電動シフトは今後無線化が進むことでエレクトリックケーブルが必要なくなる可能性はあるかとは思いますが、油圧ブレーキのホースばかりはなくすことは難しいと思われます。
ですので油圧ブレーキのホースだけは通るための構造が必要です。
その油圧のホースの通り道、これを完全にハンドル~フレーム内部に収めることができるのが、昨今のフレームで多く見かけるようになったホース類のフル内装の構造です。
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しかしです。
リムブレーキモデルの最終形態では上部1-1/8、下部1.5サイズの上下異径ヘッドベアリングが多かったです。(CANYON、GIANTではコラム径が太いものもありました。)
このようにホースを内装するためには、従来のヘッドセットで多く使われていたオーバーサイズ1-1/8ではホースを通すことができません。
そのためには、、、そしてハンドルから伸びたホースをフレーム内部へ引き込むための通り道のスペースが必要なところを各社どのように確保している構造になっているのか、というのが今回の本題、フル内装構造のための様々なヘッドパーツ構造を見るです。

▶FSA ACR構造
まずはこちらです。
おそらく現在、このACR構造のバイクがもっともスタンダードのではないかと思われます。
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ACRは上下同径の1.5サイズベアリング(従来のヘッドパーツから上部ベアリングサイズが大きくなっています。)、コンプレッションリングがC型になっていて、その隙間がホースやアウターケーブルが通る構造です。
この構造のメリットは新円形状のコラムを使用することができます。

やはり通り道はかなり広く、組みやすいイメージです。

ビアンキACRを採用している時もありました。
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最近はなにやら変更されてしまったようです。

▶コラム横通し
①コラムの左右、前を通る構造
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御存知の通り、SPECIALIZED S-WorksのVengeやSL7などがこの構造です。
更にこのヘッドパーツで良いと思う構造は、コラムに当たり面を広く取った金属のスリーブを入れることで、コンプレッションリングが直接コラムに当たらないことです。
いわゆる長期間であったり想定外の荒い路面等での使用によるコラムの痩せ、金属のコンプレッションリングがコラム部を削ってしまう現象を抑えることができるような構造です。
この構造は非常に良いと思います。

②コラムの左右のみを通る構造
ピナレロのドグマ等がこの構造です。
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真円コラムの左右からホースを通す構造です。
難点といえばステム側に左右のホースの通り道が必要になることです。
前述のACRの場合は、コラム前方部にステム内に通す穴の構造があります。
ということはステムを交換しようとした時、ACR対応のステムでは合わない可能性が高いということになります。
ですので難点はステムの互換性が低い、ということです。


▶コラム形状変化
続いていは上部ベアリングを大きくすることなく1-1/8のままホースを通そうとしたら、、、コラム側を削ってスペースを確保した構造です。
コンプレッションリングも真円形状で使用することができるものが多いです。

①D型
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コラムをD型にすることで凹んだ部分にホースを通します。
ですがやはりこの構造はホースとアウターケーブルの双方を通そうと思うと、並び順が違うと通らないですし、Di2推奨なのかと思うぐらいギリギリの設計です。


②D型Ⅱ
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GIANTのD型です。
確かコラム径も太いままでD型です。
しかし上記のリドレーのD型よりもだいぶ余裕があったように思えます。

③猫さん型
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Factorです。
カワヨ猫さんの頭、耳の間にホースを通します。
FactorもSPECIALIZEDと同様の思想があります。
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コンプレッションリングが食い込みづらいよう、長さが長くコラムとの接触面をできるだけ広く取れるような構造になっています。
親切設計です。

④デルタコラム
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コラム部の補強、というか化粧カーボンはタイムをフォークを思い出すような構造です。
おそらく強度アップのためと思われます。
真円からデルタ形状で削れた部分の左右をホースが通ります。
そしてデルタの欠けの部分にはシムのようなものも必要になるのも、固定力を補うためかと思います。がこのシムをを入れることで更にホースの通り道は狭くなります。
それでもスペーサーを複数枚使用している場合はスペースがある程度取れますが、ベタの場合は組むのに注意が必要です。

⑤楕円
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正確には楕円ではありませんが、楕円っぽい構造です。
画像の通りBMCの楕円コラムは中が空洞ではありません。
やはり強度を確保するために内部構造で空洞を避けたのかもしれません。
ちょっとアンカーが特殊な構造をしています。

▶独立型
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Cannondaleの過去のモデルです。
ヘッドベアリング部とは全く別で、ホースが通る専用の構造があります。
これは意外と良くて、ヘッドベアリングへのアクセスも良いですし、ステム等の自由度も上がります。

フレーム的には少々複雑な構造になってしまうことがデメリットなのかもしれません。

▶まとめ
このように現在、各メーカーのフル内装にするための構造があります。
何が正解、ということではないとは思いますがやはり普段は見えない部分ではありますので、あまりにもきつきつすぎたり、互換性が非常に少ない、また構造的に無理があるように思えるものはあまり親切な設計とは言い難いと思われます。
個人的にはやはり上部も1.5サイズのほうが余裕があるように思えます。

ということで今回はフル内装構造のための様々なヘッドパーツ構造を見る、そんなお話でした。


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