SHIMANOのリムブレーキはブレーキパッドが105以上では主に1種類づつしかありませんでした。リムブレーキ用のシューは主にR55C4がベースで、カーボンリム用や‐1mmのワイドリム用でした。
それがディスクブレーキになると、、、ラインナップがとても増えるのです。
パッドはメタル、レジン、フィン付き、フィンなし、そこまで複雑ではありませんが、ディスクローターはというと何種類も。
ということで今回はその中でもディスクローターのお話ですが、SHIMANOのディスクローターのラインナップやディスクローターの差等に関してのお話にしてみようと思います。
ということで今回はSHIMANOの現行型 ディスクブレーキローターを学ぶ!、そんなお話です。

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▶SHIMANO現行品カタログ
まずはざっくりとですが、カタログのお話をしてみようと思います。
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現在のSHIMANOのディスクブレーキ用のディスクローターのラインナップです。
こちらの表の説明から入ろうと思います。

もう少し拡大いたします。
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①赤枠
基本的にロードバイクで使用するためには、このROADに”☓”があるもののみ使用が可能です。逆に”‐”のものは使用ができませんのでご注意下さい。
※詳細は後述

②オレンジ枠

マウントとは、ハブへの取り付け方式のことです。
マウント方式にはセンターロックと6ボルトがあります。
これはホイール(ハブ)次第です。
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※左がセンターロック、右が6ボルトです。
もう名前のとおりですが、センターをロックリングで取り付けるのがセンターロック、6本のボルトで止めるので6ボルトです。

③ローターサイズ
現在のロード用ディスクローターは160mm、140mmのどちらかとなります。
組み合わせとして主流な選択は前160mm、後140mmが多いように思えます。なのですが、某社の7部組?の車体ではなぜか前が140mm、後ろが160mmのセッティングでした。。。
ともあれ軽量化や効きをマイルドにしたい場合で前後140mm、ブレーキング性能を上げたいため前後160mmなど選ぶことも可能です。

④スプライン
ディスクローターを取り付けるロックリングの方式です。
内セレーションと外セレーションがあります。
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※左側:内セレーション、右側:外セレーション
使用する工具が違います。

カンパやフルクラムではAFSというロックリングのタイプもあります。
これは画像右側の外セレーションと同じ工具を使用しますが、構造は全然違いますので注意が必要です。

ただ使用する工具が違うだけではありません。

✓内セレーションと、外セレーションの違い①
この内セレーションと外セレーション、何が違うのか詳しく見てみようと思います。
まずロックリングの内径が違います。
ですので、外セレーション用のホイールに内セレーションを使ってみます。
すると、、、
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そもそも内セレーションに使う工具(カセットスプロケット用工具)が入らないのです。
これはホイール側のエンドキャップの寸法設計の問題で、外セレーションで使用できる太さで設計させているということで、内セレーション用の工具は使用ができないのです。

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※内セレーションが使える工具はこのようになります。
つまりホイール側の問題で外セレーションしか使えないホイールがある、ということです。

✓内セレーションと、外セレーションの違い②
これだけではありません。
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内セレーションのロックリングほうがディスクローターから突出量が少ないのです。
これが何が差があるのかというと、、、

フレームに入れてみます。
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フレームの形状によってはロックリングが干渉してしまうフレームがあります。
もちろん擦れてしまうとフレームに傷がつきます。

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外セレーションのロックリングも種類によって厚みに差があります。

つまりフレームによっては外セレーションのロックリングでは干渉してしまう場合があるということです。

▶対象外の製品
最初の表に戻ります。
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ロード用では140mmと160mmのローターがあります。
マウント方式でセンターロック、6ボルトはホイールのハブ次第です。

ということなのですが、ロード用としての適応外の物があるのです。
主にはアイステクノロジーの採用されていない低グレード品です。
※アイステクノロジーについては事項で。

これがなぜ非適応になっているのかというと理由は2つあります。
①ブレーキパットの素材がレジンのみしか使用できない
②放熱性の問題
これらの事があり対象外になっているということです。
ロードバイクでディスクローターを選択する場合にはご注意下さい。

