今年は結構雨降りました。
そして雨だけではなく、ガッツリウエットの日も多かったように思えます。
それでもディスクブレーキの恩恵をしっかりと受けております。
というお話ではなく、最近のフル内装式のヘッド構造の最大の難点、、、それはおいそれと簡単にヘッド部の分解ができない構造になっているということです。

従来のリムブレーキフレームのようにフロントのブレーキのケーブルを外せばすぐに分解ができますが、油圧はというそう単純なお話ではないのです。
更に手間はかかりますがでは汚れづらいのかというと、一向にそんな事はありません。むしろ汚れやすかったりする場合も多々あるのが悲しいところです。。。

そんな空力的にも有利でスッキリするフル内装構造のヘッドパーツ、ですがメンテナンス性はお世辞にも良いとは言えないのです。
では雨やフルウエットでもじゃぶじゃぶ使うと数ヶ月でどのようになるのか、そしてどのようにメンテナンスができるのか?そんなお話にしてみようと思います。

ということで今回はフル内装式のヘッドパーツで雨でも走った3500kmの状態とメンテナンスの実際、そんなお話です。
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▶分解の前に
まず大前提として、この掃除方法ができるのかどうかは、組み方次第というところもあります。
油圧のホースをジャストの長さで、というのは一見素晴らしいことのように思えますが、このメンテナンス性という観点からすると、ホースの長さはある程度ゆとりがある方が良いのです。
何故かといえばとてもシンプルで、ハンドルのずらし幅の確保、ハンドルが抜けるか否か、というところです。とは言ってもほとんどの場合は抜けませんが(笑)

油圧のホースがジャストの長さの場合は、ハンドルを抜くどころか、ハンドルをずらせる幅も非常に少ない場合もあります。某メーカーの完成車などですのぇ。。。

それでも完成車はメーカーがコラムの高さを高めに残しており、それを下げていくので基本的に長さは長めになる場合が多いです。しかしが組み方によってはホースの長さがぴったりすぎてニッチもサッチもいかないものもあります。

また構造的な問題もあります。
昨今YOELEO等でもよく聞きますが、カーボンの内部の綺麗さです。内部の綺麗さ、バリなどにホースが引っ掻かることは整備性を極端に落とすことになります。
コストは掛かるのかもしれませんが、カーボン製品の内側は絶対にきれいな方が良いです。

逆にヘッドパーツのメンテナンスのためにホースとか全部外すというのは、少々コストも手間もかかりますのでうーん、です。例えばフルメンテナンスのタイミングで、というのも悪いことではないと思いますが、タイミングを伸ばしてヘッドベアリングを完全にだめにしてしまわないことは重要なことです。

他にも外さなくても大本からずらすという方法もありますが、どれが良いのかはケースバイケースです。


▶状態の確認とクリーニング
という前置きはほどほどにしておいいて、中身を見てみます。
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こちらです。今年は秋も暖かくかなり例年よりもかなり過酷に使ってきました。
どうなっているのか不安はありますが、まずはヘッド部をバラしていきます。
とは言っても油圧のホースが内装されておりますので、バラバラにすることはできません。
状態の確認をしつつクリーニングも並行して勧めていきます。
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ホイールを外したら、ステムをずらします。
まずこのようにどれだけステムを持ち上げることができるのか。これも重要なところです。これで全然動かない場合、、、かなり厳しいです。

それではワタクシのT1550はというと、、、
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ぎりぎりでステムがコラムから抜けないぐらいまでは持ち上げることができました。
トップカバーの上には割入りの5mmスペーサーが1枚ありますので、それも外してしまいます。
このぐらいのスペースがあれば完全分解と遜色が無いぐらい、きれいにできます。

ちらっと。。。グリスの残存量、そしてグリスの質感等を確認しておきます。これはとても大切なことです。
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少しだけ上部を除きつつ、まずは下部のベアリング部からきれいにしていきます。

