前回のお話はこちらからどうぞ。

今回は組み上げの話です。

本題の組み上げの前にはガッチリとコーティングをしました。
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安定のバリアスコートリキッドはマット塗装にも問題なく使えます。
ブラックマットの宿命ですが、シックなその見た目は落ち着いた上質な雰囲気を醸し出しますが、汚れが目立ちますし汚れも落ちづらく汚れの定着もし易いです。
ブラックマットをきれいに保つのは大変(特に雨でもなんでも乗る場合は)ですので、コーティングはおすすめ致します。

構造的なお話ではSLC3は、機械式変速でも組めるような構造になっています。
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昨今、一流ブランドのハイエンドモデルは電動やワイヤレス専用設計のフレームも増えてきています。
機械式でも組めるのは親切設計です。
とは言ってもフル内装仕様のバイクは、やはりその後のメンテナンスや整備性を考慮すると、可能であればDi2で組むことをおすすめ致します。フル内装とケーブル式変速は今後のメンテナンスを考えると相性が良いとはいい難いと言うのが、正直なところです。

カーボン柄が非常にきれいです。
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エンドは非貫通型です。
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ディレイラーハンガーの固定ボルトが2サイズなのが不思議ですが、設計上で必要があったのだと思います。
ステルスタイプのドロップエンド空力的に良いのかもしれませんが、転んだとき(倒してしまった)等にエンドが直接当たりそうでちょっと怖いです。また、スルーアクスルで舐めないように、ネジ山を大切にしないといけません。

リアディレイラーハンガーは純正でノーマルマウントが付いています。
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付属の箱にはダイレクトマウントのディレイラーハンガーが入っていました。
性能はやはりダイレクトマウントハンガーのほうが良いので、非常に嬉しい付属品です。
ノーマルマウントはハンガー折れの緊急用として保存しておき、組む際はダイレクトマウントで組みます。

付属品ついでにヘッドベアリングです。
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T1550は上下同じものでしたが、SLC3は上下1.5サイズですが、ベアリングが違います。
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上部ベアリングの方が薄いです。どっちかわからなくなりそうな気もしますが、上部のコンプレッションリングは誤ったベアリングには入りませんので、間違えることはないと思います。

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このようになります。
WINSAPCEのコラムとコンプレッションリングは公差(遊び)が少なく、要はかなりぴったりということです。抜け落ちないぐらいのキツさですが、これがまた良いです。

へッドパーツは完全にFSAのACRです。
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フル内装の規格としてFSAのACR、DEDAのDCR、このあたりが現在では多くのメーカーが採用する規格となってきたようなイメージです。(とは言ってもいまだ独自規格を貫き通すメーカーもありますが。。。)ユーザービリティを考えてもこういった汎用規格を採用しているメーカーは親切設計だと思います。もうBBもそうですが、独自路線を突き進まずに仲良く行こうよと思うのです。

と、フル内装はACRとは言ってもやはり従来品のヘッドパーツよりかは水に弱いです。しっかりとグリスを入れて組むのが良いです。どんなグリスをどこにどれぐらい入れて組むのか、これは経験値です。

またいつものようにシートポストから組んでいきます。
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シートポストは組む前にバッテリーの内装+Di2の配線を済ませておきます。
内装作業も非常にやりやすいのも、フレーム内部がとてもきれいだからです。
シートチューブとシートポストもかなりぴったり設計でした。粗めのアッセンブリーペーストを使用したら入らないぐらいです。

細々しいところですが、
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チェーンステーの保護テープや、こういった奥まったグロメットはあらかじめつけておきます。
クランクを取り付けてからではつけにくいのです。

左側がACR(SLC3)右側はT1550のトップカバーです。
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専用のスペーサーはSLC3もT1550も同様のものが付属するのは、ACR互換だからということです。

