※今回のお話はTPUチューブだけではなく、ブチルでもラテックスでも当てはまる場合もあります。

まずインナーチューブのお話です。
基本的にメーカー保証となる、いわゆる初期不良とは概ね1週間以内程度で発生したエア漏れを指すことが多く、数ヶ月経過してからエア漏れが起こることは、初期不良といえるかというと、その場合の判断は非常に難しいですが厳しい場合も少なくはないと思います。その名の通り初期の不良ですので初期の不良、これはチューブなんかだと特にわかりやすく、1回のライドももたないぐらいのイメージです。
逆に1回でも普通に走れた、普通に使えた後の不具合は初期不良とは言い難い場合が多いです。(もちろんないわけではないのが難しいところです。)
というのもパンクは例え新品でも走行距離500mであろうとも、起こり得る可能性があるからです。
ですのでなんでもかんでもすぐに空気が抜けたから初期不良、ということは一概には言えない場合もあるかと思います。ではどういった場合がパンク等のトラブルでどういった場合が初期不良の可能性が高いのか、初期不良ではないのはどういうことなのか、という切り分け的なお話にしてみようと思います。ということで今回はTPUインナーチューブ、初期不良とパンクの違いと見分け方の例です。



▶エア漏れ箇所
まずはどこからエア漏れを起こしているのか、これによってもある程度切り分けが可能です。
実際のエア漏れの箇所ごとに解説をしてみようと思います。
✓バルブコア
原則TPUはバルブコアを接着している製品があります。(というかかなり多いイメージです。)
基本的にバルブ部が金属でなく樹脂製の場合、バルブの径(太さ)という問題があるのだと思いますが、樹脂に直接ネジを切っても強度的にはそこまで固くは作れないと考えられます。バルブ部があの肉厚でネジが切ってあったとしてもエアが漏れないほどぎゅっと締めたら、ぺきっといってしまいそうです。ということもあってかなかってか、TPUチューブのバブルコアは接着されている場合が多いのですが、接着されている場合は原則バルブコアは外れないはずです。

ですので正常な使用をしている中ではコアの部分からのエア漏れに関しては、初期不良を疑っても良いとは思います。
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ただしです。これの難しいところは通常の使用とは言っても、ポンプヘッドを無理やり押し込んだり、良からぬ方向へ曲げたり変に力をかけたりしてしまうということは良くないことです。

こういった製品の不良とテクニカルエラー的なことの切り分けにもなりますので、ポンプヘッドも構造的にバルブ付近に負担のかけにくいタイプを使用するのが良いかと思います。
このバルブの取扱い、空気を入れる際にも気をつけてあげる必要があるということは、TPUだけではなく昨今の軽量ブチルや、ラテックス、チューブレスでも同じことです。

例えばパナのポンプヘッドは構造的にはワンタッチで便利なのですが、中途半端に空気が入った状態でバルブをバキッと押し込むと、バルブが押し込まれるように動き、バルブの根本付近に思わぬ傷をつけてしまう場合もあります。バルブナットがつけられない構造のTPUチューブ等では特に注意が必要です。

せっかくバルブコアの話が出てきたので、少しだけ寄り道です。
TPUチューブは時々バルブコアの動きが悪いものがあります。
これはあくまでも推測ではありますが、製造過程のバルブコアを接着をする際にコアの内側に接着剤が微量にでも付着してしまうことで、動きが悪くなることが考えられます。(主に異物系の具合の悪さ)またコア内部のパッキン的なゴム部の不良も原因としてはあります。
ともあれ完全閉塞間際のチューブレスほどは悪くなりませんし、あまりにもひどければ初期不良も疑われると考えられます。



✓チューブのつなぎ目
TPUチューブは構造に若干の差はあれども、つなぎ目という部分があります。
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このつなぎ目からの漏れ、これは接着不良の可能性が疑われます。
接着不良の場合は、最初は極小でも何度が空気圧を上げると次第に剥がれがひどくなり、エア漏れが大きくなってくることもあります。
このつなぎ目はなかなか曲者で、最初に高圧を入れた状態で漏れが出れば接着不良を疑いやすいです。しかし時限爆弾のように数ヶ月経過後に出る場合もあります。経験上TPUとはいえども、数ヶ月ぐらいでは駄目になるものは多くはありませんので、おそらく接着が甘かったのではないかとは思いますが、もやは数ヶ月の使用ということだと、証明は難しいかもしれません。
もしくは組み付け時に思わぬ過負荷をかけてしまったのが後から出るパターン、そしてあとに出てくるごく微細なリム打ちの可能性もゼロではありません。


