なぜローターがない状態で、ブレーキレバーを握ってはいけないのか?またもしもブレーキを握ってしまったときには、どうすればよいのか?これらのことの答えが今回のお話の本題です。

油圧ディスクブレーキ、ホイールを外した状態でもしもうっかり握ってしまったときの知識、そんなお話です。


まずは基本的な構造のお話からです。

▶リムブレーキの構造(リターンスプリング)
リムブレーキはブレーキ内部にスプリングがあり、何も負荷がない場合は開いた位置が初期値になっています。(コントロールレバー内部にもレバーを初期位置に戻すためのスプリングがあります。)
つまりケーブルを固定していない状態であれば、ブレーキは全開の状態です。
ケーブルを繋ぎブレーキを握るとケーブルが引っ張られ、ブレーキキャリパー(キャリパーアーム)が閉じることでリムをはさみます。
これはディスクブレーキでもメカニカル式(機会式)の場合は同じことです。
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▶油圧ディスクブレーキの基本的な構造
では一方の油圧ブレーキはというと、その名の如く油を使用しています、
Shimanoはミネラルオイルですが、ミネラルオイルをレバー側から押し出すことで、ブレーキキャリパー内のピストンを押します。これによりパッドが押されブレーキが掛かります。
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イメージ的にピッタリとラバーシールにピストンがハマっている状態です。
ですので強く握ったとしても、ラバーシールの隙間からオイルが漏れることはありません。

基本的に油圧ディスクブレーキの場合、機会式のブレーキキャリパーには内部にあるバネ、ブレーキを開放するためのバネのような構造入っていないのです。
ではブレーキレバーを開放したときにはなぜブレーキ(のピストン)が戻るのかというと、ラバーシールです。ラバーシールはピストンが押されている時は変形します。逆にレバーを開放すると、ラバーシールの変形が戻る力でピストンが引き戻されます。
しかし想像通りですが、ラバーシールの変形でしか戻ることはありませんので、バネのように大きく戻る事はありません。


✓ピストンに付いて
続いてピストンの動きです。
レバーを握りオイルに押されるとピストンは出てきます。この時ラバーシールとピストンはくっついているわけではありません。
例えばですが、ディスクローターがない状態だと想像をし易いです。オイルに押し出されたピストンはラバーシール上を滑り、少しずつニョキニョキと飛び出してきます。ぐいっと握るとピストンも連動してぐいっと押し出されます。そしてレバーを解除するとラバーシールの変形分だけ戻ります。ディスクローターがなかったり、ピストンが一番戻った状態からの場合、何度か握るたびにやはりニョキニョキ出てきます。つまりディスクローター等のつっかえがない場合は、レバーを握って出てくる幅よりも戻る幅のほうが少ないので、ピストンが少しずつ出てきてしまうのです。
そこにディスクローターがあれば、つっかえのようになりピストンはそれ以上飛び出すことはできません。ですのでパッドがディスクローターにあたった時点で、レバーの”あたり”が出ます。その状態でブレーキレバーを離すと、ラバーシールの変形分ピストンが戻るということです。

つまり油圧ディスクブレーキの場合は、リムブレーキと違いパッドが減ってきても握りが深くならない、アジャスターで調整する必要がないのは、このピストンは通常使用時は常にディスクローターとの位置関係は一定になるようにできている、自動位置調整のような働きがあるためです。



▶もしもホイールを外した状態でレバーを握ってしまったら、、、
しかしです。
前述のようにディスクローターがない状態でレバーを握ることでピストンが出てしまうのです。
それは1回よりも2回、2回よりも3回と握れば握るほど出てきます。
結果、ピストンが出てしまうので、ひどくなるとディスクローターが入る隙間が閉じてしまって、ホイールが取り付けられなくなってしまう、ということです。これがホイールを外した状態でブレーキを握ってはいけない理由です。

ではもしも握ってしまった場合はどうするのかというと、物理的にピストンを押して戻してあげる必要があります。

ではもしも握ってしまったときに中途半端に戻したり、レバーを握ってしまったけれどもホイールがつけられたのでそのまま、という場合、どういう状態になっているか、ということです。

まず出すぎてしまったピストンは物理的に戻してあげないと元には戻りません。
何回かレバーを握れば戻っていってくれるかも、という淡い期待も何のその、残念ながら戻りません。
というのも前述のようにラバーシールの変形分、もとに戻るということです。ですのでレバーを握ってもラバーシールが変形するぐらいしっかりとピストンが出ないと、ラバーシールが変形できませんのでピストンは戻ることはありません。


▶ピストンを戻す方法
専用のツールもありますが、ツールがない場合、タイヤレバーでも代用ができます。
ピストンを戻すのに樹脂製のタイヤレバーは意外と良いのです。タイヤレバーは原則樹脂製のものが多く、ピストンよりも柔らかい素材なので、ピストンを傷つけずらいです。※先の尖ったマイナスドライバーなど、ピストンよりも硬い素材を使う場合は、使い方にも要注意です。
また出先でもツールケースに密かに忍ばせている場合もあるかと思います。
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ピストンを戻す際はパッドを外してタイヤレバーでピストンをまっすぐ押し戻します。ひどい時はパッドを外さないとレバーが入らないぐらいになります。
戻す際はしっかりと戻してあげます。
前述のようにちょっとだけ中途半端に戻してもだめな場合が多いです。
戻す場合はしっかりと戻してあげます。

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※左がピストンが出た状態、右が戻したあとです。

その後パッド、ホイールを取付け、複数回レバーを握ります。
何度もしっかりと握ってください。
最初は驚くほどスカスカですが、ピストンは一番戻った位置から少しずつ握るごとに飛び出してきます。そして適切な位置まで来るとレバーに”あたり”が出てブレーキが効くようになります。

このレバーのあたり、レバーを握ったときの硬さがない場合、ブレーキは効きません。ですのでブレーキを触ったあとは確実にブレーキレバーを複数回、しっかりあたりが出ているかどうかの確認をすることは必須です。

✓一回でも握ったら戻さないとだめ?
ではレバー一回ぐらい握った場合でも戻さないとだめなのか?という疑問をお持ちの方もいると思います。結論的にはだめです。
もちろんどのぐらい深くまで握ってしまったか、にもよるかとは思いますが、実験的にやってみたところ最後まで握ってしまった場合は、1発でディスクローターが入らなくなりました。。。
ということで一回でも握ってしまったら戻す必要がある、ということです。
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ホイールを外して一回握った状態ですが、ディスクローターは入りませんでした。

▶まとめ
このようにディスクローター(ホイール)を外した状態でブレーキレバーを握ってしまうと、ピストンが出てきてしまう、ということはリムブレーキではなかった油圧ディスクブレーキならではの現象です。
一見するとものすごく不自由なように感じなくもありませんが、そのかわりパッド(ディスクローター)が減ってきたときでもアジャスターを引っ張る、調整の必要がない、というのはメリットでもあります。
また万が一ピストンがでてしまったとしても焦らず、パッドを外してタイヤレバー等で押して戻してあげれば問題ありません。(その後何度か握りしっかりとあたりを出す必要はあります。)

リムブレーキとディスクブレーキは構造にも大きな違いがあります。この構造の違いをしっかりと理解することで少しでも苦手意識であったり、不自由を減らすことができるのではないかと思います。
ということで今回は油圧ディスクブレーキ、もしもうっかり握ってしまったときの知識、そんなお話でした。


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