Xよりです。
お持ち込みでの取り付けのご依頼を頂いたのですが、なかなかに癖の強いステムでした。
このFSAのNS ACRステムについての詳細を解説してみようと思います。
ということで今回はフル内装のステム選びは難易度高⁉ FSAのNS ACRステムの仕様と注意点です。
まず1つ目の問題点です。
こちらです。

FSAのNSステムはACR対応ということで、ハンドル内部とステム内部を通ることでフル内装が可能になっているステムです。
しかしこのステムを使用する場合はかなり注意が必要なのです。
上の画像のようにステムの下部のスペーサーはぴったりと収まっています。さすがはステムと共に開発されているだけあります。
しかしこれには問題があり、上の画像の5mmの専用スペーサーは組む上で必須なのです。
というのもこちらです。

こちらは左側がWINSPACEのACR互換のスペーサー、右側がステム付属のFSAのスペーサーです。
これはやはり互換品ということもあって、問題なく組み合わせることができます。
しかしです。
このスペーサーでは双方、ステムには合わないのです。
なぜ?ということなのですが、このスペーサーに2つある凸がステムの凹と場所が合わないのです。
ではどうするかというと、先ほどの画像にある一番上用の5mmスペーサーが凸の変換ような役割も果たしているのです。
展開図です。

確かに一見①も④もただの5mmスペーサーに見えるのですが、よく見ると形が微妙に違います。
①と④は凸の位置が違い、ステムには①しか合わないのです。
①はよく見ると割も入っていないのでスペーサーというよりかは、ほぼトップカバーの一部という扱いなのかもしれませんし。
こちらです。

左が①、右が④です。
確かに構造が若干違い、凸の位置も微妙に違うのです。
なんでこのような構造にしたのか。。。想像ができることがないわけではありませんが、お世辞にも使い勝手が良いとは言い辛い構造です。
ですのでこのNSステムの角度は6°と、どちらかというとハンドル位置が高めになる設計のステムですが、さらに通常5mmのスペーサーが必須という構造ですのでさらにハンドルの位置が高くなる点に注意が必要です。
2つ目の問題点です。
冒頭の画像のこちらです。

コラムクランプのスタックハイトが約28mmです。
ピタリと組むためにステムには下の画像のような専用のトップキャップが付いています。

これを使うための最低限の引き代はというと、コラムクランプのスタックハイト程度(約28mm)しかないのです。
どういうことなのかもう少し詳細を解説いたします。
このステムでヘッドのガタが取れるギリギリのコラムの長さ(出代)が27mm程度だと言うことです。
コラム残量としてはかなり少ないです。
というのも実際に見てみてみるとわかりやすいです。
コラム残量が27mmに設定したステム部だとします。

こちらです。
これに通常よくある、コラムクランプ部のスタックハイトが40mmのステムを取り付けてみます。

ステムの咥え代が全然取れません。
これではかなり不安があります。
ということでこのステムで付属品のトップキャップも併せて使用するためには、スタックハイトの低さに合わせてコラムの出代を約27mm以下でカットする必要があるのですが、その長さでカットをすると他社製品のステムを使うのがかなり不安に、というか使えないぐらいに考えた方がよいと思います。
ではなぜこのような仕様になっているのかを考えてみます。
こちらです。

FSAの想定するフル内装システム、ACRはフロントブレーキホースはステムを通った後に専用のプレッシャープラグ内部を通り、コラム内部に通る構造です。いわゆる他社(フレームメーカー)製のACR互換の構造とは若干違うのです。
このフロントホースの逃げ、通り道を確保するためにコラムを短く切る必要が出てきます。
(※前述のように現存のACRの互換システムとしての多くは、フロント用のホースもコラムの外を通ります。)
さらにです。
感の良い方はお気づきかと思うのですが、プレッシャープラグです。コラム内部に留置する別名ではアンカーナットやコンプレッションプラグなんかと言ったりする場合もあります。
あれってホースの通り道あったっけ?ということですが、通常のアンカーは当然ホースを通すことはできません。ということでホースを通せる構造がある、専用品(4,950円)が必要になります。

