以前、弊店でメインとして使用していたシーラントは、SILCAのアルティメット チューブレス シーラントでした。
これまで数多くのシーラントを使用してきましたが、その中でもこの製品は、私の中ではトップクラスに信頼できるシーラントのひとつでした。
その理由は、以前の記事でも触れていますが、主に次の5点です。・シーリング能力、気密性能(空気の保持力)
・パンク時の修復能力
・耐久性
・こびりつき等のメンテナンス性
・性質これらの観点で見たとき、非常に完成度が高いと感じていました。
実際、私自身が普段使用しているタイヤにも、SILCAのシーラントを入れて運用していました。
そんな高い評価をしていたSILCAのシーラントに、新製品が登場したのは記憶に新しいところです。
早速使用を開始し、真夏を含む期間を通して実運用を重ねてきました。
その中で、いくつか「これは知っておいた方がいい」と感じる点が見えてきました。
ということで今回は、
何が新しくなったのか、そして実際にはどんな性格のシーラントなのか。
SILCAの新シーラント「ULTIMATE SEALANT」を、実運用を通して検証した結果をまとめていきます。

▶SILCAの新シーラント ULTIMATE SEALANT2.0
SILCAは公式から製品紹介の動画や記事をしっかりと公開しており、どんな製品なのかが比較的わかりやすいメーカーです。どれだけ性能が高くても、用途や性格が見えなければ使いどころが分かりません。その点は好印象です。
ここでは、公式の紹介動画の内容を簡単に整理しておきます。
今回のSILCA新シーラントで、もっとも大きな変更点は「バルブから注入できるようになった」点です。
従来のSILCAシーラントは、パンク修復用の繊維が比較的大きく、バルブからの注入ができませんでした。これはプロ用途を前提としていたためで、実際にはメカニックがタイヤを外して直接注入し、数ヶ月同じタイヤを使い続けることも少なかったため、大きな問題にはなっていなかったという背景があります。
一方、一般ライダーの運用ではそうはいきません。数ヶ月ごとの補充が現実的に必要になるため、SILCA自身も補充用として別タイプのシーラントを用意していましたが、動画内では「正直あまり好まれなかった」と、やや自虐的に語られています(笑)。
そこで今回の新シーラントでは、「最適化されたファイバーフォーム 2.0」を採用。繊維をより細かく、かつダマになりにくくすることで、バルブからの注入を可能にした、という説明です。
またSILCAのシーラントは、従来から市販品の中でも非常に高いラテックス含有率を誇っていました。これは優れた気密性能につながる一方で、サイドウォールの浸透性が高いタイヤでは、初期セットアップ時にラテックスを液体状態に保つ溶剤が多く失われてしまい、結果として想定よりも寿命が短くなるケースがあったとのことです。
この点を解決するため、SILCAは約2年をかけてラテックスと繊維の配合を研究し、
・高い気密性を持つ天然ラテックス
・耐久性に優れた合成ラテックス
を組み合わせた「ハイブリッドシーラント」を開発したとしています。。なお、旧モデルのSILCAシーラントは、サイクリングウィークリーやTour Magazine(ドイツ)などで行われたシーリングテストにおいて、7mm以上の穴を塞いだ唯一のシーラントだった、という実績も公式動画内で紹介されています。
新シーラントでは、さらに耐久性が向上し、6ヶ月以上の持続性を謳っています。
加えて動画内では、「SILCAのシーラントを使用しているアスリートがパンクで止まった場合、500ドルを支払う」という、かなり強気な発言もされています。2024年シーズンでは20名以上のアスリートが使用し、走行不能に至るパンクは1件もなかった、という説明です。
数字だけを見ると、
「6ヶ月以上の耐久性」
「7mm以上のシーリング能力」
非常に期待が高まる内容です。

実物を確認してみると、粘度自体は前作と大きな違いはなく、繊維については、確かに前作よりもかなり細かくなっている印象を受けます。
あとは実際にシーラントが固まったとき、これができるかですが

これができるとメンテナンス性がかなり良くなるのでこれはできてほしいものです。
今後の注目点は、実際にタイヤ内部で時間が経過したとき、
