組み換え前のパーツ構成としては、リムブレーキ用のフレームで使用してたパーツを最大限に利用するために、SHIMANOの唯一の生き残り(?)である機械式のフラットマウント対応のディスク用ブレーキキャリパーを使用して組んでいました。

機械式のブレーキキャリパーとは言え、雨の日や峠の下りのその性能には不満があったわけではありません。

からの油圧ディスクの12速化です。


初の油圧ブレーキ、そして進化を遂げた12速化を実際に使ってみてどう感じたのか?まだまだ乗り込み距離は少ないですが、400㎞に届かないぐらいは走ってまいりました。
ということで今回はULTEGRA R8170シリーズ 12速 油圧コンポをインプレッション!そんなお話です。

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▶制動力
カーボンリムのリムブレーキ、機械式ディスクブレーキを経ての油圧ディスクです。
走り出して一発目のブレーキング、あたりすら出ていない初回のブレーキングでもその差は歴然、圧倒的な制動力でした。
カーボンリムのリムブレーキから機械式ディスクブレーキへの変更時は、あたりが出るまでは効きが悪く感じましたが、効きが出始めてからが本領発揮でした。弱いブレーキング時はそこまで大きな差を感じることはありませんでしたが、強い制動力を出した際にはやはりディスクブレーキの恩恵をしっかりと感じることができていました。

では機械式と油圧の違いは!?というと、、、異次元です。

力強く握ることなく強力なストッピングパワーを発揮します。
ブレーキングにかける力があまりにも楽なので感じたことがあります。ロードバイクのタイヤってこんなにグリップするんだ、、、というぐらいに思いっきり効きます。
制動で如何にタイヤの性能を使えていなかったか、よくわかります。

雨やウエットの下りも含めて使用してみましたがその性能は本当に素晴らしいです。
リムブレーキ+カーボンリムのようにぐるっと一周水分がなくなるまで効かない、雨が降っている時はそのあとも効きが弱い、というようなこともありませんし、ほとんど晴れの日と変わらないぐらいに効きます。

弱い力で強い制動力を生み出せるということの意味は実際に使ってみるとよくわかります。
どのハンドルポジションでもそこまで強い握力は必要ないので、変に腕や上半身に体に力が入ることなくバイクコントロールがしやすいです。

ただしです。
雨の日や湿気の多い日はかなりふぉ~~~ん!と良い音が出ます。
信号待ちでは周りが振り返ることも多々、なのですが実は車でもバイクでも同じようにブレーキの鳴きは出ている場合もあります。車のブレーキが多少鳴いたって待ちゆく人々はあまり気にも止めません。おそらく慣れの問題だと思います。

実際に使用してみて痛感いたしましたが、ブレーキング性能はやはり圧倒的で、雨の日や降り等で一度でも怖い思いをしたことがあるのならば特におすすめいたします。
全然違います。全く違います。そのぐらいの差です。
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▶変速性能
公式ページからの情報です。
”11速の最終モデルDURA-ACE RD-R9150よりも58%速いRD-R8150のリアシフティング、同じくDURA-ACE FD‐R9150よりも45%速いフロントシフト”
ということです。

その変速性能は実際に乗ってみればすぐにわかります。
R8050と比べても、超速いです。

まずリアですが、変速の瞬間には力を抜き変速が終わったら踏む、という体に染み付いた一連の動作に完全な遅れが出ます。400㎞近くは走りましたがいまだ慣れません。
むしろ変速時に力を抜いてとかは考えずに、思いっきり踏んでいるわけではありませんが、ケイデンスも落とさずパンパン変速していったほうがうまくいくように感じています。

フロントもです。
クランクは11速用を使用しておりますので互換性外の組み合わせなので本来の性能を発揮はできていないはずですが、それでも超早いです。いままでなんの不自由もなく使用していた11速のフロント変速が遅く感じるぐらいにとにかく早いです。

とリアディレイラーのキャパが上がっているせいかもしれませんが、チェーンがクロスになるようなアウターローの状態でも11速よりも余裕が持てているため、ロー側でもパツパツになりすぎずに変速も悪くなりづらいです。

ボタン押しっぱなしの多段変速の速度もやはり上がっています。
11速の感覚で押しっぱなしにすると予想以上に変速してしまっています。このへんはE-TUBEで使いやすいように調整をすると良いと思います。

11速で不自由していたのかと言うと、そんな事は全くありませんでしたが、11速よりも確実に進歩をしています。


▶16Tの存在意義
11速と12速のリアのカセットスプロケットのギア構成は以下のようになっています。
12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
R8000 11T 12T 13T 14T 15T 17T 19T 21T 24T 27T 30T 10-30T
R8100 11T 12T 13T 14T 15T 16T 17T 19T 21T 24T 27T 30T 10-30T
11T 12T 13T 14T 15T 17T 19T 21T 24T 27T 30T 34T 10-34T
11-30Tは7番目に16Tが追加、11-34Tは11速の11-30Tのロー側に34Tが追加されたギア構成です。

個人的には11速では最近10-30Tを使用しておりました。
今回の12速でも同じく11-30Tを選択しました。
というのも平地民としては34Tは余り使う機会がない、また34Tは物理的に重い、ということがあるからです。※11-30T 291g、11-34T 345g(+54g)

ということで12速になり678あたりに16Tが追加された11-30Tですが、、、抜群に良いです。
こんなに良いとは思いませんでした。

というのもこの”16T”という歯数ですが、ギア比は3.25、速度にするとケイデンス90rpmで36.7㎞です。
この35㎞/h前後って平地の巡航でものすごく使うギアなのです。このあたりのギアが細かく選択できるのは非常にメリットが大きく感じたところです。

