T47 に関しての理解は下記のリンクよりご確認をお願い致します。
今回はbbinfiniteというブランドのBBの構造が実に面白いという話なのですが、それだけではなく例の如くあっちへ行ったりこっちへ行ったりしつつ少々マニアックな話を加えてみました。
製品の紹介だけではなく、知識としても結構突っ込んだところまで記載をさせていただいておりますので、お時間のあるときにでもお読みいただければと思います。
ということで今回は【マニアックネタ】bbinfiniteのT47が面白い話です。

本題に入る前にBBの話からです。
▶圧入式フレームに使う左右結合式BBのメリット
圧入式のBB規格で左右結合式のBBを使うことでのメリットとしては大きく分けて2つあります。
①BB周りの剛性を上げることができる可能性があること
②左右2つのベアリングの回転の芯を出しやすいこと
(それ以外にも40g軽量等もありますが、今回は詳しくは触れず。。。)
①に関してはBB周りの剛性や精度も重要ですが、左右から圧入しBBを中心のネジで固めること、つまりBBをトルクを掛けて結合しすることでBB周りがガッチリと固まり剛性が上る可能性があります。可能性というのは、フレーム側が十分な剛性を持っている場合は大きく変わらない場合がありますが、BB側が柔らかい場合は効果を感じることができるかもしれません。
②2つ以上のベアリングをきれいに回すためにはそれぞれのベアリングが確実に並行に並んでいることが必須となります(正確には回転軸の芯がでていること)。しかしBBシェルの精度が悪い場合、BBシェルの左右が平行ではない場合は2つのベアリングの回転の芯がでないということです。どんなに高性能なベアリングを使用しても2つのベアリングがきれいに並んでいない事による悪影響の大きさは計り知れません。
回転の芯が出ていることはベアリングの回転性能を引き出すだけではなく、ベアリングの寿命も長くなるというメリットもあります。(かなりざっくりとですがさわりだけでも。)

※左右結合式の代表作、WISHBONE BBです。
2つのベアリングの回転軸の芯を確実に出すことの重要性、これは従来のねじ切りBBでも同じことです。
しかし従来のねじ切り式のBBではこの2つのベアリングの芯を出すのは、、、フレームの精度次第だったということです。
下手したらフレームに取り付けたBBにはクランクが通らない、というものも見たこ・・・ゴニョゴニョ。。。
▶圧入フレームに使うbbinfinite
左右のベアリングの位置を完璧に決めることができる構造、これがbbinfiniteのBB86です。
左右の筒は結合ではなく脅威の一体型です。

一本の筒にベアリングが打ち込まれています。
これならば確実に左右のベアリングでの回転軸の芯が出せます。(※もちろん精度にもよりますがおそらくかなりの高精度)
しかしです。
圧入式でこの構造を使用するのには問題があります。(個人的見解)
というのもどう考えても取り付け、取り外しが通常の圧入式のBBよりも大変であるということです。この構造は変に扱うと最悪フレーム壊れます。
特にBBシェルの精度が一定ではないロードバイクのフレームにおいて、この構造はかなり厳しい場合があります。
圧入式のフレームはフレーム側のBBシェルの作りが全メーカー共通ではなく、各メーカーごとにばらつきがある、ということです。例えばBB86であればφ41mmということになってはいますが、フレーム側の設計はメーカーごとに内径がコンマ数mmm違うなんてことはよくあることです。また左右のBBシェルは円柱状ではなく、圧入がし易いようにテーパー状(外側が広くて内側が狭い)になっているフレームもあります。
例えばですが、圧入がし易いようにテーパー状になっているシェルの反対側から圧入することを考えると、その大変さは想像がつきやすいと思います。
また取り外すときです。
基本的に取り外し方法はできるだけ多くあったほうが良い、というのが個人的な見解です。
というのもなぜかといえば前述のようにフレーム形状や精度は全く同じわけではないからです。あのフレームにはこの方法が使えるけれども、このフレーム形状の場合はできない、そんなこともよくあることだからです。
bbinfiniteの86用も方法が1つしかないわけではありませんが、どちらも少々不安がある方法なのです。。。どちらの方法でもフレーム構造的にかなり厳しい場合もあります。
▶bbinfinite T47構造(インターナル)
では最近じわじわと増えてきているBB規格、T47です。今回はインターナルです。
T47のメリットとして、ネジが切ってあって工具でつけ外しがしやすい、もちろんそれもありますがメリットはそれだけではありません。
ではT47のメリットに戻りますが、ベアリングの取付部がきつくはなりづらい、ということもあります。(きつすぎるシェルに圧入することはベアリングに必要以上の圧力をかけることにもなってしまいます。)となると回転の芯さえでていれば回転性能が担保されるということです。
しかし圧入式とは違い左右にネジが切ってある構造であるかぎり、真ん中で結合することは難しいです。
そこでです。
bbinfiniteはやはり左右のベアリングを一本の筒に収めるということは変わりません。
このような構造です。