✓アイステクノロジーについて
安定した効きのディスクブレーキも、ブレーキングを続けることでブレーキシステムで摩擦で熱が発生し高温になります。ブレーキが熱を持つことでブレーキの効きが悪くなるという問題があります。これはディスクブレーキであればどれも同じで、車でもオートバイでも同じことです。(リムブレーキでも特にカーボンリムの熱の問題があります。)
アイステクノロジーとは、SHIMANOのディスクブレーキのテクノロジーで、ディスクブレーキでは切っても切れないこの熱問題に対しての技術です。アイステクノロジーはディスクブレーキの熱による効きの低下を放熱性を高めることで減少させる狙いです。
パッドにもディスクローターにも採用されております。
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https://bike.shimano.com/ja-JP/technologies/component/details/ice-technologies.htmlより

ディスクローターは放熱性の高いアルミをステンレススチールでサンドイッチすることによって、放熱性を高めるというのがディスクローターのテクノロジーです。

画像のグラフを見ると、時間とともに従来のローター(ステンレススチールのローター)では制動力が落ちていきますが、アイステクノロジー採用ローターでは放熱性が優れているため制動力が効きが落ちずらい、というものです。


▶熱の影響と反りについて
ハードなブレーキングをすることでディスクローターが高温になり、反りが出てしまうことがあります。具体的には下りのヘアピン前等でかなり強いブレーキングをしたあとに、ブレーキを解除したあともディスクローターがブレーキパッドと接触をしてしまうことで出るシャリシャリ音であったり、状況によってはブレーキの鳴きのような音が出る場合もあります。

この現象は主にディスクローターの熱による反りということです。
この熱による反りはサンドイッチ構造による影響もあり、ステンレススチール1枚のディスクローターの方が出にくいということです。ですがステンレスのみのほうが放熱性は低い、つまり熱による制動力の低下が起きやすいということです。
ですので(少々乱暴な書き方にはなりますが)多少反ったとしても放熱性に優れたアイステクノロジーを用いたサンドイッチ構造のほうが、効きが安定して持続できるということです。

ちなみに構造的なお話では反りが出てている状態でも、ブレーキの効き自体は変わらないということでした。では反った時はというと、、、普通に走っていれば風が当たり冷却されればもとに戻るということです。

※ただしこれらのお話はあくまでも通常使用を想定しているということです。例えばですが、1000m近い下山で永遠とブレーキを掛け続けるような使い方、また激坂をフルブレーキングを使いながら超低速で下る等の使い方は、通常使用かと言うとその限りではないかと思われます。


▶ディスクローターのグレードによる差
こちらに関してはバンッ!とブレーキをかけた時の一発目の効きについては大きな差はないということでした。
しかし実際のライディングではブレーキは一瞬で終わるものではありません。コースにもよってブレーキングの使い方、ブレーキング時間、負荷によって差は出るかと思いますが、ブレーキに負担がかかっった際の熱の問題でブレーキの効きが悪くなってくることも考えられます。
ということは放熱性が高いほうが熱の問題が起こりづらく、安定した効きを長く使えることになります。
というのが以下の図です。
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https://bike.shimano.com/ja-JP/technologies/component/details/ice-technologies-freeza.htmlより

下のグレードから、
・SM-RT70:アイステクノロジー
・RT-CL800:アイステクノロジー フリーザ
※アルミの放熱フィンを更に大きくしたもの
・RT-CL900:アイステクノロジー フリーザ+放熱熱ペイント

グレードが高い製品の方が放熱性能が高いことで、安定した制動力を得られるというものです
これらが各グレードの差ということになります。


▶まとめ
最後になりますが、価格はと言うと以下のとおりです。
・RT-CL900:11,141円(内スプライン 160mm)
・RT-CL800:7,941円(内スプライン 160mm)
・SM-RT70:5,124円(160mm)
※内スプライン
やはりお値段の差はしっかりとついている印象ですが、例えばですが平地よりも山の走行が多いとかの場合、もしくは体重が重い場合はやはりブレーキに負担がかかります。また下りでもブレーキをしっかりと使いながらゆっくり下りたいという場合、安定したブレーキング性能を求めるのであれば、やはり高いグレード品は導入されているテクノロジーの面から見ても良い選択と考えられます。

ということで今回はSHIMANOの現行型 ディスクブレーキローターを学ぶ!そんなお話でした。
個人的には摩耗用のインジケーターがつくとより良いと思うのです。

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