SHIMANOの最高峰のペダルといえば、DURA-ACEグレードのペダル PD-R9100です。
9200世代のDURA-ACEは発売になったものの9100以降、新型のペダルの発売はなく、2017年前後の発売以来のロングセラーモデルです。(今後もしばらく予定がないというお話は昨年の夏頃のお話だったような。。。)

ワタクシ自身が購入したのは2020年2月のことでした。
それから月日が流れることもうすぐ5年、距離にしてなんと90000km超えということでした。
ですが現在でも現役でしっかりと働いていくれています。
驚異的な耐久性です。

というのもが今回のお話し、ついに寿命!? 5年以上90000km使ったペダル PD-R9100 の状態を見る!そんなお話しです。
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▶90000km超えのDURA-ACEペダルの変化
まずは見た目からです。
こちらです。
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ちなみに新品はこちら。
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細かく見てみます。

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右側が新品ですが、明らかに側のほうが先端が摩耗して薄くなっています。

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同じく右側が新品ですが、やはり先端は薄くなっております。

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先端こそ摩耗していますが、ボディはやはり摩耗する部分は金属プレートの影響で若干は摩耗が抑えられているイメージです。

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裏側も摩耗が見られます。

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先端の摩耗具合です。

ビンディング部も明らかな摩耗が見られます。
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それでも固定力調整ボルトを締めれば固定力もまだまだ健在です。

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比較して右側は明らかに付け外しが少ないので、摩耗も非常に少ないです。

このようにやはり使用期間の長期化に伴い、左側はビンディング部のDURA-ACEのロゴのは完全に消え、先端部も摩耗の痕跡が確実に見られます。
これは右側に比べ信号待ち等で左側を外す機会が、圧倒的に多いためと考えられます。
この部分が摩耗限界までいってしまった場合は、ペダルの寿命ということになります。
ですが、また若干の固定力の弱さを感じることがありますが、そこは固定力の調整ボルトを多少かたくすることでまだ対応ができています。
まだまだ実際に乗ってて気になることは一切ありませんでした。

▶分解してみたら、、、
こちらは85000km時のメンテナンスです。
定期的にメンテナンスをした気にはなっていたのですが、意外としばらくご無沙汰になってしまっていたようです。
久しぶりにメンテナンスをすることに。
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バラしてみてみると、、、
こちら、ペダル軸の内側のレース部です。
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全然見づらいのでもう少しアップにします。

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見事なまでのフレーキング(虫食い)です。
フレーキングとは通常、きれいな状態でなければならないベアリングレースの部分の傷です。

フレーキングの主な原因はというと、
・転動による疲れ現象
・過大・異常荷重
・取り扱い不良
・精度不良
・異物の侵入、錆の発生
これらが主な原因です。
※ページ下部に詳細リンクがございます。
調整やメンテ不足でもなる可能性がありますし、異物の混入や経年劣化でも起こる可能性がある、ということです。
だいぶメンテを忘れてしまっていた感もありますし、85000kmも走ればそれは不具合の一つも起きることもあるでしょう。

今回、不具合が確認できたのは左側のみです。回転方向以外への力は圧倒的に左側の方が多いです。というのもペダルのつけ外しの回数が明らかに多いからです。
こういったこともひょっとしたら関係してくるのかもしれません。


▶4年使用のペダルは寿命なのか!?
流石にそれだけ使えば寿命なのかというと、、、いやいやそんな事はありません。
SHIMANOのパーツリストです。
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https://si.shimano.com/ja/pdfs/ev/PD-R9100-4056/EV-PD-R9100-4056A.pdf より

このようにリペアパーツリストに記載のあるパーツは取り寄せることができます。
※数値がふってあるのがリペアパーツです。

では数字のふっていない部分、例えばペダルの本体はパーツではなく、本体です。
ですのでこちらの部分はリペアパーツとしての取り扱いはなく、ここが壊れたらいよいよ買い替え(※不良品でなければ)ということになります。