こちらが展開図的なイメージ図ですが、⑥が専用のプレッシャープラグです。
ちなみにステムを購入しても⑧のトップキャップボルトの付属もありません。
しかしフレーム側の構造でコラム内にホースを通す必要がない場合は、プレッシャープラグは汎用品でも使えるものもあり、通常のM5ボルトが使用できるものであればOKです。しかし今回はT1550で、付属のTOKENのプレッシャープラグのように専用トップカバーが付く構造のもの使用することができません。
ということでどうするのか?ということですが、、、

専用のスペーサーを作りました。(元は20mmというあまり使うことがなさそうなコラムスペーサーですがこの高さが必要でした。)
これならばコラムを好きなだけ残せますし、プレッシャープラグも既存のものを使用することができます。
またコラムの残りぐらいは、というと、、、

このぐらい残すことができています。
これだけあれば今後ポジション調整でステムや一体型ハンドルに交換したりする場合でも安心です。

▶まとめ
こちらのステムも多種多様化する様々なメーカーのヘッド構造での汎用性等を考えた(苦肉の策にも近い)構造?であるとも考えられます。
しかし今回のご紹介をさせていただいた通り、
・付属の専用のステム直下用5mmスペーサーが必須。
・専用のトップキャップを使用する場合は、コラムをかなり短く切る必要がある。
それにともない他のステムを使えなくなる可能性がある。
・ACRシステムを使用する場合は別途専用プレッシャープラグが必要になる。
従来までのステムの交換のように角度と長さで好きなものを、ということだけではくなってしまっている現在のフル内装システムのステム選び、なかなかに大変になってきてしまっていると感じます。
ということで今回はフル内装のステム選びは難易度高⁉ FSAのNS ACRステムの仕様と注意点のご紹介でした。
+++++++++++++++++++++++++++
FF-Cycle(エフエフサイクル)
〒262-0019
千葉県千葉市花見川区朝日ヶ丘1-21-2
※当日の受付は18:00までとさせていただきます。
作業は18:00以降も行います。
TEL:043-376-1121
(整備中、接客中等 電話を受けれない場合は番号通知にておかけいただければ折り返しお電話をさせていただきます。)
E-Mail:ffcycle@outlook.jp
※ご連絡をいただく際には
・お名前
・ご連絡先
・ご希望の整備内容
・ご希望の日程
こちらをお申し付け下さい。
当店の特徴・詳細ははこちらから
FSAのACRステム6° スタックハイトが約28mm、トップキャップは専用品とか、コラムの出代。。。絶対にほかのステムに交換させない仕様⁉😅
— Teppei.Y 目指せ走れるメカニック!! (@ff_cycle) September 11, 2024
ということでスペーサーを作成🧑🔧
ちなみにトップキャップのボルト(アンカーも)別売りで。。。😑 pic.twitter.com/OUivULCU2r
お持ち込みでの取り付けのご依頼を頂いたのですが、なかなかに癖の強いステムでした。
このFSAのNS ACRステムについての詳細を解説してみようと思います。
ということで今回はフル内装のステム選びは難易度高⁉ FSAのNS ACRステムの仕様と注意点です。
まず1つ目の問題点です。
こちらです。

FSAのNSステムはACR対応ということで、ハンドル内部とステム内部を通ることでフル内装が可能になっているステムです。
しかしこのステムを使用する場合はかなり注意が必要なのです。
上の画像のようにステムの下部のスペーサーはぴったりと収まっています。さすがはステムと共に開発されているだけあります。
しかしこれには問題があり、上の画像の5mmの専用スペーサーは組む上で必須なのです。
というのもこちらです。

こちらは左側がWINSPACEのACR互換のスペーサー、右側がステム付属のFSAのスペーサーです。
これはやはり互換品ということもあって、問題なく組み合わせることができます。
しかしです。
このスペーサーでは双方、ステムには合わないのです。
なぜ?ということなのですが、このスペーサーに2つある凸がステムの凹と場所が合わないのです。
ではどうするかというと、先ほどの画像にある一番上用の5mmスペーサーが凸の変換ような役割も果たしているのです。
展開図です。

確かに一見①も④もただの5mmスペーサーに見えるのですが、よく見ると形が微妙に違います。
①と④は凸の位置が違い、ステムには①しか合わないのです。
①はよく見ると割も入っていないのでスペーサーというよりかは、ほぼトップカバーの一部という扱いなのかもしれませんし。
こちらです。