・どのように固まるのか
・清掃性はどうなのか
・パンク時にどのような挙動をするのか
という点でしょう。
公式動画でも触れられていますが、シーラントがタイヤ内で固まるまでにはかなりの時間を要します。つまり、実運用を通した検証が不可欠です。
ワタクシ自身も早速使用を開始し、実走と経過観察を続けていきました。
▶実際に使って分かったことここまでは公式動画の内容としては非常に魅力的で、私自身も期待していました。
ただ、その後に実運用を進めていく中で「気密や長期安定性」と「パンク修復能力」は別物として見た方が良いと感じる場面がありましたので、追記しておきます。
【追記:実運用で分かったこと(重要)】
①シーラントのメンテナンス性について
シーラント運用でまずネックになるのが、メンテナンス性です。
これは長期運用になれば必ず直面する問題です。
前作のSILCAのシーラントはタイヤの中でも固まりやすい傾向があるが、固まったあとに剥がしやすいということで、メンテナンス性能良さを感じていました。
②パンクの修復能力
シーラント運用でまずネックになるのが、メンテナンス性です。
これは長期運用になれば必ず直面する問題です。
前作のSILCAのシーラントはタイヤの中でも固まりやすい傾向があるが、固まったあとに剥がしやすいということで、メンテナンス性能良さを感じていました。
一方、今作のシーラントは、メーカーの説明どおり長期間の使用でも非常に固まりにくい印象です。明らかに前作と比べても長期間、乾くことなくタイヤ内で存在できます。
また乾きかけている状態でも水で流すだけできれいに落とせるため、清掃性という意味では非常に優れています。
そのため、「タイヤ内部で固まりにくく、長期運用に向く性質」については、確かに感じられました。
②パンクの修復能力
一方で、パンク修復能力については、私にとって決定的な弱点だと感じています
少なくとも私の使用環境では、パンク修復性能は期待にまったく届きませんでした。
少なくとも私の使用環境では、パンク修復性能は期待にまったく届きませんでした。
7mmクラスの貫通穴はもちろん、ピンホールレベルの非常に小さな穴であっても、走行中に完全に封止されることはありませんでした。

直近のパンクでは、走行中に明確な音がしたため大きな損傷を想定していましたが、実際には裏側から見ても傷が確認できないほどの微細な穴でした。それでもエア漏れは止まりませんでした。
帰宅後、同程度の穴で別のシーラントを使用したところ、注入直後に問題なく封止されました。
この結果からしても、SILCAの新シーラントを使用する場合は、パンク時にシーラントで粘ることは期待せず、早い段階でチューブを入れて帰る前提で考える必要がある、という結論に至りました
③その他の使用感
通常走行時の空気保持力については、特に問題を感じていません。
一方で、バルブコアを詰まらせやすい印象はあり、運用の手間が増えやすい点には注意が必要だと思います。
総合的な評価について
現時点での私の結論としては、「タイヤ内で固まりにくく、長期維持を狙う用途」には適している一方で、「パンクを自動で塞ぎ、そのまま走り続けたい」という用途ではおすすめしづらい、という評価になります。
なお、これは今回のSILCA新シーラントに限った話ではなく、いわゆる「固まりにくい系」「長期保持を謳った製品」「清掃性を重視したタイプ」のシーラント全般に見られる傾向でもあります。
現在、公式の見解との乖離やパンク時の封止性能について、代理店経由でメーカーにも確認を行っていますが、現時点では回答待ちの状態です。進展がありましたら、改めて追記します。
▶海外の評価と照らし合わせて
▶海外の評価と照らし合わせて
実際に使ってみた結果を踏まえた上で、海外のレビューや使用者の声を改めて確認してみると、SILCAの新シーラントに対する評価は、決して一方向ではありません。
海外フォーラムやレビューでは、
「問題なく止まっている」「高評価」
とする声がある一方で、
「思ったほど塞がらない」「期待と違った」
「長期使用できなかった」
といった意見も確かに存在します。
この評価の分かれ方は、単なる好みや主観の違いというよりも、製品の挙動そのものが条件によって大きく変わっている可能性を示しているように感じます。