▶シフトボタン
シフトボタンは確実に押しやすくなっています。
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ボタンのサイズ自体は大きな変更はありませんが、、、
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R8050と比べても、初期のリアシフトダウンボタン(フロントはシフトアップ)のせり出し量が増えています。
より2つのボタンの差がわかりやすくなった気がします。
ブラケットトップのボタンはそこまで大きな差はありませんが、それでもR8050に比べて若干は押しやすくなった印象があります。


▶コントロールレバーとEケーブル

まずはR8050コントロールレバーのエレクトリックケーブルの接続ポートです。
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内側に入っているため、多少ポートを引き出しつつ抜き差しをしていました。

R8170です。
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手前に引き出すことなくそのままEケーブルの抜き差しができます。
とは言っても実際には別体スイッチ等を接続しない限りはケーブルの接続はありませんので、メリットとしてはそこまで大きくは無いかと思います。
コントロールレバーの有線でのアップデート時ぐらいかと思われます。

と見ての通りエレクトリックケーブルは12速化で仕様が変わっております。EW-SD50旧型よりもEW-SD300のほうがかなり細くなっています。
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物理的に細くなることでやはりいわゆる骨折のリスクが上がったというお話です。
抜き差しの際は専用の工具(TL-EW300)はマストアイテムと思われます。


▶ここはイマイチ
ここまで絶賛しているわけですが当然ながら良いことばかりではないのです。
もちろん好みの問題もあるかもしれませんが、個人的に感じたイケてないところです。

①サイクルコンピューターの表示遅延
そう言えばD-Flyといっていたような気がするのですが、最近ではあまり聞かなくなった気も。。。
ということはおいておいて、サイクルコンピューターがDi2に対応しているモデルであれば、サイコン上にDi2の情報を表示させることができます。
バッテリー残量、ギア位置、ギア比、シフトモード等です。
ワタクシの場合は、11速時代インフォメーションディスプレイを使用していました。ひと目でシフト位置がわかるその機能は重宝しておりました。やはりギア位置は把握したいので、Garminさんギア位置表示をしているのですが、これの表示の遅延が不自由をするレベルです。ワンテンポどころが2テンポぐらい遅れて表示されます。漠然と現在のギア位置を見ることは不自由がありませんが、多段変速を瞬間的に数字を見て行う時は不自由です。もう少しリニアに表示がしてくれると良いと思います。
※インフォメーションディスプレイの表示に時間差は一切ありませんでした。

②スリープモード
しばらく変速をしていないとスリープモードに入ります。
スリープモードからの復旧は優先式であった11速よりも遅いです。
数回シフトボタンを操作してようやく立ち上がります。

すっかり忘れて走り出すと、最初の数回は空押しになります。
今のところ走行中にスリープに入るほどの事はありませんが、時間の設定等ができると良いと思います。

③レバーはデカくでぶっとい
こればかりは完全に好みの問題かもしれませんが、個人的にはバーテープも握りが太くなるのが嫌なので極薄ものを使用しています。
やはりR8170の太いブラケットは一番慣れません。
とにかくコントロールレバーが太くででかいのです。
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R8050のレバーの方が明らかにシャープなのです。
ブラケットポジション、一番握るところも太いですし、先端も大きいです。
マスターシリンダー構造や無線機、電池場所等の問題もあるのかもしれませんが、純粋に形状だけで言えばやはりR8050のレバーは最高に握りやすかったと感じています。

ただしブラケット先端近くを持つような握り方の場合は、ブラケットの上面の平らな部分が増えているため、小指球あたりの安定感は高くなっています。
R8050は包み込むように握りやすく、一方のR8150は小指球付近を乗せるようにすると安定します。

また画像のレバー根本の部分です。
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ブラケットを握った際に中指が当たる部分です。
ここがR8050は”逃げ”のようにくぼんでいるのに対して、R8170は直線的なのです。
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この形状の影響で、ブラケットを握った際にこの部分が中指にあたってしまうのです。

また先端を持つ時もです。
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小指だけは引っ掛けておきたいのですが、レバーの根本が物理的に太いことで、小指を引っ掛けづらくなってしまいました。
これは細い握りを好むワタクシとしてはちょっと残念なところでした。

▶まとめ
今回R8170油圧式ディスクブレーキの12速コンポーネントを導入したわけですが、正直なところ同フレームで機械式のR8050を使用していたときとは乗り味がかなり代わりました。というのもR8170に交換して乗ったところ、良くも悪くも油圧のバイクになってしまった、と感じました。リムのバイクとの差が更に大きくなったように感じます。
というのも油圧のバイクはいまだに慣れませんが、やはりコントロールレバーが大きくそして重いのです。おそらく重さ影響もあるかと思いますが、コントロールレバーはリムよりも硬い印象です。
ですが実際に走ってみると振りは重くなっているのかもしれませんが、個人的にはそこまで気になりませんでした。
むしろ気になったのはレバーの握り、太さ大きさです。

とは言ってもでは油圧にして後悔した?と聞かれれば全くしていません。
ブレーキは鳴くしちょっとしたことでローターを擦ったり、レバーはでかくて重いですが、そのブレーキの性能は雨の日に一度でも使ったら戻れないぐらいの素晴らしい性能ですし、変速性能も確実な進化を感じることができます。

ということで今回はULTEGRA R8170シリーズ 12速 油圧コンポをインプレッション!その性能の進化は確実で世界最高峰の性能を実感した。そんなお話でした。

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