右側(ドライブサイド)はスタビライザーリングをあらかじめ入れておきます。
これにより右側は圧入式のようになります。
その後で左側からBB本体をねじ込んでいくことで、右側には圧入されるような構造です。
ドライブサイドのスタビライザーはナイロン製のツールを使用して手で締めているぐらいです。そこまできつく締めないのも、本体を締め込む際にまとめて締まる可能性を考慮して、というのも面白いところです。
この構造は最近のロードバイクでは見ることが少なくなったカートリッジ式のBBの構造と似ています。
▶bbinfinite T47の構造の話②
bbinfinite T47の構造の良いところは、ねじ切り式のBBのデメリットを補う構造であるということです。
ねじ切り式のデメリットはというと前述のようにフレームの精度い依存して、回転軸の芯がずれる可能性があるということです。しかしこの構造であればねじ切り式でありながらの左右ベアリングの回転の芯が出やすいことで、従来のねじ切り式のデメリットを補うことができる構造です。
ではです。従来までのJISやITAのねじ切りBBでこの構造が作れなかったのかというと、、、現実的にはかなり難しいと思います。
というのも現在のクランク構造の影響があります。現在のクランクの軸系は24mm~30mmがほとんどです。24mmの軸系にベアリングをいれるとなると、従来式のねじ切り式のBBシェルでは内径が狭すぎてします。というのも軸径24mmのクランクを想定されたねじ切りBBはベアリングがフレーム外部に位置する構造だからです(ベアリング間の距離を取ることで剛性を上げる)。その構造に適応するようなBBは内径的に左右を一体型で作るのは難しいと思われます。
しかしT47のメリットは大口径ということです。大きく開口部をとることでベアリングを外部(T47エクスターナル式)だけではなく、内部にも配置できる構造も取れるようになった、ということです。
大きく開口部を取ることができるようになったのも、カーボンの成形技術等が上がって大きな開口部でも十分な剛性を確保できるようになったことも影響があるのではないかと考えております。
こんなことを考えてみると、よく考えて作られている面白い構造だと思いました。
この構造であれば86.5だけではなく85.5もいけそうな気が・・・
▶bbinfinite T47の懸念点
しかし懸念点もあります。
せっかくのねじ切り式のT47ですが、アダプター(スタビライザーリンク)を噛ませることで、アダプターとBB本体はある意味圧入のような構造になりますので、その場所からのトラブル、異音等はないのか?ということです。というのもねじ切り式でありつつも、ある意味圧入部のような部分ができてしまう構造によるトラブルは起きないのでしょうか。
これは精度や剛性等を確保することである程度防止することはできると思います。
ですがこれらを担保するためには、、、技術、そしてコストがかかると考えられます。
この辺も含めての価格設定なのもしれません。
この構造は精度が悪いとグズグズになりそうな気がします。ある意味唯一無二にしているのも、精度等によるものなのかもしれません。
また現在日本に代理店がありません。
こればかりは致し方がないかと思いますが、T47が本格的に増え始めてくるならばこの構造の良さは他社製品にはない部分だと思いますので、どこかが代理店になるかもしれません。
▶まとめ
このように新しい規格でて(そこまで新しくはありませんが。。。)、それに適合する更に良いと思われる構造のパーツが出てくることは非常によいことです。
ということで今回はかなりマニアックな話になってしまいましたが、【マニアックネタ】bbinfiniteのT47が面白い話でした。
+++++++++++++++++++++++++++
FF-Cycle(エフエフサイクル)
〒262-0019
千葉県千葉市花見川区朝日ヶ丘1-21-2
※当日の受付は18:00までとさせていただきます。
作業は18:00以降も行います。
TEL:043-376-1121
(整備中、接客中等 電話を受けれない場合は番号通知にておかけいただければ折り返しお電話をさせていただきます。)
E-Mail:ffcycle@outlook.jp
※ご連絡をいただく際には
・お名前
・ご連絡先
・ご希望の整備内容
・ご希望の日程
こちらをお申し付け下さい。
当店の特徴・詳細ははこちらから
今回はbbinfiniteというブランドのBBの構造が実に面白いという話なのですが、それだけではなく例の如くあっちへ行ったりこっちへ行ったりしつつ少々マニアックな話を加えてみました。
製品の紹介だけではなく、知識としても結構突っ込んだところまで記載をさせていただいておりますので、お時間のあるときにでもお読みいただければと思います。
ということで今回は【マニアックネタ】bbinfiniteのT47が面白い話です。

