MAKUHAL(マクハル)とは:
MAKUHALとはシーラントの一種ですが、通常のシーラントとは全然違ったものです。
ものすごく簡単に説明をすると、通常のシーラントは液体のままタイヤ内部に留める一方、マクハルは固体化させてタイヤ内部にとどめます。
TLRのシステム上、固体化してしまったらタイヤ等から空気が漏れるのでは?ということなのですが、固体化させる段階でタイヤとリムに薄い膜を形成させている状態にして固めてしまうというものです。
原理的にはそこまで難しいことはありません。

マクハルは薄い膜が空気の漏れを止めます。マクハルのメリットとしては通常のシーラントのように内部が乾燥したり劣化して固まることによるエア漏れはありませんし、内部のシーラントの状態を気にすることがなくなります。重量的にも通常のシーラントよりも軽く保つことができます。

もちろんメリットだけではなく、デメリットもあると思いますが、取り敢えず使ってみないことにはなんとも言い難いです。
ということで、、、


からの早速施工をしていきたいと思います。
ということで今回はTLRに革命を起こせるのか!? MAKUHAL(マクハル)のご紹介!なのですが、実際には施工をしつつTLRに関してやシーラントに関してのお話をつらつらと書いてみようと思います。というお話です。

image20231012


▶本題の前に
原則マクハルは他のシーラントと混ぜることがNGとされています。
というのもあくまでも想像ではありますが理由が考えられます。まず従来のシーラントとは違いマクハル自体は乾かすことで膜を形成することが目的の製品です。ということは同じラテックス系であっても他製品が混ざることで膜がうまく張れなくなることが考えられます。
またもう一つの理由はパンク修理の際の同社のチューブレスキュー(突っ込むタイプのパンク修理キット)が使えなくなるということです。

とは言ってもワタクシの場合は、(あくまでも個人的な意見ですが)突っ込むタイプのパンク修理キットはあまりよい印象がなく、パンクしたら追いシーラント(追加)、これでだめならチューブを入れればよい、と考えているところあります。
ですので取り敢えずエア漏れを止める膜の形成のみが今回の目的ということです。

とにかく初見ですのでまずはやって意味ないことにはなんとも、ということで早速やってみます。
まずはこちらです。
クリンチャーで使用時の詳細です。
PXL_20231011_034723489
Vittoria Corsa N.EXT 28c CL(219g)+vredestein チューブ(79g)合計298gです。
リアホイール全体としては1464gです。
この状態から今回はVittoriaのCorsa N.ext 26c TLRで施工を行っていきます。

▶MAKUHAL施工

まずこういった初見の製品でとても大切なことですが、マニュアル通りに行うということです。
絶対にマニュアルは穴が空くほど熟読したほうが良いですし、公式の説明は超重要です。これはSHIMANO等のよく知ったはずの製品であっても思わぬことがある場合もありますので、とても重要なことです。
ということを踏まえて早速。

①脱脂の重要性
1つ目の重要なポイントは脱脂です。
というのも原理的なことを考えれば納得がいきますしよくわかります。

シーラントで膜を張るということはタイヤ裏側、リム、リムテープ等に油分等がありシーラントを弾いてしまってはきれいな膜の形成ができません。というのも特に新品のタイヤによっては離型剤や保存のための成分、何かはよくわかりませんがとにかく水を弾く成分が表面に付着していることがあり、シーラントを弾きやすいタイヤというものも中にはあります。

ですのでまずはシーラントを弾かないように脱脂をするということです。
そして通常は基本的に新品のタイヤで行うこと、とはなっているのですが、今回は使用済み品です。
PXL_20231011_035054898
おそらくうまくいくと考えられます。
なぜか?というのはまだ確実な情報ではなく、様子見状態なので非公開でご了承下さい。

がっつりと脱脂をします。
これはペーパーウエスではなく、少々コストは掛かりますがマイクロファイバー等でボロボロにならない素材のウエスで行ったほうが良いと思います。
リムもバルブも同様に脱脂をします。
要はマクハルで張りたい膜が接触するであろう部分はすべて脱脂をするということです。

②バルブ・タイヤの取付
PXL_20231011_035251128
バルブを取り付けます。
バルブのゴム付近にもマクハルを塗布して取り付けます。

そしてタイヤを取り付けます。
この時点で正確な重量を測っておきます。
PXL_20231011_035425492
1442gです。

③マクハル注入
マクハル専用の抜き取りツール”ヌキトル”という製品ですが、シーラントを入れる際も使用ができます。
PXL_20231011_035740383
個人的にはこちらを使用したほうが良いと思うのは、シリンジや容器から入れることでバルブの内側にシーラントの付着が考えられるからです。とは言ってもコンプレッサーで空気を一気に込めばほとんどが内部に押し込まれますので、そこまで気にする必要は無いという考え方もできます。

この専用ツールのヌキトルの使い方は難しくはありませんが、コツとしては入れるにしても抜くにしてもゆっくりと行うということです。優しく焦らず、です。

タイヤ内にマクハルを120mlぐらい入れます。
この量がとても大切で少なく間違えるのであれば、多く間違えたほうが良いです。理由は後述致します。

④ビード部になじませる
PXL_20231011_035814241
ゆっくりとタイヤを回しながらビードとリムの接触面(底部)にマクハルが付着するようにタイヤをそっと優しくもみます。これもかなり重要です。

今回のマクハルの目的とは全く違いますが、リムとタイヤの相性で規定の空気圧を入れても、ビードが固くて上がりきらないような場合、滑りの良いシーラントであればこの動きをすることでビードが上がりやすくなります。

