っていませんので長丁場のヒルクライム以外でということにはなりますが、実際にに走ってみると短い上りやストップアンドゴーを含めてリアの時に感じたような若干の重さはほとんど感じませんでした。

というのもあくまでも想像ではありますが、駆動輪として直接回転させるのはリアです。では一方のフロントはというと、良い言い方ではないのかもしれませんが極端な話ある意味ただくっついて回っている、シンプルにリアタイヤ(リアホイール)を回すことで前に進もうとする、フロントはリアに押されて転がっているということです。真っ直ぐの平地を走る上では転がれば良いのでリム外周の重さを感じやすい状況、例えば発進・加速や上りでもそこまで大きな差を感じづらいのかもしれません。

ですのでフロントに関しては重さよりも押されたときの転がり感のほうが良い印象を持ちやすいのかもしれません。
とはいってもフロントタイヤの働きはただ単純にそれだけではありません。

✓ブレーキング・コーナーリング
ブレーキング、コーナーリングとなるとフロントは非常に重要な役割を果たします。
まっすぐ直立の状態ならまだしも少しでも車体が傾いている状態では、基本的にフロントは滑るとかなり危ないです。
リアは多少滑っても問題ありませんが、フロントは落車に直結します。

フロントのグリップ感もさることながら、急な下り坂のブレーキングでも車体が跳ねづらい暴れづらさが際立ち、リア側での細かいロック細かいスリップが起こり辛いと感じてました。

コーナーリングではリア以上に倒し込んだときの安定感がやはり非常によく感じます。
スパッと倒れて素直に曲がっていく感じで、狙ったラインを取りやすく安心して曲がれます。
変に倒してみたり、ハンドルをこじったりしてみたのですが、変な操作をしてもしっかりと反応してくれます。
コーナーリングが非常に気持ち良いので、イメージ的にはコーナーリングがうまくなったように感じてしまう危険性があるかもしれません。

✓衝撃・振動吸収性
あくまでも嫌な硬さではありませんが潰れ感は少なく、やはりフロントでもしっかりとした腰を感じます。
ギャップを超えたときにハネ感はありますが、リア同様収まりが早いです。
腰があるゆえのハネ感はどうしても出てしまうのかもしれません。

それでもしっかりと衝撃や振動の角を丸くしてくれるTLR的な性能は非常に高いと感じています。


▶フロントタイヤの性能
ブレーキングやコーナーリング時にフロントタイヤが超重要だということはわかりやすいです。
しかし今回実感したのはそれだけではないということです。
普段はそこまで意識をしていなかったのですが、フロントでIRCを好んで使っていた理由と似ています。それはダンシングやシッティングでも強めに踏んだ時、パワーをしっかりとかけた時に特にフロントタイヤの働きが非常に重要に感じていたからです。
少しだけ寄り道ですが、コレはなぜかということを考えてみようかと思います。

高出力時でも理想はきれいに回すということです。
しかし(ワタクシのペダリングが良くない可能性も否定はできませんが)それでもパワーが必要な時はどうしてもペダルを踏んづけがちになってしまいます。とは言ってもどんなにきれいに回したとしても2~4時以上のパワーを0時とか6時とかの位置で出すことは難しいとは思います。つまり極端な話ペダルを踏む、踏みつけることこそパワーの源になるのではないかということです。

もちろん踏みつけられたとしても、クランクは回りますのでチェーンを通して駆動輪にパワーが伝えられます。
オードバイのパワーはエンジンから出力されますのでイメージでは加速中はフロントに荷重がかかりづらいと思います。一方の自転車では前に進むための力、推進力を生み出すためにはペダルを踏み降ろすというパワーの出し方こそが主体となります。そしてペダルを踏むということは、下方向に強く荷重がかかるのではないかということです。力強く踏めば踏むほど下方向に力がかかり車体が地面に刺さるようなイメージです。(更にダンシング時は車体の片側に強い力がかかるのでバイク車体を傾けたりすることでも下方向だけではなくねじれる様な方向にも。)
これが自転車とオードバイの違いだと思います。