本題に入る前にBBの話からです。
▶圧入式フレームに使う左右結合式BBのメリット
圧入式のBB規格で左右結合式のBBを使うことでのメリットとしては大きく分けて2つあります。
①BB周りの剛性を上げることができる可能性があること
②左右2つのベアリングの回転の芯を出しやすいこと
(それ以外にも40g軽量等もありますが、今回は詳しくは触れず。。。)
①に関してはBB周りの剛性や精度も重要ですが、左右から圧入しBBを中心のネジで固めること、つまりBBをトルクを掛けて結合しすることでBB周りがガッチリと固まり剛性が上る可能性があります。可能性というのは、フレーム側が十分な剛性を持っている場合は大きく変わらない場合がありますが、BB側が柔らかい場合は効果を感じることができるかもしれません。
②2つ以上のベアリングをきれいに回すためにはそれぞれのベアリングが確実に並行に並んでいることが必須となります(正確には回転軸の芯がでていること)。しかしBBシェルの精度が悪い場合、BBシェルの左右が平行ではない場合は2つのベアリングの回転の芯がでないということです。どんなに高性能なベアリングを使用しても2つのベアリングがきれいに並んでいない事による悪影響の大きさは計り知れません。
回転の芯が出ていることはベアリングの回転性能を引き出すだけではなく、ベアリングの寿命も長くなるというメリットもあります。(かなりざっくりとですがさわりだけでも。)

※左右結合式の代表作、WISHBONE BBです。
2つのベアリングの回転軸の芯を確実に出すことの重要性、これは従来のねじ切りBBでも同じことです。
しかし従来のねじ切り式のBBではこの2つのベアリングの芯を出すのは、、、フレームの精度次第だったということです。
下手したらフレームに取り付けたBBにはクランクが通らない、というものも見たこ・・・ゴニョゴニョ。。。
▶圧入フレームに使うbbinfinite
左右のベアリングの位置を完璧に決めることができる構造、これがbbinfiniteのBB86です。
左右の筒は結合ではなく脅威の一体型です。

一本の筒にベアリングが打ち込まれています。
これならば確実に左右のベアリングでの回転軸の芯が出せます。(※もちろん精度にもよりますがおそらくかなりの高精度)
しかしです。
圧入式でこの構造を使用するのには問題があります。(個人的見解)
というのもどう考えても取り付け、取り外しが通常の圧入式のBBよりも大変であるということです。この構造は変に扱うと最悪フレーム壊れます。
特にBBシェルの精度が一定ではないロードバイクのフレームにおいて、この構造はかなり厳しい場合があります。
圧入式のフレームはフレーム側のBBシェルの作りが全メーカー共通ではなく、各メーカーごとにばらつきがある、ということです。例えばBB86であればφ41mmということになってはいますが、フレーム側の設計はメーカーごとに内径がコンマ数mmm違うなんてことはよくあることです。また左右のBBシェルは円柱状ではなく、圧入がし易いようにテーパー状(外側が広くて内側が狭い)になっているフレームもあります。
例えばですが、圧入がし易いようにテーパー状になっているシェルの反対側から圧入することを考えると、その大変さは想像がつきやすいと思います。
また取り外すときです。
基本的に取り外し方法はできるだけ多くあったほうが良い、というのが個人的な見解です。
というのもなぜかといえば前述のようにフレーム形状や精度は全く同じわけではないからです。あのフレームにはこの方法が使えるけれども、このフレーム形状の場合はできない、そんなこともよくあることだからです。
bbinfiniteの86用も方法が1つしかないわけではありませんが、どちらも少々不安がある方法なのです。。。どちらの方法でもフレーム構造的にかなり厳しい場合もあります。
▶bbinfinite T47構造(インターナル)
では最近じわじわと増えてきているBB規格、T47です。今回はインターナルです。
T47のメリットとして、ネジが切ってあって工具でつけ外しがしやすい、もちろんそれもありますがメリットはそれだけではありません。
ではT47のメリットに戻りますが、ベアリングの取付部がきつくはなりづらい、ということもあります。(きつすぎるシェルに圧入することはベアリングに必要以上の圧力をかけることにもなってしまいます。)となると回転の芯さえでていれば回転性能が担保されるということです。
しかし圧入式とは違い左右にネジが切ってある構造であるかぎり、真ん中で結合することは難しいです。
そこでです。
bbinfiniteはやはり左右のベアリングを一本の筒に収めるということは変わりません。
このような構造です。