⑤ビード上げ
コンプレッサーを使用し一気にビードを上げます。
PXL_20231011_035942302
ビードがすぐに上がらないと内部のマクハルがどんどん漏れますので、如何に素早くビードを上げるかが重要です。
とこの時点で感の良い方はお気づきかと思いますが、一発でビードが上がれば問題はありません。
しかしチューブレスでよくあることですが、ビードが上がらなかったり、上がりきらずにシーラントが吹き出す現象です。
もたもたしている内部のマクハルはどんどん吹き出てしまいます。こればかりはリムとタイヤ次第です。

これから内部に膜を張るために内部すべての面にマクハルを行き渡らせたいのですが、量が少なくては不安が残ります。ビードを上げるときにどれだけ漏れるかわからないため、最初に入れるマクハルの量は少ないぐらいであれば、多めに入れておいたほうが良いと考えております。
今回はこのぐらいは漏れました。
PXL_20231011_040048715

⑥内部に行き渡らせる
その後内部に膜を張らせるためにゆっくりと回します。
公式からもブンブン回さないで、ということですので、ゆっくり優しく全体に行き渡らせます。
このときに下側をすべて覆えるぐらいの量、これが120mlということだと考えられます。

その後エアの漏れを確認後、エアを抜きます。
というのもマクハルを抜く作業があるからです。

⑦内部のマクハルを抜き取る
エアを抜く際に勢いよくバルブコアからエアを抜くと勢いでビードが落ちてしまう場合もあるかもしれません。というのもいくらなんでもまだ乾燥するには早くシーラントが液体成分のまま、リムとタイヤに付着しているため、乾燥しているときよりも潤滑剤的な役割を果たしてしまい、組み合え直後はビードが落ちやすいということがあります。(先程のビード上げでシーラントを塗るのとは逆の効果のようなイメージです。)※こちらもリムとタイヤの相性的な問題もあります。
もしもビードが落ちてしまう場合は、ゆっくりやさしくエアを抜いてあげると落ちづらいです。

ともあれもしもこの時点でビードが落ちてしまったら、再度マクハルを行き渡らせる作業のやり直しになる可能性が高いのでご注意下さい。

無事にビードが落ちずにエアが抜けたら、内部のマクハルを吸い出します。
PXL_20231011_040858182
内部に入れた量から抜いた量を引くことで内部の残存量がわかります。

しかしです。
先程も記載を致しましたが、ビード上げの際に噴き出した量はわかりませんので、必ずしも回収できた量と残存量はイコールとはなりません、ですので抜いた量はあくまでも目安ぐらいで良いと思います。

PXL_20231011_041052155
ざっくりですが、97mlぐらい抜けました。

余分なシーラントが抜けたら、最後はコンプレッサーを使用しないで空気を入れれば完了です。
というのもコンプレッサーは湿気や水分が入ってしまうからです。公式でもフロアポンプの使用を推奨しているということは、如何に内部のシーラントを乾かしたいか、だと推測できます。

内部はジメジメしている状態ですので、基本的に乾きづらいです。
早く乾かしたいのであれば、フロアポンプで空気を入れる、抜く、入れる、抜くをフロアポンプで繰り返すことで若干は早く乾くかと思われます。

そして最後も重要なことです。
PXL_20231011_041710053
マクハル施工後のできるだけ正確な重量測定です。
ホイールやタイヤの外側にもマクハルが付着し乾いていますので、できるだけきれいにした状態で重量を測定します。
1459gでした。
施工前は1442gでしたので、17g分内部に残存している計算となります。
このようにできるだけ正確に重さをはかることで、シリンジで計るよりも噴き出し量等も考慮した内部残存量がわかります。

ともあれ1464gがクリンチャー+軽量ブチル運用ですので、軽量ブチルよりも軽くチューブレスを使用することができます。


▶まとめ

長年チューブレスレディを使ってきたものとしては、シーラントが乾いた状態、内部に液体が入っていない状態はやはり不安があります。
それでも5.2BAR入れておいた状態で、一晩で空気の減圧幅はほとんど計測ができないぐらいの減圧で驚いております。これはすごい!

これでもしもパンクをしたら追いシーラント、もしくはバルブを外してチューブを入れるだけです。リムがどろどろになることもなく車体もクリーンということは、、、便利かもしれません。

また今後の観察事項として、
✓一説ではかなり長いという持続性はどうなのか?
✓パンク時の反応、TLRの最大のメリットでもあるパンク時のエアの保持力は?
✓実際にパンクをした時の再施工時のメンテナンス性
✓エア漏れが多くなったときの対処法
✓施工時間
等々はまだまだ時間をかけ観察する必要はあると思います。

ということで今回はTLRに革命を起こせるのか!? MAKUHAL(マクハル)のご紹介!ですが、個人期にはめちゃくちゃ面白い製品!ということでした。
+++++++++++++++++++++++++++
FF-Cycle(エフエフサイクル)
〒262-0019
千葉県千葉市花見川区朝日ヶ丘1-21-2
※当日の受付は18:00までとさせていただきます。
作業は18:00以降も行います。
TEL:043-376-1121
(整備中、接客中等 電話を受けれない場合は番号通知にておかけいただければ折り返しお電話をさせていただきます。)
E-Mail:ffcycle@outlook.jp
※ご連絡をいただく際には
・お名前
・ご連絡先
・ご希望の整備内容
・ご希望の日程
こちらをお申し付け下さい。
また整備内容によっては、車体メーカー、モデル名、ホイール、コンポーネントなども合わせてご連絡をお願い致します。
ロードバイクの健康診断・カスタマイズ相談的なこともお受けいたします。
当店の特徴・詳細ははこちらから