しかし今回はペダル軸ですので、ペダル軸のアッセンブリーという形の①を交換パーツとして取り寄せることができました。
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新品への交換です。(6,252円です。)

ちなみにSHIMANOはこのようにベアリングがだめになる場合、交換可能な部分からダメージを負うように素材の硬さを調整している、というお話しを聞いたことがあります。これは本当かどうかは不明ですが、SHIMANOならではの細かく親切な設計だと思います。


▶交換作業とポイント
開封しました。
各パーツはバラバラに入っています。
これを組み上げていきます。
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外側のベアリング部です。
組めました。
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スナップリングプライヤーという少々マニアックな工具を使います。
SHIMANOのペダル以外だと、カンパのフリーボディ内部をいじるときに使います。

また内部でフレーキングが発生していたということは、ペダル内部に削れた金属片等が残っていると、それが異物となり再びトラブルが起こる可能性を秘めています。鋼球も同様に傷があるところで動いていたものです。かなり細かいのですが、傷の可能性もありますので交換をおすすめ致します。
ペダル内部の掃除を徹底的に行なってから新品を組み付けます。

交換用のパーツには鋼球(ベアリングボール)が9+17個含まれます。内部をキレイにしてからベアリング球も含めすべてのパーツをまるっと交換致します。

✓ペダルの分解は右側が逆ネジです。
✓ペダル体の奥にはベアリング球を9個、グリスの量は約0.9gを内部に注入します。
✓PD-R9100は奥側のベアリング部にグリスをいれるのはコツが要ります。先端にもきちんとグリスを塗布し組み上げます。

組めました。
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ここからが最重要で超重要です。←それだけ重要ということです。

ペダルの玉当たり調整です。
ロックナットを一番緩めた状態で軸を締め込み、ちょうどよいところで止めます。軸を保持したままロックナットを緩める方向に回しロックします。というのが玉当たり調整です。
基本的にこの玉当たり調整はゆるい場合の不具合が多いです。空転だけではなく、高負荷がかかってもベアリングにガタが出ないように仕上げます。

とは言っても画面ではたとえ動画であってもこの感覚、感触は伝わりづらいものです。
そんなときはというと、、、
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新品のペダルを用意します。
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新品のペダルの感触を確認し、それと同じようになるように仕上げます。
SHIMANOのペダルは2年間、DURA-ACE(とXTR)のみ3年間の保証があります。3年間、そう簡単には壊れないように、具合が悪くならないように調整されている場合が多いからです。
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新品があれば、好きなだけ比べることができます。
最終確認はペダルを取り付けて本当にガタがでないかの確認をすればOKです。

せっかくなので反対側もキレイにしておきました。
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反対側は問題ありませんでしたが、せっかくなので85000km記念にベアリング球は交換しておきました。

▶まとめ
試用期間90000kmで左側に関してはちょっとメンテナンス不足で軸パーツがだめになってしまいましたが、右側に関してはまだまだ交換せずに使用ができている状態です。
それにしても回転パーツが含まれるパーツで左側は一度パーツの交換はしましたが、90000kmでまだ使えるというペダルは本当に凄い耐久性です。

ちなみに下のグレード、例えば105やもっとしたのグレードのペダルとかの場合、ここまではもたないです。というのも105のペダルやエントリーグレードのペダルの場合、ビンディング部がグズグズになってしまう個体を比較的多くみます。ビンディングは前述のように交換ができませんので、ペダル全体での交換となってしまいます。

SHIMANO最高峰のペダル、DURA-ACEはそのお値段は少々高いですが、こういったところの耐久性等も考えられた設計となっていると考えられます。

ということで今回は、ついに寿命か!? いえいえまだまだ活躍してもらいます。もうすぐ5年90000km以上使ったペダル PD-R9100 の状態を見る!一度のペダル軸を交換を経て、まだまだ頑張ってもらいます。そんなお話しでした。

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