右側(ドライブサイド)はスタビライザーリングをあらかじめ入れておきます。
これにより右側は圧入式のようになります。
その後で左側からBB本体をねじ込んでいくことで、右側には圧入されるような構造です。
ドライブサイドのスタビライザーはナイロン製のツールを使用して手で締めているぐらいです。そこまできつく締めないのも、本体を締め込む際にまとめて締まる可能性を考慮して、というのも面白いところです。
この構造は最近のロードバイクでは見ることが少なくなったカートリッジ式のBBの構造と似ています。
▶bbinfinite T47の構造の話②
bbinfinite T47の構造の良いところは、ねじ切り式のBBのデメリットを補う構造であるということです。
ねじ切り式のデメリットはというと前述のようにフレームの精度い依存して、回転軸の芯がずれる可能性があるということです。しかしこの構造であればねじ切り式でありながらの左右ベアリングの回転の芯が出やすいことで、従来のねじ切り式のデメリットを補うことができる構造です。
ではです。従来までのJISやITAのねじ切りBBでこの構造が作れなかったのかというと、、、現実的にはかなり難しいと思います。
というのも現在のクランク構造の影響があります。現在のクランクの軸系は24mm~30mmがほとんどです。24mmの軸系にベアリングをいれるとなると、従来式のねじ切り式のBBシェルでは内径が狭すぎてします。というのも軸径24mmのクランクを想定されたねじ切りBBはベアリングがフレーム外部に位置する構造だからです(ベアリング間の距離を取ることで剛性を上げる)。その構造に適応するようなBBは内径的に左右を一体型で作るのは難しいと思われます。
しかしT47のメリットは大口径ということです。大きく開口部をとることでベアリングを外部(T47エクスターナル式)だけではなく、内部にも配置できる構造も取れるようになった、ということです。
大きく開口部を取ることができるようになったのも、カーボンの成形技術等が上がって大きな開口部でも十分な剛性を確保できるようになったことも影響があるのではないかと考えております。
こんなことを考えてみると、よく考えて作られている面白い構造だと思いました。
この構造であれば86.5だけではなく85.5もいけそうな気が・・・
▶bbinfinite T47の懸念点
しかし懸念点もあります。
せっかくのねじ切り式のT47ですが、アダプター(スタビライザーリンク)を噛ませることで、アダプターとBB本体はある意味圧入のような構造になりますので、その場所からのトラブル、異音等はないのか?ということです。というのもねじ切り式でありつつも、ある意味圧入部のような部分ができてしまう構造によるトラブルは起きないのでしょうか。
これは精度や剛性等を確保することである程度防止することはできると思います。
ですがこれらを担保するためには、、、技術、そしてコストがかかると考えられます。
この辺も含めての価格設定なのもしれません。
この構造は精度が悪いとグズグズになりそうな気がします。ある意味唯一無二にしているのも、精度等によるものなのかもしれません。
また現在日本に代理店がありません。
こればかりは致し方がないかと思いますが、T47が本格的に増え始めてくるならばこの構造の良さは他社製品にはない部分だと思いますので、どこかが代理店になるかもしれません。
▶まとめ
このように新しい規格でて(そこまで新しくはありませんが。。。)、それに適合する更に良いと思われる構造のパーツが出てくることは非常によいことです。
ということで今回はかなりマニアックな話になってしまいましたが、【マニアックネタ】bbinfiniteのT47が面白い話でした。
+++++++++++++++++++++++++++
FF-Cycle(エフエフサイクル)
〒262-0019
千葉県千葉市花見川区朝日ヶ丘1-21-2
※当日の受付は18:00までとさせていただきます。
作業は18:00以降も行います。
TEL:043-376-1121
(整備中、接客中等 電話を受けれない場合は番号通知にておかけいただければ折り返しお電話をさせていただきます。)
E-Mail:ffcycle@outlook.jp
※ご連絡をいただく際には
・お名前
・ご連絡先
・ご希望の整備内容
・ご希望の日程
こちらをお申し付け下さい。
また整備内容によっては、車体メーカー、モデル名、ホイール、コンポーネントなども合わせてご連絡をお願い致します。
ロードバイクの健康診断・カスタマイズ相談的なこともお受けいたします。当店の特徴・詳細ははこちらから
コメント