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こちらです。
落車で破損してしまった油圧ディスクブレーキ用のコントロールレバー ST-R9170です。
落車時にコントロールレバーを破損してしまうことは少ないことでは有りませんが、油圧のレバーは基本的に破損した場合の多くは、全交換が必要になります。
というのものこちら、リムブレーキの場合は、ブラケット部とレバー部で双方のリペアパーツが存在しますが油圧用のコントロールレバーの場合はリペアパーツ自体ラインナップにありません。
ST-R9170

https://si.shimano.com/ja/pdfs/ev/ST-R9170-4079/EV-ST-R9170-4079A.pdfより

つまり破損をしてしまった場合は、レバーごとの交換となります。
このようなこともあり、あまり内部構造を見ることがない油圧用のコントロールレバーですが、内部を見ていきたいと思います。

カバーを外して見やすくなりました。
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油圧Di2のコントロールレバーはカーボンで結構硬い素材をしているのでレバーが途中でボッキリ、というのはそこまで多くはないです。(折れるときは折れますが)しかし機械式変速用と違ってレバーが横方向には動きません。ですので落車時の破損はこの関節部の破損が多いようです。
ですので実際にリペアパーツがあったとしても、この関節部の破損の場合、双方にダメージがある場合が多く交換が難しいということもあるのかもしれません。

まずはDi2に関わる部分です。
コントロールレバーのDi2関係のパーツは多くはありません。
むしろ驚くほどにシンプルです。
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レバー裏側には配線が見えます。
これがDi2のエレクトリックケーブルを指す部分と実際のボタンをつなげている線です。

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ボタン部を分解していきます。

スイッチが出てきました。
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これらのスイッチがいわゆる”X”と”Y”のボタンです。
この小さなボタン、そのままではボタンは押しずらいです。ですのでレバーでボタンを押せるようにする構造がスプリングや他のパーツです。
おそらくレバーがなくてもエレクトリックケーブルさえ繋げば、スイッチで動かすことはできるはずです。

Di2はちょっとおいておいてレバー部を分解します。
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小レバーはDi2のボタンの役割です。
ですのでスイッチ操作のため、横方向に動く必要があります。
カバーを外します。
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分解します。
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極めて単純な構造です。
単純な構造ですが、毎回必ずずれることなく正確に動く剛性と精度、これこそさすがSHIMANOの技術です。

Di2に戻ります。
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今度はレバートップ部の分解です。
いわゆるレバー先端の先っぽボタンの部分です。

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パカッと外れます。
黄色の部分は分解の都合上、右側にいますが、矢印のある部分に存在しているDi2のコネクター部分です。

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Di2の部分が完全に外れると思ったのですが、レバーアクスルが邪魔をしてボタン部が抜けませんでした。
レバーアクスルも分解します。
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取れました。
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最低限のDi2のパーツです。
おそらくこれだけあれば構造的には動かせるはずです。
このように見てみると、Di2のコントロールレバーが機械式変速に比べて軽く作れる理由がよくわかります。

続いて油圧の構造です。
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黄色がプッシュロッドです。
赤はレバーの受けのようになる部分です。

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こうなります。

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ちなみにこのブラケット部にあみあみの構造が見えると思います。
これらは実は機能的には不要な部分で、コントロールレバーの形状のために存在する部分です。
ですのでこのあみあみのように見える部分はめちゃくちゃ握りにくくはなると思いますが、こそぎ取ってしまっても大丈夫な部分がほとんどです。

ここからが楽しいところです。
内部を見てみます。
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銀色が油圧のピストンです。
レバー操作でシリンダー内を行き来します。

別角度です。
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プッシュロッドとピストンの関係です。

上部、リザーバータンク部を開けてみました。
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リザーバータンクが見えます。
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真ん中に見える黒い物体がダイアフラムです。

せっかくなのでコネクト部も開けてみます。
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金属のネジ山が見えますが、そのネジ山は実際に使用はしないと思われます。
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実際には手前の黒い部分のネジ山とコネクティングボルトが噛み合い、金属部にはオリーブが押し付けられ締付けでオリーブがカシメられるようにできています。

このように分解して内部構造を見て、楽しい!ということだけではありません。
エア抜きでエアが残らないためには、ホースの接続、また不具合が起きたときにはなぜその不具合が起きたのか、原因を考えることにも繋がります。

また今回は11速用のDi2油圧のレバーでしたが、これが12速用のレバーになると無線装置+電池構造が必要になります。おそらくあの部分にこういった構造が入って、、、と考えるのも楽しいことです。

ということで需要が歩かないかは別として(笑)今回はST-R9170 油圧コントロールレバーの内部構造を見る!でした。
ちなみにですが記事作成時現在、11速用の油圧Di2のコントロールレバー、ロード用はすべて廃盤です。
グラベル用のGRXで唯一購入できるものがあるのみです。
故障や破損にはくれぐれもご注意ください。
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