✓バルブの根元付近
バルブの根元付近からのエア漏れは、ないわけではないとは思いますが、意外と多くはないように思えます。
というのもどこのメーカーもバルブの継ぎ目はかなり弱点的な部分であり、かなり気を使われている場合が多いように思われます。
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バルブの根本から漏れていたとしても、これは一概に初期不良とは言えないこともあります。
というのも前述のように、例えばポンプの使い方でも根本がだめになってしまう場合もあります。
また組み付ける際にも変に力をかけてしまったり、高圧を入れる際に角度が悪かったりすることでもやはり痛めてしまうこともあると考えられます。
R-Airなんかでもよくありました。

ともあれバルブ付近はかなり弱い、ということをしっかりと頭において、優しくまっすぐ、組付けの際はチューブレスとは反対に、最初にバルブ側からきれいに入れてあげると良いと思います。


✓チューブ本体
なんてことのないチューブのチューブ部?チューブ体?バルブ付近でも、継ぎ目でもない部分からのエア漏れの場合です。
これは意外にも通常初期不良の可能性は高くはないと考えられます。
チューブの本体からエア漏れの場合、漏れが多いのはパンクだけではなく組付けの失敗による場合もあります。チューブからのエア漏れに関しては、場所や傷の形状等から原因を推測することができます。
また大きなエア漏れから極小な漏れまであり、極微量なエア漏れは、ブチルやラテックスよりも多いと思われます。下手したら高圧状況下でしか漏れが確認できない場合もあります。

例えばですが、極微量のエア漏れの原因で多いのがリム打ちによるごく微細な傷です。TPUチューブのリム打ちパンクはブチル以上に多い印象です。というのもリム打ちともなると、チューブの強度云々の前に厚みによって耐久力が変わってくると考えています。 
リム打ちパンクの場合は、センターのラインから少し横にずれた部分に穴が空きます。逆に穴の位置が真ん中の場合は、リム打ちパンクの可能性は考えづらいと思われます。
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※このようにリム打ちパンクは教科書的に2箇所開く場合もありますし、一箇所の場合もあります。

では逆にほぼ真ん中付近に空いた穴は、というと通常のパンクが多いです。ですがもちろん100%ではなく、他の可能性としてタイヤに傷が全く無い場合でも組み付け時に異物を挟んでいた等も考える必要があります。

しかしこの微細な漏れ、というのはなかなかやっかいなもので、TPUチューブはブチルチューブやラテックスチューブに比べて空気の抜ける速度がかなり遅いです。
これはメリットでもデメリットでもあると思いますが、ごく微細な1箇所等の場合、下手したら高圧にならないと漏れなかったり、一晩で3BARぐらいの減圧の超スローパンクのような場合もあります。
パンクやその他の原因でも当然減圧が遅い場合、下手したらそのままでも短時間であれば普通に乗れてしまうぐらいです。
ですが何か自然減圧が速い、と感じるわけです。

TPUチューブのエア漏れの原因の特定が難しいのには理由があり、基本的なことですが、TPUチューブはタイヤ内に収めていない状態で高圧を入れるのは絶対にNGです。ごく微細な穴は低圧ではほぼ漏れがなかったりもするわけです。ですので漏れ箇所の特定をするのが難しい場合もあります。

しかしです。
基本的に健康なTPUチューブは通常ブチルと同様ぐらいに減圧がありません。
ですので例えば一晩で1BAR抜けるとか、減圧が早く感じる場合はやはりどこからの漏れがあると思って良いと思います。


▶まとめ
判断が難しい理由として、前述のように例えパンクをしていたとしても、ブチルチューブよりも空気の抜けが遅いということがあります。これはもしも走行中のパンクで空気の抜けが遅いのはメリットですが、逆に整備上ではごくスローパンクは発見が難しくなってしまう場合があるということはデメリットです。

まだまだ歴史の浅いTPUチューブはどんどん使い込まれて、不具合が集まることでもより良い製品と変わっていく可能性を持っていると思います。
※すべてが絶対これだけで100%ということはありません。可能性のお話で、もちろん当てはまらない場合もありますのでご注意ください。
ともあれこのようになにかがあったときの見分け、原因の切り分けをプロが行うこと、そして代理店としっかりとコミュニケーションを取りつつ対応をさせていただくことができるのはお店のメリットかとは思います。
ということで今回はTPUインナーチューブ、初期不良とパンクの違いと見分け方の例、そんなお話でした。


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