ステムを一番上、限界まで持ち上げた状態でフォークを下げます。
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このように少しずつずらすことで作業スペースを作ります。
ホースを外さない場合は、これのようにずらしつつ作業をすることになります。

まだベアリングはヘッドチューブ内に置きっぱなしです。
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まずはフォークのクラウン部から掃除をします。

意外と砂が溜まりやすい部分です。
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きれいになりました。

次はベアリングです。
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除くとジャリジャリがやはり溜まっています。

ベアリングを外してみます。
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グリスはしっかりと残っていて、いい感じです。

きれいにします。
ベアリングは外側だけではなく、下部も内側もすべてキレイにグリスは一度すべて落とします。
間違ってもパーツクリーナー等をぶっかけてはダメです。
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サビもなく非常に良い状態です。
ベアリングを思う存分きれいにした後は抜いたヘッドチューブ側もきれいにします。
フォーク、ベアリング全面、ヘッドチューブ(フレーム内部)この3点をもれなくきれいにします。

ともあれワタクシの乗り方、組み方そしてT1550の構造では、3500㎞程度では下部ベアリングはまったく問題が無いということでした。
ですので今回もしっかりとグリスを入れ戻します。
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下部が終ったら、上部を見てみます。

上部はフォークを押し込み上にずらして行います。
しかしこのままではフォークが抜け落ちる方向に動いてしまいますので、掃除がしにくいです。まず作業を両手で行えないということはものすごく効率が落ちます。
ゴムのチューブ、テープ何でも良いと思うのですが、フォークが持ち上がってる状態の方が掃除しやすいです。ですので今回はテープでフォークがずれないように固定しました。このように如何に作業がし易いようにするのか、このひと手間は作業効率を上げるためにもとても大切なことです。
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上部ベアリング部です。
外側はきれいですが、若干怪しい色をしている感じがないわけではありません。

掃除をしつつ、ベアリングを様々方向から見て全面を確認してみます。
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ヘッドベアリングの外側はきれいでしたが、内側の一部分にサビが見られました。
ここはホースをフレーム内に引き込むために、コンプレッションリングの割れがはいっている一部分でした。ここはグリスが取れやすく、穴が空いていますのでやはり構造的に弱点となりやすいと考えられます。
このように定期的に状態を確認をしておくことでどこが弱点か、今後の整備の参考になります。

ベアリングをきれいにしたらグリスをしっかりといれて戻します。
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コラム部(クランプ部)はしっかりと脱脂をします。これも重要です。
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ヘッド部のガタを完璧に取り、周りをきれいに拭いたら完成です。
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▶まとめ
このようにフル内装のヘッド周り構造は、過去の外装式のヘッド周りと比べてもかなり掃除がし辛い傾向にあります。
そして厄介なことに掃除がしにくいのに、過去の構造よりも汚れやすかったり錆びやすい構造なのです。
これらのことからも大切なことです。
①組むときに如何にヘッドのメンテナンスをしやすいように組むか
②組む時のグリスの重要性
③手間はかかりますが、日々のメンテナンスの重要性
※もちろん手間がかかるということは工賃が高く付く場合が多いということです。

このようにワタクシ自身、過去に様々なグリスを使用してきて、雨でも何度も乗って自らの経験をもとに最も耐水性の強い、錆びづらいグリスやケミカル類をしております。
こればかりは各メーカーの説明だけではなく実際に使用してみてのお話で、最も大切だと考えているとことです。

そしてヘッドベアリングの寿命はもちろんそのフレーム構造や使い方にもよって差は出るところですが、はっきり言ってメンテナンス次第ではかなり長持ちさせることもできる部分です。逆に言うならばメンテナンスが不十分でだめにし易いパーツでもあります。
定期的なメンテナンスによってベアリングの寿命に大きく差が出る部分ということです。

ということで今回はフル内装式のヘッドパーツで雨でも走った3500kmの状態とメンテナンスの実際、そんなお話でした。



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