ワタクシ自身、複数回のパンク事例を確認する中で共通して感じたのは、穴の大きさや位置以前に、シーラントの液体成分が固体相へ移行しにくいという挙動でした。
実際、穴からシーラントが噴き出し、泡立ちはするものの、いつまでも「ブクブク」とした状態が続き、封止に至らないケースを何度も確認しています。
さらに特徴的だったのは、その場では止まらなかった穴が翌日になっても固まらず、高めの空気圧をかけると再び噴き出してしまう、という点です。
一般的なシーラントであれば、たとえ走行中に完全に止まらなかったとしても、時間経過とともに封止部がある程度固まり、再噴出しにくくなるケースが多いだけに、この挙動はやや特殊に感じました。
一方で、海外では「長期使用できなかった」というレビューも存在します。
これはメーカーが謳う「固まりにくく、長期安定する」という説明とは、必ずしも一致しません。
これらを総合すると、考えられる要因としては、
・ラテックスや添加剤の配合状態
・繊維の分散状態
・ロットや個体差
・輸送や保管環境による状態変化
といった、製品としての反応安定性のばらつきが影響している可能性が否定できないと感じています。
仮に、
「固まりやすい方向に寄った個体」と
「固まりにくさが強く出た個体」
が存在するとすれば、
・ある人には高評価
・ある人には全く止まらない
という、極端に割れたレビューが生まれることも説明がつきます。
少なくとも現時点では、本製品は
「どんな条件でも同じように止まる、再現性の高いシーラント」
というよりも、使用環境や状態によって結果が大きく変わる、扱いに注意が必要な性格を持っているように思います。
この点を理解した上で使うのであれば納得できる場面もありますが、
「どのタイヤ・どの環境でも自動的に止まってくれる安心感」を求める用途では、慎重に判断すべき製品だと感じました。
▶まとめ
SILCAの新シーラント ULTIMATE SEALANT は、「タイヤ内で固まりにくく、長期間安定した状態を保ちやすい」という点において、従来のシーラントとは明確に異なる方向性を持った製品だと感じました。
清掃性やメンテナンス性の良さは確かで、長期運用を前提とした思想は理解できます。
一方で、実際の使用においては、メーカーが強く打ち出している「パンクを封止して走り続けられる」という点について、私の使用環境では公式説明と一致しない結果が続きました。
ピンホールレベルの非常に小さな穴であっても、走行中に封止に至らず、時間が経っても固まりきらない挙動を複数回確認しています。
海外のレビューを見ても評価は割れており、問題なく止まっているという声がある一方で、
「止まらない」「長期使用できなかった」という意見も存在します。
これらを照らし合わせると、本製品は封止能力そのものの有無というよりも、反応の再現性や安定性にばらつきがある可能性を感じました。
液体成分が固まりにくいという特性は、長期安定性というメリットにつながる反面、封止に必要な凝集が起きにくい状態を生む場合もあり得ます。
さらに、ロット差や保管・輸送環境、タイヤとの相性によって、その挙動が大きく変わるとすれば、評価が極端に分かれることも不思議ではありません。
前作の完成度が非常に高かっただけに、期待値との差を感じたのも事実です。
ULTIMATE SEALANTは万能型ではなく、使い方と期待を明確に合わせたうえで選ぶべきシーラントだと感じました。
今後、メーカーや代理店から公式な見解や追加情報が示されれば、評価が変わる可能性もあります。現時点では特に新たな情報はありませんが、そのような動きがあれば、改めて追記したいと思います。
ということで今回はSILCA 新シーラント「ULTIMATE SEALANT」を実運用で検証して分かったこと、でした。
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コメント
コメント一覧 (1)
ひとつ質問なのですが、自分はシーラント入れ替える際、バルブから百均の化粧品のシリンジをタイヤ内に突っ込み古いシーラントを出来る限り抜き出して、
新しいシーラントをこれまたタイヤ内まで突っ込んで注入しています(バルブを出来るだけ汚したくないので)
なので繊維などの固形物入りは避けているのですが、このシーラントはタイヤ内に突っ込めるほど細いシリンジでも使用出来そうでしょうか?