左が①、右が④です。
確かに構造が若干違い、凸の位置も微妙に違うのです。
なんでこのような構造にしたのか。。。想像ができることがないわけではありませんが、お世辞にも使い勝手が良いとは言い辛い構造です。
ですのでこのNSステムの角度は6°と、どちらかというとハンドル位置が高めになる設計のステムですが、さらに通常5mmのスペーサーが必須という構造ですのでさらにハンドルの位置が高くなる点に注意が必要です。
2つ目の問題点です。
冒頭の画像のこちらです。

コラムクランプのスタックハイトが約28mmです。
ピタリと組むためにステムには下の画像のような専用のトップキャップが付いています。

これを使うための最低限の引き代はというと、コラムクランプのスタックハイト程度(約28mm)しかないのです。
どういうことなのかもう少し詳細を解説いたします。
このステムでヘッドのガタが取れるギリギリのコラムの長さ(出代)が27mm程度だと言うことです。
コラム残量としてはかなり少ないです。
というのも実際に見てみてみるとわかりやすいです。
コラム残量が27mmに設定したステム部だとします。

こちらです。
これに通常よくある、コラムクランプ部のスタックハイトが40mmのステムを取り付けてみます。

ステムの咥え代が全然取れません。
これではかなり不安があります。
ということでこのステムで付属品のトップキャップも併せて使用するためには、スタックハイトの低さに合わせてコラムの出代を約27mm以下でカットする必要があるのですが、その長さでカットをすると他社製品のステムを使うのがかなり不安に、というか使えないぐらいに考えた方がよいと思います。
ではなぜこのような仕様になっているのかを考えてみます。
こちらです。

FSAの想定するフル内装システム、ACRはフロントブレーキホースはステムを通った後に専用のプレッシャープラグ内部を通り、コラム内部に通る構造です。いわゆる他社(フレームメーカー)製のACR互換の構造とは若干違うのです。
このフロントホースの逃げ、通り道を確保するためにコラムを短く切る必要が出てきます。
(※前述のように現存のACRの互換システムとしての多くは、フロント用のホースもコラムの外を通ります。)
さらにです。
感の良い方はお気づきかと思うのですが、プレッシャープラグです。コラム内部に留置する別名ではアンカーナットやコンプレッションプラグなんかと言ったりする場合もあります。
あれってホースの通り道あったっけ?ということですが、通常のアンカーは当然ホースを通すことはできません。ということでホースを通せる構造がある、専用品(4,950円)が必要になります。

こちらが展開図的なイメージ図ですが、⑥が専用のプレッシャープラグです。
ちなみにステムを購入しても⑧のトップキャップボルトの付属もありません。
しかしフレーム側の構造でコラム内にホースを通す必要がない場合は、プレッシャープラグは汎用品でも使えるものもあり、通常のM5ボルトが使用できるものであればOKです。しかし今回はT1550で、付属のTOKENのプレッシャープラグのように専用トップカバーが付く構造のもの使用することができません。
ということでどうするのか?ということですが、、、

専用のスペーサーを作りました。(元は20mmというあまり使うことがなさそうなコラムスペーサーですがこの高さが必要でした。)
これならばコラムを好きなだけ残せますし、プレッシャープラグも既存のものを使用することができます。
またコラムの残りぐらいは、というと、、、

このぐらい残すことができています。
これだけあれば今後ポジション調整でステムや一体型ハンドルに交換したりする場合でも安心です。

▶まとめ
こちらのステムも多種多様化する様々なメーカーのヘッド構造での汎用性等を考えた(苦肉の策にも近い)構造?であるとも考えられます。
しかし今回のご紹介をさせていただいた通り、
・付属の専用のステム直下用5mmスペーサーが必須。
・専用のトップキャップを使用する場合は、コラムをかなり短く切る必要がある。
それにともない他のステムを使えなくなる可能性がある。
・ACRシステムを使用する場合は別途専用プレッシャープラグが必要になる。
従来までのステムの交換のように角度と長さで好きなものを、ということだけではくなってしまっている現在のフル内装システムのステム選び、なかなかに大変になってきてしまっていると感じます。
ということで今回はフル内装のステム選びは難易度高⁉ FSAのNS ACRステムの仕様と注意点のご紹介でした。
+++++++++++++++++++++++++++
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※当日の受付は18:00までとさせていただきます。
作業は18:00以降も行います。
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(整備中、接客中等 電話を受けれない場合は番号通知にておかけいただければ折り返しお電話をさせていただきます。)
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