前回のお話の続きです。


11速の後期型、いわゆる数字の前にRがつく型番になったモデルです。
DURA-ACEはR9100、ULTEGRAがR8000、105がR7000です。
このモデルが発表されたのが2016年の6月末のことでした。今から8年前のことです。

それまでの9000世代から大きな進化を遂げました。
というのもリアディレイラーやフロントディレイラーの構造が変わったこともありますが、それだけではありません。油圧ブレーキのコンポーネントがラインナップに追加されました。

そう、今でこそ油圧のコンポーネントが中心となっていますが、この世代(2016年以降)になってようやくロード用の油圧コンポが各グレードのラインナップに並んだということです。(それまでは油圧のコンポーネントは別系統のような存在だったような、、、)

そしてこの世代から初めてのシマノ純正のパワーメーターも出ました。
しかしこの11速世代品のクランク、後に不具合が発覚し大規模な点検、そして場合によっては交換となりました。それは昨年のことですが、今年も2回目の点検の時期が迫ってきております。
ということなのですが、今回の本題のDi2ではありませんので、サラッとだけです。


お話を戻します。
いわゆる”R”付きのモデルになってからのDi2の進化です。
✓シフトモード選択
Di2の進化では初めてシンクロモードが使えるようになりました。
シフトモードの選択は、今では普通に使っている機能ですが、まだまだ歴史的にはそこまで昔からある技術ではありません。
シンクロシフトには2つのモードがあります。
①フルシンクロモード
リアディレイラーの操作をしているだけでも一定のギアになるとフロントが自動で変速します。要は(初期のボタン設定の場合)右手だけ、リアのシフト操作だけでフロント変速も使用ができる機能です。
②セミシンクロモード
フロントの変速時に、リアの変速が自動で行われる機能、変速時の大きなギア比の変化を緩和してくれ機能です。

これらの機能は機械式変速ではできない機能で、Di2ならではの便利な機能です。
特にこのシンクロシフトは競技目的だけではなく、フロントの切り替えのタイミングがわからなかったり、フロントの操作に不安がある場合でも非常に便利に使える機能です。

✓無線接続
この世代の無線接続とは、現在のようにコントロールレバーにエレクトリックケーブルの配線が不要になった、という無線接続ではありません。
11速の無線接続というのは主に外部機器との接続を目的とした無線接続です。外部機器とはGarminを初めとするサイクルコンピューターや、スマートフォンとの接続で設定を変更できたりもする機能です。

現行型12速では無線ユニット等は不必要でリアディレイラーに無線機能が内蔵されていますが、11速時代は無線接続を行うためには専用の無線ユニットや、無線機能が内蔵されているジャンクションAが別途必要でした。
2つのタイプの無線ユニットの紹介です。

①エレクトリックケーブルの中継ぎタイプ
無線ユニットの中継ぎタイプには2つ種類があり、代表的なのはハンドル周りに位置するEW-WU111です。
このEW-WU111には欠点があります。
単体の無線ユニットは主にハンドル周り(ヘッドチューブ付近)のエレクトリックケーブルにかませて取り付けられることを想定した作りになっていますので、主に11速世代のリムブレーキモデルで使用するには問題がありません。ハンドル周りのエレクトリックケーブルを如何にきれいにまとめるか、これはメカニックの腕の見せどころのとようなところでした。無線ユニットもできれば見えづらいところに、そんな配慮をして組んだりもしていました。

しかしこれがまたフル内装の油圧用のフレームで組むとなると、、、やはり問題が出てくるのです。

まず無線機は内装すると電波状況が悪くなる、ということを大前提として、、、
フル内装フレームの場合、この無線ユニットは行き場を失ってしまうのです。無線ユニットは内装すると電波状況が悪くなる場合もあります。
また電波状況だけではなく変な部分に内装された場合は、それこそトラブルの元になったりもします。最悪Di2が効かなくなる、という非常に不自由なトラブルが起きることもあります。
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※ステム(アルミ)内部よりも、カーボン内部のほうが電波が悪くなる場合が多いようです。

これ以外にはRDの直前に位置するタイプもあります。
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ハンドル周りの中継ぎ感がないためスッキリはするのですが、それとは引き換えにRD周りに。。。ということで実際にはあまり多くはないようです。全体の1割ぐらいのイメージです。