ですので思いっきりパワーをかけた瞬間はリアだけではなく予想以上にフロントにも下方向への荷重がかかっているのではないかということです。
このときにリアに押されるとは言え、フロントが潰れるのか、それとも前に進める推進力?力になるのか、もちろん双方が起きると思うのですが、これこそがパワーをかけたときのフロントタイヤの反応だと考えています。
進む感覚の強いタイヤはタイヤ自体が前に押し出す力を強く出してくれるタイヤはないかと思います。
これはものすごく複雑でタイヤの潰れと戻りのタイミングがあう合わない等の要素もあるとは思います。体重やケイデンス等もです。

こういった現象は力強くパワーをかけたときにはわかりやすいですが、そこまで大きな力をかけていないときも少なからず起きていることだと考えれられます。
踏む、踏む、踏む、という感じで円運動の中でのパワー出力が一定ではないこと、コレも重要なことではないかと思います。つまりタイヤは回転運動の中で少なからず常に潰れると戻るを繰り返しながら回っているのではないかということです。

▶CORSA N.EXTの弱点
CORSA N.EXTはというと、ダンシングでパワーをかけても潰れることなく進んでいくように感じられます。
しかしです。
逆に重たいギアをゆっくり回すような、低ケイデンスを使った上り方ではうまく進んでいかないようにも感じています。
これは重さが原因なのかもしれませんし、タイヤのコシが強く変形量が少ないのでケイデンスが遅いとタイミングが逆に取りづらくなってしまうのかもしれません。また変形、またはしなりと戻りのタイミングがあいづらいのかもしれません。
何が原因なのかは不明ですが、気になったところです。

▶まとめ
前後 CORSA N.EXTのTLRに変えリアは600km、フロントは200kmぐらい使用してきましたが、実際に前後で60g以上は重たくなっています。
6kg台だった車体重量は7kg台に乗ってしまいました。
しかしそれでも一部の状況下(ダンシングで重たいギアをゆっくりまわす上り)を除いては、重さによるデメリットをそこまで感じることはなく、むしろ普段走っているようなコース(100kmで1000mUP以下)では良い感触を得られています。

また今回使用している26cというタイヤの太さですが、重量と空力のバランスが非常に良いのではないか感じております。
28cを使用していたのも多くのラインナップでは25cのワンサイズ上であり(26cとか27cとかは意外と少ないのです。)、28cは乗り心地が良く体への負担が少ない、安定感が良い等のメリットを感じるからということです。
今回は重量的なお話もあり28cから26cに変えましたが、空気圧がほとんど変わっていないということもあるのかもしれませんが、乗り心地等もそこまで大きく変わることもありません。25cで6BARとかよりも全然優しいです。

そして空力的なお話ではHYPER 2023は内幅21mm、外幅F:27.6mm R:27.8mmです。タイヤは26cの4.8BAR設定でジャスト27mm(+0.2mm程度)です。HYPERではほぼツライチのようなぴったり感です。
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内幅21mmに対して、26cというサイズはものすごくちょうどよいサイズなのかもしれません。
(28cを内幅21mmで使用するとタイヤの方が太くなっていました。)

そして最後になりますが、タイヤの傷(強さ)についてです。
前述のようにリアは600km、フロントは200km傷はまだありません。ウエットこそまで使用はしておりませんが、真夏の過酷な路面状況でも傷が入らないのは運もあるとは思いますが、弱いタイヤではないかと思われます。
ということで今回はVittoria CORSA N.EXT TLR 26c ②フロント インプレッション!ですが、前後合わせてですが一言でいうと気持が良く走れるvittoriaらしさを感じることができる、全世代のCORSAからしっかりと進化を感じられるタイヤというイメージです。そんなお話でした。





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