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ブレーキを取り付けホースを通し、ヘッド周りを組んでいきます。
ホースは今回再利用することにしましたが、再利用ができるかどうかは現在の長さ次第です。ホースの長さは足りないと全部バラしてやり直すことになります。
とは言ってもSLC3+ZEROバー(WINSPACE純正ハンドル)は非常に組みやすいフレームなので、最悪バラすことになってもそこまでの時間のロスにはなりません。
これが組むのが大変なフレームの場合は、、、チャレンジせずに素直にホースを新品にしたほうが良い場合もあります。こればかりはケースバイケースです。

またホースを交換しないメリットとしては、ホースは外すのはレバー側ですので、キャリパー側のエア抜きは済んでいる状態です。よほどのことをしない限りはキャリパー側のエア噛み等のトラブルは起こりづらいです。
ですが繰り返しにはなりますが、ホースの長さが物理的に足りない場合は交換せざるを得ません。この判断は難しいところですが、どちらかといえば足りない場合のほうが多いです。

またホースは長さだけでなく痛みや変な癖があれば交換したほうが良い場合もあります。こればかりはバラしてみないとなんともいい難いところです。

相変わらずZEROバーも含めて、内装作業は超低難易度です。
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ヘッド部~ハンドル内装作業は構造、そしてバリや内部の綺麗さによってもかなり変わってきます。
最近の傾向として、一流と呼ばれるメーカー品だから内部がきれい、という限りではありません。内装対応使用品は内部の綺麗さもマストかと思うのです。

ヘッドのあとは、ドライブトレイン系のパーツをつけていきます。
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BBは圧入の86規格です。
個人的には圧入規格にマイナス点を感じていませんので、全く問題ありません。
今回はT1550から移植した結合式のTOKENのNINJA LITEを再利用しましたが、NINJA LITEはツバ(工具をかけるところ)の剛性はそこまで高くはなく舐めやすいです。そして一度でも舐めると舐めグセが付いてしまいます。
もちろんシェルとの相性にもよりますが、指定トルク以下でも何回も締め直しができるほどの硬さはないように思えます。これは軽量が故のデメリットですので、ラインナップとして通常のNINJAも存在があります。

BB、クランクがつくと全貌が見えてきます。
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これで1台のロードバイクの形まで組めました。

が、肝心な事を忘れておりました。パワーメーターのマグネットです。
SHIMANOのパワーメータークランクは正確な数値のためにマグネットが必要となる設計です。
マグネットは剥がして使うこともできますが、800円ぐらいなので新しいものを用意しました。

専用ツールを用いてマグネットの位置を模索します。
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シートチューブ、ダウンチューブは双方距離があったり、カーブがきつかったりして貼ることができませんでした。(すぐに剥がれてしまいます。)フレームの構造的にこの位置しか無理っぽいのですが、、見ての通りガッツリ干渉してしまいます。

かくなる上は、、、ということでフレーム内側に収納致しました。
cervéloのときにも試した方法です。
BBを外してフレーム内部に貼り付けるのですが、この作業cervéloはかなり苦労をしましたが、SLC3はというとかなり楽でした。その後、ライドでも確認をしておりますが今のところ問題がありませんので、SLC3でSHIMANOのパワーメーターをお使いの場合は、内側が良いのかもしれません。

あとは実走をしながらポジションを調整します。
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最終的にはT1550を再現した寸法からサドルちょい落とし、サドルちょい前だしぐらいの調整幅で収まっております。

T1550 Lサイズとのサイズ感の違いです。
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今回のSLC3はMサイズでT1550よりもワンサイズ小さいですが、やはりT1550のほうが若干大きめなサイズ感でした。
サドル高はほぼ同様、サドル位置はSLCのほうが若干後ろめ、コラムスペーサーはT1550はなし、SLC3は10mmできれいにポジションが出ました。

数年ぶりにマットブラックの車体ですが、、、好きです。

ということで今回は【画像多め】WINSPACE 超軽量オールラウンダー SLC3を組みつつ解説!そんなお話でした。





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