②インフォメーションディスプレイ型ジャンクションA
ジャンクションAでありながらもディスプレイがつき、無線ユニットの機能も兼ね備えた三役タイプのジャンクションAです。
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ほぼ同じものがMTBのXTRグレードからもラインナップされ、価格差は約6,500円、機能は同等で保証期間が違うというものでした。(※シマノ製品はDURA-ACE、XTRグレードは3年保証、その他のグレードは2年保証)
このインフォメーションディスプレイは非常に便利なのです。無線機に対応するサイクルコンピューターがなくともギア位置、バッテリー残量、シフトモードを瞬時に理解できます。
現在の12速をGarminと接続した場合よりも優れているのは、何と言ってもそのレスポンスです。現在の12速をGarminと接続した場合、表示がワンテンポ遅れてしまいます。しかしこのインフォメーションディスプレイは明らかにギア位置表示のレスポンスが早く、リニアにギア位置を把握することができます。

しかしです。
そんな超便利的なインフォメーションディスプレイ型のジャンクションAですが、大いなる欠点がありました。
なにかといえばエアロハンドルにつかない、ということです。その取り付け方法は画像のようにハンドルの真円部にクランプする構造です。ですので先程の画像に戻ります。
IMAG2687
PROの製品ですら対応していないという悲しい結末を迎えるのでした。。。

✓バッテリーの存在
お話を戻して、これらの双方の機能には対応した新型のバッテリーが必要でした。
バッテリーと言うと電気を供給しているだけだと思いがちですが、Di2のバッテリーはマスターユニットとしての役割もありますので、ただのバッテリーということではありません。

基本的に前述のようなフル機能を使うためには、旧11速からバッテリーの変更が必要であったり新たなパーツが必要になったり、ということもありました。
しかしそれでも双方同じ変速段数、11速ということもあり原則ほとんどのもの(※クランクは要注意)で互換性がありました。

✓バーエンド型ジャンクション
ちなみに11速では一般的に使用されていた、バーエンド型のジャンクションA EW-RS910がありますが、これもこの”R”世代11速のものです。
従来Di2ではステム下部に付ける必要があったジャンクションAがなくなることでかなりスッキリとした印象になります。
このバーエンド型のジャンクションはPINARELLOのドグマやSPECIALIZEDのハイエンドモデルなどはこのジャンクションAをフレームやシートポストに収める構造のフレームでした。

この一見便利なバーエンド型ジャンクションAを使用するために、Y字(3つ口)のエレクトリックケーブルが発売されました。
しかし実際にはフルで外付けシフトスイッチ(サテライトスイッチやスプリンタースイッチ)を使わなければなくても組むことができました。(※外付けシフトスイッチを使いたい場合はやはりY字のエレクトリックケーブルが必要です)
これが11速の時代のフレームにDi2を組むときのお話でした。

✓フル内装フレームに11速を組む
では最近のフル内装フレームに、11速コンポを組む場合です。
フル内装構造のフレームに11速のDi2で組む場合は、ちょっと工夫が必要です。
というのもなぜかといえば、ジャンクションAはただ接続してあればよいだけではなく、変速調整の際に使用したりするファンクションボタンが有り、また充電ポートの役割をしているからです。
ですのでジャンクションAはどんなにスッキリさせたい場合でも、内装してしまうことができないのです。ですので前述のようなバーエンド型ジャンクションを使用するのですが、そこに問題があります。

シマノ公式の組み方ではバーエンド型ジャンクションAを使用する場合は、Y字のエレクトリックケーブルを使います。
Y字のエレクトリックケーブルを使用する場合、いわゆる”中継ぎ”のためのワイヤレスユニット、もしくは2ポートジャンクションB(エレクトリックケーブル同士をただつなぐためのものです。)
この中継ぎの存在がフル内装ではなかなか厄介なのです。

理想はステムの内部にこの中継ぎを収めるわけですが、まずは物理的に入らない場合があります。特に最近のフル内装フレームの場合、ハンドルステム一体型を使用している場合があります。その場合この中継ぎが入らないと、Y字を使用して組むことはできません。

では中継ぎを使わない場合どうするのか、というとBB付近のジャンクションBからかなり長めのエレクトリックケーブルを使用してレバーまでつなぎます。左右のレバーを繋いで、レバーとバーエンドをつなぐという方法を取ります。
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※cervélo方式です。上の画像はバーエンドに接続してありますが似たような接続方法です。
これならば接続はできますが、シフトスイッチ類のための空きポートを潰してしまうことになります。それでも中継ぎがないので、トラブルが少ないのが利点です。

とこのように11速Di2は不自由こそあったはものの、とりあえず全部が繋がっていればOK的な自由度もあったので、様々なアイデアを出し進化するフレームに対応して行くことができていたのです。

しかしこれよりも遥かに大きな問題があったのです。
それはフレーム設計、O.L.Dの問題です。
というのはまたのお話で、ということで今回はDi2の歴史 ”R”世代の11速の進化、そんなお話でした。


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